ビジネスマナー

ビジネスマナーとして習得したい電話のかけ方受け方

ビジネスマナーとしての電話のかけ方の基本について詳しく解説します。不在の場合にどうするべきか、伝言の伝え方などについてご説明した上で、「もしもし」という言葉に代わる電話の受け方と正しい敬語についてご紹介します。

電話で気を付けるべきビジネスマナーとは?

ビジネスにおいて電話対応は避けては通れないものです。もしかしたら、気づかないうちにマナー違反をしているかもしれません。そこで今回は、会社のイメージを損なわないビジネスシーンでの電話マナーについて詳しく解説していきます。

電話のかけ方

電話をかける時は、いつもより明るい声で話すことを心がけましょう。慣れるまでは、名乗りを練習してからかけると、少し緊張がほぐれます。

伝えたい要件をまとめてからかける

電話の一番良いかけ方は、自分の中で相手に伝えたい用件をまとめてからかけるという方法です。これができていないと、無駄な時間がかかってしまいますし、要点が正しく伝わらず、相手に迷惑が掛かってしまいます。電話をかける時は必ず手元にメモ帳を準備し、相手の返答と自分の言いたい事を整理できる準備をしておきましょう。

電話料金がかかっていることを忘れない

電話料金がかかっている事も忘れないようにしましょう。電話をかける事は、無料でできる事ではありません。経費がかかっている事を意識してください。

相手が電話を取りにくい時間帯は避ける

朝一にかけると、相手は朝礼や掃除などをしていて電話を取りにくい状況にあることが多いため、急がない用事の時は、始業時間から30分程度は間を空けた方が良いでしょう。同じく電話を取りにくい時間帯としては、昼休みにあたる12時から13時は、相手が不在である事が多いです。

また、休憩時間に電話をとってもらう事になってしまうのは失礼にあたるため、避けるべきです。相手方の終業時間がわかっているのであれば、その直前や直後など、向こうが慌ただしく動いている時間にはできるだけ電話をかけないように心がけましょう。

電話はかけた方が切る

電話の切り方は、「かけた方から切る」のがマナーです。指で電話のフックを押さえてから受話器を置くと静かに切る事ができます。ただし、相手がお客様である場合は、向こうが先に切ったのを確認してから切ります。

相手が不在の時はかけ直す

自分の用件を伝えたい相手が不在だった場合には、戻り時刻を尋ねてから電話をかけ直すと伝えて電話を切ります。相手の用件でかけた場合は、その事を伝えた上で、折り返してほしいという事を頼み、社名と氏名、連絡先となる電話番号を伝えてから電話を切ります。

どちらの場合も、「いつもお世話になっております。」などのあいさつと、用件を伝えたい相手の所属している部署と氏名を告げる事を忘れないようにしましょう。また、日時や時刻などを伝えた場合は、復唱する事が大切です。

伝言を頼むときは頼んだ相手の名前を確認する

伝言を頼む場合は、あらかじめまとめておいた内容を簡潔に話して、感謝の言葉を告げるとともに伝言を受けてくれた人の氏名を確認しておく事を忘れないようにしてください。こうする事で、未然にトラブルを防ぐ事ができます。

感謝の言葉でしめくくる

最後は「ありがとうございました」など、感謝の言葉を使って会話をしめくくりましょう。本人が電話に出なかった場合でも、基本的なマナーはきちんと守るべきです。

電話の受け方

突然目の前の電話が鳴ると、ドキドキするものです。そんな時は「ふぅ~」と短めに一息ついてから電話をとってください。

3コール以内にとる

電話を受ける時のコール回数は、3回以内に取るのが相手を待たせているという気持ちにさせずに済むという基準です。4コール以上鳴らしてしまった場合は、「大変お待たせ致しました」と一言謝罪の言葉をかけるようにします。この時、焦っていてもメモを手元に準備する事を忘れないようにしましょう。

もしもしと言わない

「はい、株式会社○○でございます」と電話を受け、もしもしと言わないように気を付けてください。朝10時までなら「おはようございます」を使っても問題ありません。

相手が名乗らない場合は名前を聞く

もし相手が名乗らなかった場合は、「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」と言って尋ねてください。この時、「○○様、恐れ入りますが御社名を伺ってもよろしいでしょうか?」と、相手が属する会社名も忘れずに聞きましょう。問いただすようなトーンにならないように注意してください。

「○○会社の○○様でいらっしゃいますね。」と、相手の会社名と氏名を復唱し、忘れないようにメモします。もしもこの時聞き取れていなかったら、「大変申し訳ございません、もう一度お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」と必ず確認しましょう。

待たせる時間は30秒以内

また、「少々お待ちください」と言って良いのは大体20秒から30秒以内です。30秒以上かかる時は「今しばらくお待ちください」、1分以上待たせてしまいそうな時は「今しばらくお待ちいただいてもよろしいでしょうか」、それ以上時間がかかりそうな時は、「大変申し訳ございません。少々時間がかかりそうなので、のちほどこちらから折り返しお電話させていただくようにいたしますが、よろしいでしょうか?」と、折り返す提案をするなど、相手に配慮をしましょう。

