制度/手続き

ポジティブアクションとは?女性の雇用に関する問題点

ポジティブアクションについてご紹介します。ポジティブアクションとは何か、ポジティブアクションのメリットとこれからの課題について解説します。また、ポジティブアクションが抱える問題点についてご説明します。

ポジティブアクションに注目しよう

女性も男性と同様に社会に進出し、活躍しようという動きが活発化している中、注目を集めているのがポジティブアクションです。男女がともに、平等に働くことができる社会をつくるためにポジティブアクションが進められています。今日盛んになっているため、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

これまでも男女の雇用を均等にしていこうという取り組みは多く見られてきましたが、ポジティブアクションはそれをよりいっそう顕著にした制度であると言えます。ポジティブアクションによって、実際に企業の女性雇用の推進が図られています。

ポジティブアクションが進めば、今後女性の社会進出は間違いなく大幅に進むことになるでしょう。そうなれば、確実に日本企業の在り方は現在とは変わることになります。もちろん今までになかった画期的な考え方が取り入れられることも予想されます。

しかし、ポジティブアクションは女性にとってのみ利点があるのでしょうか。また、本当にメリットだけを享受できるものなのでしょうか。今回は、そういったポジティブアクションの表の面と裏の面、両方について詳しく解説していきます。

ポジティブアクションとは?

ポジティブアクションとは、企業の積極的な取り組みのことを指します。働く意欲の高い女性を積極的に採用し、優秀な人材を獲得、そして育成していくという取り組みがそれに当たります(注1)。また、企業の中で生じてしまっている明らかな男女の役割分担の差について、それを解消するために自主的に行う取り組みもポジティブアクションであると言えます。

このように、ポジティブアクションは企業そのものが積極的に女性に働きかける制度であり、何かから強制されて動くものではありません。全て企業の意思により、自発的に取り組んでいくものです。その中で女性はいきいきと働くことができるようになり、今までよりも働きやすい環境を得ることができるようになるのです。

ポジティブアクションは何よりも女性が活躍するということが大前提ですから、女性の力を存分に活かすことのできる場を作っておくことが大切です。

更に、これまで男性しかしてこなかった仕事を女性にも任せられるようになることで、女性にも選択できる仕事の幅が広がります。新しい仕事に挑戦し、会社に貢献できるようになることで、女性の自己実現が更に現実的なものになると言えます。

そして、女性が継続して働くことができるようになるために、女性の求人枠を広げることも重要です。女性を多く獲得し、管理職を育てることで、全体的な勤続年数を伸ばすことを目的とするのが良いでしょう。その中で職場の環境改善に努めることで、ポジティブアクションは進められていきます。

ポジティブアクションについて社内に周知するための活動を行っている企業もあるほど、今やポジティブアクションは身近なものとなっています。ポジティブアクションに理解がない、または反対しているといった企業は今となっては少数派である、もしくはもはや皆無であると考えて良いでしょう。

ポジティブアクションのメリットとは?

ポジティブアクションを行うことによるメリットとして、女性社員からの視点を製品などに取り入れることができるということが挙げられます。これまでになかった斬新なアイディアを女性独自の目線から発信してくれることにより、企業に大きな利益がもたらされる可能性があるのです。

モチベーションが上がる

企業への利益に貢献することは、他の社員のモチベーションが上がることにも繋がります。ポジティブアクションによって女性が活躍することは、全体の士気を上げる効果も持ち合わせているのです。これが結果的に企業の生産性を高めることになります。

もちろん女性の労働意欲の向上は言うまでもありません。自分たちの働きぶりが認められ、評価されることは仕事のやりがいにも繋がりますし、日々のモチベーションの維持にもなります。ポジティブアクションの実施により、女性は以前よりも活き活きと働くことができるようになるでしょう。

優秀な人材を獲得できる

企業としては、優秀かつさまざまな能力を持ち合わせた人材を獲得できることが、ポジティブアクションのメリットのひとつであると言えます。これまでは男性に目が行っていた状況が、女性に向くことで、新しい価値観を持った人材を得ることができるのです。

