「了解しました」の敬語を知ろう
社会人として最低限必要になってくるのは敬語のマナーです。いくらオフィスで毎日顔を合わせて居る相手であってもマナーは必須なのです。特に会社は上下関係のしっかりした場ですから上司や目上の人への発言は十分気をつけなければなりません。
「了解しました」は敬語ではない
近頃の若いビジネスパーソンは、上司や取引先のお客様から指示や連絡を受けた時の返事として、「了解」という言葉を使用する人が増えています。しかし、これは間違いで、上司や取引先の相手に「了解」という返事はふさわしくありません。使用してしまうと失礼になる言葉です。
「了解」という言葉の意味を調べると「物事の事情や内容を理解し、承認すること」とあり、要約すると「理解した」という意味になります。「了解」という言葉には尊敬の意味が一切入っていません。そのため、上司や取引先の相手にこの言葉は使用してはいけないのです。
「了解しました」の正しい敬語は「承知いたしました」
上司の指示に返事をする場合や社外メールなどお客様に連絡する場合は「承知いたしました」を使用するのが正しいマナーです。なぜなら「承知」の意味は「事情などを知っていること、分かっていること」とあり、字に含まれている「承る」という言葉が謙譲語だからです。
また、「かしこまりました」も「目上の人の言葉を謹んで承る」という意味なので、こちらも目上の人に使用するのに正しい言葉です。
取引先とのメールでの使用例
【宛先】A社の山田様
【件名】次回打ち合わせの件
【本文】山田様 いつもお世話になっております。○○株式会社第一営業部の木村です。次回打ち合わせの日程の件ですが、こちらは変更可能でございます。
○月○日14時ですね。承知いたしました。
ではその時間に本社にてお待ちしております。
よろしくお願い致します。
同期や先輩と社内メールなどでやりとりする場合には「了解」を使用しても問題ありませんが、後ろに「致しました」をつけると敬語になり、「しました」をつけると丁寧になります。先輩に連絡する時などは砕けた言い方より少し丁寧なほうが良いでしょう。
「了解しました」と同じ意味で使われる4つの敬語と使い分け
紹介してきたようにビジネスシーンで「分かりました」という意味合いで使われる言葉はいくつかあります。どの場面でどの言葉を使ったらいいのか、迷ってしまいますよね。そこで、「了解しました(致しました)」「承知しました」「了承しました」「かしこまりました」の4つの言葉の違いと使い分け方法を見ていきましょう。
1.了解しました
「了解しました」は同僚もしくは目下の人に対して使用する言葉です。「了解」に「しました」をつけると丁寧な言い方になりますが、尊敬語ではないので、上司やお客様に対して使用するのは失礼にあたります。
2.承知しました
「承知しました」には「目上の人の命令をうけたまわる」という意味があり、尊敬語になりますので、上司やお客様など目上の人に使用するのに適切です。ビジネスシーンでも使う頻度の多い言葉なので覚えておいたほうがいいです。より丁寧にかしこまった感じで言いたい場合は「承知いたしました」と言うといいでしょう。
3.了承しました
「了承しました」は何かを承諾する時に使用する言葉です。「それでいいですよ」という意味合いになるので、目上の人が目下の人に使うのが正しい使い方なので、上司やお客様などの目上の人に対して使用するのは失礼になります。承諾したという意味を伝えたい場合、お客様には「承りました」、上司には「承知しました」を使いましょう。
4.かしこまりました
「かしこまりました」には「理解して受ける」という意味があり、「承知しました」と同様に上司やお客様などの目上の人に使用できます。上記二つの言葉はビジネスシーンでもとてもよく使用されますのでしっかりと覚えておきましょう。
「かしこまりました」と「承知しました」の使い方の例を確認
二つの言葉の使用例を確認しましょう。
お客様に対して
(誤)打ち合わせの件、了解しました。
(正)打ち合わせの件、承知しました。
上司に対して
(誤)木村様への連絡の件、了解しました。
(正)木村様への連絡の件、かしこまりました。
お客様に対して
(誤)ご依頼いただいておりました○○の件、了承しました。
(正)ご依頼いただいておりました○○の件、承りました。
「了解しました」の敬語は時と場合を考えて使おう
「了解しました」をメインに、間違いやすい敬語の使い方について紹介してきました。最近だとアットホームな職場などでは「そこまで気にしない」「逆に堅すぎると壁を感じる」などといった声も聞かれるようです。
しかし、社会人として正しい敬語の使い方を知らないことはやはり恥ずかしいことです。就活生や新社会人は気を付け過ぎるくらいで丁度良いでしょう。
会話だけに限らず、社内メール、社外メール、手紙など、文章のみでのやりとりの際も、敬語には気をつけましょう。時と場合と相手との関係を鑑みて、正しい言葉遣いを心がけたいものですね。