ビジネスメールの件名は相手にわかりやすいように書こう
ビジネスシーンにおいて、メールを送る機会はたくさんあることでしょう。その時に気をつけなければならないのがメールの件名をどのようなものにするかということです。普段の生活ではメールの件名に気を配っているという人はあまり多くないでしょうが、ビジネスにおけるメールでは件名が重視されます。メールの件名のマナーをきちんと身につけて、相手に失礼のないようにしましょう。
ビジネスメールの件名について気をつけたいこと
メールの件名はメールの顔であると言えます。ですから、それを十分に理解した上で作成するべきです。相手がメールを受け取った時にまず目に入る情報はそれほど多くありません。件名はその中に含まれる貴重な要素です。慎重に作成するのは当然でしょう。
場合によってはメールの差出人が誰であるかがはっきりわかるような件名にしておく
通常、差出人を件名に入れる必要はありませんが、数人でのグループ内でのやり取りにおいてメールをする場合などは、メールの差出人が誰であるかがわかるようにしておくことで、スムーズにコミュニケーションをとることができます。
また、そのことでスパムメールや不必要なDMではないことを相手に知らせることができます。誰からのメールであるかわからないと、開封するのをためらってしまうこともありますし、最悪の場合は未開封のまま削除されてしまうことも考えられます。
ですから、差出人が自分であるということをはっきりさせておくことはとても重要なのです。例えば何らかの場面で、後でメールします、と答えたとして、その後実際にメールを送っても、件名に自分の名前を入れていなければ、相手はメールに気づいてくれないでしょう。その場合、相手は待ちぼうけを食らってしまいますし、仕事は円滑に進みません。
メールの内容がどのようなものかわかるような件名にしておく
件名は、一目見て内容が伝わるものにしておくということも大切です。内容がわからないと、急を要する事案であっても相手はメールを優先的に開封してくれません。相手に優先的にメールを開封してもらうには、内容がわかるような件名を書かなければならないのです。
メールは内容が伝わらなければ意味がありません。そのためにも、まずは開封してもらう必要があります。内容がわからないものを積極的に見てみようと思う人はいないでしょうから、件名は内容が相手に伝わることを第一に考えて作成してください。
緊急・重要などの言葉はあまりメールの件名では使わないようにする
メールの件名には、緊急や重要、至急といった強い言葉はあまり使わないようにしましょう。相手はどうにも大げさな人だな、と思ってしまうこともあるでしょうし、ビジネスシーンではあまり印象が良い言葉ではないからです。
そういった言葉を使わなくても、内容がわかるような件名をつけておけば、相手は緊急の用件であるかどうかを判断することはできますから、わざわざ忠告する必要はないのです。
メールの件名はできるだけ簡潔にまとめる
件名は情報を凝縮しながら、できるだけ簡潔にまとめるように心がけましょう。あまり長すぎるとメールフォルダの件名欄で途切れて表示されてしまいますし、長くて読みにくいという弊害が起きてしまいます。そうなると、せっかく考えた件名も最後まで読んでもらえない可能性もあります。
絵文字や顔文字に近いもの、文字化けするものはビジネスメールの件名に使わないようにする
ビジネスメールにおいて絶対に使ってはいけないのが、絵文字や顔文字です。絵文字でエクスクラメーションマークを表現したり、顔文字で語尾を終わらせたりするのは失礼以外の何物でもありません。ビジネスマンとして決してしてはいけない行為です。
また、文字化けが予想されるマークは使わないようにしましょう。変換する時に、[環境依存]と表示されるものが文字化けの可能性がある文字です。これは相手のPCによっては、でたらめな記号と数字に変換されてしまい、正しく表示されません。
そうなると、受信した側は何を言いたかったのかがわからなくて困ってしまいますし、ウイルスの可能性を危惧する可能性もあります。相手方に余計な迷惑をかけないためにも、文字化けが予想される記号を使うことは避けましょう。
ビジネスメールの件名の例文
では、これらのことを考えた上で実際にビジネスメールの件名の書き方例文を見ていきましょう。