ポジティブアクションにより、女性特有の価値観と創造性を企業に取り入れることで、新たな生産性の発展の可能性が考えられるようになります。そういった意味でも、企業にとってポジティブアクションはメリットが大きい制度だと言えるでしょう。

企業のイメージがアップする

ポジティブアクションを取り入れることで、企業は外部からの大幅なイメージアップを図ることもできます。女性の社会進出は現代社会において歓迎されるべきことです。そのムードの中、ポジティブアクションのように女性の活躍を尊重している企業は当然ながら良いイメージを持たれることになります。

逆差別と言われるポジティブアクションの問題

ポジティブアクションによって女性が社会に進出し、活躍の場を広げていくことはとても良いことだと手放しに喜びたいところですが、実際はそれを問題視する声も上がっています。

それが、男女雇用の均等という観点における「逆差別」です。ポジティブアクションの行きすぎは、男性に対する逆差別にあたるのではないかという議論がなされているのです。

女性の雇用をあまりにも優遇してしまうあまり、男性の雇用を疎かにしてしまうなど、女性重視の雇用が男性の雇用を追いやってしまっている可能性について考えるべきだという問題がポジティブアクションについて回っています。

しかし、女性のみを対象にした求人や、女性を有利に扱った求人については、法に触れることはないとされているため、この点に関しては法律では問題がありません。これまでのアンバランスであった男女の雇用を均等にするために、現在ポジティブアクションのように女性の雇用機会が増えているのだと考えるのが妥当でしょう。

ポジティブアクションのこれからの課題

ポジティブアクションを実施していても、現場では男女の比率を均等にすることはやはり難しいのが現状です。そのため、企業は働きにくさを感じてしまう女性が多いことも課題のひとつとして受け止めなければなりません。

企業の理解が追い付いていない

ポジティブアクションについてまだ理解が追い付いていない企業があることも事実です。知ってしまえば納得してもらえるのですが、積極的に取り組もうという意思を見せていないという企業が多いというのがポジティブアクションの置かれている現在の状況であると言えるでしょう。

ポジティブアクションに関してはもっと周知されるべきであり、多くの企業が積極的に取り組んでいく必要があります。これは政府から強制されるものではないので、それぞれが女性の社会進出を促すための一助として理解を示すべきです。

女性の管理職が少ない

女性の管理職はまだ少数であるとされており、女性が充分に社会で活躍できていると言い切れる状況ではありません。ポジティブアクションはこういった現状を打破するために必ず役に立つ制度です。ポジティブアクションがその効果を最大限に発揮するためにも、多くの企業の理解が必要であると言えるでしょう。

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ポジティブアクションで女性の活躍が広がる

ポジティブアクションは女性の社会進出を身近なものにしてくれる制度です。女性が社会で活躍できるようになるという声に応えるように作られた制度ですが、この制度に実際に助けられている女性も多くいるのではないでしょうか。

今までにできなかった仕事や、男性だけのものだと思われていた仕事にも関わることができるようになったという女性も、今日は増えてきたことでしょう。こういった、ポジティブアクションのような制度のおかげで、女性の活躍することができる機会も増えてきたと言えます。

ポジティブアクションの理解を深めていこう

女性がますます活躍できる場を作るために、そして更に新しい仕事へと挑戦できる場を設けるためにも、ポジティブアクションは今後更に需要が増していくと考えられます。ポジティブアクションに関して今はまだ知らない、聞いたことがないといった企業のトップの人たちも、いずれは必ずこのような取り組みに触れることになることでしょう。

女性の社会進出はこれからの日本を支えていくために欠かせない要因となるものです。決して疎かにすることはできません。ですから、ポジティブアクションのような制度が生まれてきたのは必然であると言えるでしょう。

これから先、ポジティブアクションによってますます女性が活躍しやすい社会を作ることができるようにするために、ひとりひとりも、ぜひとも理解を深めていくべきです。

参考文献

  • 注1:厚生労働省「ポジティブアクションとは」