営業力が上がる効果絶大なロープレのやり方
営業のロープレは営業マンの必須トレーニング項目ですが、効果があるという人もないという人もいたりと賛否両論です。効果的な営業ロープレのためには、ロープレの相手とともに実施する目的を共有し、その上で正しい練習をすることが大切です。営業ロープレのポイントをまとめて紹介します。
営業マンはロープレで営業力を上げよう
営業に携わっている人であれば、一度は体験することになるのが「ロープレ」です。ロープレによって営業の仕方を見直し、より良い営業活動に活かすことができると言われていますが、中には「ロープレは効果が無い」という声もあり、ロープレには賛否両論が絶えずあります。
実はロープレを効果的にするためにはいくつかのポイントがあります。実際に効果のあるロープレにするには、どのようにしていくのが良いのか考えてみましょう。
営業マンがロープレを行う目的とは
ロープレの目的をしっかり理解して行わなければなりません。
ロープレは「ロールプレイ」もしくは「ロールプレイイング」の略語で「ロール(役割)」を「プレイ(演じる)」という意味を持ちます。
営業側と顧客側の両方の役割を演じてみながら、どのような営業トークが効果的なのかを考えていくのがロープレの目的です。営業側はスキルのブラッシュアップ、顧客側は顧客心理を考えるということを目的にロールプレイを行います。
また、ロープレを行うことによって抽出されたポイントを可視化して、より良いトークの作成やチェック項目として、組織としてのロープレの水準を高めるために行われる場合もあります。
しかし、実際の現場では営業トークが問題ではないにもかかわらずロープレを行っていたり、一方の役割ばかりを行うロープレも多く見られます。目的と手法が合わなければ効果は出ませんので、ロープレを行う目的をしっかり把握して行うことが大事です。
営業マンにロープレ嫌いが多い理由
営業マンの中にはロープレが嫌いという人は多いものです。その最大の理由は、「明確でない基準で指摘され、恥ずかしい思いをする」ためです。
ロープレの好き嫌いは教育の仕方で大きく変わってきます。最初にいかにロープレの意味について理解させることができるか、そして効果を実感させることができるかどうかが好き嫌いに関わってきます。
ロープレが嫌いになる人の多くは「意味を感じられず時間の無駄と感じる」「人前で恥をかかされる」といった意識があります。だからこそ、意識づけをしっかりすることや、練習相手への指摘・非難ばかりでなく良かったところを積極的に見つけ、褒めていくスタイルが望まれます。
ロープレは先輩やできる人の権威を見せつける場ではありません。「ロープレで教育してやろう」という上からの視線は、萎縮や恥ずかしい気持ちを生み出す原因になります。あくまで仲間として「ロープレで一緒に成長しよう」という同じ目線に立つスタンスが大切なのです。
ロープレで営業力アップの効果を絶大に高めるポイント
ロープレには営業力を高める効果があります。ロープレが実際に効果を発揮するためには、ポイントを押さえて行う必要があります。
1 行ったロープレをチェックする人がいる
ロープレは最低2人いればできますが、可能な限りチェックする人を交えて3人以上で行いましょう。
新人2人だけで練習している場合も多いですが、無駄ではないものの、効率が良いとは言えません。できれば、チェックを担当する人は最も営業に関して知識や技術のある人が望ましいです。
2 営業トークシナリオやチェック項目を明確にする
ロープレが効果的なものとなるためには、トークシナリオやチェック項目が明確になっている必要があります。
営業のトークや振る舞いに関しての良し悪しの判断が評価者の主観的な基準となってしまうことのないよう、できる限り基準をはっきりさせた上で準備してロープレをした方が、全体のレベルアップにつながります。
営業ロープレでの主なチェック項目
- 声の大きさやトーン
- 話のスピードやリズム
- 表情・振る舞い
- トークの流れ
- 相手への共感・反応
- 商品やサービスの紹介内容
- 相手へのヒアリング
- クロージングのタイミング
3 ロープレの途中でもフィードバックする
ロープレをしていると、最初から最後まで続けて行ってしまいがちですが、フィードバックは途中だとしても区切りのいいところで行うようにした方が有効です。
人間は忘れていく生き物です。後から振り返って「この時にこういう風に言っていたけど」と言われても覚えていなかったりすることもありますし、一度にたくさん指摘されても吸収したり反映するのが難しいものです。
