社会人2年目は「社二病」に注意しよう
社会人1年目をドキドキしながら過ごし、仕事や会社の環境にも慣れ、後輩が入ってきて先輩として自覚を持つようになるのが社会人2年目の時期です。
しかし、この社会人2年目の時期に注意しておきたいのが「社二病」といわれるもの。れっきとした病気ではありませんが、社二病かかることによって周囲からの評価が落ちたり、「イタイ人」と見られてしまったりする可能性があります。社二病になっていないか自分を振り返り、周囲の人でも社二病がないか注意してあげてください。
社二病とは
「社二病(しゃにびょう)」は人生の三大病と言われることもありますが、これはもちろん冗談での話。中学での「中二病(厨二病)」と大学での「大二病」と並び称されています。当然、医学的に定義されたものではありません。
社二病が意味するところは、「社会人2年目にありがちな調子に乗った言動」というもので、社会に慣れ、後輩たちに対して多くはない社会人経験から先輩風を吹かせている様を揶揄しています。いわゆる「社会人あるある」の一種だと考えると良いでしょう。
ハッキリとした定義はないものの、「見ていてかわいいような、時にかわいそう、イタイ様子が感じられる」ことが共通点となっています。
社二病の具体的な特徴とは?
自分が社二病なのか、まずは自己診断をしてみましょう。
新入社員や学生に社会を語る
社二病になると、自分の少ない社会人経験が全てであるかのように、新入社員や学生に対して社会の厳しさや矛盾を語り始めるようになります。もちろん、全てが間違いではありませんが、より多くの経験を積んだ先輩たちからは失笑の対象になりますので注意が必要です。
自分のハードワークぶりを自慢する
「昨日もドキュメント作るために徹夜で」「ビジネス書読みふけってたら夜中の2時だった」など、自分が社会で頑張っている姿を一生懸命に表現し始めるようになるのが社二病です。中には業務と関係ないことで多くの時間を使っていることも多いはずですが、頑張っている自分を承認してもらうことを求めたり、自分を鼓舞するためにそういった言動が多くなったりします。休日にも仕事用の電話を持ち歩いて何かと席を外し、忙しさをアピールする人もいます。
コーヒーやエナジードリンクを愛飲する
社会人になって大人びた雰囲気を出すために、学生時代には敬遠していたコーヒーを飲み始めたり、ブラックのコーヒーが好きだと言い出したり、栄養ドリンクやエナジードリンクを好んで飲むようになると社二病の第一ステージかも知れません。好きで飲むのは構いませんが、過剰になると健康に悪いのは間違いありません。無理をしている様子を冷笑している方も多くいることを忘れてはいけません。
ビジネス用語を使いたがる
「もはや学生ではない」と言いたげにビジネス用語を多用する人も多く見られます。「こないだ作ったプロポーザルがマネージャーに全然理解してもらえなくて、レビューでさんざん絞られたけど、結局クライアントには満足してもらえてCSが高まったから良かったよ」といった話し方を仕事以外の場でもするようになったら要注意です。
業界によってもビジネス用語は違いますし、ちゃんとした社会人はTPOに合わせて適宜言葉を使い分けますが、社二病になると使い分けができません。締め切りや期限を「納期」、何かにつけて「経費」と言う人は黄色信号です。
プライベートでも名刺を配る
自分が社会人になったことをアピールしたいがために、プライベートでも不必要に名刺を配りまくる傾向が見られれば社二病の恐れがあります。名刺は会社から支給されているものであり、経費がかかっています。不必要に配布することは、会社の経費を無駄遣いすることでもあり、場面によっては会社のイメージを落しますのでやめておきましょう。
服装がくだける
社会人一年目はリクルートスーツやブラックの無難なスーツを着ていた人が、急にシャツの柄やジャケットの色、ネクタイの雰囲気が変わることも少なくありません。マナーを守って身だしなみを整えることを第一に考えていた一年目に比べ、いかに社内の許容範囲の中でファッションを崩していくかを考えだすようになります。その結果、「崩れていれば崩れているほどカッコイイ」と間違った考えになることも少なくありません。
社二病になりやすい人はこんな人
