依頼文の書き方例文・お願い文をメールや手紙で書くポイント
依頼文の正しい書き方を知っていると、ビジネスシーンでもプライベートでも一目置かれる存在になることができます。依頼文を書いたことがないという人や、あまり文面を考えるのが得意ではないという人にこそ、ぜひ依頼文の書き方を覚えていただきたいです。
ビジネスシーンで依頼文を書けるようになろう
依頼文は、ビジネスの場はもちろん、個人的な用事でも書く機会が多くあるものです。もし依頼文を書く機会があった場合に、その書き方をきちんと知っておかないと、知らず知らずのうちに相手に失礼な言葉遣いをしていたり、正しくない書面を作ってしまっていたりすることが考えられます。特に目上の人に対しての依頼文であった場合には、それは大きな失態であると言えるでしょう。ですから、どういったシーンでも適切な依頼文を書けるようにしておくべきであると言えます。正しい書式を覚えておいてください。
依頼文の書き方は「お願い」と「依頼すること」をはっきりさせるのがポイント
ビジネスシーンで依頼文を書く時に忘れてはいけないのが、こちらの都合で相手に何かをお願いしているということを強く意識することです。ですから、それを踏まえて、こちらの都合を相手に押し付けすぎることなく、あくまでも聞いてもらうというスタンスをとるべきでしょう。
どういった依頼をするのかをはっきりさせることも重要です。依頼文の中で、依頼の内容がはっきりしていないと相手は困惑してしまいます。確かに強く「これをやってほしい」という書き方をして主張しすぎるのは避けるべきですが、依頼の内容をはぐらかすような書き方をしてしまっては意味がありません。ある程度、相手に伝わるように事実だけを書くようにしましょう。
依頼文の書き方の例文
実際の依頼文の文面では、用紙の右上に文書の発信日を書きます。その一段下の左上に宛名を書きますが、この時に「御中」と「様」と「各位」の使い分けに注意してください。「御中」は会社、「様」は個人、「各位」は複数を相手にした場合に使われます。
そして、その下に発信者名を詳しく書き、自分が所属する部署などを相手にきちんと伝えましょう。こうすることで、依頼文を受け取った受信者が発信者の身元を知ることができます。文書の件名は簡潔に、わかりやすいものにして一目見ただけで依頼文であることがわかるようにしておいてください。
依頼文の例文1:研修講師をお願いする時
研修の講師の依頼文の書き方を例文にとって見ていきましょう。
平成○○年○○月○○日
鈴木太郎様
株式会社○○商事
○○部 田中太郎
ビジネスマナー研修の講師のご依頼
時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、この度弊社では新入社員を対象としたビジネスマナーに関する研修を下記日程にて行う運びとなりました。
つきましては、日頃より大変お世話になっております鈴木様にこの研修における講師をお願いいたしたく、ご連絡差し上げた次第でございます。
お忙しいところ大変恐縮ではございますが、どうぞご承諾いただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
記
日時 平成○○年 ○○月〇〇日(○) 15:00~16:00
場所 東京都 株式会社○○商事 第2ホール
演題 「新入社員に必要なビジネスマナーについて」
以上
この依頼文でのポイントは、まず「ビジネスマナー研修の講師のご依頼」というタイトルを本文の前に書いておいたところにあります。こうすることで、受信者は、パッと見ただけでこの文書が依頼文であることを理解できるのです。また、「講師のご依頼」だけではなく、「ビジネスマナー研修の講師のご依頼」と詳しく書くことによって、どういった内容の依頼なのかもすぐに頭に入れることができます。
そして、「時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」という挨拶文から始まっているところにも注目してください。依頼文はきっちりと礼儀を尽くしておくところがとても重要ですから、相手に少しでも良い印象を持ってもらうためにも、こういった挨拶文は忘れずに書くようにしておきましょう。書き方のポイントとしては特に重要なところだと言えます。慣れていないとこういった文を忘れがちですが、受信者はこういった一文がないと違和感を抱いてしまいますから、気を配っておきたいところです。
