新入社員の教育は楽じゃない?苦労話を聞いてみた!
入社して月日が経ち、仕事に慣れてきた頃に降りかかってくる試練、それは新入社員の教育。入社したてで会社の中では右も左も分からない状態から、一人前の部下に成長させるのは、とても大変なことです。
今回は、そんな新入社員を教育した体験談を15名の社会人から聞いてみました。「教育を初めて任されたのは入社して何年目の頃か?」「苦労したことは何か?」「どんな方法で教育したか?」をまとめてみました。是非参考にしてみて下さい。
新入社員教育をまかされたのは入社して何年目?
入社して2年目以降に新入社員の教育を初めて担当した方が大半でした。この結果から、経験を積んできた頃に任されることが伺えます。
しかし、「いざ教えてみると、大変でした。」といった声も多数寄せられました。仕事をするのは慣れてきても教えるのは初めてで、まだ面識が浅い新入社員が相手となると、仕事を教えるということは大変だと実感した方が多い傾向にありました。そこで、何が大変だったか具体的に聞いてみました。
- どこから教えていいか分からなかった
- 自分の時間を割いて教育した
- 厳しく教えてしまい、委縮させてしまった
- 遅刻が多く、問題行動が多かった
- 新入社員が自分より年上で気を使ってしまう
- 社会人としてのマナーを教えることが大変だった
- 何度注意しても聞いてくれない
入社してくる新入社員や教える仕事の内容も人それぞれ違いますが、多くの方がマナーや態度の悪さに苦労して回答を得ました。一方で、厳しくし過ぎて委縮させてしまい、教育に失敗した方もいます。
新入社員の成長に繋がったのはどんな教育方法?
以下の方法で、新入社員の成長に成功した方もいます。
- 最初はフォローを入れて、徐々に仕事を任せる
- やる気を削がないように優しく教える
- 上手に仕事が出来たら褒める
- その人の能力に合わせ、焦らずゆっくり教育する
- コミュニケーションを取って信頼関係を築く
- 同じ目線で接する
- 年齢差がある場合、価値観の違いに注意する
- 報告・連絡・相談が一番大事だと教える
- 教える事をマニュアルにまとめる
新入社員に合わせて教育している方が多く、他には「報告・連絡・相談の大事さを教える。」「マニュアルにまとめて教育している。」という声も聞きました。
「ゆとり世代」「さとり世代」と呼ばれる新入社員が多い近年、頭ごなしに怒ったり、ビシバシ鍛えたりする教え方をしていた方がいなかったことから、厳しい教育が通用しにくくなっている傾向が見られました。
15人に聞いてみた!新入社員の教育で苦労したときの体験談
デキる部下に育てるために、新入社員の教育で苦労したことを15人の社会人から聞いてみました。20代から50代まで、新人教育を任された人の気持ちが分かります。
20代の方の新人教育体験談
新入社員教育は分かりやすい言い方に気をつけました
ラトリア(27歳 営業職)
新入社員の教育は入社して2年目の時に2回やりました。教えるのが好きで、やりがいのある仕事でした。
大変だったのは、何も知らなくて当たり前なのですが、指示をしないと動かず、どの辺が理解できていないのかを把握するのに手間取ったことです。
教える時は、相手が分かるように言い方に配慮して、出来ないことはフォローしました。そのおかげか、新入社員は一人前に成長しました。
私が新入社員だった頃は、当時の教育担当にネチネチ嫌味ばかり言われ、やる気がなくなった時期がありました。新入社員の教育は、言葉遣いと態度に気を付け、手取り足取り教えることが大切だと思っています。
感情をコントロールするのが難しかった
ケンスケ(26歳 事務職)
新入社員の教育担当を3年間行ってきました。初めて任されたのは入社2年目、22歳の頃です。
私自身、入社してまだそれほど時間が経っていなかったので仕事が忙しく、休日や休憩時間を割いて教育をしていました。
また、自分ではしっかり教えたつもりでも間違えることもあったので、その度に後始末するなど非常に苦労したのを覚えています。
怒る指導は相手の委縮を招き、やる気を失わせてしまうということを新入社員の教育で学びました。今の時代だと、パワハラで訴えられる可能性もあります。自分の感情をしっかりとコントロールした指導が大切だと感じました。
