ビジネスマナー

お知らせの書き方・例文・的確な情報伝達のためのビジネスマナー

お知らせの文書の正しい書き方をご存知でしょうか。お知らせしたいことを適当に書いておけば、あとは勝手に相手が読んでくれるだろう、と考えていると、自分が意図していることと全然違う情報が伝わってしまう可能性があります。伝達不足にならないように、書き方をマスターしましょう。

お知らせの書き方を覚えて相手に正しい情報を伝えよう

何かをお知らせするためのメールや手紙は、社外内問わず送ることがあります。ですから、その時のために正しい書き方を覚えておきましょう。

お知らせしたいことをきちんと書くことができていないと、せっかくお知らせ文書を送っても、相手に内容が正しく伝わらなくなってしまうことがあります。そうなると、思いもよらぬトラブルを招きかねません。自分が相手に知らせたいことは何なのか、それを意識した書き方をできるようにしておきましょう。

お知らせの書き方のポイントは情報を正確にまとめること

お知らせの文書の基本は、知らせたいことを正確に伝えることです。書式が定められているのは、お知らせしたいことを周知徹底させるためであると言えるでしょう。ですから、自分がお知らせを送ることになったら、まずは情報を整理するべきです。どういったことをお知らせの文書に載せるのかについて考えてみてください。

お知らせに載せる情報は長すぎたり、余計なことを加えてボリュームを増やしすぎたりしてはいけません。伝えたいことだけをコンパクトにまとめるようにしましょう。お知らせを受け取る相手は、情報を得たいと考えています。素早く情報を飲み込むためには、送り手の工夫が必要なのです。

お知らせの文書では、何かの案内や通知、挨拶などを行うことがあります。そういった時に、何を目的としたお知らせであるかが伝わりにくくなってしまうと、肝心の用件を印象付けることができなくなってしまう可能性があるのです。

特に、社外に送るお知らせの書き方には一層気を配る必要があります。自社のイメージを悪いものにしないためにも、慎重に文書を作成していきたいところです。マナーがなっていない文書を受け取ったら、相手は不快に感じてしまうでしょう。

お知らせの正しい書き方を3つの例文で見てみよう

ここからは、営業部の電話番号変更のお知らせ、閉店のお知らせ、新商品再入荷のお知らせという3種類のお知らせの書き方の例文を見ていきましょう。

例文1.営業部の電話番号変更のお知らせ

平成○○年○○月○○日

株式会社○○
営業部 ○○○○様

株式会社○○
営業部 ○○○○

営業部の電話番号変更のお知らせ

拝啓 貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素よりご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、この度、弊社の営業部におきましては、下記の通り電話番号を変更することとなりました。つきましては、大変お手数ではございますが、弊社の電話番号に関するご訂正をしていただければと存じます。よろしくお願いいたします。

敬具

新電話番号:03-0000-0000
新FAX番号:03-0000-0000
変更日時:平成○○年○○月○○日 午後3時より

以上

ビジネス文書で重要な日付は右上に書く

まず、左上に日付を記載します。ビジネス文書では日付が重要ですから、ここは忘れないようにしましょう。特にこういった通知書の意味合いがお知らせの文書では、いつ送られてきたのかをはっきりさせておく必要があります。

宛名は左詰めで略称を使わずに書く

次に、左詰めで相手の企業名と部署、フルネームを記載してください。この時、企業名は略さずに書きます。「株式会社○○」を「(株)○○」と書いたりしないように気をつけましょう。正式な文書での書き方で、略称は失礼にあたるため、どれだけ長い企業名であったとしても、略すことはせずに全て書くようにしてください。

また、部署名がわかっている場合や、その人にあてて送らなければいけないという場合には、きちんとそれも書いておくべきです。誰にあてて送られたお知らせなのかがわからないと、受け取った側で不審に思われてしまうことがあります。もちろんその時も、部署名を略すことはしてはいけませんし、宛名はフルネームで書きましょう。

差出人は右詰めで所属部署名も必ず書く

そして、右詰めで、差出人である自社名と自分の所属している部署名、自分のフルネームを記載します。この時も、「㈱」という略称は使わず、「株式会社」としましょう。また、自分の所属している部署は明らかにしておきましょう。どの部署の人だっただろう、と思われてしまう可能性もありますから、できるだけ差出人の情報は多い方が良いと言えます。もちろん、自分の名前はフルネームで記載しましょう。

