「手配」の敬語を使い分け礼儀正しい社会人をアピール
社会人なら正しい敬語を身につけたいですよね。しかし敬語が上手く話せない、使えないと思っている方も非常に多いのではないでしょうか。
社会において「親しき仲にも礼儀あり」の言葉の通り、敬語は礼儀を表す方法でもあります。
いくら信頼し合っていると言っても会社で上司にあたる方、目上の方、学校であっても習い事であっても先生と呼ぶべき方に友人と話すような口調や言葉で話すことは失礼に値します。
ビジネスの場において何かを「手配」する際の敬語の使い方を学んでいきましょう。
「手配」の丁寧語の使い分け
敬語には尊敬語、謙譲語、丁寧語があります。これらの敬語の使い分けは思った以上に難しく、使い分けが出来る人は少ないと言えます。特に「手配」に関する丁寧語は迷う人もいるようです。「手配」に関する丁寧語を紹介します。
丁寧語は相手の立場を問わず使える敬語
丁寧語とはどのようなものなのでしょうか。丁寧語とは相手を問わず使える敬語で、「です」「ます」「ございます」を付けて使うことが多いです。また、名詞に「お」や「ご」を付ける場合があります。「お」をつける名詞には電話、酒、時間などがあり「ご」をつける名詞には伝言、返事、心配などがあります。
すべての単語に付けられるわけではないので注意が必要です。また、自然現象、例えば台風を「ご台風」とか「お台風」とは言わないということは覚えておく必要があります。
「手配」の丁寧語はお手配?ご手配?
それでは「手配」の丁寧語は「お手配」でしょうか、「ご手配」なのでしょうか。結論から言うとどちらを使っても良いです。ただし敬語としての意味は変わってきます。
「お手配」の場合は美化語と言われ、幼児相手に使います。保育園で「大きな声でお返事しましょう」と言うことがありますよね。それに対して「ご手配」は相手を敬う意味合いがあります。一般的に相手を敬って使いことが多いので「ご手配」を使った方がより丁寧な言葉になりますね。
「手配」の尊敬語の正しい使い方
敬語には尊敬語、謙譲語、丁寧語があることはすでに述べました。ここではます、尊敬語とはどういうものか説明し、尊敬語と謙譲語の使い分けについて、さらに手配の尊敬語はどのようになるのか紹介します。
尊敬語は目上の方に使う敬語
尊敬語とは動作の主体が目上の人の場合に使います。学校では先生や先輩、会社でいえば上司や社長ですよね。尊敬語には敬語動詞といわれるものと「お」や「ご」をつけて尊敬語になるもの、助動詞の「れる」「られる」を使って尊敬の意味を表す場合、「お…になる」を使って尊敬の意味を表す場合があります。例えば「言う」の尊敬語は「おっしゃる」という敬語動詞を使うこともできますし、「言われる」と助動詞を使うこともできます。
「着る」は「召す」という敬語動詞、助動詞を使った「着られる」「お…になる」を使った「お召しになる」と3つの言い方があります。尊敬語と謙譲語で迷う人もいますが、謙譲語の場合は動作の主体は自分や身内ですので、誰が動作の主体であるのか考えて上手に使い分ける必要があります。
尊敬語と謙譲語の使い分け
お客様であったり、上司であったり、自分と相手との距離を正確に理解して関係を敬語に反映させる必要があります。
上司の許可が必要で打診した後に返事をもらいたい時またはイベントや説明会など何かしらの集まりへの週欠席の返事をお客にからもらいたいときなど「何時までにご返事いただけますでしょうか?」「明日までにご返事を頂戴できますか?」というべきですが、間違えて尊敬語を謙譲語にしてしまうと相手によっては失礼にあたります。
「ご返事いたしていただけますでしょうか?」などと言ってしまおうものなら「いたすとは君はそんなに偉いのかね?」と不遜な態度と思われてしまいます。「いたす」は謙譲語なので自分の動作につけるべき言葉であって、上司の動作につけてはいけない言葉です。
「手配」に関する尊敬語
手配するとは物事を行う際に必要な段取りを行うことです。自分が手配するのか、相手側にしてもらうのかで表現が変わります。
相手方に「手配」して頂く際「お願いします」という言葉をどのような表現を使って表すのかいくつか例を挙げていきたいと思います。以下の例をうまく状況に合わせて使い分けましょう。
手配に関する尊敬語の文例
「何とぞご引見のうえ、ご便宜お取り計らいくださいますようお願い申し上げます。」
「よろしくお取り計らいくださいますようお願いいたします。」
「勝手なお願いで申しわけございませんが、よろしくお取り計らいのほど、お願い申し上げます。」
「格別のお取り計らいを頂けますようよろしくお願い申し上げます。」
「ご手配下さいますようお願い申し上げます。」
「○○のご導入のご検討をいただけますようお願い申し上げます。」
ビジネスでも使える正しい「手配」の敬語
ご手配の文章で相手方にお願いすることがある際、どのような言葉遣いをすればよいのか正しい敬語の使い方を知っておく必要があります。ここではビジネスで使える手配に関する正しい敬語について紹介します。
「助かります」は上目線の言葉
良く耳にし違和感なく使ってしまう「助かります」という表現。
- 「○○の件大変助かりました。」
