結婚後も安定した生活ができるように扶養手当制度を知ろう
結婚して家族が増えると、何かとお金がかかるものです。子供ができると、学校や習い事などでますます金銭的な負担が大きくなります。そんな時に助かるものの1つに、会社が支給してくれる扶養手当があります。
今回は、これから結婚を考えている人に向けて、扶養手当の相場をはじめ、支給基準の一例や支給のタイミングなど扶養手当制度について解説していきます。
扶養手当とはどんなもの?
扶養手当とは、配偶者や子供がいる社員に対して会社側から支払われる手当のことで、扶養家族がいる社員が安定した生活を送れるように支えるという目的を持っています。扶養家族が多ければ多いほど金銭的な負担も大きくなるので、その負担を少しでも減らすには扶養手当がつくと助かります。
日本国内で、扶養手当制度を導入している企業は少なくありません。厚生労働省の『平成27年就労条件総合調査結果の概況』に記載されている「諸手当の種類別支給企業割合」によると、家族手当や扶養手当などを支給している企業は、全体の66.9%という結果になっています。
家族手当や配偶者手当との違いはあるの?
扶養手当と似たようなものに、家族手当や配偶者手当があります。
家族手当は扶養手当と同じ意味で使われていて、扶養する配偶者や子供などの家族がいる社員に支給される手当です。一方、配偶者手当は、配偶者がいる社員に対して支給される手当のことを言います。
扶養手当の支給対象者に配偶者が含まれることから、「配偶者手当」という名称はほとんど使われず、「扶養手当」または「家族手当」と呼ばれています。どの名称を使っているかは、会社によって異なります。
扶養手当の相場はどれくらい?
結婚を考えている人が会社から支給される扶養手当について気になることの1つに、相場がどれくらいかという点があるのではないでしょうか。扶養手当の一般的な相場は、だいたい次のようになります。
- 配偶者:10,000円
- 子供(1人につき):3,000~4,000円
今回、寄せていただいた体験談で扶養手当の月の支給額を聞いたところ、配偶者が10,000円~16,000円、子供が1人につき2,000円~7,000円、そして総額は8,000円~27,000円という結果になりました。
会社ごとに扶養手当の金額が異なるのはもちろん、子供の有無や子供がいる場合はその人数、配偶者が扶養に入っているかどうかによって、もらえる扶養手当の金額は変わってきます。
体験談では支給されている扶養手当の金額について、会社が決めることですし、会社によっては扶養手当を支給しないところもあるため、もらえるだけありがたいという意見でした。とはいえ、正直なところでは今もらっている扶養手当の金額では少ないと感じている人もいました。
国の調査による扶養手当の相場はどれくらい?
ここで、国の調査による扶養手当の相場も見てみましょう。厚生労働省の調べでは、民間企業での扶養手当の支給月額の相場は、以下の通りです。
- 配偶者:13,885円
- 配偶者・子供1人:19,893円
- 配偶者・子供2人:25,418円
これは、2015年職種別民間給与実態調査によるものですが、今回の体験談での相場と比べても、それほど大きな差はないことが分かります。
どんな場合に扶養手当をもらえるのか教えて!
扶養手当の相場が分かったところで、次はどんな場合に扶養手当をもらえるのかを紹介します。
扶養家族がいる会社員なら、誰でも扶養手当をもらえるのでしょうか。扶養手当の支給基準は、会社の就業規則に基づいていて、その条件に当てはまる人でなければ手当をもらうことはできません。支給基準も各会社で違うため、結婚を控えて自分が働いている会社の扶養手当の支給基準を知りたい人は就業規則を確認するようにしましょう。
ここで、今回寄せられた体験談の中から、どんな場合に扶養手当をもらえるのか一例を見てみましょう。
配偶者の年収制限が103万円または130万円である場合
扶養手当制度を取り入れている会社の多くは、扶養に入る配偶者の年収に制限を設けています。
厚生労働省がまとめた資料『配偶者手当を取り巻く現状』の「民間企業における家族手当の支給状況」によると、家族手当支給時の配偶者の年収制限額を103万円以下(税制上)としているところもあれば、130万円以下(社会保険上)となっているところもあります。
ただ税制改正によって、2018年から配偶者控除の年収上限が103万円から150万円に引き上げられることになりました(財務省H29年4月発行税制改正パンフレットより)。この改正に伴い、配偶者控除の対象者を扶養手当の支給対象として配偶者年収の上限を103万円以下に設定している会社では、上限額の見直しをするところも増えてくると考えられます。
扶養している配偶者や子供が同居している場合
扶養家族が同居していることを扶養手当の支給条件の1つにしている会社が多いです。扶養手当を取り入れている会社の多くは、同居の配偶者と子供を支給対象としています。中には、同居している親も扶養手当の支給対象者にしている会社もあります。
親の収入で、離れて暮らす子供の生活の面倒を見ている場合
子供が1人暮らしをしたり、学校の寮に入っていたりして親と別居しているケースもあります。このような場合、たとえ離れて暮らしていても、親の収入から子供に仕送りをするなどして生活の面倒を見ていれば、扶養手当が支給されます。
子供は満22歳以下、両親は満60歳以上など年齢制限が設けられていることもある
扶養手当を受給する際には、年齢制限にも気をつけなければいけません。一例としては、子供は満22以下、両親は満60歳以上などと決められている場合があります。
もらえるタイミングは?家族ができたら扶養手当を申請しよう
扶養手当は、配偶者や子供などがいる人に会社から支払われる手当です。今働いている会社に扶養手当制度がある場合、実際に手当をもらえるのは「結婚した」「子供が生まれた」など家族が増えたことを勤務先に申告して、扶養手当の申請をした後になります。
会社の規定によって、扶養手当の申請をした月から支給される場合もあれば、申請の翌月から支給される場合もあります。
自分が働いている会社で扶養手当制度を取り入れているか分からない人は、就業規則を確認しましょう。扶養手当の支給基準や申請に必要な書類、支給のタイミングなどをしっかりチェックしておきましょう。
扶養手当にはこんなメリットがある!
