バイト敬語でありがちな間違いと正しい表現方法9パターン

バイト敬語には様々なものがありますが、敬語として間違ったフレーズが公然と使われていることも多く、自分のミスにもなかなか気づけない人もいます。大学生はもちろん社会人も勘違いしがちなバイト敬語を正すために、クッション言葉の活用方法や正しい使い方を確認しておきましょう。

バイト敬語でありがちな間違いと正しい表現方法9パターン

それバイト敬語かも?自分の間違いに気付けていますか

世の中には接客業と言われる多くの仕事があり、その業界においては「バイト敬語」が用いられます。バイト敬語は、お客様を立てて敬うために尊敬語・謙譲語・丁寧語を様々に用いた接客で使う言葉です。普段の生活で使用する言葉とは大きく異なるため、間違いが頻発しています。

特に、アルバイトの間では間違ったバイト敬語が蔓延しており、それが「バイト敬語」などと呼ばれるようになっています。また、自分では正しいと思って使っている言葉も、実はそのお店の中でしか通用しない言葉である可能性もあるのです。

学生が間違ったバイト敬語を使ってしまう理由

カフェでアルバイトをしている女子大生

高校生や大学生にとって、アルバイトは社会人としての第一歩です。そのため、社会に出て既に使われている言葉、耳にする言葉がまさか間違っているとはなかなか思わないものです。

普段の生活では使わない言葉を使っていることや仲間内で暗号のような言葉を使っている高揚感からついつい乱用してしまい、それが習慣になってしまうこともあります。そのため、バイト敬語が間違っているとわかっていても、ついつい使ってしまう人やお店も多いです。
特に、店舗のスタッフや客層が若い人ばかりというようなお店では、それがお店の雰囲気を若く見せるために一役買っているとも言えるでしょう。

仕事において雰囲気や相手に合わせて言葉を選ぶということも大事なことですから、バイト敬語の全てを否定する必要はありません。しかし、よりレベルの高い敬語マナーを身に着けたいのであれば、正しい日本語表現についてもしっかり理解を深めておくべきでしょう。

ありがちなバイト敬語の間違い表現と正しい使い方9つ

よくあるバイト敬語の間違った敬語表現を、正しい言葉遣いに変換してみましょう。文法をよく考えてみると理解できますので、丸暗記よりも文法を意識して比較するのがポイントです。

1 「わかりました」「了解しました」

伝票をつけているカフェの店員

お客様から依頼を受けた際に「わかりました」「了解しました」とバイト敬語で返事をする人もいますが、その場合も「承知いたしました」「承りました」「かしこまりました」が正しい返答です。

特に「了解」という言葉は“物事の内容や事情を理解して承認する”という意味を持ち、同僚・同輩もしくは目下の相手に使う言葉です。お客様を下に見ていると受け取られかねないので注意しましょう。

2 「1000円からお預かりします」

「1000円からお預かりします」というフレーズはよく耳にするバイト敬語の表現ですが、この「から」にはあまり意味がありません。「“から”って何?」と口には出さずとも気にされるお客様もいらっしゃいますし、上司や先輩から指摘されるケースも多いためくれぐれも気を付けてください。

3 「つき当たりがトイレになります」

「~になります」という説明口調はよく使われていますが、これもバイト敬語であって本来は間違いです。「なる」という言葉は「水が氷になる」のように状態の変化を表す言葉であり、ものの説明をするときには不適切な表現だと覚えておきましょう。

よって、急きょつき当たりがトイレに変化するのでなければ、この表現は誤りです。正しくは「である」の尊敬表現となる「です」「でございます」という言葉を用います。「店内は全て禁煙席になります」というフレーズも当然間違いとされます。

4 「店長の方(ほう)は本日お休みをいただいておりまして」

「店長の方(ほう)は本日お休みをいただいておりまして」という文章には、2つの間違いが見られます。

ひとつ目は店長「の方」という言い回しです。この「~の方」という表現は対象を婉曲的に示す際に使われることが多いのですが、正しい使い方ではありません。むしろ相手が知りたいのは店長の在・不在だと考えられますので、店長を婉曲的に示すのはマナー上も失礼です。

また、「お休みをいただく」について、この場合お休みは誰からもらっているかと言えば会社(お店)であり、お客様ではありません。そのため「お休みをいただく」は自分の会社やお店を敬う表現となってしまうので不適切です。バイト敬語ではなく、「お休みを取っておりまして」「休暇中で不在でして」と正確に伝えましょう。

