営業同行で新人社員が押さえておくべき4つのポイント
営業同行とは、会社の新人が先輩の営業活動についていき、営業マンとしての振る舞いや言葉使い、ノウハウ、顧客との良好な関係を作り上げるコツを学ぶ場のことを指します。営業同行の目的と実際を知っておくことで、緊張しすぎることなく営業のポイントをつかみましょう。
営業同行とは具体的にどのようなことをする?
営業同行とは、会社の新人が先輩社員の営業活動の場に同行する実地訓練のことをいいます。現在、ほとんどの企業で行われている新人教育といっても過言ではありません。
具体的には、実際のクライアント(顧客)を先輩と一緒に訪問し、挨拶から本題である商談への入り方、クロージングまでの流れを体験します。新入社員研修で学んだ名刺交換をはじめて実践する場となることも多いでしょう。
営業同行は営業マンとしての適切な言葉使いや立ち居振る舞いを身に着けるまたとないチャンスです。また、社内でのトレーニングだけではわからない、営業現場の雰囲気やクライアントの反応、商談をスムーズに運ぶポイントを知ることができます。
営業同行の目的を正しく理解しよう
新人として、先輩社員についていってただその場にいればよいと思っているなら、営業マン失格です。営業同行の目的を正しく理解し、十分に準備を整えてから営業現場に同行することで、はじめて先輩社員からそのノウハウを学ぶことができるのです。
営業同行の目的は、まず新人が営業マンとしての立ち居振る舞いや適切な言葉使いを学ぶことが大きいでしょう。基本的なビジネスマンとしてのマナーを踏まえた上でのクライアントとのコミュニケーションの取り方を商談の現場で知るということです。次に、クライアントが現在抱える問題、自社に対して何を求めているかを肌で感じ取ることです。そのためには、自社のサービスや商品の特徴や強みをしっかりと把握しておく必要があります。
このように目的をしっかりと理解すれば、営業同行を前にして、自分が何をすべきかがおのずと見えてくるでしょう。新人に与えられる貴重な機会であることを理解し、営業社員として自分に何ができるかを常に考えながら学ぶ姿勢が大切です。
営業同行で新人社員が注意すべきマナーとは?
入社間もない新人が、商談の現場でできることが少ないのは事実です。しかしながら、先輩社員や上司の隣に人形や置物のように座っていればよいわけではありません。
営業同行に際して、新人が必ず気を付けるべきマナーや意識すべきことを事前に押さえておきましょう。
1 明るく元気に挨拶する
クライアントを前にして緊張するのは仕方がありませんが、おどおどとして小さな声で挨拶をしているようでは、営業マンとしての資質が疑われます。
営業同行とは、これから付き合いをしていくクライアントに新人であるあなたを紹介する場でもあります。「これからこの人と長く付き合っていきたい」と思ってもらえるように、明るく大きな声で挨拶しましょう。
2 自社のサービスや商品の知識を身に着けておく
営業同行の事前準備になりますが、自社のサービスや商品について十分に理解しておくことは不可欠です。
せっかく同席できる実際の商談の現場において、自社のサービスや商品について何もわかっていない状況では、その場の話の流れが頭に入ってきません。先輩社員は何を売り込もうとしているのか、クライアントは何を求めているのかを正しく把握できるよう、日頃からしっかりと勉強しておきましょう。
3 積極的な姿勢を心がける
「新人である自分にはまだ何もできない」と思い込んで、同行した営業現場で黙って座っていてはもったいないです。商談スタート時に行う自社サービスや商品の簡単な説明を自分に任せてもらえないか、先輩に相談するような積極的な姿勢を心がけるべきです。
また、持っていく資料を率先して準備することも大切です。その日の商談ではどのような資料が必要になるか、先輩社員に質問しながら準備する過程が営業活動の勉強になります。準備した資料が果たす役割を理解し、商談中のしかるべきタイミングで提示することで先輩社員の営業トークがスムーズに運ぶよう手助けをするのもよいでしょう。
さらに、必要な場合はテレアポをとる役割を自分から申し出ると、相手の反応に合わせて営業トークをする経験を積むことができるのでおすすめです。
4 議事録を作成して、商談の成果と今後の課題を把握する
一流の営業マンは、商談を終えたらその日のうちに議事録をまとめます。議事録といっても、一言一句残さずまとめる必要はありません。本日の商談の目的、提案事項、クライアントからの質問・要望、次回までに準備すべきこと、その他クライアントが漏らした何気ない言葉を記録しておくのです。これらをまとめると、必然的に次にすべきことが見えてきます。