結婚などで家族が増えた時のために扶養手当の相場をはじめ、どんな場合に扶養手当をもらえるのか、いつ支給されるのかなどを知っておくと良いでしょう。
扶養手当をもらえると「生活費や子供の教育費などの経済的負担を減らすことができる」というのが大きなメリットになります。これから結婚して新しい家族が増える予定だけれど、今のお給料では家計が苦しくなると不安を感じている人は少なくありません。もし結婚後に扶養手当が支給されると、収入アップにつながります。
ですから、働いている会社の扶養手当制度について調べ、申請の準備を整えておくと良いです。結婚時に扶養手当の申請をすることで、収入アップが見込め、経済的な不安が解消されるなど扶養手当による恩恵が受けられるでしょう。
いくらもらっている?扶養手当の相場体験談
会社から扶養手当を支給されている人に、どれくらいの金額をもらっているのか聞いてみました。体験談からも分かるように、扶養手当の支給基準はバラバラです。会社の既定のほか、家族構成次第でも支給総額が違ってきますが、ひとつの相場の目安として参考にしてください。
もらっている扶養手当が少ない
たっし(39歳 技術職)
私の家族構成は、妻と小学校5年生と2年生の娘が2人いて、4人家族です。専業主婦の妻と2人の娘が私の扶養家族となっています。
私の職場での扶養家族の条件は、まずは同居している事、そして年収が130万円未満である事となっています。また、支給されている扶養手当については、妻の分が月あたり16,000円で、子供1人あたり2,000円でトータル20,000円が支給されています。
支給されている扶養手当について、正直なところ、すごく少ないと思っています。特に、子供1人あたり2,000円というのはいくらなんでも少な過ぎると思います。せめて、公立小学校に通うのに必要な学費分である5,000円は欲しいと思っています。
扶養手当の充実を願います
KE(34歳)
2016年12月に入籍し、旦那を扶養に入れました。家族は、私と旦那の二人です。
私の職場は、年収103万以内であれば扶養に入れます。入籍当時、旦那は仕事を辞めたばかりだったので扶養に入れました。月々10,000円の扶養手当が入っています。
正直、扶養手当は少ないと感じます。少しでもアルバイトをしたら、103万の壁は簡単に越えられてしまいます。103万を越えないように、アルバイトを調整しています。来年からは、扶養手当が減額されるようで6,500円になる予定です。しかし、103万の上限は変わりません。これは家計を圧迫します。扶養手当の充実をはかってもらいたいと切に願います。給料は上がらないのに、手当が減ると、生活がきついです。
子供が増えるたびに減額されるのが不満
KBT(32歳 会社員)
私は4人家族で、扶養手当の対象になっているのは妻、息子、娘の三人です。
扶養手当の支給条件は、年収100万円以下で18歳未満の子供がいる家庭です。毎月の支給額ですが、妻と息子が1万円で、娘が7,000円です。合計27,000円です。たとえば、三人目の子供がいる家庭の場合はプラス5,000円です。
支給されている金額は妥当かもしれませんが、正直申しますと少ないと思います。妻より子供たちのほうにお金が掛かりますし、学費や習い事もあるので扶養手当が一律1万円ほどにして頂けたら良いです。不満な点は、子供が増えるたびに減額されていく事でして、少々納得がいきません。知人の会社では一律12,000円との事なので羨ましく思います。
なかなか良いと思います
ひろし(30歳 営業)
妻と子ども2人の4人家族です。扶養の対象は子ども2人ですが、妻が育休の場合は扶養に入ります。
妻と子どもそれぞれ支給条件は法的な要件を満たしていれば問題ありません。支給額は子ども1人につき5,000円、配偶者は10,000円が支給されます。したがって通常は10,000円、妻が育休中で扶養に入る場合は20,000円が支給されます。
3社ほど経験していますが、子どもの支給額はこのくらいかな?という感じですが、配偶者の支給額は多いように感じます。ただ、この支給額で十分かと聞かれると、妻が普通に働いている場合の収入に比べると少ないので不満はあります。しかしながら経験した会社の中には子どもの支給額も2人目から減額されることもありますので、現状助かっています。
今のところ文句はない
もんもんちゃん(36歳 病院職員)
私は36歳、夫は37歳の共働きで長女7歳、次女3歳の4人家族です。一緒に生活している18歳以下の子供と、配偶者が扶養の場合にもらえます。
私の方が少し高い年収なので、世帯主となっています。今の夫の会社だと、保育園料の負担も扶養手当の支給もありませんが、私の方は子供が扶養に入っていると、1人4,000円の支給があります。
また、保育園料の負担もありますし、世帯主なので住宅手当や暖房手当も支給されており、全て合わせると年間50万以上になります。扶養手当だけだと、年8万位なので、そりゃ欲を言えばもっと欲しいですが、それ以外の手当は他の中小企業よりは良さそうなので、今の所文句はないです。
扶養手当の相場はあくまでも目安
今回紹介した会社から扶養手当をもらっている人の体験談の中の扶養手当の相場も、国の調査による扶養手当の相場も、これらはあくまでも目安です。
扶養手当の金額は法律によって定められているわけではないため、支給金額は会社によって異なります。また、扶養手当自体の有無についても、各会社が決めます。ですから、会社によっては扶養手当が支給されないとこともあるのです。金額に不満を持っている人もいますが、扶養手当が支給されているだけ、ラッキーと言えるのかもしれません。