ビジネスで使える案内状の書き方・例文・守るべきマナー
案内状の正しい書き方は、意外と知らないものです。それがきちんと書けていると、一気に印象は良くなりますから、招待された側はとても良い気持ちになってくれます。相手を不快にさせないためにも、そして自分の印象をアップするためにも、案内状の正しい書き方を覚えていきましょう。
ビジネスで送る案内状の正しい書き方を覚えよう
案内状を書く機会は、プライベートでもビジネスシーンでも数多くあるでしょう。その時にきちんとした書き方ができていないと、受け取った相手は不快な思いをしてしまうだけではなく、悪い印象を抱いてしまう可能性もあります。また、案内状が持つ役割を正しく理解しておく必要もあると言えるでしょう。なぜ案内状を出すのか、どういった時に案内状を出さなければならないのかといったことをしっかりと意識して、相手に主旨が伝わるような書き方ができるようにしてください。
ビジネスで送る案内状は書式を大切にすることが正しい書き方マナーといえる
ビジネスで送る案内状の書き方で重要なのは、どういったイベントが行われるのかを相手にきちんと伝えることと、それに出席してもらえるかどうかをはっきりさせることです。もちろん出欠の返事が必要ないという場合はその限りではありませんが、案内状を出す場合は出欠の返事を必要とすることが多いでしょう。
また、案内状はかしこまった場面でも使われることが多いものです。そのため、書き方を誤ってしまうと、非常に失礼にあたりますから、その場にあった書き方をしなければなりません。
案内状の書き方では、創意工夫をすることよりも書式を大切にすることが求められます。ビジネスでは、オリジナリティーを出すよりも、相手に内容がわかりやすく伝わること、自分が何を求めているのかをはっきりさせることを優先させるのがマナーです。
案内状の例文1:新商品説明会の案内状
実際に新商品説明会の案内状の例文を見ていきましょう。この例文を使って案内状の書き方のポイントを見ていきます。
平成○○年○○月○○日
関係者各位
株式会社○○ ○○部 ○○○○
新商品説明会のご案内
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、この度弊社では新商品「○○」を販売することとなりました。そこで、こちらに関してのご説明、ご紹介をさせていただく機会を頂戴したいと考えております。
つきましては、下記の日程で説明会を行う予定ですので、ぜひご来場いただければ幸いです。お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
失礼いたします。
敬具
記
1 日時:平成○○年○○月○○日(火) 14時30分~15時30分
2 場所:東京都世田谷区 ○○番地 元千代田イベリア文化ホール2階
3 お問い合わせ:株式会社○○ ○○部 tel :03-0000-0000
Mail:abcd@gmai.com
以上
日付は右上に書く
まず、初めに右上に日付を書きましょう。いつ出した案内状なのかをはっきりさせておかないと、相手は送られてきた日付がわからずに返信する場合困ってしまうことになります。
宛名は左詰めで書く
次の段には左詰めで宛名を書きます。この場合は「関係者各位」となりますが、これはビジネス文書でよく使われる宛名です。不特定多数の企業を相手取った場合には、いちいち全ての企業名を挙げていくわけにはいきません。そこで、「関係者各位」という言葉を使うことになるのです。
他にも、「お取引先各位」「お客様各位」などといった書き方を使うことがありますが、「各位様」という使い方をしないように注意してください。これは二重敬語にあたるため、誤用となってしまいます。
差出人は右詰で書く
次に、右詰めで差出人の名前を書きます。これは「株式会社○○」の「○○部」「氏名」である場合なら、全て略さずに書きましょう。もし代表者の名前のみを書くのであれば、「株式会社○○」「代表取締役社長 ○○○○」といったように書くべきです。
いずれにせよ、「株式会社」の部分は「(株)」というように略さずに書いてください。自社を略称で記載してはいけません。また、自分の役職についても同じことが言えます。案内状の書き方では、略称を使うことは失礼にあたるため、全て正式名称を使いましょう。
タイトルは中央に書く
次の段には、中央に案内状のタイトルを書きましょう。この場合は主旨が新商品の説明会に参加してほしいという案内なので、「新商品説明会のご案内」となります。「新商品説明会のお知らせ」でも問題はないのですが、より出欠をとる意味合いが強く伝わるイメージを伝えるためには、「ご案内」という書き方を使う方が良いでしょう。