依頼文の本文中で、「新入社員を対象としたビジネスマナーに関する研修」と研修の内容について情報を加えることも必要不可欠でしょう。ビジネスマナーに関する研修、と言っても、どういった層に向けての研修なのか受信者には伝わりません。そこで、「新入社員を対象とした」という情報を付け加えることによって、受信者に具体性を提示することができるのです。そうすれば、相手も承諾するかどうかを決めやすくなるでしょう。
依頼文には下記日程で行う、という一言も本文中に入れておきましょう。この言葉がないと、日程はどうなっているのか、場所はどこなのか、と受信者は困惑してしまうため、依頼文としてとても重要な言葉だと認識してください。詳しい日程は、本文の後に書きましょう。
この依頼文の肝となるのが、「この研修における講師をお願いいたしたく、ご連絡差し上げた次第でございます。」という部分です。この部分が、「講師をしてください。」だったり、「講師をよろしくお願いします。」だと、不躾な印象を与えてしまうでしょう。文書でのやり取りは、顔が見えない分、書き方が全ての感情を表現してしまいます。そんなつもりはなくても、相手には失礼だと取られてしまうことも十分ありえるのです。ですから、できるだけ丁寧で謙虚な姿勢を表せるような書き方を心がけましょう。
結びの文は「よろしくお願い申し上げます。」でも構いませんし、「よろしくお願い頂ければ幸いです。」などでも構いません。「拝啓」を使っていないのに、間違えて「敬具」で締めないように気をつけてください。
本文を書き終えたら、「記」と中心に書いてから日程や場所などの詳細を記載していきましょう。記載すべきことは、①日程(何年、何月、何日、何曜日、何時から何時まで)、②場所(住所など、相手がわかるように。相手がわかる場所なら住所は省いても構わない)、③演題(何についての研修会なのか、相手に何について話してほしいのか)といったことが挙げられます。もし研修が二部に分かれている場合には、必ずどちらの時間も書いておきましょう。
依頼文を全て書き終えたら、一行空けて右詰めで「以上」と書けば依頼文は完成です。もし社外に何かを依頼する時があれば、大体はこの形に当てはめれば問題ない依頼文が作成できるでしょう。
依頼文の例文2:上司に打ち合わせの日程を尋ねる場合
次は、社内のメールで上司に打ち合わせの日程を尋ねる場合の依頼文の例文を見ていきましょう。
件名:予算打ち合わせと取引に関するご相談の日程の件
田中部長
お疲れ様です。鈴木です。
さて、先日の会議で決定した来年度の予算に関する書類の作成が完了いたしましたので、添付いたします。
つきましては、こちらに関する打ち合わせを、来週中に行えないでしょうか。
また、その際に○○社との取引に関するご相談をさせていただきたいのですが、ご都合はいかがでしょうか。
必要と思われる書類は、こちらで用意して参ります。
お忙しいところ恐縮ではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
鈴木
この依頼文の例文2は、社内での依頼文の書き方を示したものです。上司に打ち合わせと相談をしたいから、都合が良い日を教えてほしいというのがざっくりとした要旨となっています。ですが、「打ち合わせと相談がしたいのですがいつが良いですか?」と書いてしまっては当然大問題でしょう。
依頼文を送信する時は、まずは件名で、どういった内容のメールなのかをはっきりさせておきましょう。上司としては、打ち合わせだけなのかと思ってしまうかもしれませんし、相談であるという部分を見落としてしまう可能性もあります。きちんと二つの用件があることを意識してもらう必要があります。
そして、書類を添付したことも明らかにしておきましょう。これは依頼文に限らず、全てのメールの文面に共通することですが、ファイルを添付したら必ずその旨を本文に記載しなければなりません。そうでないと、受信者は安心してそのファイルを開くことができないからです。もしかしたらウイルスかもしれないと考えられてしまっても仕方のないことですから、ファイルを添付した時はきちんと本文に一言添えておきましょう。