担当者が不在の時は理由を伝える

電話に出るべき担当者が不在である場合は、会議中である、外出中である、などといったように、不在である理由を伝えます。ただし、詳細は伝えなくて構いません。もし休んでいる場合は、「申し訳ございません、○○は本日休みをいただいております。」と答えます。

担当者が外出中で連絡が取れない場合は、「申し訳ございません。○○は外出中のため、戻り次第こちらからご連絡させていただきますが、いかがでしょうか?」と提案します。

担当者が電話中の時は折り返すことを提案する

指名され、取り次がなければいけない相手が電話中である場合は、「申し訳ございません。ただいま○○は他の電話に出ております。終わり次第、こちらからご連絡させていただきますが、いかがでしょうか?」と提案します。

不在、または電話中などで電話を受けられなかった時に、「こちらから折り返します」と断言してしまうのは少々一方的な印象を与えてしまいます。「ご都合はいかがでしょうか?」「折り返しご連絡いたしましょうか?」など、提案する形で問いかけるのが良いでしょう。

電話を折り返すときは必ず連絡先を確認する

相手が折り返してほしいと言った場合は、「かしこまりました。それでは恐れ入りますが、念のため、お電話番号をちょうだいしてもよろしいでしょうか?」と相手の連絡先を確認しておきましょう。

電話の折り返しをお願いする時は対応できる時間を伝える

こちらから折り返す事を要求する場合は、「○○時でしたら都合がつきますので、お手数ですが折り返しのお電話をいただいてもよろしいでしょうか?」とこちらが確実に対応できる時間を伝えた上で、折り返してもらうようにお願いします。

伝言を預かった時は内容を復唱する

相手から伝言を預かった場合は、内容を確認するために復唱するようにしましょう。この時も、「それでは復唱させていただいてもよろしいでしょうか」「確認させていただきます」などといった言い方をする方が柔らかく、相手に好印象を与える事ができます。相手から預かった伝言の内容は必ずメモに残し、伝言相手に正しく伝えられるようにまとめておきましょう。

答えられない時は曖昧にしない

問い合わせなどに自分で答えられなかった場合は、すぐに上司や先輩に代わってもらったり、わからない事をごまかすように答えない事が大切です。調べてわかるものであれば、「お調べいたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか?」と時間がかかる事に対して了承を得るようにしましょう。

電話を取り次ぐときは保留ボタンを押す

誰かに取り次ぐ場合は、「○○社の○○様からお電話です」と言う他、用件がわかる場合はその内容についてである事も同時に伝えると良いでしょう。また、取り次ぎ相手が近くにいても、必ず保留ボタンを押して取り次ぐようにしましょう。

「もしもし」という言い方に代わる電話の受け方

「もしもし」という言葉は元々、「申す申す」「申しあげます、申しあげます」という言葉の略語です。「申す」は、目下の人が目上の人へ向けて使う謙譲語ですが、ビジネスシーンにおいて略語を使うのはマナー違反にあたるため、使ってはいけないとされています。

元々は若者言葉であったという説もあり、その名残として「もしもし」が使われているという考え方が強いため、相手に対して失礼だと感じる人も多くいます。また、言葉を略している事で、相手を自分より下に見ているととらえる人もいます。では、「もしもし」という言葉の代わりにはどのような言い方をすれば良いのでしょうか。

「はい」

一番短くてわかりやすいのは、「はい」です。「はい、株式会社○○です。」聞き覚えがある方も多いのではないでしょうか。相手も気分が良く話し出す事ができる、とても良い電話の受け方の出だしだと言えるでしょう。

「お世話になっております」

「お世話になっております」も面識がある相手からなら、一番良いあいさつだと言えるでしょう。ポピュラーな言い回しですし、双方ともに不快な思いをする事がないので、無難なあいさつです。

「お電話代わりました」

誰かから取り次いでもらった時には、「お電話代わりました」と言います。担当者である自分が直接電話に出られず他の人が電話に出た場合は、この言葉を使って電話を受けます。

電話越しの声が小さく聞き取りにくい場合は、「恐れ入ります、お電話が少々遠いようでございますので、もう一度おっしゃっていただいてもよろしいでしょうか?」とクッション言葉を使うと良いでしょう。

電話対応時に使う敬語

ビジネスにおける電話対応では、敬語を使います。使う言葉次第で会社の印象を左右してしまうので、くだけた言葉は使わないようにしてください。

「いつもお世話になっております」

電話をかける時や、名乗った後に続けて言ったり、電話を受ける際に相手が名乗った後に使う「いつもお世話になっております」という言葉は便利なので、すぐに言えるようにしておきましょう。相手もおそらくこの言葉を使うので、それに応えるように使う事になります。