・5/21(木)の会議の議事録
この例はシンプルですが、内容は十分に伝わります。議事録が添付されていることが相手に伝わりますし、余計な情報がない分すっきりとしていてわかりやすいと言えるでしょう。
ポイントは、日付をきちんと書くということです。忘れがちなのが曜日ですが、曜日まで書いておくと相手は思い出しやすいですし、何よりわかりやすく行き違いがおこりません。
・3/8(木)の打ち上げの参加の確認とお願い(締切:2/20)
この例は打ち上げというイベントに対して、参加をするかどうかの確認を求めると同時に打ち上げの際のお願いを伝えるためのメールです。こういったメールで注意したいのが、期日が決まっている場合は期日を件名に明記しなければならないということです。
メールを受信した側が、開封を後回しにしてしまうと期日までに参加の意思の確認がとれなかったなどといったトラブルが起きかねないため、必ず件名に期日を記載し、受信者に確実にメールを開封してもらいましょう。
また、「お願い」という言葉を含んでいることも重要です。メールを通して皆に知っておいてほしいことがあると件名で知らせておくのはとても効果的です。受け取った人が、何か読んでおかなければならないことがあるのだな、と注意して開封してくれる効果が期待できます。
・鈴木部長の懇親会について(田中太郎)
自分が責任者として行動している場合には、メールの件名に名前を入れることが必要です。例えば懇親会や壮行会などのイベントでは、責任の所在がわからないと質問をしたい人たちが困ってしまいます。誰が先頭に立っているのかをはっきりさせるためにも、常日頃から自分が責任者であることを件名に書いておきましょう。
シーン別のビジネスメールの件名の例文
では、次はシーン別に件名の書き方例を見ていきましょう。ビジネスシーンでよくあるケースを紹介していきます。
返信が要らないメールを送る時の件名例
まずは返信が要らないメールを送る時の件名です。
間違っているのは、
・【返信はいりません】5/6(水)の打ち合わせの詳細
です。
正しいのは、
・【返信不要】5/6(水)の打ち合わせの詳細
です。
では、どこが間違っているのでしょうか。件名としての内容は同じですが、間違っている件名は長すぎるのです。一目見ただけでわかるのは、返信不要と書いてある正解例の方だと言えます。メールの件名は簡潔であることも大切ですから、パッと見てわかることも重視しましょう。
返信が要らないという時には、こういった書き方をするのも良いでしょう。また、このように強調したいことがある場合は、【】や/などを使っても構いません。
一つのメールに要件が複数ある場合の件名例
次は、いくつかの用件がひとつのメールに含まれている場合の件名を考えていきましょう。
間違っているのは、
・9/5(水)の打ち合わせの詳細と9/13(木)の懇親会の詳細について
です。
正しいのは、
・(1)9/5(水)の打ち合わせの詳細 (2)9/13(木)の懇親会の詳細
です。
些細な違いですが、間違っている方はメールの件名として見ると息継ぎができていない分見づらくなってしまいます。その点、正しい方は区切りがあるため、メールの中にいくつの用件が書かれているのかを件名を見た時点で把握することができます。
ただし、できることならメールは要件ごとに分けて書いた方がいいです。一つのメールに異なる要件を書くと、返信が来てもどの要件に対する返信なのか一目で分かりません。進捗状況をはかる時にも分かりにくく、「こっちはどこまで進んだかな」と一つ一つメールを何度も開封しなければならない状況に陥ります。メールを書くなら一つのメールに一つの要件とするのがおすすめです。
取引先に送るメールの件名例
次は、他の会社にお礼のメールを送る場合の件名の書き方を考えていきましょう。
間違っているのは、
・○○株式会社 鈴木太郎より (お見積もりの件)
です。
正しいのは、
・お見積もりの件(○○株式会社 鈴木太郎)
です。
間違っている例は、具体的な内容が先に来ていないためにパッと見てメールの用件が把握しにくいというところに問題があります。確かに自分の所属している会社や名前を記載することは大切ですが、それ以上に用件を伝えることを重視しましょう。