- 「~して頂けると助かります。」
などビジネス上の会話やメールで結構耳に、また目にすることがありますよね。しかしこの使い方とても失礼なものなのです。「助ける」という言葉には主体関係があります。私が主体となってあなたが私に力を貸し、不足を補って上手くいくようにしてくれたことを示します。私がメインであなたがサポートしてくれたということになりますよね。
友達の間柄ならこれでも、感謝が表される表現となるかもしれませんが、ビジネスなどの上下関係がある場合、これはとても失礼と受け止められることもあります。
「先日お送り致しました資料について明日までにお返事を頂けると助かります。」という文の場合、訳すと「私は今この資料を作っているので明日までに返事をして、私をサポートしてください。」と言っているのと同じです。
このように考えると「助かります」という敬語は立場により上目線の言葉になってしまいます。
「助かります」の敬語変換
目上の方にこの「助かります」という言葉を伝えたい場合、どのような表現をすれば失礼がないのでしょうか。
例えば「今回は○○様のご協力のもと、無事に完了することが出来ました。」この後に感謝の言葉を添えれば失礼がなく前向きな感じがしてとても印象の良い敬語になります。
またお願いしたい場合の敬語では「ご依頼の件で、~して頂ければ幸いです。」や「お手数おかけしますが、~して頂けますでしょうか」と言えば相手を立てながらお願いすることができます。覚えておきたい敬語ですね。
依頼を断る際に使える正しい「手配」の敬語とは?
ビジネス上、相手から無理な依頼をされた時には、どうしてもお断りしなければならないシーンに出くわす可能性があります。この場合どのような手配の敬語を使うのがいいのか見ていきましょう。
はじめに「できない」は敬語ではありません。「いたしかねます」に変換します。例えば、店舗では取り扱っていない種類のカードでお支払いしようとするお客様に「こちらのカードはご利用できません。」ではなく「こちらのカードはご利用致しかねます。」に変えればよいのです。
せっかく買い物しようとして下さっているお客様に対して申し訳ないと思う気持ちを付け加え
「こちらのカードはご利用致しかねます。せっかく買い物にいらして下さいましたのに、大変申し訳ございません。」
このような思いやりの気持ちを表現することで相手の印象は大きく変わります。すると相手も困ったという気持ちがありつつも、納得してくれます。敬語の使い方ひとつで印象が違うことは覚えておきたいものですね。
こんな時はこう使う!シチュエーション別「手配」の敬語変換
手配する際の敬語はどうのように使われるのか、様々なシチュエーションで見ていきましょう。今回は手紙を出すことを例に、さまざまな状況を例に挙げて見ていきましょう。
企業に対して手紙を出す場合の「手配」の敬語
企業や団体が請求書を送付する際の送付状の文例
「請求書送付のご案内 拝啓、時下益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。早速ではございますが、下記の請求書並びにご利用明細をお送りいたします。よろしくご査収の上、ご手配のほどお願い申し上げます。」
会社説明会に参加する手紙を出す場合の「手配」の敬語
就職活動中の方が会社説明会に参加の意を表す文例
「先般お送りいただいた資料に同封されておりました会社説明会の内容を拝見いたしまして、是非とも参加させていただきたいと思っております。お忙しいところお手数おかけいたしますが、ご手配のほどお願い申し上げます。」
会社説明会のために訪ねる会社側に何かしら準備していただくわけですから、「ご手配」をお願いするのですね。
意外と悩む?敬語で書かれた「手配」に対するお礼のメールの書き方
ビジネスにおいてお礼のメールは常に書く必要があるのですが、果たしてこれで良いのかと思ったことはありませんか?ここでは手配に対するお礼メールの書き方、どのようなメールを書けば相手にとって良い印象を与えることができるのか説明します。
敬語で書かれた「手配」に対してお礼をする文例
お礼のメールを書く際は感謝の意を表すことが出来れば良いわけです。例えば資料の送付をお願いし、その手配に関してお礼を述べる状況を考えてみましょう。ポイントは感謝の意を伝えることです。
- 「早速のお手配に、感謝申しあげます」
- 「お手数をおかけして、心より感謝申しあげます」
などの文を入れることで、手配に関して十分な感謝の意志が伝わることでしょう。お礼のメールに関して、どのように書けばよいか悩むのですが、感謝の意を表すことに気分を害する人はいません。お礼のメールに必要なのは気持ちですね。
「手配」の敬語は相手を敬う気持ちが大切
敬語は相手の立場、自分の立場を考えながら使う必要があるため慣れないうちはとても難しく感じるかもしれません。ビジネスでよく使う手配の敬語変換も例外ではなく最初のうちは戸惑うこともあるでしょう。
敬語の使い分けはとても大切なことですが、それ以上に大切なのは相手を敬う気持ちです。「お手配」「ご手配」など正しい敬語ではなくても気持ちは伝わるので感謝の気持ちを持ち丁寧に話すことが重要です。