産休とは?いつからいつまで?もらえる手当はいくら?
産休の制度があることは知っているけれど、どこにどうやって申請したらいいのか?休める期間は?休んでいる間の収入保証は?落ち着いたら同じ職場に戻ってこられるの?など疑問や心配がたくさんで妊娠には大敵のストレスを感じていませんか?そんなあなたにスムーズな産休の取り方をご紹介します!
産休制度を活用して安心してお母さんになろう!
妊娠は家族の幸せが増えるとても喜ばしいことですが、仕事をしてる女性にとっては不安要素の一つ。働いている女性にとって強い見方となる産休を覚えておきましょう。
会社に任されている業務の責任を考えると、「妊娠とはいえ長期で休暇をもらうのは気が引ける」「働いていない間夫の収入だけでやっていけるのか不安」「落ち着いた後会社に戻ってまた仕事を始めることはできるのか」。妊婦さんにとってストレスは大敵です。産休のシステムを理解して、仕事とマタニティライフを安心しておくりましょう。
産休とはどんな制度?
産休とは、労働基準法で定められた休業期間のことで、正しくは「産前産後休業」といいます。育児休業と混同されることも多いのですが、一歳未満の子供をもつ労働者であれば男女問わず申請・取得が可能な育休と違い、産休は実際に出産する女性のみが申請・取得することができます。
育休は雇用期間が1年未満の方や、子供が1歳を迎えた後復帰して働く意志がない方は利用できないのに対し、産休は妊娠した女性であればだれでも利用することができるという特徴もあります。
産休中の給料は会社にて規定されますが、殆どの会社が無給となります。
産休はいつから?いつまで?2つの休業期間
産休には、出産する前にとることができる休みと、出産した後に撮ることができる2つの休みがあります。
産前休業
産前休業とは、出産前に取ることが可能な休み。具体的には出産予定日の6週間前から取得できますが、双子を代表とする多胎妊娠の場合はそれだけ妊婦さんへの負担が大きくなるため14週間前から休むことができます。実際の出産日に多少の遅れがあっても、予定日から出産日までは産前休業に含まれます。
使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
労働基準法第65条
産後休業
産後休業には、出産後8週間の期間が定められていますが、このうち6週間は強制的なものです。
事業主は出産後6週間を経過していない女性を働かせることはできません。基本的には産後8週間は産後休業として休みをとることが一般的ですが、逆に女性の方から6週間経過後に復帰したいと申し出があった場合は、医師の判断があれば職場に戻ることが認められます。
出産予定日から実際の出産日が遅れてしまったとしても、産後休業の8週間が削られることはありませんので、ご安心ください。
使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えない。
労働基準法第65条2項
パートや派遣・契約社員でも産休制度を利用できる
正社員ではないから、産休がとれないと思い悩んでいる方はいらっしゃいませんか?労働基準法にはそのあたりの条件もしっかりと記載があります。どんな雇用形態でも「6週間以内に出産予定の女性労働者が請求した場合および産後8週間は、就労させてはならない」と定められているのです。雇用形態によらず、妊娠していることをしっかりと勤務先に報告し、無事に出産するための準備を整えるためのサポートを受ける権利はすべての女性が持っていると言えます。報告を怠らずできうる限り円満に制度を活用できるようにしましょう。
妊娠がわかったら会社に報告と産休の申請をしよう
産休をスムーズに申請・取得するために、妊娠がわかったらすぐに出産予定日や休業期間を会社に報告しましょう。会社は妊娠の報告を受けた際に、業務効率が落ちたり休まれてしまうからと言って解雇やその他不利益になる対応をしてはならないと定められています。
しかし、所属している会社の就業規則に産休・育休が規定されていない、またはあるかわからないと心配に思う人もいるでしょう。安心してください。会社の就業規則がどうあれ、産休・育休は男女雇用機会均等法で、妊娠・出産や育児の状況に合わせて対応することが義務付けられたものです。就業規則に記載がなくても確認したことがなくても制度は利用できるので、会社には必ず申請して利用するようにしましょう。
妊婦健診を申請するのに必要な出産予定日
産休は出産予定日を起点に休業期間が決まります。会社に産休を申請するためには、出産予定日が分かる書類が必要となり、正式な出産予定日が明記されているのが母子手帳や病院で発行してもらえる出産予定証明書です。
