社会人の運動不足を解消するには「METS(メッツ)」で考える
METS(メッツ)とは、何もしていない安静時を1として、部屋の片づけをしたとき、子供と遊んだ時などいろいろな運動ごとに、活動の量を示す測定方法の単位です(注1)。
活動量は、運動した時間×運動の強度(METS)=活動量の式で計算することができます。
草加市で行われている健康づくりの取り組みで使われているMETSの考え方に習い、運動不足を解消したい社会人の日常に取り入れるといい運動を、METSで比べながらご紹介していきます。運動をすると、何もしていないときと比べて何倍のエネルギーを消費するのか、考えてみましょう。
ジョギング・ウォーキング
社会人が簡単に運動を始めたいなら、初期費用がかからないジョギングやウォーキングはいかがでしょう。仕事に行く前や仕事が終わってからのちょっとした運動に取り入れることができます。走る場所も田舎・都会関係なくあるため、走ることや散歩が好きな人にはもってこいです。
一方で単調でつまらないと感じてしまう人も多く、すぐにやめてしまう人も多く見受けられます。しかし、簡単に始められて簡単にやめることができるのもジョギング・ウォーキングの魅力のひとつです。体力に自信がない運動不足の人は、日常の歩行とそんなにMETSが変わらないウォーキングから始めてみるといいでしょう。
- 普通の歩行1時間の活動量 → 1×3.0メッツ=3.0
- ウォーキング1時間の活動量 → 1×3.5メッツ=3.5
- ジョギング1時間の活動量 → 1×7.0メッツ=7.0
自転車
社会人におすすめしたい運動が自転車です。近年運動不足を気にしている社会人が通勤を自転車に切り替えるなど、社会的にも大きな話題となっています。他のスポーツと異なり、運動のための時間をわざわざ設ける必要がなく、通勤に利用することで気軽に運動を取り入れることが出来ます。
自転車通勤1時間の活動量 → 1×4.0メッツ=4.0
運動としての自転車1時間の活動量 → 1×7.5メッツ=7.5
水泳
全身運動ができ、代謝を上げることができるためおすすめなのが水泳です。ウォーキングやジョギングと比べ足に負担が少ないのが特徴で、膝への負担を気にしている方はジョギングよりもお勧めできると言えます。運動不足がけっこう気になるなら、思い切って水泳を始めてみてもいいでしょう。
- 水中歩行1時間の活動量 → 1×4.5メッツ=4.5
- 平泳ぎ1時間の活動量 → 1×5.3メッツ=5.3
- クロール1時間の活動量 → 1×8.3メッツ=8.3
テニス・サッカー・ピラティス・エアロビクス
運動不足の解消として始めるのも良いですが、いっそのこと趣味として新しいスポーツを始めてみるのも手かもしれません。代表的なのは、テニス、サッカー、ピラティス、エアロビクスなどです。これらの趣味は社会人になってから始める人も多いです。気軽に始められ、また周りの人と一緒に楽しめるようにもなります。
必要な時間や費用はスポーツによってさまざまですので、自分の仕事や生活習慣と合ったスポーツを選ぶことが重要です。ぴったりと合った趣味を見つけることが出来れば、嫌々ではなく楽しく運動不足を解消することができ、体の不調も改善できることでしょう。
ピラティス1時間の活動量 → 1×3.0メッツ=3.0
腕立て伏せ・腹筋1時間の活動量 → 1×3.8メッツ=3.8
社交ダンス1時間の活動量 → 1×5.5メッツ=5.5
サッカー1時間の活動量 → 1×7.0メッツ=7.0
テニス1時間の活動量 → 1×7.3メッツ=7.3
エアロビクス1時間の活動量 → 1×7.3メッツ=7.3
運動不足解消はサークルに参加するという手も
一人ではなかなか運動を始めることはできないという方は、サークルに入ってしまうのをお勧めします。サークルに入ることでいろいろな人と交流が生まれるため、一人で運動を続けることが出来ない人にとっては非常に効果的な参加方法になります。
