「わざわざすみません」を正しい敬語に言い換えよう
本来、「わざわざ」という言葉には、そのことだけのためにあえて行動を起こすという意味があります。相手をねぎらうつもりで、「わざわざありがとう」や「わざわざすみません」と言っても、相手にとっては「しなくても良かったのに、わざわざしたっていう意味?」「ありがた迷惑って言いたいのかしら?」と取られてしまう可能性もあります。
相手をねぎらうつもりで使った「わざわざ」が、このように「嫌味」や「皮肉」に取られてしまうなら悲しいことです。「わざわざ」を使えないで、相手に謝意を伝える話し方の例を見てみましょう。
例1:「わざわざ」を使わないで敬語に言い換える
わざわざという言葉を入れなくても、相手に十分気持ちが伝わります。「わざわざ」を抜いて表現しましょう。
今日はお忙しいところ、わざわざお越しいただきありがとうございました。
→ 今日はお忙しいところ、お越しいただきありがとうございました。
例2:「わざわざすみません」を「本当にありがとう」の敬語に言い換える
謝られるよりも感謝される方が何倍も嬉しいものです。気軽に使う「わざわざすみません」という口癖をやめて、「ありがとう」という言葉に置き換えてみるのはいかがでしょうか。
今日は雨の中を、わざわざお越しいただいてすみませんでした。
→ 今日は雨の中を、お越しいただいて本当にありがとうございました。
例3:「わざわざすみません」を「本当に申し訳ありません」の敬語に言い換える
相手に対して失礼なことをしてしまったという気持ちで「わざわざ」を使う場合は、「本当に申し訳ありません」と直球に謝った方が、気持ちが伝わります。
わざわざお誘いいただきましたのに、行くことができません。
→ せっかく誘っていただいたのに、本当に申し訳ございません。
「わざわざ」以外にも、気をつけたい表現
わざわざ以外にも、相手に不快感を与えかねない表現があります。不快感を与えかねない表現はあまり使用しないようにする方が、社会的・家庭内のコミュニケーションの面でも重要なポイントです。
「大丈夫です」を言い換える
「お砂糖足りていますか?」とたずねて「大丈夫です」と答える人もいます。少し前までは違和感のある表現でしたが、最近では普通の表現として受け入れられているようです。ですが、これも受取り方によっては「お砂糖が足りているか尋ねているのに、大丈夫ってどういうこと?」「何でも、大丈夫と言えば話が通じると思っているの?」と、相手に余計な感情を抱かしかねない表現なのです。
お砂糖は足りていますか?と尋ねられた時は、
大丈夫です。
→ 「足りています」もしくは 「足りません。もう少しください」
元気ですか?と尋ねられた時は、
大丈夫です。
→ 「ありがとうございます。元気です」もしくは 「ありがとうございます。ちょっと疲れています」など
「頑張って下さい」を言い換える
頑張ると言う言葉は、目上の者が目下のものにかける言葉とされています。いくら「下さい」と丁寧語をつけても、目上の人に使っては非常識な言葉の一つです。
頑張って下さい。
→ 「お励みください」もしくは「ご成功をお祈りしております」
「ご丁寧に」を言い換える
本当に丁寧に接してもらったと思っても、「ご丁寧にありがとうございます」と伝えるならば、「しなくてもよかったのにわざわざしたって言いたいの?」という風に取られることもあります。ニュアンス的には「わざわざ」と「ご丁寧に」は似ていますので、おなじように省くかありがとう・ごめんなさいなどのシンプルな言葉に置き換える使い方がオススメです。
ご丁寧にありがとうございます。
→ 本当にありがとうございます。
「なるほど」を言い換える
なるほどと言う言葉も、目上の者が目下のものにかける言葉とされています。いくら相手への同意を表す言葉だとしても、尊大なイメージを持たれかねません。「確かに」「本当に」「まさしく」などの類語に置き換えて話しましょう。
なるほど、そうですね。
→ 「本当に、おっしゃるとおりですね」もしくは「まさしく、その通りですね」
「構いません」を言い換える
「構いません」と言う言葉も、捉え方によっては自分を尊重しすぎている印象に取られます。「あなたの意向をそこまで重視しなくても・・・」と冷ややかに受け取られてしまうこともありますので、誤解を招かないためにも使わない方がおすすめです。
いつお越しになっても構いません。
→ いつでもお待ち申し上げております。
「わざわざすみません」は嫌味にならないように気をつけよう
「わざわざすみません」「大丈夫です」など、これらの言葉がうっかり口から出てしまわないように注意をすることも大事ですが、それと同じようにメールでも使わないようにすることも大事です。メールなど残る文章は特に、読み返しても「嫌味」や「皮肉」に取られない文章を選ぶようにすべきなのです。