プライベートでもコミュニケーションを取るようにした
すず(27歳 保育士)
入社2年目の頃に一度だけ新人教育をしました。
今時の子といった感じで遅刻と早退は当たり前、注意すると返事はするのですが、「必ず言い訳をしてくる」「次の日にはまた同じことをする」といった困った新人でした。
悩んだ末、先輩からアドバイスをもらうことに、「相手の話を聞いて、言葉を選んだ指導をしてみたらどうかしら?」と助言を受け、いざ実践してみました。
その新人は、職場に対して心を開き切っていない所が見えたので、仕事帰りに食事に誘うなど、プライベートでもコミュニケーションを取るようにしました。
その甲斐あって、遅刻と早退はしなくなり、注意をしても素直に言うことを聞くようになりました。
職場では話せないことも、プライベートだとオープンに話せるので、信頼関係を築くためにも新人とのコミュニケーション作りは大切だと感じました。
一般常識から教えました
くみこ(25歳 事務職)
入社して5年目に、新入社員の教育を担当しました。
当たり前のことが全然わかっておらず、常識がまったく通用しない新人だったので苦労しました。
例えば、勤務時間内はスマホや携帯電話でプライベートな連絡はしないことが常識なのですが、その新人は毎日のように勤務中に友達と電話をする始末・・・。
他には、欠勤するときメールだけで済まそうとする所ですね。普通は会社に電話をしてくるものですが、さすがに唖然としました。
そういった一般常識から教えることになったので、会社で働くときの基本的なルールをまとめたマニュアルを作って新人を教育しました。常識がない新人の教育は、とにかく大変です。
つい熱が入ってしまった
かしぱん(29歳 技術職)
新入社員の教育を担当したことは2回あります。
初めて担当した時は、入社3年目の25歳の時でした。
1か月という限られた時間で、仕事を全て教えなければいけなかったのが大変でした。自分が新人の時もそうだったのですが、何も知らない状態で、1ヶ月で仕事を覚えることは、とても大変です。
それを分かっていたのに、つい熱が入ってしまって厳しく教育してしまい、今でも反省しています。自分が新人の頃に感じた嫌な思いを新入社員にもさせてしまったことは今でも後悔しています。
他には、独り立ちした後にわからないことを先輩に聞けずミスをするという悪循環になっていたので、新入社員とのコミュニケーションをもっと取るべきだと反省しています。
今後、新入社員の教育を任された時は、質問をしやすい関係を作らなきゃいけないと思っています。また、限られた時間で全てを教えるのは難しいので、新人教育が終わった後でも分からないことがあったら教えるようしたいですね。
新入社員のペースに合わせた指導が大切と学びました
ペターライト(23歳 技術職)
新入社員の教育担当は3回経験しました。初めて任されたのは入社3年目で、20歳の時です。
教えていた当時を振り返ると、積極的ではなく、覚えるのも早い方ではありませんでした。思うように仕事を覚えられないので、私も焦りを感じていました。この焦りが影響したのか、ある日上司から呼び出され、お叱りとアドバイスを受けました。
そこで「人の能力、成長の早さは皆違い、その人にあった指導方法がある」ということ気づき、自分が新入社員のペースに合わせ、焦らずゆっくり教育しました。その結果、徐々に仕事を覚え、今では職場になくてはならない存在に。
また、私自身も成長したことを実感できました。おかげで「新人教育なら、この人!」と職場で言われています。
人は自分と同じではない、その人にはその人にあった教育方法があることが、忘れてはならないポイントだと思います。
30代の方の新人教育体験談
なるべく本人に任せるようにしました
咲(34歳 事務職)
新入社員の教育担当になったのは1度だけです。入社して5年目で26歳の時でしたが、かなり大変でした。
教えるのはそれほど難しくないのですが、コミュニケーションの取り方や連携して仕事することに苦労しました。特に最初のうちはほとんどフォローを入れなければならず、とは言っても何でも手伝うわけにいきませんでした。
