年下上司との関係を良好にしたい!
いまや職場に年下の上司がいることは珍しくない時代。上司とはいえ年齢は自分よりも下なので、何かと気苦労も多く、お互いにギクシャクしてしまうことも多いのではないでしょうか。
「年下上司と上手くやりたいがどうしていいかわからない」「プライドが邪魔してしまう」と考えている年上部下の方たちのために、今回は年下上司との上手な付き合い方について解説します。
年下上司と年上部下が増えている理由は?
「年功序列制度」とは勤続年数や年齢を重視して役職や賃金を上昇させる制度、「成果主義」とは昇進や昇給を実力や仕事の成果・成績によって決定する人事制度を言います。
年下上司と年上部下が増えている背景として、バブル崩壊が引き起こしたデフレや少子高齢化による年功序列制度の崩壊が挙げられます。年功序列制度が衰退することによって、年下でも実力次第で上に行くことができる成果主義の時代が訪れたのです。
また、人事制度の変移のほかに転職などの中途採用者の増加や定年後の再雇用制度の導入、雇用形態の変化などの影響も「年下上司と年上部下」という関係性を多く生み出している理由のひとつです。
年下上司と年上部下の間でありがちなトラブル
年下上司と年上部下の関係が当たり前になってきているとはいえ、年齢や立場の問題から引き起こされるトラブルは消えません。年下上司と年上部下の間でありがちなトラブルを見てみましょう。
1 「なんでタメ口」?言葉遣いに関するトラブル
年上部下目線ですと、相手が年下にもかかわらずタメ口で話しかけてきたときにイライラするという人は少なくありません。逆に年下上司の目線の考えとして「年下だと分かった途端、タメ口で話してくる人は嫌だ」という人もたくさんいます。
- 「年下のくせにタメ口で話してくるな!」
- 「私は上司なのになんで敬語を使ってこないの?」
こういった言葉遣いに関する問題は、職場における年下上司と年上部下の関係ではまさに考慮すべき事柄であり、トラブルにも発展しやすいものです。
2 「自分の方が上」態度に関するトラブル
長く会社に勤めている年上部下の場合、「年齢も経験も知識も自分の方が上だ」というプライドを持っており、年下上司に対してなかなか素直になれないことも多いものです。このように「年下に舐められたくない」という考えを持った年上部下が横柄な態度をとることで、上司と部下の関係を壊してしまうといったトラブルがあります。
3 仕事の指示に関するトラブル
上司はいわばリーダーともいえる立場であり、部下を引っ張っていく必要があります。その中で、部下に対して仕事の指示をすることもあるでしょう。
しかし、年上の上司は経験が浅く、会社という組織に加わってから踏んできた場数も少ない傾向にあります。それゆえに人の使い方が下手で頼りなかったりと、上司としてもまだまだ不十分な点があります。年上部下の中には、その姿を見てイライラしたり指示をされたくないと反発したりする方もいるでしょう。
また、年下上司側の立場としては、年上の人に向かって指示することに抵抗を感じ、仕事がスムーズに進められないという人も多く存在します。
こうした「指示を聞く・聞かない」「指示を出す・出さない」という問題も、年下上司と年上部下の間ではありがちなトラブルのひとつです。
年下上司と年上部下が上手く付き合う上で押さえたいポイント5つ
仕事場では常に気を張るものですから、できるだけ面倒な人間関係トラブルを起こさず年下上司と上手くやっていきたいところ。年下上司との関係を円滑に進める5つのコツをまとめました。
1 年下であっても上司には敬語を使って話す
職場の上司や先輩に対しては、敬語を使って話すのが社会人として基本的なマナーです。企業や会社全体の雰囲気・決まりなどによっては異なる場合もありますが、ビジネスの場における言葉遣いの基本は敬語です。年齢が自分より下だからと言ってタメ口で話すことはやめましょう。名前の呼び方も、呼び捨てではなく「〇〇さん」としたほうが良しとされます。
