領収書に書いてもらう宛名の基礎知識を知っておこう
会社で仕事をし始めると、色々な場面で領収書を書いてもらうことが多くあることでしょう。そういった場合に、宛名はどうしますかと聞かれることになります。そこで何と答えればいいのかわからなかったりすると、後々経理の人を困らせてしまうことになってしまいます。
領収書に書いてもらう宛名を間違ってしまったり、注意するべきことを守っておかないと、自分が思っていたよりも大きな問題が起こってしまったりする可能性があります。そうならないためにも、社会人のマナーとして領収書の使い方はきちんと把握しておきましょう。
領収書はどこに行っても使うことになるものです。わからないことをそのままにしておくことがないようにしておきましょう。特に宛名は自分ひとりだけで完結する部分ではありませんから、確認を怠らないようにする必要があります。
領収書の宛名は空欄にしてはいけない
宛名のない領収書とは、宛名の欄に何も記載されていなかったり、「上様」と書かれていたりするものを指します。
これは、経理上では問題はないとされています。ですが、会社(法人)によっては、それぞれ規定が定められている場合もあるため、注意する必要があります。自分の判断で宛名なしの領収書を発行してしまって、それが経理担当者に認められないなどといった事態に陥らないように注意してください。
経理上では問題ないとされても、税務上では問題視される可能性があります。宛名がないのに金額が高額である場合などは税務調査で細かく追及されることがあるため、その他の但し書きとあわせて宛名も書いておくようにしましょう。
金額が大きいのにも関わらず宛名が空欄であると、税務調査で印象が悪くなってしまいます。もしかしたら私用で使われたのではないかとか、虚偽の金額を申告しているのではないかと、怪しまれてしまう可能性すらあります。問題があるかないかと考えるくらいであれば宛名を記載しておくべきです。
しかし、金額が3万円未満である場合や、小売業などのある特定の業種である場合は、宛名が空欄であったり「上様」と記載してあっても問題ないとされています。とはいえ、わざわざ宛名を空欄にするメリットは見当たりませんから、きちんと会社名を記載する方が税務調査のことを考えれば得策であると言えるでしょう。
仕事で使う物を購入したお金や、取引先との会食などの交際費の目に見えないお金も含めて、あらゆる場面で経費を使った時に、必ず領収書を発行することになります。その領収書を会社の経理担当が受け取り、分類し、管理、保管しておくというのが領収書に関する一連の流れです。
ここで宛名が書かれていないと、領収書が本当にそこに書かれている目的のために使われたのか、正しい金額で使われたのか分かりません。経理担当者もどう処理していいのか分からなくなってしまいます。
宛名が書かれていることによって、領収書が発行された後の処理がしやすくなり、また、どのように経費が使われたのかということが明確になると言えます。何らかの特別な事情がない限りは宛名を記載しておくべきでしょう。
領収書の宛名に「上様」と書いてもらうのはやめよう
領収書の宛名を記載する時に、いくつか注意しておかなければならないことがあります。
よく見かけたり、使ったりするのが「上様(うえさま)」という言葉です。これは昔、殿様などの位の高い人や目上の人を指していたことに由来しているとされていたり、上客をそう呼んでいたということに由来していたりするとされるなど、諸説あります。
しかし、いずれにせよ「上様」が宛名ではお金を支払った人が誰であるかといった詳細がわかりません。財務調査をされた時に「上様」では領収書であると認められないこともあります。領収書で宛名を「上様」と記載するのは避けるべきであると言えます。
店舗などによっては「上様」と書くことを初めから断るところもあります。これはトラブルを避けるためですから、その場合はきちんと正しい名称を記載してもらうように伝えましょう。
領収書の宛名は会社名を書いてもらうのが正解
領収書は正式な書類として扱われなければならないものですから、「(株)」などの略称は略さずに書かなければいけません。前株、後株は正式名称に変え、「株式会社○○」のように書きましょう。
