「ちなみに」の意味は「○○に付け足して言うと」
「ちなみに」の意味は「○○に付け足して言うならば」「ついでに言うとすると」など、一度述べたことにさらに情報を付け足して言う際に、その前の文と後からくる情報を繋ぐ接続詞の役割をします。したがって、何か余計に言いたいことや新しい情報を付け足したい時に「ちなみに」で繋ぐと、会話の流れも活きてくると同時に、聞き手の注意を引きつける地味ながら、強い影響力を感じさせます。
「ちなみに」は敬語?
「ちなみに」は敬語である…とハッキリ肯定することはできませんが、丁寧語や敬語と組み合わせて使うことでビジネストークに活かせる魅力を備えています。「ちなみに」を敬語らしく表現する際には「ちなみに申し上げますと」「ちなみにお手元を拝見して頂きますと」などなど「ちなみに」と一緒に謙譲語や丁寧語を使うとフォーマルな響きが生まれます。
「ちなみに」を使ったビジネス会話例
ビジネストークで印象を下げない様に、職場やビジネスシーンでの会話を元に「ちなみに」の使い方・前文と後文の繋ぎ方を解説します。
ビジネスシーンでの「ちなみに」会話例1
「社長、このまま業績が伸びれば銀座での新店舗オープンも期待できそうですね。ちなみに、○○商社の山田さまが、銀座に良い物件があるとおっしゃっていました」
NG例:「ちなみに、○○商社の山田さまから銀座の良い物件についての情報を入手済みです」
こちらは、前文にプラスして新しい情報を上乗せする使い方です。しかし、「ちなみに」は新しい情報をこちらから提供するような意味合いがあるため、目上の方に使う際には印象が悪くならないように言葉選びに気を付けたいところですね。
NG例を見てみると、新しい情報を分かっているのに自分だけが知っているような、上から発言だと捉える人もいるような感じを受けます。目上の方へ「ちなみに」を使う際には、全文を丁寧な言い回しにすることが重要です。
ビジネスシーンでの「ちなみに」会話例2
「以下のような点から考察致しまして、弊社におきましては今回のプロジェクトを続行する意向でございます。ちなみに申しますと、デザインを担当される○○会社様には、皆さまのお手元にあります同じ資料をすでに送付済みでございます」
取引先の方や目上の方を招いてのプレゼンなどでは、「ちなみに」をもう少し敬語らしい表現にしたいものですね。そんな時には、謙譲語「申します」「申し上げますと」などを付け足すとなお良いでしょう。
ビジネスシーンでの「ちなみに」会話例3
「○○株式会社の田中でございます。いつも弊社の鈴木がお世話になっております。ちなみに、鈴木は只今出張中のため、横山さまによろしくお伝えくださいと言付かって参りました」
ビジネスシーンでの自己紹介時にも、「ちなみに」を使った会話をすることができます。この際にも、脈略のない内容を「ちなみに」で繋ぐのではなく、あくまでも前文に関連する情報を後文に持ってくるとスマートな印象になります。
ビジネスメールで「ちなみに」を使う際の気を付けたいポイント
ビジネスメールでも「ちなみに」を使うことはできますが、文字にする際にはできる限りフォーマルな印象になるように心がけたいものです。では、仕事のメールで「ちなみに」を使う際のポイントをチェックしてみましょう。
ポイント1.「ちなみに」を「因みに」と漢字にして口語的な印象を下げる
誰の目に留まるか分からないビジネス文書やメールでは、あくまでも口語的な表現を避けてきちんとした印象を与えるのも大切です。
「ちなみに、明日の会議は東棟の5Fで開催されます」と記すよりも、
「因みに、明日3月4日(火)13:00より予定しておりますABCカンパニー様との会議は、東棟5F○○室にてお待ちしております」
という風に、メールであることの利点を活かした文章にすることがポイントです。
ポイント2.「ちなみに」+「敬語/謙譲語」の組み合わせを
ビジネスメールの場合、「ちなみに」だけではフォーマル感が下がると同時に、そのカジュアルな言い回しが返ってメールを受け取る方に不快な印象を持たれてしまう危険性があります。そこで、「ちなみに」を使う際には、前項にも挙げましたように「敬語/謙譲語」と組み合わせて丁寧な表現を作るように心がけましょう。
「ちなみに、明日より弊社の商品すべて50%オフです」
ではなく、
「ちなみに申し上げますと、明日より弊社の商品はすべて半額にてご提供させていただきます」
の方がベター。会話で使い慣れた言葉をビジネスメールに書き記す際には、改めてフォーマルな印象になるような言葉選びを持って文章を組み立て直すことが、相手に失礼のないメールを作成するポイントです。
「ちなみに」の活用法は、後述が新しい情報であること
「ちなみに」を使う際には、前文と後文の関係性に注目することが大切です。「ちなみに」の後に来る文章は、前文にも増した新しい情報、聞き手にとってプラスになるような内容であることがポイント。以下の例文のように、この前文と後文のプラスな関係性が成り立っていない場合は、「ちなみに」を正しく使えていないと言えるでしょう。
「ちなみに」の間違った活用法
NG例:「この商品は現在セール中の品です。ちなみに、隣のお店は混んでいましたか?!」
OK例:「この商品は現在セール中の品です。ちなみに、明日中に配送することが可能ですよ」
NG例は、前文とは全く関係がなく、聞き手にとっては何のプラスにもならない質問が続いています。お隣のライバル店の様子が気になる場合、「ちなみに」ではなく話題を変える「ところで」が正解です。OK例では、前文の情報に関連したプラスな内容がきているのが分かるかと思います。
「ちなみに」の英語変換は「By the way」でOK!
誰もが中学で習った記憶がある「By the way」、使う機会がなくてもなぜかこの響きが頭に残っている人も多いはず。英語で「ちなみに」と言いたい時には、この「By the way」を使いましょう。「By the way」を直訳すると「ところで」という意味になりますが、もちろん日本語特有の「ちなみに」という文章に使えるので、ぜひ例文を参考にしてみてくださいね。
「By the way」を使った「ちなみに」会話例1
「Let’s have a business meeting tomorrow morning. By the way, after the meeting, do you have time?」
(訳:じゃあ、明日のビジネス会議で会いましょう。ちなみに、会議の後は少し時間ありますか?)
「By the way」を使った「ちなみに」会話例2
「Your work looks like it’s going well in Shanghai」
「Thank you. Luckily economic growth in China is higher than last year. By the way, our company plans to expand to Australia.」
(訳:「上海での仕事が順調みたいだね」「ありがとうございます。幸いにも中国の経済成長率が去年よりも高いんです。ちなみに、来年にはオーストラリアにも我が社は進出するんですよ)
「By the way」を使った「ちなみに」会話例3
「Nice to meet you Mr. Jones. I’m Takashi Yamada, president of ABC company. And I introduce our sales manager Tanaka. By the way, Tanaka has worked in the States so his communication ability supports me a lot.」
(訳:はじめまして、ジョーンズさん。私はABCカンパニーの社長である山田隆です。そしてこちらが、我々のセールスマネージャーである田中でございます。ちなみに、田中は米国での仕事経験がありまして、彼のコミュニケーション能力にいつも助けられています)
「ちなみに」を使って、もっと広がるビジネストークを!
「ちなみに」を使うことのメリットは、情報をプラスすることによって会話がより広がっていくことです。特に仕事においては、会話スキルをより高めることで人間関係はもちろん、自分の働く環境さえも変えていくことができるのです。ビジネスシーンでも使える「ちなみに」の正しい敬語表現を身につけて、社会人としてのステップアップを目指しましょう。