会社にて産休の手続きを行う際に、出産手当金の申請も同時に行うようにしましょう。
妊婦健診に利用できる通院休暇
妊娠中の母体と赤ちゃんを守るためには、定期的な健康診断が必要不可欠。妊娠23週までは4週間に1度、妊娠24週間から35週までは2週間に1度、妊娠36週以降から出産までは1週間に1度の計14回の健診を受けるために、会社の業務時間に病院にいかなくてはいけない場合もあります。妊婦健診時には、男女雇用機会均等法にて雇用主は通院休暇として休みを与えることが定められています。休みだとしても、有給か無給かは就業規則にて定められています。欠勤とは違う法律に基づいたお休みですから、安心して妊婦健診を受けましょう。
会社に申し出て通院休暇をもらいましょう。この通院休暇が有給になるか無給になるかは会社の考え方によりますが、会社から有給休暇に利用による対応を強制することはできません。逆に、有休で対応したいという女性に不承認をすることもできません。
産休中の健康保険・年金は免除されます
産休中は会社の給料が無給か有給にかかわらず、社会保険料や厚生年金保険料などは免除されます。免除ですから、病院などで保険証はそのままつかえますし、年金は払った期間として計算されるので、年金額が減るということはないので安心です。
会社から、保険協会や保険組合、日本年金機構に手続き行われるので、会社に産休の手続きさえしておけば、自分で何か手続きを行う必要はありません。
産休で休業中にもらえる給付金制度を解説
産休の申請が通ったとして、次に心配になるのが休んでいる間の収入です。共働きで家計を支えたり、
事情によっては一人で妊娠・出産・育児をすることになる方もいるかと思います。妊娠しているからと言って完全に収入が途絶えてしまうのは、生活への影響が大きく日に日に心配とストレスを感じることになるでしょう。会社の産休の考え方はさまざまですが、一般的には休業期間を無給にする企業の方が多いです。そこで、妊娠・出産を経験する女性たちを支える制度が社会保険で整えられています。出産育児一時金と出産手当金の支給条件や計算方法をご紹介します。
出産育児一時金
出産育児一時金は、健康保険に加入している人が受け取る事ができる出産費用を負担してくれる制度です。一時金として42万の支給を受けることができます。出産に伴う病院でかかった費用を負担するための制度であって主な受取方法として直接支払制度と受取代理制度があります。
- 出産した病院を通じて申請を行い、病院が一時金を受け取って精算する直接支払制度
- 出産する人が自治体や会社を通じて申請を行い、病院が一時金を受け取って精算される受取代理制度
直接支払制度は、病院で申請することで手続きが完了します。出産する病院が、受取代理制度を導入している場合には、働いている人は会社から、専業主婦で国民健康保険加入者の場合は自治体から、出産育児一時金等支給申請書を貰い、必要事項を記入し会社・自治体に申請提出する必要があります。
出産育児一時金等支給申請書には自分が記入する部分以外に、出産する病院に記入してもらう部分もありますから、病院で手続きの方法を確認しましょう。
出産にかかった費用が、42万円に満たない場合は差額を受け取ることができ、42万円を超える場合は超えた分を自費で支払う必要があります。
出産手当金
出産手当金をもらう条件は2つあります。
- 会社の健康保険に加入している
- 産休を会社に申請している
働いている人でも、勤務している会社の保険に加入せず、夫の扶養に入ってしまっている場合、または国民健康保険に加入している場合は、出産手当金の支給対象外になるので注意してください。
また、産休中の収入も注目です。産休中は会社の規定で無給だとしても、産前休業期間中に有給休暇を利用して給料を貰っていた場合は、出産手当金の金額を給料が上回っていた場合は出産手当金は支給されません。給料が出産手当金額に満たない場合は差額が支給されます。
出産手当金の計算方法
出産手当金は、「日給の2/3×産休日数」で算出されます。標準報酬月額を30日で割って出したものが日給となります。標準報酬月額は各手当や通勤交通費などと、月によって変わる残業費なども含みますので、申請する月の前月から遡って1年分の給料に対応する標準報酬月額を合算して12で割った平均額を用いて算出されます。
おおまかな目安として、標準月額報酬が20万円で、産前産後休業をすべて取得した人の給付金は約43万円となります。
出産手当金の申請の流れ
- 産休に入る前に、勤務先から申請に必要となる健康保険出産手当支給申請書を受け取る