お知らせのタイトルは分かりやすいものを中央に書く

次の段の中央に、お知らせのタイトルを書きます。この例文の場合は、「営業部の電話番号変更のお知らせ」が適切でしょう。タイトルは、一目見ただけでお知らせの文書の内容が把握できるものにするのが理想的です。お知らせの書き方として重要なのは、何よりもわかりやすさですから、その文書を何のために送るのかを考えてみた時に思い浮かんだことをタイトルにしてください。それがそのお知らせの主旨であると言えるでしょう。

本文は「拝啓」から書き始めて時候の挨拶は不要

そこから本文に入っていきます。「拝啓」から始めるのは、他のビジネス文書と変わりません。ただ、時候の挨拶は必要ありませんから、そこは注意しておきましょう。「貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」はビジネス文書の始まりの定型文です。お知らせの文書だけではなく使うことができる汎用性が高い一文なので、ぜひ覚えておいてください。

「平素よりご高配を賜り厚く御礼申し上げます。」は、「平素よりお世話になっております。」や「いつも大変お世話になっております。」などに置き換えることもできます。どの表現を使っても問題はありませんから、その場に応じたものを使いましょう。

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このお知らせの主旨である「営業部が電話番号を変更した」という件ですが、いきなり本題に入るのではなく、「さて」という接続詞を使ってから切り出していくようにしましょう。一呼吸置くことによって、文章としての体裁を整えることができます。お知らせの書き方は、普通のビジネス文書の書き方の基本を応用したものですから、用件だけを並べれば良いというものではありません。きちんと相手が読みやすいように書かなければならないのです。

新しい電話番号は本文中に書かない

そして、電話番号を変更するという旨を伝える一文ですが、本文中で電話番号を記載するのではなく、「下記の通り電話番号を変更することとなりました。」としましょう。こうすることで、受け取った相手は情報を確認しやすくなります。お知らせの本文はあくまでもすっきりと、シンプルな書き方にすることを意識してください。

お知らせを読んだ相手を慮る一言を入れる

また、自社の電話番号を変更するということは、相手方もそれに伴って登録しているデータを書き換えなければならないということになります。ですから、それについても言及しておく必要があります。「大変お手数ではございますが、弊社の電話番号に関するご訂正をしていただければと存じます。」というのは、そういった意味を込めた一文です。「大変お手数ではございますが」、「お忙しいところ恐縮ですが」、「お手数をお掛けしますが」、など、言い回しは色々ありますが、相手を慮る書き方をしましょう。

本文の最後は「敬具」で締めることを忘れない

本文を書き終えたら、「敬具」で一旦締めます。「拝啓」を使った場合は必ず「敬具」が必要になるので、書き洩らさないようにしましょう。

ビジネス文書においての敬具の使い方と位置

本文の下に新しい電話番号を書く

本文の下には、新しい電話番号を書かなければなりません。「下記の通り」と書いた場合、中央に「記」と書き、その下に詳細を書いていくことになります。今回の例文も、その通りになっています。「記」の下に、新しい電話番号とFAX番号、何日の何時から変更になるのかといった、相手が知りたい情報を詳しく書いておきましょう。

それをお知らせすることによって、相手からこれはどうなのか、あれはどうなのか、と再度問い合わせをされることがないようにしてください。お知らせを受け取った相手にそういった手間をかけさせてしまうことがないようにしましょう。

お知らせは基本的に一方的なもので構いません。こういったことがあります、といった通知であると考えて問題ありませんから、それに対して相手側から何らかのリアクションがあるということはあまりないでしょう。むしろ、差出人であるこちら側の情報が不足していたために聞き返されてしまった場合などは、お知らせの書き方が間違っていたということになります。

例文2.閉店のお知らせ

平成○○年○○月○○日

株式会社○○
代表取締役社長 ○○○○様

株式会社○○
代表取締役社長 ○○○○

○○店舗閉店のお知らせ

拝啓 貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。さて、この度弊社は、他店舗の更なるサービス向上を目指すとともに、更に業績をよりよいものとするために、平成○○年○○月○○日をもちまして○○店舗を閉店することとなりました。
これまで御贔屓にしていただいた皆様には誠に申し訳ございませんが、ご理解いただければ幸いでございます。また、大変勝手ながら今後も何卒よろしくお願い申し上げます。
失礼いたします。

