メンター制度とは?メンターとメンティに求められること

メンター制度についてご紹介します。企業がメンター制度を導入することにより得られる効果や、メリットやデメリットについてご説明していきます。また、メンター制度が機能するために必要なこと、メンターに向いている人物像についても触れています。

メンター制度とは?メンターとメンティに求められること

メンター制度について詳しくなろう

メンター制度について、その名前を聞いたことがあるだけで詳しく知らないという方も多いことでしょう。この制度は、今では多くの企業が取り入れており、さまざまな効果をもたらしているのです。全く聞いたことがないという方にも、ぜひ知識として知っておいていただきたい制度のひとつです。

最近では、多種多様な制度がビジネスシーンにおいて導入され、企業において人材育成に役立てられています。そういった動きがある中で、社員として働くのであれば少しでも知識を身につけておくことは、必ず自分にとってプラスになると考えてください。メンター制度などについて知ることは、働いていく中で企業側だけではなく社員側としてもメリットがあるのです。

社員たちが職場でもっと快適に働けるように、企業側もよりいっそう改善策を提案してくるようになりました。ストレスフリーに仕事に取り組むことができるためにも、メンター制度などの新しい試みが取り入れられているということを知っていきましょう。

メンター制度とは何か

メンターと並んでパソコンを操作してる新入社員

メンター制度とは、年齢が近い社員が新入社員のサポートをする制度のことを指します(注1)。この場合、サポートをする社員をメンター、新入社員をメンティーと呼びます。

メンター制度には指示系統や確固とした命令などといったようなものはありません。どのように物事を進めていくかについては、メンターとメンティーが求められていることを理解し、お互いに話し合って決めていきます。この制度では、あくまでも対話をすることが基本であり重要なポイントなのです。

そのため、メンターとメンティーの間には信頼関係が築かれなければなりません。お互いがお互いを尊敬することができ、きちんと話を聞く態度をとることができる関係を維持できなければ、メンター制度が成り立っているとは言えません。

メンター制度ではメンティーはメンターに対して仕事関係のことだけではなく、メンタル面での悩みを相談しても構わないということになっています。ですから、メンティーにとってメンターは精神的にも寄り添ってくれる存在であるのが理想的だと言えるでしょう。

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もちろん仕事面でもメンターは活躍しなければいけません。メンティーの質問や疑問には的確に答え、新入社員特有の不安や仕事に対する苦手意識などを取り除く役割を担う必要があります。

このようにメンター制度は、先輩社員であるメンターと新入社員であるメンティーが、お互いに信頼関係を築く中で日々を過ごしやすくするためにあるものだと言えます。

メンター制度を導入することによる効果

メンターと資料を見ながら相談してる女性社員

メンター制度を導入することで得られる効果はいくつかあります。まず、新入社員であるメンティーの育成と、組織への定着を促すことです。新入社員の離職率を少しでも減らすためには、常日頃から相談役として傍にいてくれるメンターの存在はとても重要なものです。新入社員が抱える問題や悩みは人それぞれ、多岐にわたります。それを少しでもカバーするためには、身近に似た境遇の先輩社員が寄り添ってくれることが有効なのです。

メンターにとってもメンター制度は歓迎すべきものです。メンターは職務に慣れていますが、その「慣れ」のベクトルが良い方に向いているかどうかはわかりません。ですから、メンティーに接することで、改めて自分の振る舞い方を考えるきっかけが生まれるのです。

メンター制度は決してサポートをされるメンティーだけに良いことがあるものではありません。お互いが高めあうことができる、非常に優れた制度だと言えるでしょう。メンター制度を導入することで、社内の空気を入れ替えることができる効果も期待できます。

メンター制度は、企業に人材育成の情報を取り入れる風潮を根付かせる効果ももたらします。今まで人材育成に力を入れてこなかったという企業も、メンター制度を導入することで人材育成に関する情報を積極的に取り入れようとするでしょう。メンター制度はこのように、企業に人材育成を促す力を持っているのです。

メンターに向いている人はこんな人物

相談しあってるビジネスマン

メンター制度において、メンターに向いているのは何よりもこの制度に深い理解がある人だと言えます。これは当然のことですが、メンター制度についてよくわかっていない人、制度自体に納得していない人にはメンターは務まりません。

