復職にあたって会社との面談に備えておこう
復職するためには、会社側との面談が必要となります。自分では「もう大丈夫だ、復職したい」と考えていても、会社がそれを許してくれない限り、復職することはできないのです。
ですから、復職のための面談において気をつけなければならないことをあらかじめ意識しておく必要があります。何の準備もせずに、行き当たりばったりで面談当日を迎えるといったことがないようにしておきましょう。復職を叶えるためにも、きちんと面談に対する備えをしておくべきだと言えます。
復職に向けての面談準備・伝えておくことや聞いておくことは?
復職のための面談をする時には、自分が伝えたいことを正しく伝えられるようにすることが大切です。意図が正しく伝わっていないと、齟齬が生まれてしまい、お互いの間で認識のずれが生じてしまうからです。
また、伝えておきたいことは遠慮せずに全て伝えておきましょう。面談が終わってから、「これも言っておけば良かった」「あれも言っておくべきだった」と思い出したり、後悔したりするようなことがないようにしてください。
あらかじめ言いたいことをまとめて、メモにしておくと良いでしょう。できるだけ伝え漏れがないように工夫や準備をしておきましょう。ここでは、復職に向けての会社との面談で、何を伝えておくべきか、どんなことを聞いておけばいいかなどを紹介していきます。
1.体調が悪くなった時にはどうすれば良いか聞いておく
体調を崩したことが原因で休職していた場合は、万が一に備えて、復職した後に体調不良で休むかもしれないことを会社との面談で伝えておきましょう。職場に復帰できたとはいえ、復職してすぐに元のように元気に働けるとは限りません。体調が思わしくない時には、無理は禁物です。
そういう時に、会社はどういった対応をしてくれるのか、また、自分はどういった行動をとるべきなのかについて、面談の際に詳しく聞いておきましょう。きっと自分の体調が悪いことに配慮してくれているだろうと勝手に考えずに、きちんと話し合っておくべきです。
復職後の働き方について会社の考え方がどういうものかは、面談の際に聞いておく必要があります。「できるだけ休まないでほしい」と言われる場合もありますし、「フォローするから心配しなくて構わない」と言われる場合もあるでしょう。これは会社のバックアップ体制によってさまざまですから、自分の主観で決めつけ、思い込まないようにしてください。
2.フルタイムでの勤務が難しい場合にはその旨を伝える
フルタイムでの勤務を通告されていても、それが難しいと感じている場合には、面談でその旨をはっきりと伝えましょう。まだそこまで回復していないとか、もっと短い時間から徐々に体を慣らしていきたいとか、会社側を納得させられる理由を述べることも忘れないようにしてください。
どれくらいの期間まで何時間勤務を希望するのか、いつ頃からフルタイムで働けるのかなどを併せて伝えられればベストだと言えます。できれば勤務時間について細かな予定を立てておき、それを会社との面談時に伝えて相談してみましょう。
もちろん、大まかに「何週間くらい経ったらフルタイムに移行できそうです」といった申し出をしても構いません。大切なのは、会社側が決めたスケジュールに無理に従う状況を作らないということです。通勤時間や勤務時間も、とても重要な要因です。特に長い勤務時間は、復職したての体に重くのしかかってしまいますから、無理だと思ったら絶対に避けるべきでしょう。
3.休職に至った経緯をきちんと説明できるようにしておく
復職のための面談では、休職に至った経緯の説明を求められることがあります。いきなり「休職に至った経緯を説明してください」と言われても、筋道立てて順序良く説明することはなかなか難しいことですから、あらかじめどのように話すか準備しておきましょう。
体調を崩したのであれば、その原因について詳しく述べることが必要となります。また、その結果どのような病状が現れたのか、仕事にどのような支障が出たのかなどを丁寧に述べられるようにしてください。
ここで重要なのは、休職の原因を客観的に述べることです。あまり会社のせいにしすぎるような言い方をするべきではありません。もちろん会社側に対して不満があったり、落ち度があったりするのではないかと考えていて、それを面談の場で言っても得はないでしょう。
休職の理由について、会社側が色々質問してきたら、更に説明を重ねていく必要があります。これが十分に伝わらないと、復職してもまた休職することになってしまう可能性があるからです。
4.心身の不調で休職していた場合には、その原因を解決できたことを伝える
休職の理由が心身の不調であった場合、復職に向けての面談でなぜ体調不良になってしまったのかを追及されることは避けられません。自分がなぜ体調を崩してしまったのかということを改めて考えてみてください。
会社でストレスを感じてしまったからということもあるでしょう。では、何がストレスの原因だったのか、ということを考えてみてください。人間関係だったのか、仕事量だったのか、残業の多さだったのか、自分にとって一番のストレスの種が何だったのかを見つける必要があります。
それを解決できたとはっきり言い切れないと、復職しても良いということにはならないでしょう。会社側としても、「何となく大丈夫そうだから」という曖昧な理由では、復職を認めることはできません。面談では「自分はこれが原因で体調を崩してしまったけれど、今は体調も回復し、ストレスだと感じていたことについては考え方が変わったからもう大丈夫です」というように伝えると良いでしょう。
5.体調不良で休職していた場合は、体調が十分に回復したこと証明しよう
「休職していた原因を解決できた」に続くことですが、体調不良で休職していた場合は、体調が十分に回復したことを伝えることが、復職の面談では何よりも大切です。もちろん体調が回復していないと復職は望めないですが、どれだけ「元気です、もう大丈夫です」と言ったとしても、信憑性に欠けてしまうことは否めません。