これは年下上司から年上部下に対しても同様です。もしタメ口で、なおかつナメたような態度を年下上司からとられ続けて耐えられないようであれば、さらに上の上司に相談してみてください。ともに仕事を頑張る部下に対しておごり高ぶった態度をとる上司は「社会人としての自覚が足りていない」と判断され、何かしらの指導を入れもらえるでしょう。
2 年上であっても部下としての役割に徹する
「上司と部下」の関係について、多くの人は漢字が示すように上下関係であると考えるでしょう。しかし、言葉の意味上はそうであっても、実際に会社側が求めている関係は違います。上司と部下は「異なる役割を担うパートナー」の関係が求められているのです。
上司の役割は、チーム(部署やプロジェクト)内での方向性と目標を決めることです。「あれやれ」「これやれ」と上から命令するのが仕事という認識は間違っています。
一方、部下の役割は、それぞれの強みと持ち味を発揮しチームの成績に貢献することです。特に経験豊富な年上の人が部下の場合は、上司がマネジメントやリーダーシップを発揮できるようサポートする役割が求められます。
自分の強みや持ち味は何なのかを見直してください。「誰にも負けないこの強みを活かして頑張ってやる」「経験は積んでいるしサポートしてやるか」という意識に持ち替えれば、自然と上手くいくでしょう。
3 年下上司の気持ちを考えてみる
年上の部下を任されるというのはなかなか難しいことです。上司も態度には出さずとも、本音では「どう接したらいいんだろう」「上手い付き合い方が分からない」と思っている可能性は十分にあります。その上で年上の部下が自分に対してあまりにも反発的な態度をとるのであれば混乱して当然です。
年下上司は、なにも自分からなりたくて年上部下の上司になったわけではないでしょう。もっと上からの指示によりその関係が成り立っています。下手なプライドは捨て、一上司として接しましょう。わからないことがある時には素直にアドバイスを求めると、関係がさらに良い方向へと向かっていくでしょう。
4 年上であっても積極的にコミュニケーションをとる
人間は自分を気に掛けてくれる人には自然と好意を持ちます。年下上司との間に距離を感じるようであれば、自分から積極的に挨拶したり話しかけたりしてみましょう。
上手なコミュニケーションができなくても、長く会話が続かなくても構いません。ちょっとした挨拶や会話の積み重ねから、お互いに話しかけやすくなるだけでも関係は良くなっていきます。
年齢差を感じているのは相手も同じです。人生経験の豊富な年上の方から歩み寄る姿勢をとるよう心掛けましょう。
5 仕事だと割り切る
人間ですから、どう工夫してもどう頑張っても上手くいかないときはあります。とはいえ上司と部下という関係ですので、異動を言い渡されるかこの職場を辞めるかしない限りはこれからも仕事で関わっていかなければなりません。
関わっているだけで不愉快な気持ちを感じてしまうこともあるでしょうが、感情的にならず「給料をもらうためだ、仕方ない」と割り切ってしまえば、ストレスもぐんと減るでしょう。
年下上司と年上部下であっても仕事は円滑に進めよう
小学生や中学生など、子どもの頃は学校という組織の中でも周りにいるのは同年齢の人達ばかり。先輩といっても必ず年上、後輩はもちろん年下で、言葉遣いやコミュニケーションに特別な注意を払う必要はなかったでしょう。
しかし、ビジネスシーンにおいては年齢に関係なくあらゆる基準で上下関係が発生します。仕事をやっていく上でたとえ年下上司と年上部下の関係になっても、気まずいから、やりづらいからという理由で「年下が上司(年上が部下)だから仕事できない」なんて言えませんし、それで立場が変わるわけでもありません。
年下上司と年上部下が上手く付き合っていくためには、年齢や立場ばかりを気にせず、お互いに人間として敬意を持って接することが大切です。