本文は「拝啓」から始める
そして、「拝啓」から本文を始めていきます。この場合はかしこまったビジネス文書であるので、その方が印象が良いですし、マナーを守っていると言えるでしょう。そして、「貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」という挨拶は、ビジネス文書の挨拶の決まり文句ですから、すぐに使えるようにしておくと便利です。これは季節を問わずに使うことができる挨拶文であり、基本文であると言えます。
その後に続く、「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。」という一文は、いつもお世話になっております、という一文と同義ですが、それを更にかしこまった言い方にしたものです。こういった案内状は読みやすさも大切ですが、その中に含まれる挨拶文においては春夏秋冬で使える定型文をきちんと使っておきたいところですから、このようなパターンがあることも知っておきましょう。
挨拶が終わったら、いよいよ本題に入ります。この時、「さて、」という出だしを使うのは、いきなり本題に移るのが不自然であるためです。こういったクッションを挟むことによって、文を自然に繋ぐことができるので、接続詞は必ず使っていきましょう。
そして、新商品を発売することになった、ということをはっきりと述べます。ここが明確になっていないと、新商品説明会というタイトルで送られてきた文書であるのに、何の説明会なのか、新商品とは何なのか、といった疑問を相手に抱かせてしまうでしょう。
その後すぐに、説明会をさせてもらいたい、という気持ちを述べます。これは説明会を開く、という事実とは別に一文添えておくべきもので、この一文があると案内状のイメージがグッと良くなります。案内状の書き方として気をつけておきたいのが、相手に良い印象を与えることですから、事実だけを叩きつけるように書かないようにしましょう。
詳しい日程は本文では触れない
詳しい日程については、「下記の日程で」と記載しておいて、本文中では触れないようにしてください。本文中で詳しい日程や場所などを書こうとすると、情報が多すぎて読みにくくなってしまい、整理ができなくなってしまう可能性があるからです。「下記」としておき、本文の下に「記」と記し、そこに日程などを記載しておきましょう。
締めの言葉を入れる
「ぜひご来場いただければ幸いです。」と参加を促す言葉を挿入しておいて、「お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。」などのビジネス文書でよく使われる締めの言葉を使います。「何卒よろしくお願い申し上げます。」「よろしくお願い頂ければ幸いでございます。」などでも良いでしょう。
最後は「敬具」で締める
最後は「失礼いたします。」などの言葉を記したのち、右詰めの「敬具」で締めます。「拝啓」を使った場合は必ず「敬具」を記すのを忘れないようにしましょう。
その下には、日程などについて記載しなければなりません。中央に「記」と記載し、その下にナンバリングして「日程」「住所」「連絡先」などを詳細に記載しましょう。特に住所は、遠方からのお客様のためにも細かく記載しておくことが求められます。できれば地図を一緒に載せておくことが望ましいでしょう。
連絡先は担当する部署や担当者の電話番号とメールアドレスの両方を載せておくべきです。いつでも連絡がとれるようにしておきましょう。また、出欠の確認を取る必要がある場合には、その旨を本文に記さなければなりません。
案内状の例文2:忘年会などの出欠の確認が必要な場合の案内状
実際に出欠の確認が必要な場合の案内状の書き方の例文を見ていきましょう。これは忘年会の出欠を問う案内状の例文です。
平成○○年○○月○○日
お取引先各位
株式会社○○ ○○部 ○○○○
忘年会のご案内
拝啓 初冬の候、貴社ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。今年もご厚情を賜りまして、誠にありがとうございました。
つきましては、ささやかながら感謝の気持ちをお伝えしたく、下記の日程で一席設けさせていただきたく存じます。暮れの時期にご多忙とは存じますが、ぜひお越しいただければ幸いでございます。
失礼いたします。
敬具
記
1 日程:平成○○年○○月○○日(火) 19時~
2 場所:料亭かみの 座敷「ゆり」の間
(地図を添付しております)
