来客対応はお客様の受付から始まる!身につけたい基本マナーとは
来客対応をする必要がある場面は、会社で働いていれば新入社員であっても多々あります。急にお客様がいらっしゃって来客対応を求められてとまどうことがないよう、新入社員に向けて来客対応の基本的な流れと守るべきビジネスマナーについて解説します。
お客様の受付で来客対応が必要になるパターンとは?
新入社員の中には、「来客対応は受付がやってくれるから関係ないのでは?」や「来客対応はアポイントメントをとっている担当者がするものでは?」といった考えを持つ人もいるのではないでしょうか。
しかしながら、受付担当者ではなくても、またアポイントメントに関係のない人であっても、会社で働いていると来客対応をしなければならないことが多々あります。まずは、来客対応が必要になる状況のパターンを見ていきましょう。
オフィスに受付がない場合
オフィスに受付がない場合、お客様は直接オフィスのフロアへやってきます。初めての来社でアポイントメントをとっている担当者から特に説明を受けていない場合は、入口付近で待機していたり、内線電話のかけ方でとまどっていたりすることも多いです。
そのような場面に遭遇したときに、知らぬふりで通り過ぎるのは社会人として恥ずかしい行為です。お客様に対して「何かお困りでしょうか?」「担当者をお呼びしましょうか?」といった声をかけて、積極的に来客対応をするようにしましょう。
お客様が呼び出した担当者が席を外している場合
来客があった場合、受付やオフィスフロアの入り口から内線電話で担当者が直接呼び出されることが多いです。その際に、担当者が席を外していると、近くの人が代わりに内線電話を受けるのが一般的です。内線電話を受けた人がそのまま、担当者が戻るまで来客対応をする必要があります。
オフィスにお客様がいらっしゃった時の来客対応の基本的な流れ
会社には一日中、商談やちょっとした打ち合わせなど、たくさんの来客があります。来客対応を一手に引き受ける受付がある場合もあれば、アポイントメントのある担当者が直接呼び出される場合もあります。
オフィスにお客様が来たときに、迷いなくスムーズに対応できる自信がある新入社員は少ないことでしょう。お客様が待っているにもかかわらず、先輩社員にどのように対応したらよいのかを尋ねるのは論外です。急な来客にもうまく対応できるよう、来客対応の基本的な流れをご紹介します。
お客様を迎えて会社と氏名をうかがう
来客に気が付いたら、すみやかに声をかけましょう。挨拶をして、「失礼ですが、御社名とお名前をおうかがいしてもよろしいでしょうか?」と、お客様の会社と氏名をうかがいます。社内の担当者に取り次ぐ際に、お客様がどこの誰かわからないのは困るので、必ずうかがうようにしてください。
アポイントメントの有無をうかがう
お客様の名前をうかがったら、アポイントメントの有無を確認します。アポイントメントがない場合は、飛び込みのセールスであることもありえるので、この確認は大切です。
アポイントメントがある場合
アポイントメントのある担当者の名前をうかがい、「少々お待ちください」と伝えます。「いつもお世話になっております。お待ちしておりました」といった一言を加えると、お客様も気持ちよく担当者を待つことができるでしょう。
アポイントメントがない場合
お客様には誰につないでほしいのかと用件をうかがいます。日頃からやり取りのある取引先の場合もあれば、飛び込みのセールスである場合もあるので、必ず用件までうかがいましょう。担当者が不在にしている場合は、いつまで不在であるのかを伝えて、来社があったことを本人に伝えておく旨を伝えたうえで、お見送りします。
担当者が社内にいる場合は、「どの会社の誰が来社しており、何の用件で会いたいと言っているのか」を知らせ、応対するか否かの意向をうかがいます。セールスなどで応対しない場合は、担当者は不在にしていると伝えて帰ってもらいます。この場合は、来客から聞かれないかぎり、何時に帰社するといった具体的な情報は伝えないでよいでしょう。
お客様を担当者に取り次ぐ
担当者がお客様のもとへすぐ向かう場合は、「〇〇はまもなく参りますので、いましばらくこちらでお待ちください」と伝えます。椅子がある場所であれば、「おかけになってお待ちください」と伝えましょう。
お客様を受け付けた後に応接室などへ自ら案内するときの流れ
お客様を受付からさらに応接室やミーティングルームに案内し、そこで待っていただく場合があります。担当者に取り次ぐ前に応接室まで案内しなければならない場合の流れをご紹介します。
お客様を「ご案内します」と応接室まで先導する
「こちらです」「〇〇までご案内します」といった声をかけて、応接室までお客様を先導します。通路では、お客様の右斜め前を歩きましょう。ときどきお客様を振り返り、距離が空きすぎていないかどうか、ついてこれているかどうかを確認します。