会社からどのように宛名を記載してくるべきかという指定があれば、必ずそれに従いましょう。会社によっては、会社名だけではない場合もありますから、注意が必要です。領収書を発行してもらう前に、確認しておくことを忘れないようにしてください。
領収書の宛名以外の書き方
領収書に正しい会社名で宛名が書いてあることを確認したら、その他の項目にも注目してみてください。
発行年月日が書かれているか
まず、領収書を受け取る時は必ず発行年月日を見てください。領収書は何年も保存するものですから、月日だけが記入されている場合は、発行年も記載してもらうようにしましょう。宛名だけが書いてあっても、いつ使われた経費なのかがわからないと保管してある意味がなくなってしまいます。
但し書きが書かれているか
領収書は、但し書きの部分にも注意が必要です。ここに「お品代」と書く場合もあるでしょうが、お品代では経費がどのような用途で使われたのかがわかりません。具体的に何に経費を使ったのかをきちんと記載しましょう。お品代としてはっきりしないままにしておくと、宛名同様税務調査の際に問題になる可能性もあります。
金額は改ざんされないように「¥」と「-」がついているか
金額についても誤魔化したり後から改ざんしたりすることができないようにするために、しておくべきことがあります。領収書では、金額の前に「¥」を、金額の後に「-」をつけることが決められています。また、金額を見やすくするために、3桁ごとに「,」をうつことも決められています。
例えば、「¥10,000-」といったように、「¥」と「-」で金額を挟むことによって、後から金額を足したりすることができなくなっているのです。
宛名にも言えることですが、領収書は何よりも改ざんされることがあってはならない書類ですから、こうしてきちんとルールを作り、ひとつひとつの項目を守っていかなくてはなりません。
領収書とレシートの違い
領収書とレシートはどう違うのでしょうか。レシートは、領収書と同様に効果のあるものとして扱って構わないとされています。レシートは宛名がない領収書のようなものであると考えてください。
レシートにも日時や品名などは記載されていますし、金額もはっきりと読み取ることができます。ですから、詳細さで言えば領収書よりも優れていると言っても良いくらいなのです。
しかし、それでもレシートより領収書を使うべきであるとされているのは、やはりレシートには宛名が書かれていないということに問題があるからです。その商品を購入したのが誰であるのかということをはっきりさせておくということは、何よりも重要なことです。レシートでは、宛名がわからないためそれができません。
発行主がわからないとなると、本当にその用途で使われたお金であるかどうかも怪しいと考えられてしまいます。レシートには宛名がないため、あらゆることへの信憑性が低いのです。
また、レシートは手書きではないため長期の保管に向いていません。基本的に領収書は長期的に保管することを前提としているため、手書きのものを使用することが推奨されています。
宛名が空欄の領収書に自分で会社名を書き加えてはいけない
宛名などが空欄である領収書があったとしても、勝手に自分でその欄を埋めてはいけません。きちんと会社に報告をして、正しい情報を伝えましょう。少しでも間違ったことを書いてしまうと、最悪の場合懲戒免職などといった事態に発展しかねません。
後日、領収書に記載されていることが誤っていることに気が付いても、決して自分で手を加えることはしないようにしてください。一度発行された領収書に手を加えることはどのようなことがあれタブーです。
トラブルを避けるためには、宛名を空欄にしないことが基本です。のちにトラブルを招かないためにも、空欄を作らないように気をつけてください。
領収書の宛名は正確に記載しよう
領収書の宛名を記載する時は、会社の取り決め通りに正しい名称を伝えましょう。記載する側も、きちんと伝えられないと何と記載するべきかわからなくなってしまいます。領収書の宛名は重要な項目のひとつであるということを忘れないでください。
領収書は会社の中で長く保管され、後で調査にかけられるほど大切なものです。決して軽んじていいものではありません。自分のその場の判断で適当に扱ったりすることがないようにしましょう。