新入社員の教育は、出来ないからといって手伝い過ぎてしまっては、上達が見られません。最初はついつい手を出してしまっていたのですが、新入社員がこちらの顔色を伺うようになったような気がしたので、なるべく本人に任せました。そのおかげで比較的早く、仕事を覚えてくれました。
新人の成長を通して自分も成長しました
Tengood(31歳 デザイナー)
社会人8年目に1度だけ、新入社員の教育係を務めました。一言でいえば、「背中を見て育つ」とは正にこの事と、新人教育の難しさを痛感しました。
テレビで見る極端なモンスター新人ではなく、いわゆるフレッシュマンという印象で、とても素直な男性社員でした。その為、教えたことは全て吸収して今ではすっかり一人前です。
仕事を教えている間は、いつもより早く出社しましたが、新人にも一切強要しませんでした。ところが、会社の誰よりも早く出社して来るようになったのは今でも覚えています。
とても良い新人でしたが、ひとつだけ短所がありました。それは、素直過ぎる余り、良い所も悪い所も真似してしまうことです。
例えば、私には納期ギリギリに仕事を対応する癖があるのですが、その新人も見事にその癖を受け継ぎ、まるで自分の姿が目の前に映し出されたかのようです。
そんなこんなで苦労しましたが、「人に優しくも厳しく育てるためには、自身を規律した上で、教育係を遂行しなければならない。」ということを学び、非常に良い経験になりました。
新人に教えるということは、本人の成長を通じて、自分自身も成長するきっかけもつくれる良い機会だと捉えています。今後も教育する機会があれば、自分を磨くチャンスと思って、頑張っていきたいと思います。
私の常識は彼女の常識ではありませんでした
こん(37歳 事務職)
今まで新入社員の教育経験は2度あり、入社2年目の24歳の時に初めて経験しました。
初めての時は、まだ自分もしっかり仕事ができているという自信がない状態での教育担当だったので不安で一杯でしたが、何とか頑張って乗り越えました。
2度目の時は、私より5つ歳上の女性が新入社員として入ってきました。年上の人にどうやって対応していいのかが分からず、今思えばぎこちない対応になっていた様な気がします。
同年代でないせいか、私にとっての常識は、彼女にとって常識ではないことが結構あったので戸惑いました。
年上の新入社員を教育する場合、自分が普通だと思っていることは、相手にとっては必ずしもそうでは無いと考えるのが大事だと思いました。
できたときは褒めるようにしました
ささき(30歳 医療関係)
2回程、新入社員の教育をしたことがあります。1回目は社会人になって5年目、27歳の時でした。
初めての教育で大変だったのは、報告、連絡、相談の指導でした。
分からないことや、出来ないことを相談してくるのはいいのですが、まだ出来ていないのに出来たと思い込んで報告しないのが多々ありました。
そこで、仕事がしっかり出来た時は褒めて教え方を変えました。少しずつではありましたが、教えていく度に段々仕事が出来るようになり、信頼関係も築けたので、嬉しくなりました。
皆さんも教育を担当する場合は、新入社員を褒めてみると良いと思います。
報告・連絡・相談が一番大事と教えました
なりすけ(37歳 事務職)
新入社員は、これまでに5人ほど受け持ったことがあります。初めて任されたのが、入社8年目ぐらいの30歳を越えたあたりです。
教育するときに大変だったのは、挨拶をはじめとする言葉遣いや時間厳守といった社会人としてのマナーを教えたことですね。「せめて入社してくる前にそういった常識は身につけてくれ。」と何度か思いました。
他には、報告・連絡・相談は一番大事だと教えました。新入社員の教育は大変です。しかしながら、新入社員を育てないと会社の成長になりませんので、粘り強く取り組むべきと思っています。
同じ目線で教育する
まめ(36歳 販売業)
入社して7年程経った頃、新入社員の教育を担当することになりました。面倒見の良い性格ではなかったので、不安が多かったのを覚えています。特に、今時の若い子との接し方が分かりませんでした。