誰かの面倒を見るのが好きだという人もメンターに適していると言えるでしょう。メンター制度ではメンティーとのやりとりが重要視されるので、人と関わるのが苦手な人にはメンターは向いていません。メンティーが困っている時にアドバイスをしてあげたり、悩んでいる時に相談に乗ってあげられたりすることができる人が適しているでしょう。

メンター制度が人材育成の目的を持っているという観点から見れば、そういったことに興味を持っている人もメンターに向いていると言えます。自分の後輩とともに企業を引っ張っていきたいと考えている人も多くいるでしょう。そういった人にもメンターは向いています。

メンティー側から見れば、自分が数年後にこうなりたいと思えるような理想の人物がメンターであることが望ましいです。仕事がよくできる、人望がある、周囲から慕われているなど、憧れの人物像となるメンターにアドバイスを受けたいと考えているでしょう。

メンター制度のメリット

メンター制度のメリットは、何よりもその精神的な成長にあります。指導を受けたメンティーはもちろん、一人立ちしてからも、身についたことを十分に発揮することができるでしょう。そして何らかの問題に直面した時には、メンターに支えてもらっていたことを思い出して対処することができる力がついています。

指導をしていたメンターは、誰かを指導したのだということにより自分に自信を持つことができ、よりいっそう仕事に取り組む意欲が湧いてきます。

メンティーとメンターは二人で組んでいる間に強固な信頼関係で結びついていたわけですから、お互いが切磋琢磨しあうことができていたことでしょう。このように、メンター制度は双方の仕事への姿勢をよりいっそう良いものへとランクアップしてくれるのです。

メンター制度のデメリット

仕事を教えるのに疲れて突っ伏してる男性社員

一方で、メンター制度にはデメリットもあります。まず、メンターに負荷がかかるということです。メンターは自分の業務にプラスしてメンターとしての役割を務めなければなりません。こうした負担がメンターの精神面などに大きな負担をかけてしまう可能性が非常に高いのです。

メンティーがメンターに過剰に依存してしまうということも考えられます。メンティーは入社してから傍にいてくれるメンターを頼りがちです。もちろんそれはメンターの正しい役割ではありますが、度を越してしまうとメンティーに悪影響となってしまうことになります。メンターとメンティーの間には、適度な距離感が必要だと言えます。

メンター制度が正しく機能するためには?

メンター制度は、社内で周知されていなければその機能を正しく発揮することができません。まずはその情報をきちんと管理した上で、制度の理解を徹底しなければいけないでしょう。そのためにも、社内でメンター制度についての研修などを行う場合もあります。

メンターとメンティーが特別に研修を受けておく必要もあります。メンターは、メンティーに対してどこまで踏み入って良いのか、どこまで上司に情報を報告して良いのかなどについて、しっかりと理解しておく必要があるからです。

メンティーは、これからメンター制度を受けるにあたって、メンターから何を教わり、どういったことを質問したり相談したりして、この制度を活用するべきなのかについて研修を受けるべきだと言えます。

そして、職場定着支援助成金(個別企業助成コース)というものがあり、これを活用するとメンター制度の導入で10万円の支援を受けることができます(注2)。こういった制度の広がりが、これからのメンター制度の可能性を示唆しています。メンター制度が広く知られれば、その機能も正しく理解されていくでしょう。

メンター制度は若手社員育成の一助となる

メンターに相談してる女性社員

メンター制度を活用することで、若手新入社員は企業に定着しやすくなります。この企業ならこの先ずっと働いていきたい、と新入社員が思える土壌を作るために、企業はメンター制度のような努力を続けていくべきでしょう。

メンター制度のようなシステムは、企業にとって人材育成の足掛かりにとても良いものだと言えます。確かにまだデメリットは残されていますが、そこはこれから改善していけるものでしょう。何よりもメンター制度を導入する企業が増えているという事実が、この制度の効果を表しています。

メンター、またはメンティーになることによって、企業が自分たちに求めていることを理解し、成長することができるというメンター制度は、この先もますます広がりを見せていくことになるでしょう。