「聞く」の尊敬語は「お聞きになる」
「聞く」を上司や先輩など目上の方に使うときは「お聞きになる」や「聞かれる」というように使います。これはメールでも電話でも同様の使い方となります。例えば以下のように使用します。尊敬語は目上の方に使う敬語です。
- お名前をお聞かせいただけないでしょうか。
- ○○の件お聞きしても宜しいでしょうか。
- お聞きした件の確認をしたいのですが。
「聞く」の謙譲語は「伺う」
伺うは「聞く」の謙譲語です。謙譲語とは自分の立場を下にして、へりくだる敬語です。例えば以下のような場合に「伺う」を使用します。
- 先日お伺いした話を確認したいのですが。
- お話を伺っても良いでしょうか。
「聞く」の敬語の種類は違うが意味合いは同じ
前述した尊敬語の「お聞きになる」と謙譲語の「伺う」の使い方は、種類の違う敬語です。しかし意味合いは同じなので使う場面も同じだと認識して間違いはありません。それなら一つの敬語表現で良いと思う方もいるでしょう。では何故違う種類の敬語で言葉まで違うのでしょうか。それは敬語の種類に由来します。2つの敬語の意味合いを確認しましょう。
尊敬語
尊敬語とは相手を立てるときに使う敬語です。目上の方に敬意をもち尊敬の念をこめるときに使用します。立場は相手と同列のまま、相手を敬います。
謙譲語
謙譲語とは相手に対して自分をへりくだって表現する時に使う敬語で、自分を低く見せることで相手を立てます。自分は相手の一つ下の立場にへりくだるので相手が一つ上の立場になります。
このような違いがあります。では「聞く」の正しい敬語はどちらでしょうか。正解は両方です。何故かというと尊敬語と謙譲語の双方に同じ意味合いが含まれているからです。例えば
尊敬語の
- お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか。
謙譲語の
- お名前を伺ってもよろしいでしょうか。
この2つの違いは「尊敬語」と「謙譲語」の違いだけで、どちらも相手を立て敬意を込めた言葉です。そのため、どちらも間違いではなく正しい使い方と言えます。もちろんビジネスの電話でもメールでも使用できる敬語なので失礼もありません。違いは敬語の種類だけです。
「聞く」の正しい敬語変換
尊敬語と謙譲語の2つの敬語表現があるといっても難しく考える必要はありません。メールの場合は違和感のない文面、電話の場合も同様に違和感がない使い方をするのが正しい「聞く」の敬語変換です。
- お名前を伺ってもよろしいでしょうか。
- 先日のプロジェクトの件聞かれましたか。
- 営業先で伺ったことなのですが。
- この作業についてお聞きしたいのですが。
どれも違和感なく、間違いも失礼もない「聞く」の敬語変換です。尊敬語と謙譲語がごっちゃになっているぞ!と指摘する方もいると思いますが、意味合いが同じなので使い方としてはこれで正解となります。
一番良くないのが正しい敬語を話そうとするあまり頭の中が整理できず会話が出来なくなる状態です。ビジネスにおいては会話の流れは最重要です。「聞く」の敬語を使うのに迷う位であれば違和感のない使い慣れた敬語を使いましょう。
「聞く」の敬語、「拝聴」や「拝聞」は手紙やメールで活躍する
「聞く」をさらに丁寧にした敬語変換に「拝聴」や「拝見」があります。これらはどのような場面で使うのでしょうか。答えは電話や日常会話では使用しない、です。
もちろん使用しても良いのですが、ここまで丁寧な言葉では相手も引いてしまいます。いくら尊敬している相手だからといってこのように過度な敬語は日常会話で使用する必要はありません。ではこの「拝聴」や「拝聞」は意味の無いムダな言葉なのでしょうか。
そんなことはありません。これらの言葉が活躍するのはメールや手紙など文章を書くときです。メールや手紙は相手に残るものです。何度も読み返すものなので、失礼があるくらいであれば過度な敬変換でも違和感はありません。
「聞く」を正しく敬語変換してデキる社会人になろう
「聞く」の正しい敬語変換は「お聞きになる」「伺う」となります。相手に失礼にあたらない言葉遣いをするのも社会人としてのマナーです。言葉一つで社会人の優劣は決まらない!と思っている方もいますが、仕事がデキる方の多くは敬語を使いこなしています。就活中の方など、これから社会人になる方こそ正しい敬語変換の方法を覚えましょう。