自尊心が低い人にありがちな5つの特徴と高め方のポイント
自尊心が低い人は、ビジネスの場でもプライベートでも損をしていることが少なくありません。自尊心が低い人の特徴やその対処法について紹介しています。自分をダメだと思ったり否定しがちな人は参考にしてください。
自尊心が低い人は自分を見つめ直してみよう
社会人への適応に時間がかかる人のタイプに自尊心の低い人がいます。決して適応ができないということではありませんが、自分の位置を確保し、そしてその中で必要とされる役割を果たし、自立した仕事をできるようになるまでには時間がかかりがちです。
「自尊心が高い」「自尊心が低い」とはよく言いますが、その言葉の意味しているところについて正確でないこともあります。不正確な理解から相手の感情を害してしまうことも少なくありませんし、本当はそうではないのに自分でそうだと思い込んでいる場合もあります。
自尊心について正しく理解し、自己チェックや他者とのコミュニケーションの上での材料としましょう。
自尊心とはどういう意味?
「自尊心」と言う言葉は耳にする機会も多いですが、「自分の人格を大切にする気持ち」という意味があります。プライドと混同されることもありますが、その意味するところは正確には少し違います。
心理学においては「自尊感情」という言葉で表現され、「自分が周囲から愛され、理解されていると感じている(自己好感)」「自分の能力周囲から認められていると感じている(自己有能感)」「重要な存在として大切にされていると感じられる(自己重要感)」感情と定義されています。これらがそろった結果、自分の存在について「尊い」と感じられている状態です。
自尊心は人間であれば基本的に備わっている感情であり、その有無ではなく高低が問題となります。自尊心が高すぎるのも問題ですが、自尊心が低い場合には様々な面で社会人として不利な特徴が見えます。
自尊心とプライドの違い
自尊心はプライドと混同されることがありますが、心理学的にはプライドは「他の人よりも自分を尊いと考える感情」であり、自分への好き嫌いはあまり関係がありません。
自尊心というのは「自分を大事にしようと自分で思う気持ち」であり、他者との比較の中で生まれるものではありません。いわば自尊心は絶対評価であり、プライドは相対評価で生じます。自尊心は自分が好きであるという自信から生じ、プライドは自分を好きになるために相手を負かそうとする自分への自信のなさから生じていると考えることができます。
また、自己肯定感とも混同されますが、自己肯定によって自尊心が芽生える場合もあれば、自尊心が低い人が無理に自己肯定をしようとするとギャップから自尊心を失ってしまうようになります。
自尊心を考える上でのキーワードは「ありのまま」「絶対評価」であり、自分以外の何かによってその高低が変わるものではないことに留意してください。
自尊心が低い人の5つの特徴
自尊心が低い人に見られる特徴から、特に社会人としてビジネスの場で不利になる性質を5つ挙げてみます。
1 自分には「できない」と考えてしまう
自尊心が低い人が仕事を任された時、最初に頭に浮かぶのが「自分には無理」「どうせ自分は失敗してしまう」という感情です。また、自分がやってみたいと思ったり、できたら良いと思われることについても「でも、できないからやめておこう」と、積極的に行動できなくなってしまいます。そのため自分からアクションが起こせず、望まない仕事が増えて心身とも辛くなってしまいがちです。
2 人間関係がうまく作れない
自尊心が低い人は、周囲の態度や言動に対して非常に敏感で、ネガティブに物事をとらえやすい特徴があります。それが起因して自分の態度や言動も攻撃的になったり消極的になってしまって、良好な人間関係が作れず、職場やプライベートで孤立してしまう人もいます。同僚に協力を仰ぐこともできず、また周囲からチャンスもめぐってこないために仕事の幅が狭まります。
3 自分が嫌い
自尊感情の低い人には自分を認めることができない人が多く、自分のことを過剰に貶めたり謙遜する傾向があります。それゆえに、本来自分が持つスキル・能力と合わない仕事に従事して、それが自分にふさわしいと考えてしまうことも少なくありません。そのような態度は周囲から見ると「やる気がない」と思われてしまうこともあります。
4 他人を妬みやすい
自尊心の低い人は「自分は報われていない」という気持ちが強く、周囲に評価されている人を妬む傾向が見られます。本心ではなかったとしても、口から嫌味がついて出たり、時には周囲の足を引っ張ってしまう場合もあり、評価を下げる原因になります。
5 努力できない
自尊心が低いと「どうせ自分はできない」という気持ちが働くことから、成長意欲にブレーキがかかってしまいます。また、失敗のたびに落ち込んでしまいやすく、努力をすることやチャレンジすることに恐怖を覚えたりムダだと考えるようになって、徐々に無気力になっていきます。
自尊心が低くなってしまう原因は?