たとえ運動したくない日があったとしても、あの人も来るなら行こうかなぁといった、別のモチベーションが生まれることもあります。出会いがあまりなく友達や恋人が欲しいと思っている社会人にとって、運動不足解消のためにサークルに入るのは最良の手段です。
デスクワーカーが運動不足を解消する方法
運動不足になりやすい職種と言われて真っ先に思い浮かぶのがデスクワーカーです。様々な職種の中でも圧倒的に運動不足だと感じている社会人が多く、運動不足により体に多くの不調を訴える方も多いです。仕事でほとんど動くことがないデスクワーカーは、仕事の合間の時間を上手く使って運動をするようにしてみましょう。ほんの少しの運動でも、運動不足解消に役立ちます。
足の指先をグーパーする
椅子に座ったままの状態で、足の指先を開いたり閉じたりグーパーしてみましょう。デスクの下で誰にも見られずにできますので、「社会人なのに」と上司に怒られる心配はありません。1時間に1回くらいはグーパーを何度か繰り返して、末端の血流を促すようにしてください。血流が良くなると、ふくらはぎのむくみも解消されていきます。
鎖骨を刺激する
左の鎖骨のくぼみに右手3本の指を軽く押し当て、5つ数えたらポンと放してください。これを3~4回繰り返したら、反対も行います。鎖骨周りはリンパの流れが最終的に集まるところと言われています。鎖骨周りの流れを良くすることで、血の巡りが活発になります。やり過ぎると心臓がバクバクしてきますので、少し物足りないくらいの回数にとどめるようにしてください。
背伸びをする
肩周りが固まったままだと肩こりになり、血液の流れを妨げてしまいます。業務の合間に、時々両腕を高く上げて背伸びをしてください。このとき、まっすぐ上げた両腕をほんの少しだけ背中の方に倒すことを意識します。そうすることで、首から背中にある大きな僧帽筋にも効いてきます。倒す目安は、上げた腕が耳の側または耳の後ろあたりです。気持ちいいと感じるところで止め、グーッと上に伸ばしてみましょう。
腰を伸ばす
腰が痛くなるのは、腹筋が弱いせいかもしれません。腹直筋が6つに割れたシックスパックを目指す必要はありませんが、腰痛予防のためにまずは腰をストレッチすることから始めましょう。椅子に腰かけたまま行うのはちょっと恥ずかしいので、トイレ休憩などで行うといいです。
立った状態で下半身は動かさず、腰から上の上半身を右に90度ひねります。少しキープしたら、今度は左に90度ひねり、これを何度か繰り返します。次は、膝を軽く曲げて上半身をだらんと前に倒し、二つ折りケータイのような状態にします。腰が伸びるのを感じられる位置を探しながら角度を調整し、気持ちいい場所が見つかったらそこでキープします。
股関節を伸ばす
股関節を伸ばす運動はちょっと恥ずかしいので、誰も見ていない時に試してください。まず、お相撲さんが四股を踏むように両足を左右に大きく広げます。これだけでも元に戻した瞬間に股関節が伸び、足の付け根にあるリンパが勢いよく流れます。もう少しできる人なら、少しでいいので片方ずつ足を上に上げてみてください。何度か繰り返すことで足の付け根が温かくなるのを感じられます。
階段を使う
勤めているオフィスが上階にある人は、出勤・退勤時に階段を使うようにしてみましょう。一段一段階段を上ったり下りたりする運動は4.0METS。階段の上り下りは太ももやお尻など大きな筋肉を動かしますので代謝も上がりやすくなり、足の衰えも予防します。慣れてきたらかかとを着地させずつま先で上る、より負荷がかかる上り方に挑戦してみてください。少しはダイエットになるかも知れません。
社会人はとにかく運動不足解消を意識すべき
運動不足を解消するにはいろいろな方法がありますが、真っ先に意識すべきなのはとにかく運動しようと心がけることです。通勤を車から自転車に変えてみる、一駅分は歩くなど普段から工夫できるポイントはたくさんあります。そういった日々の積み重ねで徐々に運動する習慣をつけるということを意識することから始めてください。もしかしたら、今までだらだらと過ごしてきて退屈だった休日が、気持ちよくリフレッシュできる日になるかもしれません。
参考文献
- 注1:草加市「まずは自分の(Ex)値を知りましょう」