説明が下手だとタイムロスになる
自分に役立つ経験があるにもかかわらず、説明下手なせいで他人に教えられず進化を発揮できないというのは、もどかしい限りです。説明が下手なお陰で、話し手と聞き手双方が損失を被ることになってしまいます。
話の内容や作業の手順を相手に伝えようと思っても、説明下手であればコストパフォーマンスも悪くなってしまいます。話し手が説明下手である為に、1回の説明で理解できずに何度も説明を聞きに行くことになってしまっては、説明する側にとっても聞き手にとってもタイムロスとなり、効率的とはいえません。仕事を無駄なく進めるためにも、説明上手になることは必要不可欠です。
説明が下手な人の特徴
説明下手を改善あるいは克服するためには、下手な人の4つの特徴を知っておく必要があります。自分に当てはまることもあれば、周囲の部下や上司に当てはまることもあるでしょう。以下の4つの特徴のうち何に当てはまったか分かれば、どのような対策をすれば説明下手を改善できるかが分かるはずです。
文章を組み立てることが苦手
文章の組み立てるスキルは、書類や小論文を書くときにだけ必要な訳ではありません。相手に文章で何かを伝えるとき、脳内で伝えるべき項目と伝える順番を考え、必要な情報を取捨選択し整理してから表現します。さらに書類やメールを作成する際はペンを走らせたりキーボードを打ったりするので、表現するスピードよりも思考の方が早く、相手に見せる前に推敲する時間が取れます。
対して会話では、文章をアウトプットする時のような思考と表現の間のタイムラグがほぼありません。そのため、文章構成をよく吟味したり情報をふるいにかけたりすることなく、思いついたままに言ってしまうので、内容が前後したり必要な情報といらない情報が交じり合ったりして、説明を受ける立場からするとよく分からない説明を聞くことになってしまうのです。
話す内容を十分に理解していない
相手に何かを伝えるときに話し手が内容を熟知していない場合は、聞き手としても何が話の要点なのかが理解できません。「~らしい」とか「~だと思う」というような説明をされても、聞き手としては理解も納得も出来ません。誰かの手による文章を読み上げたり伝聞したことを話したりするだけでは不十分です。
説明が下手な方のなかには、話す内容を理解していない人が一定の割合存在しており、伝えようとしている内容が書物や資料をそのまま伝えているだけの方は案外多いです。既に内容をある程度理解している人には伝わりますが、何も知らない人に同様に説明しても理解を得にくいです。
自分語を頻発する
「自分語」とは本人にしか分からない文や言葉を指しており、他人に理解を求めるのは難しい語です。自分語の代表例は「アレ取って」です。自分では「アレ」が何を指すのか分かっていても、例え長年の付き合いがある方でも、聞いているほうは何のことを言っているのか理解できるのは少数です。
ビジネスにおいても「あの件と同様の事例で…」などと説明しても、「あの件」が何を指しているのか分からない聞き手は置いてきぼりを食らいます。例えば、「あの件」とぼかした言い方をしていると、話し手はAの件を思い浮かべているのに聞き手は全然違うBの件を思い浮かべている…というように、2人の間に勘違いが生じる恐れがあります。
自分が理解できるのだからみんなも理解できるはずと錯覚している
「自分が理解できるのだから、相手も分かるはず」という自分本位な謙虚さのお陰で説明下手になっており、頭の良い人や要領の良い人に多いタイプです。聞き手は何も分かっていないと仮定して説明した方が、伝え漏れを減らすことになりますし、説明が下手な人というレッテルも貼られにくいでしょう。
説明上手な人の特徴
話している内容がすんなり頭に入ってくるような説明上手な人の特徴も知っておきましょう。説明上手な人は相手に伝えるべき情報を分かっており、シンプルに、でも内容に過不足のない言葉で伝えます。初めて聞く相手にも分かりやすく伝えられる人の特徴は、以下の4つです。
説明上手な人の特徴
- 伝えるべき内容が理解できている
- 主述関係が正確である
- 言葉の定義がある
- 話の道筋が通っている
説明下手な人がうまくなるための方法
説明上手になるために特別な勉強も何も必要なく、ただ簡単なコツを覚えておけば誰でもなれるものです。とても手軽な方法ですので、ぜひ実践してみてください。
説明する時は5W1Hを意識する
「5W1H」というと、学生時代に格闘した方も多いでしょう。英語の基本である「5W1H」ですが、文章を考える際の基本でもあります。
5W1H
- When いつ
- Where どこで
- Who 誰が
- What 何を
- Why なぜ
- How どのように
説明する際にも「5W1H」を意識して文章を組み立てましょう。初めは上記の6つを書き出してどう説明するかを整理すると、目に見えるので頭の中でまとめるよりも分かりやすくなります。書き出して整理するということを繰り返すことで、段々頭の中で要点をまとめることに慣れてくるでしょう。
説明を始める前に話の組み立てをしておく
上手な説明には論理的な文章構成を組み立てることが挙げられます。どのような内容を相手に話すかによって、どのように話を組み立てるかが変わってきますので「こう説明すれば絶対大丈夫!」というものはありません。例として企画内容を説明する際の構成を以下に挙げておきますので、必要に応じて中身や順番を変えてください。
企画を説明する際のチャート
- これから話す内容の概要
- 背景
- 問題点・解決すべき理由
- 結論
いきなり話初めても聞き手は理解できませんので、これから話す内容のあらましを確認しておきましょう。概要を伝えておくことで、聞き手が何を分かっていて何を知らないかが分かります。次に、現状に至るまでにどのような経過があったのかを伝えましょう。そのあとに主題となる問題を述べ、結論として解決策や代替案を提案したり新たな製品を紹介したりと、自分の主張を伝えましょう。
説明上手な人はどう説明すれば分かってもらえるかを第一に考えている
自分が知っている事柄を他人に説明する際には、思いやりが必要です。専門用語や難しい表現を使ったり、相手も知っているだろうと重要な部分を飛ばしたりするのは、思いやりに溢れた説明とはいえません。何も分からない相手にどう説明すれば理解してもらえるだろうかを第一に考えます。だからといって多くの知識を相手に与える必要はなく、要点さえ伝えられればいいのです。
つまり、聞き手にとって分かりやすい表現を使って、要点を絞ってシンプルに説明するのが1番良いのです。
ビジネスマンにとって説明下手は致命的!
ビジネスマンは淡々と商品を売ったり、企画を立てたりすればいい訳ではありません。クライアントに対して自社製品がどのような役立つ機能を持っているかを説明したり、自分が立てた企画がどれだけ有益かを謳ったりする必要があります。その時に説明下手だと、せっかくの商品やサービスの魅力が上手く伝わりません。
ビジネスマンにとって説明技能は重要なスキルですが、一朝一夕で身に付く能力ではありません。自分が説明下手だと感じている方は、ぜひ説明上手になるためのコツをしっかり読み込んで日々訓練しましょう。