5 「ご注文は何でしょうか?」

注文を取る居酒屋の店員

「ご注文は何でしょうか?」というのは飲食店や居酒屋で耳にすることが多いバイト敬語のフレーズです。これは完全に間違いというわけではありませんが、ややぞんざいな印象を受けます。接客業であれば「ご注文を承ります」などと一歩進んで自ら聞く姿勢を持って接しましょう。当然、へりくだる謙譲語を使うようにしてください。

6 「ご注文はいかがいたしますか?」

「いたす」というのは謙譲語で、行為をする人を下げて相手を高める表現です。「いかがいたしますか?」というバイト敬語は丁寧なようですが、実は相手を下げている間違った表現です。尊敬語は「なさる」ですので「ご注文はいかがなさいますか?」が正しい言い方となります。

7 「ご注文はこちらでよろしかったでしょうか?」

「ご注文はこちらでよろしかったでしょうか?」というのもよくあるバイト敬語で間違いです。普段の会話で「これでよかったですか?」という言葉の使い方をしていると間違えます。過去形にすると柔らかく聞こえるという人もいますが、文法上は正しい使い方ではありません。

「ご注文はこちらでよろしいでしょうか?」と、現在形で正しく尋ねましょう。

8 「店内でお召し上がりですか?」

接客中のレストランの店員

「お召し上がり」という名詞があれば文章として成立するのですが、残念ながらこの言葉はありません。「店内で食べますか?」を尊敬語にして「店内で召し上がりますか?」となるのが正解です。
また、「召し上がる」はすでに敬語ですので「お召し上がり」は二重敬語となります。このようなバイト敬語にはくれぐれも注意しましょう。

9 「ちょっとお待ちいただけますか?」

ついつい普段のクセで「ちょっと」というフレーズが出てしまうこともありますが、「少々お待ちいただけますか?」というのが丁寧な表現です。「ちょっと」はカジュアルな響きがありますので、お客様の時間に対して軽々しく扱っているような印象を与えてしまいます。このバイト敬語は、特に年配の方には使わないように注意しましょう。

クッション言葉を使うと間違ったバイト敬語が出にくくなる

メモをとる女性

バイト敬語が出てしまう背景には「何とかお客様に対して失礼のないようにしたい」という気持ちがあります。その場に適した表現がうまく出てこないため、何となくそれらしい言葉を思い出して使っているうちにバイト敬語が癖になってしまうのです。そのため、対策としては正しい表現を覚えるのが一番となります。

また、クッション言葉が正しく使えるようになるとバイト敬語が出にくくなります。クッション言葉とは、本題を伝える前に入れることで内容を柔らかく聞こえさせる効果のある言葉です。クッション言葉が必要となるケースとしては、依頼をする場合と謝罪や断りの場合があります。

依頼をする場合のクッション言葉

依頼をする場合は、相手に手間をかけるということになりますので、「お手数ですが」「差し支えなければ」「よろしければ」「恐れ入りますが」と、相手の都合や気持ちを汲み取りつつお願いをするようにします。

  • 「お手数ですが、こちらの用紙にご記入をお願いします」
  • 「差し支えなければ、サイズを計らせていただけますか?」
  • 「よろしければ、ご試着なさってください」
  • 「恐れ入りますが、レジまでお越しいただけますか?」

謝罪・断りの場合のクッション言葉

謝罪や断りが必要な場合は、相手の気持ちに沿えなかったことを先に謝ります。「申し訳ございませんが」「あいにくですが」などの表現が使えると良いでしょう。

  • 「申し訳ございませんが、返品対応はできかねます」
  • 「あいにくですが、本店ではこちらの商品は取り扱っておりません。申し訳ございません」
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間違ったバイト敬語を抜け出すことは社会人としての第一歩

バイト敬語は私たちの生活に蔓延しており、正しいバイト敬語を用いることが難しくなってきているのが現状です。しかし、正しい言葉遣いを身につけることは社会人として非常に大事なことです。

言葉の選び方ひとつで相手を不快にし、商品やサービスの販売機会を逃すこともあります。その分野のプロフェッショナルになるためには、こうした細かいところにまで気を遣って仕事をする意識が必要です。そういった意識なしに大ざっぱな仕事をしているのであれば「バイト根性」と一蹴されても仕方ありません。

バイト敬語を抜け出すことは、社会人としての第一歩です。言葉が変わると意識も違ってきますので、特に今後就活を控える学生の方は、周りから一社会人として認められるためにも、そして自分自身がプロ意識を持つためにも正しい言葉遣いを身につけましょう。