正しい例では、内容から名前といった順番に書かれているため、相手も頭に入りやすいと言えます。自分の名前ばかり強調してはいけないということも覚えておきたいところです。まずは落ち着いて、相手に何から伝えるべきなのかを整理して件名を書きましょう。
社内へのお知らせメールを送る場合の件名例
次は、社内に向けてお知らせをするメールを送る場合の件名を考えていきましょう。
間違っているのは、
・7/8(金)は水道工事が行われるためビル内が断水します
です。
正しいのは、
・7/8(金)はビル内が断水します
です。
間違っている理由としては、長すぎるということが挙げられます。「水道工事が行われるため」ということは、メール本文に記載すれば良いことですから、件名で知らせる必要はありません。件名には必要最低限のことだけを簡潔に書けばいいので、この場合はいつ何が起きるのかということだけを書くようにしましょう。
ビジネスメールの件名は簡潔にまとめることが大切です。あまり長すぎると読みにくくなってしまいますし、相手に伝わりにくくなってしまいます。受け取った人が内容をすんなり受け入れることができるようにするために、件名をごちゃごちゃさせないように気をつけてください。
ビジネスメールは「件」と「ついて」を重複して使わない
「5/8(水)の打ち合わせの件について」のように、「件」と「ついて」は重複して使うことはできません。ネット上では誤用されていることが散見されますが、これはビジネスシーンにおいて犯してはいけない大変なミスですので、十分気をつけてください。
「件」と「ついて」を使いたい場合は、どちらか一方だけを使いましょう。ぶっきらぼうな印象を受けるかもしれませんが、問題はありません。ですから、「お見積もりの件」「お見積もりについて」のどちらかを使えば良い、ということになります。
メールに返信をする場合の件名はどうする?
メールに返信をする場合には、件名に「Re:」をつけましょう。会話をするように、ひとつの話題について話している時には「Re:」をつけるとお互いにわかりやすいメールになります。
例えば、「9/21(木)会議の詳細」と相手がメールを送ってきた場合に、それに返信をするとします。そこで「Re:9/21(木)会議の詳細」と件名に記載して返信すると、相手はすぐに内容を把握することができるのです。
こういったメリットがあるため、できるだけ元の件名は変えないようにした方が良いと言えます。ですが、あまりにも長く「Re:」が続いてしまうと、肝心の件名が見にくくなってしまいます。元の件名が途切れてしまうこともありますから、適度なところで「Re:」を削るようにしてください。
もちろん、話題が変わった場合には件名を変えることも忘れないようにしてください。そうでないと、件名とメールの内容が一致せず、何のやり取りをしているのかわからなくなってしまう可能性があります。
ビジネスメールの件名の書き方を覚えると送信ボックスがわかりやすく整頓される
ビジネスメールの件名に関する書き方テクニックを覚えておくと、メールの件名を見やすく書くことができるようになるので、自分の送信ボックスの整理がしやすくなります。送信メールを見直さなければならなくなった時に、件名がごちゃごちゃしていては、自分が過去にどのようなメールを送ったのかがわからなくなってしまいます。
送信メールを見直す機会は意外と多くあるものですから、できるだけメールの件名はきちんと見やすいものにしておきましょう。何かの話題を振られた時に、あの時のあのメールが必要だ、と思い出したらすぐに用意できるようにしておくのがベストです。
自分が送ったメールに対する返信は、すぐに来るとは限りません。返信メールに対して過去の送信メールを確認するために送信ボックスを開くことも多々あるでしょうから、件名は相手のためだけではなく自分のためにもすっきりさせておきたいところです。
ビジネスメールの件名は適当につけて良いものではないということを意識しよう
メールの本文を書く時は、かなり緊張して文面に気を配ることでしょう。ですが、件名にまで気をつけていた、という人はあまり多くはなかったのではないでしょうか。メールはビジネスにおいて重要なものであり、件名ひとつとってもそれは変わりません。ですから、決してないがしろにして良いものではないのです。メールを受け取った相手が、それを開封するまでどういった心理状態におかれるかといったことまでをしっかりと意識した件名をつけるようにしましょう。