本当に体調が回復したことを証明するには、面談での「休職中はどのように過ごしていたか」などの質問への回答が重要になってくるのです。ここで、「ずっと寝て過ごしていました」というような回答をしてしまうと、全く回復していないのではないかと思われてしまいます。
また、「何時に起きて何時に寝ていますか」といった質問に、遅く起きていたりするような答え方をすると、きちんと通勤することができないのではないかと思われてしまい、これも印象が良くありません。
体調が回復するというのは、体の調子が良くなったということだけではなく、きちんと勤務できる状態になったということを含んでいます。毎朝通勤し、勤務し、退勤することができるのだということを面談で回答しなくてはいけません。
6.育休明けは子どものために早退や遅刻の可能性があることも伝えておく
育休明けには、子どもの体調や送り迎えを優先しなければならないことも十分考えられます。ですから、そういった場合に早退や遅刻をする可能性があることをきちんと面談の中で伝えておきましょう。
いきなり早退や遅刻を繰り返すようなことが続いてしまうと、それは前もって言っておいてほしかったと苦言を呈されてしまうこともありますから、あらかじめ理解しておいてもらう必要があります。せっかく復職したとしても、周囲に理解してもらえなければ職場での居心地が悪くなってしまいます。
復職の面談時にやむを得ない事情があるということを伝えておけば、会社もそれを考慮してくれますから、子どもがまだ小さいことを負い目に感じる必要はありません。育休から復職するために、きちんと子どものためにしなければならないことがあるのだということを会社に伝えておきましょう。
7.育休明けに時短勤務を選んだ場合、いつまで続けるか伝えておく
時短勤務とは、一年以上勤務している上で、3歳未満の子どもを育てている場合に利用できる制度です。時短勤務を利用すると、短縮された時間分の給料は支払われませんが、その分子どもと過ごす時間を確保することができます。そのため、時短勤務は働くママにとっては助かる制度です。
復職に際し時短勤務を選ぶのであれば、何日から何日まで、何時まで働くのかを面談で相談しておきましょう。面談の時点で詳しく話し合っておくことで、復職してからスムーズに働くことができるようになります。余裕を持って話し合いを進めていきたいところですから、会社側との時間の擦り合わせは復職の面談の中で早めに行っておきましょう。
時短勤務をいつまで続けられるのかは、会社によってさまざまです。時短勤務の制度そのものは、どの会社にも備わっているものですが、詳細は相談してみなければわかりません。きちんと自分の希望を伝えて、滞りなく進められるようにしましょう。
8.面談では復職に前向きであることを伝えよう
面談の際に、復職に前向きであることを伝えることは非常に重要です。復職するにあたって、本当に自分は職場に復帰して上手くやっていけるだろうか、元のように働けるだろうか、と不安な気持ちがあったとしても、それを正直に話すのは得策ではありません。
面談では、自分が復職に前向きであり、全快したので仕事に取り組める状態にあることをアピールするべきです。復職を望むのであれば、後ろ向きの素振りを見せるべきではないでしょう。「復職したらできる限り全力で仕事に打ち込みたい」と熱意を伝えてください。
休職したことは決して後ろめたいことではないので、それを負い目に感じずに、自分は復職してここからリスタートをするのだという強い意思をアピールしましょう。「復職に向けて新たな気持ちで頑張ります」といった言葉を添えておくと、会社側の心象が良くなることは間違いありません。
心身の不調が続いている状態で復職面談に臨んだ場合、自分の状態を偽らない
心身の不調で休職した場合、復職希望は通常、上司を通じて申請されたのち、産業医に連絡されます。この復職の申請には、主治医の復職可能であるという診断が必要となるため、自分自身では復職するかどうかを決めることはできません。
ですから、「自分ではもう大丈夫、復職できる」と思い込まないようにすることも大事なのです。主治医がまだ復職できる段階ではないと判断しているのであれば、まだ休養が必要であると考えてください。
一刻も早く復職したいと考える気持ちもあるでしょうが、焦っても良いことはありません。仮に復職にはまだ早い状態で会社との面談までこぎつけたとしても、体調の悪さは会社側に伝わってしまうものです。その際には自分の今の状態を正直に話しましょう。復職の面談では、会社側に元気になった姿を見せなければ意味がありませんから、主治医の判断には必ず従い焦らないことが大切です。
面談ではどんな質問にも焦らずに、落ち着いて答えるようにしよう
復職のための会社との面談では、さまざまな質問をされます。その時に、緊張のあまり頭が真っ白になって支離滅裂なことを口走ってしまったり、答えなくても良いようなことを答えてしまったりしてはいけません。
聞かれたくないようなことや、時には気分を害するようなことを聞かれることもあるかもしれませんが、常に落ち着いて答えられるように努めてください。会社側は、悪気があって質問をしているわけではありません。それが必要な質問だというだけですから、深読みはしないようにしましょう。
大切なのは、質問に対して的確な回答ができているかどうかということです。会社側は、本当に復職してもらっても大丈夫だろうかと確かめるために面談をしているわけですから、ひとつひとつの回答をじっくりと吟味していると考えてください。
面談でまだ復職は無理だろうと判断されないためには、自分がどう考えて、これからどう行動していこうと思うかを落ち着いてきちんと伝えるようにしましょう。
復職の面談では前向きに働く意欲を伝えよう
休職を終えて職場に復帰することは不安を伴いますが、勇気ある立派な行動です。復職に向けての会社との面談は、その行動を起こす第一歩だと考えてください。
復職のための面談をするのは腰が重いという人も少なくはないでしょうが、落ち着いて自分の考えを述べることさえできれば問題はありません。これからまた新しい気持ちで前向きに働いていくのだという意欲を存分に伝えることが大切です。復職にあたっての面談は怖いものではないので、余裕を持って臨むようにしましょう。