途中で止めたり、やり直しができるのもロープレの利点ですので、途中だとしてもチェックする人は止めてフィードバックをした方が良いでしょう。
4 顧客側は設定を細かくしてロープレをする
営業側は自分の立場で営業をするだけになりますが、顧客側を担当する人は細かい設定を作って対応しましょう。
年齢や性別、立場や予算、性格やクセなど、細かい部分まで考えて役割を演じることによってリアリティのあるロープレになりますし、また普段は考えないような反応や考え方、感じ方ができる場合もあります。
5 営業のお手本になる人がいる
ロープレで大事なことは、お手本がきちんとあることです。理論だけではなかなか理解ができない、表現ができない部分は、実際に目で見て耳で聞くのが一番です。できる人がやって見せた上で、何が違うのかを研究していくことが大切です。
また、可能であれば上手な人のノウハウを可視化し、チェック項目など共有できる形にしておくことも大切です。
6 ロープレを録画・録音をする
可能であれば、ロープレの様子を録画・録音すると良いでしょう。今はスマホで簡単に録画できますので、録画して見てみると客観的に自分の営業の様子がわかり、イメージと実際の違いを知ることができます。また、他の人のロープレとも比較しやすくなります。
営業ロープレのやり方の手順
営業ロープレのやり方についても確認してみましょう。
1 ロープレの目的を共有する
営業におけるロープレを行う際、仲間内でそれぞれロープレの目的が明確になっている必要があります。
「商品知識の確認」なのか、「話し方の癖の発見・修正」なのか、目的は個人によって様々です。最初に目的を明確にして意識させることで、改善効果を高めることができます。
2 営業担当と顧客役に役割を分担する
目的を把握したら、営業ロープレにおけるそれぞれの役割を分担します。基本的には営業担当者と顧客、そしてチェックする人です。どの役割も、複数いても構いません。状況に応じて分担しましょう。
3 ロープレの設定を考える
行き当たりばったりにならないよう、それぞれの役割で設定を考える時間を持ちます。営業側なら何に関する提案につなげるのか、また商談の時間は何分なのかを決めておきます。顧客側は顧客の事情などをしっかり考えるようにします。チェックをする人は、チェック項目やロープレの目的を頭に入れておきましょう。
4 ロープレを行う
設定を元にロープレを行います。ロープレは途中で止めたり、切り取って一部分を行うこともありますが、基本的にはヒアリングからクロージングまで行います。
5 行ったロープレに対してフィードバックを行う
ロープレ中に気になったポイントがあればキリの良いところでいったん切り、フィードバックを行います。短時間のロープレであれば最後まで続けてもらってからでも構いませんが、都度行った方が効果は出やすいです。
6 4~5を繰り返す
ロープレとフィードバックを繰り返しながら、クロージングが終了するまで続けます。
7 営業担当役も顧客役も感想や気づきを共有する
対象のメンバーのロープレが終了したら、参加者間で感想や気づきを共有し、メモや記録にも残しておくと良いでしょう。個人的な気づきがロープレの一番の収穫になりますが、他メンバーの声の中には自分にとっても有用な意見も多く含まれていることが多いです。
営業ロープレは一流営業マンになるまでのトレーニングと心得よう
ロープレは非常に有用な営業スキルのトレーニング方法ではありますが、万能ではないということを理解しておく必要があります。
どれほどチェック項目を守り、決められたトークに近く進めることができたとしても、それで必ず受注ができるわけではありません。
また、営業成績が良い人と同じような展開で話を進めることができたとしても、結果には違いがあるものです。
ロープレはあくまで基本的な問題点のあぶり出しや解決を行って標準レベルの底上げをするためのトレーニング方法であり、そこから飛び出して「職人芸」にいたるためには、個人の特性を活かして営業をしていくための研究が必要です。
ロープレが100点満点でもそこで終わりではなく、そこからが一流へのスタートと考えましょう。
営業マンはロープレをいっぱいやって営業力をアップしよう
昔から営業力アップにはロープレは欠かせない手法であることは間違いありません。ただし、間違った行い方によって効果が出ないことや、嫌いになる人が多くいるのも事実です。
正しいロープレは、思い付きではなく、組織として周到な準備が必要となります。ロープレが企業文化として定着している企業としていない企業の差はここに出ていると言えるでしょう。
より良いロープレ練習をして、営業力アップを実現させてください。