超頻出!?「ご高配」の意味とは
社会人にとって敬語は出来て然るべきものであり、信頼関係を築き上げるために必要不可欠なものです。新人でも正しく敬語を使えると感心されますが、逆に変な敬語や言葉遣いをしていると、相手から「仕事ができるのかしら」と不安がられてしまいます。すなわち、敬語はビジネスにおいても非常に重要な役割を担っているのです。
しかし、なんとなく使っている言葉でも改めて意味を訊かれると、答えに詰まることは少なくありません。ビジネスにおいて「たぶん」「だと思う」という不確定要素は嫌われますので、皆が使っているから使っておくかという気持ちではいつか困ることになります。
ビジネスメールで使われる「ご高配」は相手への配慮を示す際によく使われる言葉ですが、意味や使い方を曖昧にしたままなんとなく使っている方も多い言葉です。どのような意味が含まれており、適切な使い方はどのようなものなのかについて知っておきましょう。
「ご高配」の意味と読み方
会話の中では聞かない言葉である「ご高配」ですが、書き言葉だからといって甘く見てはいけません。むしろ、メールや手紙といった残るものに書く言葉なので、なおのことシッカリと読み方や意味を押さえておきましょう。
「ご高配」の読み方
「ごこうはい」と読みますが、よくある読み間違いに「ごこうばい」があるのでご注意ください。誤変換の元になりますから、読み間違いには気を付けてください。
「ご高配」の一言を付け加えるだけでも、相手に心遣いを見せることになるので円満な関係を築きやすくなります。にもかかわらず、読み方を間違って覚えていたお陰で「ご購買」「ご勾配」などと誤変換してしまっては、相手に失礼を働くことになります。
「ご高配」の意味
「ご」は名詞の頭に付ける丁寧語で、「高配」は相手からの配慮を指す尊敬語です。高配だけでも使えますが、「ご高配」と使うのが一般的です。
「特別に配慮していただいて」「可愛がっていただいて」という意味ですので、自分から相手へ何かをするときには使えず、相手の方からの心配りに感謝するときに使います。例え小さな縁であったとしても、礼を尽くすというのは意義のあることです。お世話になったとはいえあまり知らない人だから使わないということではなく、どんな小さなことでも感謝することで相手もあなたのことを大切にしようと思えるでしょう。
「ご高配」を使う時の注意点
「ご高配」は手紙の中でも挨拶の箇所でよく用いられる言葉ですので、メールなどの初めに位置します。対面において第一印象が重要なのと同様に、文書においても冒頭部分は大切です。「ご高配」の使用上の注意は3つありますので、気を付けつつお使いください。
「ご高配」使用上の注意
- 初対面の方には使わない
- 動詞ではなく、名詞である
- 自分のことには使わない
- 初対面の方には使わない
「ご高配」はお世話になった方に対して使う言葉ですので、これから縁を深めようという方には使いません。何度か会ったことのある方や、取引のある方に対してのみ使いましょう。 - 動詞ではなく名詞である
「ご高配」は名詞ですので「ご高配なさる」「ご高配する」といった動詞として使うのは間違いです。「頂く」や「賜る」といった動詞を後に続けて使いましょう。 - 自分のことには使わない
「ご高配」は相手からの配慮を意味するので、自分が相手を特別に引き立てたり可愛がったりする時には使えません。
「ご高配」の類義語と謙譲語
メールのたびに「ご高配」を書いていては、相手にテンプレート対応だと思われても仕方ありません。違う表現を使って丁寧さや相手からの配慮に感謝の意を表現したいところです。また、逆にこちらが相手を慮りたいと考えたときに使える言葉も紹介します。
「ご高配」の類義語
「高配」の類義語には「愛顧(あいこ)」や「厚情(こうじょう)」「芳情(ほうじょう)」「懇情(こんじょう)」「高承(こうしょう)」「お引き立て」があります。いずれも相手の親切心を表す言葉であり、使い方も「高配」とほぼ同じです。しかし「高承」は相手の承認を指す敬語なので使う場面が限られています。
「ご高配」の謙譲語
「高配」は尊敬語ですので、対応する謙譲語としては「寸志」や「薄謝」があります。自分から少しでも力になりたいという意思表示をしたい場合はこの言葉を使うとよいでしょう。
「ご高配」を使った例文
「ご高配」を使った文章を覚えておけば、もし意味を忘れてしまってもどういうときに使うのがふさわしいか自ずとわかるでしょう。プレーンなあいさつ文と案内の際に使う文、2つの例文をご紹介します。
基本的な例文の「ご高配」例文
「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。また、平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」
書き始めとしてはよくある文章なので、このままメールに書き写しても問題ないでしょう。「ご清栄」に関しては相手の発展を願うものですので、「ご盛栄」と代えても意味はほぼ変わりません。その後に続く「平素は格別のご高配を賜り」のフレーズは本当によく見かける文で、「普段から特別に可愛がってくださり」という意味になります。
案内を出す時の「ご高配」例文
「日頃のご高配頂いている皆様にご挨拶を申し上げたく、心ばかりの新年会を下記の通り催したく存じます。ご多忙のところ恐れ入りますが、万障お繰り合わせのうえ、ご参加くださいますようご案内申し上げます」
やや堅い文章ですが、ビジネス上の付き合いに宛てる文書であれば何ら問題はありません。「日頃のご高配頂いている」に関しては「平素よりご高配いただいています」と代えても支障ありません。
相手に都合をつけてほしいときに「万障お繰り合わせのうえ」という敬語をサラリと使えると、相手から日本語をよく知っている人だと思われます。
「ご高配」は漢字よりも平仮名の方が分かりやすい
名詞の頭に付ける「御」「お/ご」は丁寧語の1つで、使うことで相手に礼儀正しい印象を与えられます。しかし平仮名と漢字、どちらの表記の方がよいのか迷ったことはありませんか。
公文書に関しては「御」「お/ご」の使い分けについて厳密に決まっていますが、ビジネス文書の場合は厳格には決まっていませんので、文章の読みやすさを鑑みて使い分けます。平仮名だから丁寧ではないといわれる心配はありません。文章の読みやすさを考える際には、以下のように漢字と平仮名で書いた文を並べて書くと分かりやすいでしょう。
- 御指導御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
- ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
上記の例では断然、平仮名で書かれた2文目の方が読みやすいでしょう。1文目は詰まり気味で、読み間違いを引き起こしかねない見た目ですので、読みやすさを重視することを忘れないでください。
「ご高配」は使うだけで文がきれいになる
「ご高配」がビジネスメールや手紙でよく使われるのには理由があります。「ご高配」は相手の配慮を示す言葉でもあると同時に感謝の意を述べる言葉です。謙虚さや謙遜は日本において美徳として重んじられるので、「ご高配」のように相手への敬意と礼節を表す言葉がよく使われるのは何ら不思議なことではありません。
国際化により多様性を受け入れる時代だからと、自分たちの文化を手放すのは多様性をも捨てることになります。自分が良いと認めるものは積極的に取り入れつつも、元々ある文化や思想も大事にしてこその国際化、多様化です。
「ご高配」の意味は相手に感謝の意を述べること
「ご高配」という言葉が日本の思想にも適っているもので、みなさんも実生活の中で多用されていることを実感しているでしょう。相手に感謝の意を述べ、相手との繋がりを大事にするためにも敬語に関する教養を深めておくことは決して無駄ではありません。