7月の時候の挨拶を手紙やビジネスメールでも使ってみよう!
皆さんが普段、仕事で書いている手紙やビジネスメール。メールはいつも何気なく送受信されていると思いますが、どんな事に気を付けて書いていますか?きっと、会社によっては決められたテンプレートが用意されていて、本文の部分に用件を打ち込むだけ、という方が多いのではないでしょうか。
社内宛のメール、社外宛のメールなど色々な決まりはあると思いますが、この記事では、社外の営業先へ手紙やメールを書く時に、7月の時候の挨拶を使う場合の例を見てみましょう。時候の挨拶を取り入れるメリットと、気を付けるべきルールやマナーについて解説して行きます。
7月の時候の挨拶を入れるメリット
ビジネスメールや手紙は、用件を分かりやすくまとめ、読む側の負担にならないように配慮するのが基本です。そのために、決まった書式や、テンプレートなどが用意されていることが多いようです。ですが、例えば皆さんが、大切な取引先へ書く場合を想像してみてください。
宛先とタイトルを入れ、用件を書き、署名を入れて送信するだけでは、事務的で物足りない印象がありませんか?そこで、ぜひ、時候の挨拶をビジネスメールの中に取り入れてみましょう。
普段は事務的な印象になりがちなビジネスメールに、時候の挨拶を入れる事により、読み手側を気づかうような、柔らかな印象を与える事が出来ます。その意味でビジネスシーンで大切とされるクッション言葉と同じような役割を果たします。ぜひ実践して、他の手紙やビジネスメールと差を付けましょう。
そもそも時候の挨拶ってなに?
本来、時候の挨拶とは日本の文化独特のものであり、手紙やはがきを書く時の文章の冒頭に、現在の季節に合った挨拶を入れる礼儀文のことを指します。また、時候の挨拶には、その季節に合った季語を入れる事が決まりになっています。決まりとして、時候の挨拶は、文章の冒頭の頭語の後に入れ、それとセットで、文章の末尾に結びの文章を入れます。それでは、実際に7月での例を見ながら実際に解説して行きます。
7月の時候の挨拶を入れた手紙やメールの構成
手紙やメールは以下のような構成にすると素敵な文章になります。
- 頭語
- 時候の挨拶
- 用件
- 時候の挨拶の結び
- 結語
1.頭語という「こんにちは」の意味の言葉を入れる
頭語で一般的に使われるのは、以下のような言葉です。
- 「拝啓」
- 「拝呈」
- 「啓上」
2.7月の時候の挨拶を入れる
7月の時候の挨拶は
- 「梅雨明けの候」
- 「向暑の候」
- 「仲夏の候」
- 「盛夏の候」
- 「大暑の候」
- 「炎暑の候」
- 「酷暑の候」
- 「猛暑の候」
などの季語が一般的です。この季語の後に、挨拶文を続けます。ここで使う挨拶文は、以下のような普段使っているビジネス用の挨拶文で構いません。
- 「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」
- 「〇〇様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。」
- 「平素は格別なご高配を賜りまして厚く御礼申し上げます。」
3.用件を書く
ビジネスでもプライベートな相手でも日頃の感謝の気持ちを丁寧に書いていきます。相手を思いやる気持ちは文章でもしっかり伝わるので気持ちを込めてしたためましょう。
4.7月の時候の挨拶の結びの文章を入れる
- 「暑さ厳しき折り、皆様のご健康をお祈りいたします。」
- 「時節柄、くれぐれもお身体ご自愛下さい。」
5.最後に結語という「さようなら」の意味の言葉を入れる
結語で一般的に使われるのは、以下のような言葉です。
- 「敬具」
- 「敬白」
- 「拝具」
実は、季語にはもっと細かな分類があります。
7月だけでも初旬、中旬、下旬それぞれに合った様々な季語があります。また、挨拶文に関しても、もっと丁寧で個性的な表現が強くなるものもたくさんあります。ですが冒頭でも書きましたが、あくまでも、時候の挨拶の入った手紙やビジネスメールであることは忘れないようにしましょう。
仕事で忙しい相手先のことを考え、端的に用件を伝える内容に時候の挨拶はちょっとした心づかいを添えるものです。なので、余り細かくは考え過ぎずに、シンプルにまとめる方が、より親切なものとなります。
ですが、季語の使用にはくれぐれも、気を付けましょう。季節にそぐわない間違った季語を使ってしまうと、せっかくの時候の挨拶が台無しになってしまいます。下記に7月の初旬、中旬、下旬に合った季語を使った、時候の挨拶を紹介します。
7月初旬の時候の挨拶
- 梅雨明けの候、〇〇様にはますますご壮健のこととお慶び申し上げます。