社二病になりやすい人には一定の傾向が見られます。自分が社二病になりたくない人は普段から気をつけておきましょう。
自分を評価してほしい人
自己評価が低かったり、また自己評価ほど自分のことを周囲が評価してくれていないと感じていたりする人が、自分を評価してほしいがために「社会人アピール」をしてしまいがちです。「意識高い系」と言われる人たちに多く見られる傾向です。
仕事そのものがあまり好きでない人
仕事が好きでなく、特別に実績も上げることができなかった人も社二病になりやすい人です。仕事が好きでないがために忙しいアピールで新たな仕事をブロックし、仕事や職場、社会、上司や同僚について批判することで自分の仕事へのモチベーションの低さを肯定したがります。
環境に過剰に適応してしまう人
社二病の先輩を持った人をカッコイイと思ってしまったり、先輩たちの言動をまねて上手に仲間に入ってしまったりする人も社二病になりやすい人だと言えます。環境への過剰な適応は、客観的に環境を見つめることができなくなる原因になります。
社二病を乗り越えるための方法
もし社二病になってしまったとしてもそれを乗り越えていく方法がありますので安心してください。社二病を克服するために効果的なことを紹介します。
良い先輩についていくこと
会社には若手でも社会的なバランス感覚のある良い先輩がたくさんいますが、絡んでくることが多く新人への影響が大きいのは、たいてい社二病にかかってしまった先輩です。社二病の先輩たちの武勇伝や誘惑に負けないように注意し、どの先輩についていって仕事や社会を学ぶかを賢く判断しましょう。教育係の年齢が近すぎる場合は特に注意が必要です。
成功を焦らない
社二病になりやすい人は評価を求める人に多いですが、成功を焦るがあまり、先輩たちの話を聞きすぎてしまったり、自己啓発やビジネス書に走って頑張ってしまったりする人も多いです。社会人生活は何十年も続きますので、1年目2年目の成功が全てではありません。じっくりと実力を蓄え、健康的な生活をすることの価値を知ることです。
異業種交流会に出席する
社二病になってしまう要因に、自分の知っている社会が狭いことがあります。それを解消するためにも異業種交流会などの機会があれば積極的に参加してみましょう。もちろん、それをネタにして社二病を吹かせるようでは意味がありません。大事なのは「自分が何も知らない」という謙虚な姿勢を保つことです。
社二病そのものを知る
社二病そのものについて正しく理解し、「ああはなりたくない」と思うことが最善の克服法です。社会人として理想的な姿を追い求めること、それが社二病で表現されているものとは大きく乖離していることを知ることが必要です。
周囲の社二病患者にどう接するべきか
自分が社二病にはかかっていなくても、周囲に社二病の人がいて煩わしさを感じることもあります。社二病になっている人に上手に接することができると、周囲の評価も高まります。
まず大事なことは、「巻き込まれないこと」です。もっともなことを言っている場合もありますが、同調してしまうと「話を聞き、評価してくれる人」と誤解されてつきまとわられるので注意が必要です。
一緒に仕事をする必要がある場合は、その承認欲求を刺激してあげると良いでしょう。「忙しい中申し訳ないのですが、他に頼れる人がいなくて」など、忙しいことを認めてあげたり、能力がある人だとほのめかしたりすると気分よく頑張ってくれます。当然、感謝の言葉も忘れないでください。
社二病になっている人に対して、厳しい言葉や叱りつけることは基本的にタブーです。よほどの迫力があり、目を覚まさせるだけの威力があれば良いのですが、下手に刺激することで社二病をこじらせてしまい、ますます現実が見えなくなることがありますので気を付けてください。
社二病はそのうち治りますので過度の心配は不要です
今、社二病は増えていると言われていますが、昔から似たような傾向の人は数多くいました。その多くが特別な対策をすることなく、社会人生活を続ける中で自然に治っていますから、過度に心配する必要はありません。
ただ、周囲にこうした人がいると、面倒に感じることもありますし、新たな社二病患者を作る原因になることもあります。社二病の傾向と対処方法を正しく理解して、できるだけ発症しないように互いにチェックしたり、影響が広がらないように注意しあったりするのが良いでしょう。