3 住所:東京都 荻窪 2-11
4 会費:おひとり様 4,500円
5 連絡先:○○部 tel:03-0000-0000
Mail :abcd@gmail.com
なお、会場の手続きの都合がございますので、お手数ではございますが○月〇日までに同封しております返信用封筒にてご出席の有無をご連絡ください。よろしくお願い申し上げます。
以上
この案内状例文2の場合は、出欠の有無を必要としているところが最大のポイントです。忘年会や新年会、研修や結婚式などの案内状では、出欠の確認が重要となります。ですから、案内状では必ずそれを確かめる旨を書き忘れないようにしましょう。案内状がただのお知らせと決定的に違っている点は、出欠の有無を確かめるという意図を持っているというところにあるのです。
出欠の確認はメール返信かハガキや封筒を使って行う
出欠の確認は、メールの場合なら返信を、封書の場合なら返信用のハガキや封筒などを使って行います。この時に、相手に送料などを負担させるようなことがないように気をつけてください。返信用ハガキや、あらかじめ切手が貼ってある封筒などを用意しておきましょう。
出欠の確認をしたい、ということは案内状の最後に書けば問題ありません。最初に書いてしまうと、いきなり何の話が始まってしまったのかと相手を混乱させてしまいます。加えて、最後に書くことによって相手に出欠の確認をすることを印象付けられるという利点もあるのです。
会費を記載する
また、忘年会の案内状の場合には、会費を記載することを忘れないようにしましょう。できるだけぴったり会費を用意してもらうためには、事前に会費を伝えておくことが欠かせません。ですから、出席する人には必ず会費を知っておいてもらう必要があります。
案内状に地図を添付するとより分かりやすい
忘年会は多くの場合が料亭などで行われますから、その場所にあまりなじみがないという参加者も少なくはないという可能性も考慮しなければなりません。なので、メールであっても封書であっても、案内状には必ず地図を添付しておきましょう。料亭の名前と、どの座敷で行われるのか、できれば予約している者の名前か企業名などを参加者に伝えておくのがベストです。
案内状の例文3:同窓会の案内状
同窓会といった、プライベートな場面でも案内状を送る時があるでしょう。ここでは、そういった時に使える例文をご紹介します。書式は前述の通りですが、内容はもっと砕けたもので構いません。古くからの友人にあてたものですから、それほど気負ったものよりも親しみを込めたものの方が好ましいでしょう。
拝啓 新緑がまぶしい今日この頃、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
さて、今年も○○中学校の同窓会を下記の要領で開催いたしたく、お知らせを差し上げました。
今年は○○先生にもご出席いただけるとのことですので、例年よりも大きな同窓会を計画いたしております。皆さまお忙しいとは存じますが、ぜひご出席くださいますよう、何卒よろしくお願いいたします。敬具
同窓会の案内状のようなものでは、時候の挨拶が欠かせません。「新緑がまぶしい~」がそれにあたります。拝啓、で始まるところはビジネス文書と変わりませんが、平素よりお世話になっております、などといった言葉で始めるのは違和感があるのでやめましょう。
そして、例年通り同窓会を開くという意図を伝えたいのであれば、「今年も」という言葉を入れておきましょう。また、今年の同窓会はこのようなことがあるので、ぜひ参加してほしい、といったことを伝えられれば、参加者が増えてくれる可能性に繋がるので、情報は案内状にきちんと載せておくべきです。
同窓会の案内状は、それほど本文を長く書く必要はありません。もちろんこの後に日程や住所、連絡先を書くことになりますし、何よりも出欠確認の旨を忘れてはいけないので、本文で同窓会について詳しく書くよりも、それらの情報についてきちんと記しておくことに注意しましょう。
ビジネスでは案内状の書き方とマナーで自分の印象がより良くなる
案内状は、同じ内容であっても、書き方ひとつで印象をがらっと変えてしまうものです。そうなれば、相手は送り主の人柄に対しても見る目を変えてしまうことでしょう。案内状をきちんと書ける人であれば、失礼なことをするような人であると考えられることはまずありません。特に会ったことのない人に対して案内状を送る場合には、それだけで第一印象を決めてしまうようなものですから、いっそう気をつけておきたいところです。案内状の書き方とマナーを覚えておくことによって、自分の印象をより良いものにしていきましょう。