あいさつとしては、これに加えて「先日は大変お世話になりました」「その節はお忙しいところ誠にありがとうございました」などがあります。

「恐れ入りますが~でしょうか」

「恐れ入りますが~でしょうか?」という、名前や時間、話の内容などを確認するための言葉もあります。何かを尋ねたり、依頼したり、お願いする時に使います。

「恐れ入りますが、○○様はいらっしゃいますでしょうか?」
「恐れ入りますが、ご伝言をお願いできますでしょうか?」
「恐れ入りますが、折り返しご連絡をいただけるようにお伝えいただけますでしょうか?」

「お時間を頂戴してもよろしいでしょうか」

こちらから電話をかけ、目上の人やお客様に時間をとらせてしまう時は、「お時間を頂戴してもよろしいでしょうか?」「今、お時間よろしいでしょうか?」「今、お電話よろしいでしょうか?」と言います。

「いらっしゃいますでしょうか」

相手が不在かどうかを確かめる時は「いらっしゃいますでしょうか?」が基本的な言い方です。これだけは緊張していても間違わないようにしたいところです。

「お戻りは何時ごろのご予定でしょうか」

いつまで不在なのかを確かめたい時は、「お戻りは何時頃のご予定でしょうか?」と尋ねましょう。相手の戻り時間がわからないと答えられた場合などには、「恐れ入りますが、折り返しお電話をいただけるようお伝えいただけますでしょうか」とお願いし、自分の会社名と部署名、氏名、電話番号を伝えます。

また、こちらから折り返す旨を伝える時は、「こちらから改めてお電話させていただきます」「のちほどかけ直しますので、そのようにお伝えください」と言います。

同じ相手が不在のために何度かかけ直す事になった場合には、謝罪の意を伝える事が大切です。「先ほどお電話いたしました○○会社の○○と申します。たびたびのお電話誠に申し訳ございません。恐れ入りますが、○○様はお戻りになられていらっしゃいますでしょうか?」と言い、再度いつ頃相手と連絡がつくのかを確認します。

それでもわからない時は、もう一度何分後に折り返すと告げるか、向こうからの折り返しの電話の申し出がある場合はそれを受けます。

「さようでございますか」

相手に対するあいづちは「さようでございますか」を使いましょう。話を理解して返事をする時は、「かしこまりました」を使います。電話を切る時には「失礼いたします」です。伝言を頼まれた場合は「はい、承ります」に続けて、「わたくし、○○が承りました」と必ず名前を名乗り、確かに伝言を受け取った事を相手に念押しします。

「そうなんですね」はNG

「そうなんですね」というあいづちはカジュアルすぎてマナー違反とされているため、気を付けてください。日常会話でよく使われる「なるほど」「なるほどですね」は「なるほど、そうですね」を略した言葉であり、本来は目上の人に使ってはいけない言葉です。「なるほど」の代わりに、「おっしゃる通りです」を使うのが良いとされています。

電話でクレームを受ける時の対応方法

クレームを言うお客様に対して一番言ってはいけないのは、反発するような言葉です。「でも~」「ですが~」「しかし~」などは禁句です。「わかりません」「それはそうですが」などの曖昧な態度も、相手の怒りを増大させてしまいます。

まずはお詫びをする

まずは相手を不快な気持ちにさせてしまった事に対してお詫びをします。そして相手の話を最後まで聞き、言いたい事を全て言い切ってもらいます。相槌は適当なポイントで打ち、聞き流すようなやる気のなさそうな態度を見せてはいけません。

電話を何人も交代しない

電話を受けた本人が担当者、責任者でなく、かつ担当者や責任者が不在であった場合でも、責任をもって私が伝えますと言い、電話を何人もの間で交代しないようにしましょう。

対応を代わる場合は交代する人に短く概要を伝える

そうはいっても、自分で対処しきれず、どうしても先輩や上司に電話を代わってもらわなければならない場合があります。そんな時は、今までの会話の内容を変わってもらう人に端的に伝えてください。焦って何も伝えずに電話を代わると、代わった人がまた初めから同じことを聞かなければならず、相手の怒りを増幅させてしまいます。

メモを取る

お客様から何が問題なのかをきちんと聞き出します。担当者や責任者にクレームの内容を引き継げるように、メモを取る事を忘れないようにしましょう。しかし、クレームの全容がわからないうちに、全面的な謝罪をしてしまうと、のちのちトラブルに発展しかねないので避けるべきです。

感謝の気持ちを伝える

自社製品を購入してくれた、またはサービスを受けてくれたなどの事実がある場合は、「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えるようにします。

保留は短めに

保留にしなければいけない場合は、長引くようであれば一度切ってから折り返してかけ直しましょう。この時も間を空けてはいけません。なるべく早く対応できるように心がけてください。

電話では対面以上にビジネスマナーに気を付ける

電話でのやり取りは、お互い顔が見えない分、対面での会話よりも一層マナーに気を付けておくべきであると言えるでしょう。少し言葉遣いを変えるだけでぐっと印象が変わる事は間違いありません。ぜひ今日から気を付けてみてください。