- 向暑の候、皆々様お健やかにお過ごしのご様子、なによりと存じます。
「梅雨明けの候」と「向暑の候」は、7月初旬に合った時候の挨拶です。また「小夏」という言葉も、この時期にあった季語になります。
7月中旬の時候の挨拶
- 仲夏の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
- 盛夏の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
「仲夏の候」は、まさに夏の暑さの半ばに合った季語を使った、7月中旬に使える時候の挨拶です。また「盛夏の候」は、同じく7月中旬に合った時候の挨拶ですが、7月中を通して使う事が出来ます。
7月下旬の時候の挨拶
- 大暑の候、貴社いよいよご隆盛のことと存じます。
- 猛暑の候、皆様にはいよいよご清栄のこととお慶び申し上げます。
「大暑の候」「猛暑の候」は、日本の季節を表す二十四節気の「大暑」が7月23日頃にあたる事から、その時期やそれ以降の7月下旬に合った時候の挨拶になります。
年によっては、気温が上がらない涼しい夏であったり、逆に猛暑の夏であったり、その時々で体感する暑さも変わって来ますよね。また、地域によっても7月の暑さの体感も変わって来ます。そんな時は、ぜひ「冷夏」や「炎暑」などの、暑さを表現する季語を使い分けてみましょう。
時候の挨拶の結び文も同様です。季節にそぐわない季語を使わないように気を付けましょう。7月の時候の挨拶の結び文も、いくつか例を紹介します。
7月の時候の挨拶の結び文の例
- 梅雨明けの暑さひとしおでございますが、くれぐれもご自愛下さい。
- 暑さ厳しき折り、くれぐれもお身体をご自愛下さい。
- 本格的な夏を迎えました。皆様のご健康をお祈りいたします。
- 暑さ厳しき折柄、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
通常のメールと7月の時候の挨拶が入ったメールを比べてみる
それでは、実際に同じ用件で作成した、通常のメールと7月の時候の挨拶を入れたメールを比べてみましょう。以下の例は、見積もりの依頼をするメールの内容です。
通常のビジネスメール
○○〇株式会社御中
〇〇様
いつも大変お世話になっております。
(株)〇〇〇 営業部の〇〇でございます。
早速ではございますが、先日ご提案いただきました案件につきまして
ぜひ一度、弊社から費用についてのお見積りをいただきたきたくお願い申し上げます。
大変恐縮ではございますが、スケジュール調整のため、○月○日までにご送付をお願いいたします。
ご多忙中恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。
7月の時候の挨拶を入れたメール
○○〇株式会社御中
〇〇様
拝啓(1.頭語)
盛夏の候、平素は格別なご高配を賜りまして厚く御礼申し上げます。(2.時候の挨拶)
(株)〇〇〇 営業部の〇〇でございます。
早速ではございますが、先日ご提案いただきました案件につきまして
ぜひ一度、弊社から費用についてのお見積りをいただきたきたくお願い申し上げます。
大変恐縮ではございますが、スケジュール調整のため、○月○日までにご送付をお願いいたします。
ご多忙中恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。(3.用件)
暑さ厳しき折り、皆様のご健康をお祈りいたします。(4.時候の挨拶の結び)
敬具(5.結語)
いかがでしょうか。同じ内容の文章の冒頭と末尾に、時候の挨拶を入れただけで、事務的な印象のビジネスメールから、ちょっとした心づかいや配慮が感じられませんか?
時候の挨拶は事務的な印象を和らげる、クッションのような役割も感じられますよね。また、これらは元々、電子メールが普及する前から、書面でのビジネス書簡のやり取りでも使われていましたので、ビジネスマナーの一つとしても重視される大切なものです。
また、ビジネスメールだけでなくもちろんビジネス書簡や手紙へも応用が出来ますので、ビジネススキルの一つとして、マスターしておくのが良いでしょう。
忙しい7月のビジネスシーンにこそ時候の挨拶を使ってみましょう
毎日が忙しい、ビジネスメールの送受信。数ある電子メールの中で、形式ばかりの文章のやり取りだけでは、読み手の気持ちを惹きつけることは難しいでしょう。きっと、似たような大量のメールの中に、埋もれてしまう事もあるかも知れません。
そこでぜひ、この7月の時候の挨拶を取り入れた手紙やビジネスメールを使ってみてください。ちょっとした心づかいひとつで皆さんのメールが読み手に取ってより印象深いものになりますよ!