依頼文として重要なのは、「こちらに関する打ち合わせを、来週中に行えないでしょうか。」という書き方です。「来週中に」という曖昧かつ少しだけ限定的な書き方をすることによって、相手はスケジュールを組み立てやすくなります。明日か明後日、と言われると、そんなに急にはむりだ、という人も多いでしょうし、来月に、と言うと、そんなに先のことはわからない、という人も多いでしょう。それに、そこまで先延ばしにできるビジネスの案件はそれほど多くはありません。
ですから、「来週中」くらいの遠さがちょうど良いのです。この時に、何時間程度の打ち合わせになるかがわかれば指定してしまっても構いませんが、どの程度話が長引くかはわかりませんから、それは目上である相手から指定されるのを待った方が良いでしょう。
同時に、「その際に○○社との取引に関するご相談をさせていただきたいのですが、ご都合はいかがでしょうか。」と付け加えることで、他に相談したいことがあるけれど、それも話して大丈夫かどうかという伺いを立てることができます。ここであまり不躾になったり、態度が大きくならないように気をつけてください。話を聞いてもらうのが当然であるといったような書き方をしてしまうと、相手に不快感を与えてしまいます。
「必要と思われる書類は、こちらで用意して参ります。」という一文は、もし上司がどういった相談をしたいのかと返信をしてきた時に、このような書類を持参してご相談する予定です、と答えることができるようにしておくための布石です。書類もなしに、手ぶらで来るつもりなのだろうか、と思われてしまっても印象が悪いですし、準備をきちんとしていることを知ってもらうためにも一文入れておく方が良いでしょう。
社内の依頼文はほとんどがメールで行われます。そのため、正確さや礼儀正しさだけではなく、レスポンスの速さも求められると言えるでしょう。特に、上司に対する依頼文は必要であれば急いで作成しなければなりません。そういった時に、焦らずに対応できるようにしておきましょう。
依頼文の例文3:披露宴の祝辞をお願いする時
プライベートで披露宴の祝辞をお願いする場合の依頼文の例文を見ていきましょう。
拝啓 寒さの中にも春の足音が聞こえてきます。鈴木先生におかれましては、お変わりなくお元気でお過ごしのこととお慶び申し上げます。
この度、私はゼミの先輩である山田涼子さんという方と結婚する運びとなり、○月○日に披露宴を執り行うことが決定いたしました。
つきましては、大変恐縮なのですが、かねてよりお世話になっております鈴木先生より、お言葉を頂戴いただきたいと思いお手紙を差し上げた次第でございます。
突然のお話で不躾ではありますが、ご一考いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
この依頼文の例文3の場合は、「拝啓」「敬具」と時候の挨拶を忘れないようにしましょう。披露宴の祝辞の依頼ということで、相手は目上の人ですから、こういったマナーはきちんと守っておくべきです。時候の挨拶はその季節に合ったものを間違いなく使えるようにしておきましょう。また、「お変わりなくお元気でお過ごしのことと思います」のような言い回しは定型文ですから、覚えておくと便利です。
どのような関係の、誰と結婚をするのかを伝えるのかも大事です。特に祝辞をお願いする人と関係の深い人との結婚であれば、尚更のことでしょう。披露宴を何日に執り行うのかを明記することももちろん大事ですが、自分が結婚する相手の情報も少し伝えておきましょう。
「お言葉を頂戴いただきたいと思いお手紙を差し上げた次第でございます。」という書き方も、依頼文として重要なポイントです。祝辞をください、と直接的な言葉で伝えてしまうと、どうしても失礼にあたってしまいますから、柔らかい書き方を考えなければなりません。
依頼文をきちんと書くのはビジネスマンのたしなみ
依頼文がきちんと書けていると、なるほどこの人はビジネスマナーがきちんと身についている人なんだな、と社内外問わず認めてもらえますし、プライベートでもよくできた人だと感心してもらえることでしょう。依頼文を書いたことがないという人も、この先必ず書く機会はあるでしょうから、その時のためにぜひ書き方を頭に入れておいてください。依頼文は、相手の気持ちを尊重することが何よりも大切です。形式ももちろん大事ですが、書き方とともに、どういった気持ちで書けば良いのかということも意識しておきたいところです。