- 出産による入院時に持参しておき、出産後に病院記入欄に記入してもらう
- 産休後に勤務先に健康保険出産手当支給申請書を提出する
出産手当の申請には、出産日など申請書への病院による記入欄と、産休中の給与・勤務実態を確認する勤務先が用意する書類が必要となります。そのため、基本的には産休後に申請することになり、出申請から振込までには2週間から長ければ4か月の期間を要します。
どうしても出産手当金を早くもらいたい場合は、産前休業分と産後休業分の2回に分けて申請することもできますので、会社に相談してみましょう。
妊娠中の通勤・職場で気を付けたいことは母性健康管理指導事項連絡カードで報告
妊娠がわかって産婦人科で検診を受けた際に、医師から特別に指導を受けた事項はなかったでしょうか?通勤ラッシュを避けるための緩和措置や、休憩を多めにとって負担を軽減するなどの指導があった場合は、「母性健康管理指導事項連絡カード」にて指導内容を会社に報告して対応してもらいましょう。
母性健康管理指導事項連絡カードが利用できない場合でも会社に相談を上げれば対応をしてもらえるので、遠慮することなく自分の体の安定を優先しましょう。
妊娠中の通勤緩和
地域にもよりますが、通勤時の混雑は妊娠中の女性にとっては大きな負担となります。妊娠中に受ける負担は身体的なものだけではなく、精神的なストレスも、つわりに影響したり悪ければ流産・早産の危険性を高めてしまいます。今は妊娠中を表すマタニティマークが存在するものの、特に通勤ラッシュ中にはそのマークの存在のせいでむしろ嫌な思いをすることさえあります。
そんな危険な通勤に対応するために、通勤時間をずらしたり・通勤経路を変更するなどを会社に申請することが可能です。通勤時間の変更は、30分~1時間を遅らせる・フレックス制度を利用するなどしストレスを緩和しましょう。
妊娠中の休憩時間
妊娠中は突然具合が悪くなることが多くなったり、疲れやすくなるため医師から休憩を多くとるよう指導される場合があります。母性健康管理指導事項連絡カードや自己申告を通して会社に休憩の必要性を認識してもらい、具合が悪い場合はすぐに休憩をできるように準備しておくと安全です。
法律では妊娠中の女性に何回休憩をとらせるようにという規定はありません。それは、妊娠中の症状はかなり個人差が激しいための配慮とされます。会社の担当者としっかり意思疎通をして自分の体と心の安定を保てる休憩時間を確保することが重要です。
措置を講じやすいのは、休憩時間の延長・休憩回数の調整・休憩時間帯の変更等が考えられます。 ほかにも、妊娠中の業務の負担を軽減するための配置転換や、有害な作業へ就くことの禁止、休日労働・深夜時間帯労働の回避等、様々な対応を会社に相談することができます。
産休からの復職はどうするの?
先に紹介した通り、労働基準法にて産後の就労禁止期間が決まっていることから、産休から仕事に戻れるタイミングとして最も早いのは、産後6週間後となります。もちろん、医師に問題がないことを認められることが絶対条件ではありますが、どうしても早急に復帰したい場合は検討してみるのもいいでしょう。
なお、多くの方は産休終了後すぐに育児休業に入られると思います。育児休業は生まれた赤ちゃんが1歳の誕生日の前日まで休業できる制度ですから、産休に入る前に会社に育児休業の期間についても相談しておく必要があります。
産休・育児休業にかかわらず、3歳未満の子供を育てるママさんに対して、会社は勤務時間を短縮するなどの措置をとらなければいけないと、育児休業法にて規定されています。
1日の労働時間の調整や、勤務開始・終了時間をずらしたり、勤務日数を減らすことも可能とされています。合わせて時間外労働の禁止などもありますので、慣れない子育てで忙しいママさんにとってはありがたい制度です。
全ては会社と相談して決める必要がありますから、体調や子供の面倒を見てくれる人の存在、保育園など子育て環境に合わせて、決して無理とならないように子育てと仕事を両立するようにしましょう。
産休制度を利用して子育てと仕事を両立しよう
妊娠・出産は女性にとってとても大きなものです。家族が増える幸せをより充実したものにするため、サポートしてもらえる制度はどんどん活用するべきです。そのために法律が整えられ、不安を払拭するための制度があるのです。ただし、それだけではまだまだ不十分です。パートナーはもちろん、会社やまわりの方々の支援があってこそ本当の意味で幸せにお母さんになれること忘れず、産休を活用するときに会社が求めることにしっかりと対応し、まわりの方々への感謝を常に心において出産に備えてください。