自尊心の低さはどうして生まれてしまうのか、どうして自尊心が低い人になってしまったのか、原因としては様々なことが挙げられます。
1 幼少期から大人に従わされてきた自信のなさ
自尊心の低さの原因が幼少期にあるケースは多いです。幼い頃から、自分の欲求や主張に対して「ダメ」と否定されたり、「こうしなさい」と親をはじめとする大人たちの欲求に従わされてきたことが、自分の存在や主張に対する自信の無さにつながっています。
2 過去の失敗がトラウマになっている
過去に大きな失敗を経験してしまい、それから失敗を恐れるようになってしまった場合も自尊心が低くなりがちです。失敗することに対して恐怖心が強いために、自分のしたい決定をすることができず、失敗を誰かの責任にできるように他者の決定に従って行動するようになります。
3 成功体験が少ない
自尊感情を引き出すには成功体験が必要なのですが、この成功体験が不足している人は自尊心が低くなる傾向があります。特に、自分で判断し決定したことによる成功体験が少なく場合には、自尊感情がうまく育たず、自分の能力や存在に自信がない人になりがちです。
4 家庭や周囲の環境に問題があった
本人の責任や経験による理由よりも、周囲の環境に原因がある場合もあります。幼い頃から周囲の大人が喧嘩を繰り返していたり、また大事に扱われてこなかった場合には、どれだけ本人が優秀であっても自尊感情が低くなる傾向があります。家庭環境の問題やイジメなどによって自尊心が低くなってしまうタイプです。
自尊心が低い人が自尊心を高めるためにできる対処法
「自尊心が低い」と言うのはひとつの考え方です。この考え方を訓練することによって徐々に解消していくことが可能となります。自尊心の高め方を紹介しますので、できることから実践してみてください。
1 自分に素直になる
自尊心の低さの源には、常に「自分が思うようにできない」ことへの葛藤があります。能力もチャンスもあるのに、自分の希望を言動に移すことができないという強迫観念があり、それが強いストレスになっている人も少なくありません。
自分が何を考え、何をしたいのかに対して素直になることが大切で、それを行動に移すことは悪いことではないと認めてください。そして、認めたら行動に移したり周囲に伝えるようにしましょう。
2 ありのままの自分を肯定する
自尊心の低い人は、自己否定の感情を強く持っています。自尊心の低さは「理想とする自分」と「現実の自分」のギャップが原因になっており、そのギャップをなくすことが大事です。理想を高く持ってしまうと現実の自分を否定してしまいがちですので、ありのままの自分で良いと考えましょう。
3 ネガティブな人・攻撃的な人を避ける
日頃からネガティブな人と付き合っていれば、自分のネガティブな気持ちに拍車がかかって思考のクセも似通っていき、攻撃的な人と一緒にいると批判にさらされてしまって精神的に苦しい思いをします。しかし、嫌われたくない思いから離れることができません。
自尊心の低い人は主体性が乏しいこともあり、他人に依存しがちになり、その人の影響を強く受けるようになります。自分にとってマイナスとなりそうな人を避けるだけでも、気持ちが切り替えやすくなります。
4 小さな成功体験を積み重ねる
自分が有能であることを確認する機会が多い人は、自己肯定感も自尊心も高くなります。小さな成功体験を積み重ねることは、自尊心を高めるためにとても有効です。
他人との競争になると自尊心の低さから本来の能力が発揮できなくなることも多いため、料理だったり、資格試験であったり、ゲームだったり、まずは一人で取り組めるものから始めてみて、徐々に社会性のある成功体験に移していくとよいでしょう。
5 環境を変える
自尊心を高めるためには、失敗を恐れず、周囲に対しても自分の気持ちや考えを伝えたり、行動をする中で成功体験を重ねる必要があります。しかし、それが現在の環境の下では難しいと思われる場合、環境を変えることでハードルが下がることもあります。
長く持ち続けてきた自尊心の低さがリセットされるわけではありませんが、やりにくさのいくらかは解消されるでしょう。
自尊心が低い人はできることで自尊心を高めていこう
自尊心は高すぎても低すぎても良いものではありませんが、社会人として自立していく上で、適度な自尊心を持つのは大切であることは間違いありません。できることから実践して、自分をより大切にして認められるようになりましょう。
また、自分だけではなく、周囲に自尊心の低い人がいる場合、どうすればその人の自尊心を高めてあげることができるのかを考えてみてください。それはビジネスの場だけではなく、人間関係を良くすることにもつながります。