実際のところ、本題とは関係がないと思われるクライアントの言葉が何かのヒントになったり、新たな商機を発見する手がかりになったりすることもあります。新人の場合は、議事録をまとめるなかで出てきた疑問を先輩社員に質問することで、新たな知識を身に着けることができます。
まとめた議事録は、同行した先輩社員にチェックしてもらうとなおよいです。商談の流れを読み違えていたり、勘違いをしていたりした場合、指摘・訂正してもらえます。営業マンとして気が付くべきポイントなども教えてもらえるでしょう。
営業同行した先輩や上司への効果的な感謝の伝え方
1つ1つの商談が先輩社員にとって、そして会社にとって失敗の許されない大切な場面です。その営業現場に新人を伴うのはいつも以上に重い責任を担い、神経を研ぎ澄ませながらの仕事になるということを、しっかりと理解しておく必要があります。
1 営業同行後、直接お礼を述べる
商談の準備だけではなく、新人に情報共有をしてアドバイスをするなど、先輩社員も事前準備をして営業同行の現場に臨んでいます。営業現場を終えると、まずはその場で直接「今日は貴重な機会をいただき、ありがとうございました。実際に現場に同席させていただいたことで、いつも以上にさまざまなことを学ぶことができました」と素直に感じた感謝の思いを言葉に出して伝えましょう。そのうえで、今回の商談における反省点や自分に足りていなかったことなど、アドバイスを求めるのもよいでしょう。
2 営業同行後、メールで感謝の思いと同行で感じた反省点を伝える
先輩社員や上司は多忙を極めていることが多いです。仕事が一段落した時間に読んでもらえるよう、帰社後にメールで改めてお礼と現場で感じたことについて伝えると効果的です。「〇〇さん(先輩社員)の本日の商談の進め方を参考に、自分ならどのようにするかをよく考えて、次回の現場に臨む所存です」といった文面を入れるとよいでしょう。なお、お礼は当日中が鉄則です。
以下にお礼メールの文例を示しますので、参考にしながら自分の言葉でつづりましょう。
上司・先輩社員に営業同行のお礼を伝えるメール文例
〇〇次長
お疲れ様です。
本日は、△△社様への営業にご同行いただき、誠にありがとうございました。
商談の冒頭では、事前にアドバイスいただいたおかげで落ち着いてご挨拶することができました。
また、帰社途中の電車の中では、フォローアップいただき御礼申し上げます。
しかしながら、先方から▲▲に関するご質問をいただいた際、
自身の勉強不足を痛感いたしました。
次回までにより深い商品知識を得て、万全の準備を尽くす所存です。
〇月〇日の商談におきましても、何卒ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
営業課 ●●●●(自身の署名)
後輩社員の営業同行で先輩社員が気を付けるべきポイント
上司・先輩社員自身が営業同行の目的と効果的なやり方を正しく理解していないと、営業同行の効果が発揮されません。後輩社員の自主性を重んじながらも、行うべき準備や営業現場に臨むにあたってのマナーや態度などを適切なタイミングで伝える必要があります。
また、後輩社員の過度な緊張は商談の空気にも影響を与えます。後輩社員の性格をよく把握し、節度を保ちながらリラックスできるようなアドバイスをしてあげるとなおよいです。さらに、議事録などを使いって営業同行終了後のフォローと次回の目標設定を確認しあうことで、後輩社員が営業現場経験を効果的に積み重ねていくことが可能になります。
次世代を育てて営業部隊の層を厚くすることは、会社全体のレベルアップにつながり、組織の未来を明るいものにします。後輩社員の指導係となった際には、会社に対して自分が何をできるのか、全体を見据える視点を持って後輩育成に臨んでください。
営業同行は新人・上司・会社にとって貴重な機会
初めての営業同行に向かう前は、新人の自分が試されているような不安や緊張を感じる人が多いものです。しかしながら、営業同行は新人のためだけではなく、先輩社員や上司にとっても、新人教育の経験を積む場であり、会社にとって必要不可欠な機会であることを理解いただけたでしょう。
初めての営業同行では、社会人としてのマナーを心がけながらも過度な緊張をせず、一人前の営業マンとなるための貴重なチャンスを与えられていることを自覚して、ぜひ積極的に学んでください。