いざ新入社員と対面した時、当時30歳だった私は20代前半の彼女達となかなか馴染めず、淡々と仕事のことを教えるだけでした。
しかし、焦らず一人ずつよく観察し、声をかけたりすることを、日々続けていくうちに、馴染めるようになりました。
例えば相手を指名するときは「○○さんは、経理が好きそうだからこの問題の答えは分かる?」といった方法で、得意不得意を把握するだけでも良い関係になりました。そして、上手に答えたら、必ず褒めるようにしました。
誰でも誉められると嬉しいし、自分をちゃんと見てくれると安心すると思います。上から目線に教育するのではなく、同じ目線で接することが大切です。
最初が肝心
mocyako(33歳 販売員)
新入社員の教育を担当したのは5回程、入社して1年目に初めて任されるようになりました。
最初は何から始めれば良いのか分からず、戸惑ってしまいましたが、自分の知っている事、出来る事を少しずつ教えていきました。
私より年下で社会人経験がなかった新人だった為、メモをとる癖がありませんでした。私もその事に気づかず、「覚えが悪いのかな。」と思っていました。上司に進捗を話したところ「メモはとらせている?」と聞かれ、自分のミスに「はっ!」と気が付きました。
メモをとらせ、仕事を覚えてくれるようになったので安心したのも束の間。返事や挨拶が出来ないといった問題が、仕事のことしか教えていなかった為、一般的なマナーを最初に教えるべきでした。仕事がある程度出来た状態で、教育し直すのはとても苦労しました。
今では、仕事内容よりも「笑顔で挨拶をする事」「メモをとる事」「返事をする事」この3つを先に教えています。そうすることで、教育が二度手間にならないようになりました。やはり肝心なのは、最初ですね。
完璧さを求めすぎてしまい反省しています
もりこ(31歳 営業事務)
新入社員の教育担当の経験は2回あります。初めて請け負ったのは、入社4年目の29歳の頃です。
新入社員に完璧さを求めすぎてしまい、仕事の報告と相談を私ではなく、他の社員にするようになったのが大変でした。厳し過ぎてしまったと反省しています。一度教えたことを再度聞いてきた時は、「なぜメモを取ってないのか」とネチネチ言ってしまった時もありました。
頼んだ仕事は完璧に仕上げてくれるようになったのは良いのですが、一切話しかけてこないので、新入社員は今何ができて、何が出来ないのか把握出来なくなってしまいました。このままではまずいと思い、優しく丁寧に仕事を教えました。
初めての教育担当の失敗から、厳しい教育は必ずしも新人の成長につながるとは限らないことを学びました。
50代の方の新人教育体験談
ひどいときは仕事より社会人マナーを教えることが必要です
カツオ丸(50代 管理職)
新入社員の教育担当は、ほぼ毎年のように担当してきました。
初めて任された時は入社二年目の時です。
年が同じ位で、私自身も仕事でまだまだ学ぶことが多かった時期でもありましたので、同僚に近い感覚もありました。
新人の教育で一番大変だったのは、独身寮の事件です。信じていただけないかもしれませんが、独身寮の廊下でロケット花火を飛ばして火災報知器を鳴らしたり、他人の部屋に入り込んで食べ物を持って行ったり、とんでもないことが行われ、解決するのに一苦労しました。
こういった事件を通じて、「仕事を覚える前に、良き社会人として私生活で叩き込まないといけない。」「人として問題があるということは、企業人としても問題がある。」ということです。
厳しくしすぎるのも良くないことですが、あまりにもひどかったりした場合は、ビシバシ教育するべきだと思います。
新人教育は新入社員の能力に合わせてすることが大事
新入社員といっても人によって能力の違いがあります。例えば「自分が新人だった頃、当たり前のように出来た仕事だから出来るはず。」と思って教育すると上手くいかないこともあります。かといって厳しく教育すると、かえって逆効果になる可能性もあります。
「自分が出来るから、出来て当たり前。」という考え方から「この人は、この仕事は出来るけどこの仕事が出来ていない、焦らず厳し過ぎず教えていこう。」に変えて新入社員を教育してみましょう。最初のうちは大変ですが、会社になくてはならない部下になるはずです。