通路を曲がるときは、お客様のほうに身体を開きながら振り返り、曲がる方向を手で示すと安心感を与えることができるでしょう。
「どうぞお入りください」と応接室に入室する
応接室のドアが内開きの場合は、自分が先に入室します。反対に、外開きの場合はドアを開けてお客様を先に入室させましょう。
椅子を示して着席いただく
上座(部屋の入口から一番離れた席)へお客様を案内し、「●●はまもなく参りますので、こちらにおかけになってお待ちください」と声をかけます。ここでお茶を出すことも多いです。
「失礼いたします」と言って退出する
部屋の入口でお客様の方を向き、「失礼いたします」と言ってお辞儀をしてから退出しましょう。この時、立ち止まって腰から上の上半身を約30度かたむけてお辞儀するのがマナーです。歩きながら言わないように気を付けてください。
お客様へのお茶の出し方
お客様を応接室に案内すると、お茶やコーヒーなどの飲み物を出します。一般的に、お客様にお茶を出すまでが来客対応であると考えられています。男女かかわらず、お客様へのお茶の出し方は身につけておかなければならない来客対応のマナーの一つです。
最近は、ペットボトルのお茶やミネラルウォーターを出す会社も増えていますが、急須でお茶を入れる方法は一般常識としておさえておきましょう。
人数分の湯呑み茶碗と茶托を用意する
お客様にお茶を出すときは、湯呑み茶碗を茶托の上にのせて出すのがマナーです。習慣になっていないと、急いでいるときにうっかり忘れてしまうことがあるので、留意するようにしてください。お茶を出す前は、湯呑み茶碗や茶托に汚れがないか、欠けている箇所がないかを確認しましょう。
お茶を入れる前に湯呑み茶碗を温める
お茶を入れる前に、熱湯を湯呑み茶碗の7~8分目まで入れて温めます。沸騰させたお湯は、お茶を入れるには熱すぎるので、湯呑み茶碗を温めながらお湯を冷ますためにこの工程があります。
湯呑み茶碗にお茶を入れる
急須に人数分の茶葉を入れて、70度程度まで温度が下がったお湯を湯呑み茶碗から急須に戻します。大体1分ほど蒸らしたら湯呑み茶碗にお茶を注ぎます。
お客様の下へお茶を運ぶ
お盆の上に、人数分の湯呑み茶碗と茶托をのせてお客様のもとへ向かいます。応接室に入室したら、テーブルにお盆を置いて、上座のお客様から順番に茶托に湯呑み茶碗をセットしてお茶を出します。「どうぞ」と一声かけながら、テーブルの向かいからではなくお客様の横から出しましょう。言うまでもなく、自社の社員は最後に出します。
「失礼いたします」と言って退室する
お盆を左脇にかかえて、入り口で「失礼いたます」とお辞儀をして退室します。この時のお辞儀の角度も30度が適切です。丁寧であることが大切なので、少しゆっくり目に上体を倒すといいでしょう。
覚えておこう!来客対応で気を付けるべきマナー
来客対応のやり方によっては、来客対応をした本人のみならず、その会社全体の印象がよくなったり、あるいは反対に悪くなったりする可能性があります。来客対応で気を付けるべきマナーについて解説します。
お客様に気が付いたときはすみやかに来客対応をする
来客に気が付いたら、すみやかに立ち上がってお辞儀をして対応しましょう。また、オフィスのフロア外に出てから戻ってきたタイミングで、入り口の前で待っているお客様に遭遇することもあるでしょう。
お客様を横目に声をかけないのはマナー違反です。「自分の仕事は受付ではないから」、「自分にはアポイントメントがないから」といった言い訳は通用しません。お客様に対しては、会社を代表してすみやかに気持ちよく対応することを心がけましょう。
エレベーターの乗降の仕方にも注意する
お客様を応接室へ案内する際に、エレベーターの乗降があることが多いです。エレベーターは自分が先に乗って、ボタンの操作をします。降りる際には、「開」ボタンを押して、「〇階です」と伝えてお客様に先に降りてもらうように誘導します。
お客様が見えなくなるまでお見送りする
ビルの上層階に会社のフロアがある場合は、エレベーターの前までお見送りします。「本日はありがとうございました」と伝えて、エレベーターが閉まるまでお辞儀をしてお見送りします。
会社のフロアがビルの玄関に近かったり、とても重要なお客様であったりする場合は、玄関や駐車場までお見送りします。車は見えなくなるまでお辞儀をすると丁寧です。
会社を代表している自覚を持って来客対応をしよう
就活時を思い出してみると、「面接室まで案内してくれる社員の人の表情や振る舞いによって、その会社のイメージが大きく変わった」という経験を持つ人も多いのではないでしょうか。担当者に取り次ぐための一瞬の来客対応の様子で、会社のイメージをアップさせることも下げてしまうこともできるということです。
「会社を代表してお客様を迎えている」という意識をしっかりと持って、心をこめて来客対応に取り組みましょう。