敬具

この場合は、「○○店舗が閉店する」ことだけを伝えることができれば良いので、お礼などはまた改めてするとして、とりあえずお知らせだけをしておくというシンプルな書き方をしましょう。お知らせとお礼は違うものですから、書き方も全く異なります。どちらも同時にしようとすると、ごちゃごちゃになってしまうので、主旨はひとつに絞りましょう。

タイトルはわかりやすく書く

タイトルはわかりやすく、「○○店舗閉店のお知らせ」で良いでしょう。「株式会社○○の○○店舗閉店のお知らせ」のように、わかりきったことを付け足して書いてしまうと、長くなるばかりで意味がありません。相手は「株式会社○○」から届いたお知らせだとわかっているのですから、不要な情報は省きましょう。

本文中には閉店理由を必ず書く

そして挨拶を述べ、本文へと移っていきます。店舗が閉店する運びとなった経緯を書き、具体的に何日に閉店するのかをお知らせしましょう。この時、「平成○○年○○月○○日に○○店舗を閉店します。」とだけ書くと、どうしてもぶっきらぼうで、不躾な印象を与えてしまいます。相手に失礼な印象を与えないためにも、どのようなことがあったために店舗を閉店するのかといったことは必ず書くようにしましょう。ビジネス文書のお知らせでは、こういった書き方をすることが求められるシーンが多くあります。

謝罪の気持ちを伝える一文を入れる

「これまで御贔屓にしていただいた皆様には誠に申し訳ございませんが、ご理解いただければ幸いでございます。」というような一文は必ず入れておくべきです。自分達の勝手で閉店するのだから、どうかその点を理解してほしいという謝罪の気持ちは伝えるべきでしょう。お知らせは取り急ぎ送るものですが、そういった気持ちはなるべく早く伝えるべきですし、こちらの印象が良くなりますから、謝罪の一文は書いておいてください。

今後も付き合いを続けたい旨の一文も添える

そして、「大変勝手ながら今後も何卒よろしくお願い申し上げます。」という一文は、お知らせの内容の次に大事なものであると言えるでしょう。どうか今後も付き合いを続けてください、という気持ちを率直に伝えてください。閉店する店舗があっても、他の店舗や親会社がなくなるわけではないのであれば、尚更繋がりは大切にしておきたいところです。

例文3.新商品再入荷のお知らせ

平成○○年○○月○○日

株式会社○○
営業部 ○○○○様

株式会社○○
東支店 営業部 ○○○○

新商品再入荷のお知らせ

拝啓 貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、この度弊社東支店に、新商品である「○○」が再入荷いたしました。先日より品切れをしており、ご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんでした。

他の支店でも品薄となっておりますので、ご入用の場合はぜひお早めにお申しつけください。よろしくお願い申し上げます。

敬具

これは品切れしていた新商品が、東支店という店舗に再入荷したというお知らせの文書です。こういったお知らせの書き方のポイントは、まず何の商品が再入荷したのかをはっきりと記載するということです。新商品と言っても、どの製品のことか相手に伝わらないということも考えられますし、相手がこちらの持つ全ての商品のことを把握しているとは限らないと考えておきましょう。

そして、品切れをしていたことについて謝罪することも忘れないでください。先方は、その商品が手に入らなかったことによって不都合を被っていたかもしれませんから、その可能性も加味してきちんと謝罪をしておく必要があります。

お知らせの文書の書き方は「わかりやすく的確に」が大切

お知らせの文書の書き方を知らないと、相手に的確に用件を伝えられないことがあります。自分ではきちんと伝えたつもりでも、それが相手に届いていなければお知らせの文書は意味がありません。そのために、正しい書き方が存在しているのです。その書き方を守っていれば、お知らせしなければいけない重要な事柄を伝えることができます。

特にビジネス文書として、お知らせは実に重要な意味を持っています。伝達不足は決して起こってはいけないミスですから、気を引き締めて書くようにしましょう。