クレーム対応力を磨く!顧客満足度を上げる基本ルールまとめ
クレーム対応は商品サービスを提示する企業やお店の必須スキル!適切かつ迅速にクレームに対応するなら顧客満足度も上がりますが、これができないと商品サービスに無責任なブランドと言うイメージを植え付けかねません!企業の顧客満足度をも左右するクレーム対応の基本、電話やメールでの注意点とは?
クレームと苦情の違い
どんな仕事に就いていても、一度はお客様のクレーム対応に頭を悩ませた経験があるのではないでしょうか。クレームにいざ遭遇すると慌ててしまいがちですが、クレーム対応には一定のルールが存在します。基本をきちんと学ぶことでスムーズに対応することができます。
クレーム対応の基本を紹介する前に、まずは似ているようで少し異なる「クレーム」と「苦情」の違いを見てみましょう。
苦情は出来事に対し文句を言うこと、クレームは出来事に対し対価を求めること
クレームという言葉がビジネスで定着し、ビジネス研修ではクレーム対応研修なども行われる機会が増えているようです。
「クレーム」と「苦情」は混同されがちですが、ちょっとだけ違いがあります。まず、「クレーム」と「苦情」の違いについて理解しておきましょう。
苦情とは、ある出来事に対し文句を言うことです。一方クレームは、ある出来事に対して何らかの対価を求める行為にあたります。「商品が壊れていたので代金を返還してほしい」というのがよくあるクレームの例です。クレームで求められる対価は金銭や物品だけでなく、謝罪も対価にあたります。
クレームと苦情は今では厳密に使い分けられることはなくなってきていますが、違いを知っておくと対応についても先手を打つことができるでしょう。
苦情処理とリピーターの相関関係についてまとめた「グッドマンの法則」
クレーマー対応は面倒で決して嬉しいものではないかもしれませんが、実はクレーム対応は顧客満足の基礎であり、企業スタッフとしての腕の見せ所です。
「グッドマンの法則」という苦情処理とリピーターの相関関係についてまとめたデータによると・・・
企業の商品やサービスに不満を持つ人100人のうち、クレームを言う人は4人
企業やお店の商品サービスに何らかの不満を持つ人が100人いたとき、何人の人が直接不満を伝えてくるのでしょうか?驚くべきことにその数はたったの4人!企業やお店のスタッフにとっては一見迷惑なクレーマーですが、たった0.4%しか直接不満を伝えてくる人はいないのです!
そして、たった0.4%の割合のクレーマーが申し立てるこの問題に迅速に対応し解決する力は、企業(お店)の提案する商品サービスの魅力のひとつとなり得ます。実際、顧客の問題が解決されたとき、クレーマーはその企業やお店のリピーターとなり、商品サービスの再購入に至ります。
クレームをつけた問題が迅速に解決された人…リピーター率は82%
クレームが発生してからの問題解決の速さは企業のクレーム対応力が反映されるところであり、これによっても顧客満足度は変わってきます。
企業商品サービスに一度は不満を持っても、「問題が迅速に解決された」と感じたならそれは企業商品サービスを再購入する動機となり、およそ82%の人がリピーターとなってくれるのだそう!
クレームをつけた問題の解決が遅いと感じた人…リピーター率は54%
クレームが発生してから、時間はかかれど問題が解決されたとき・・・この場合のリピーター率はおよそ50%。約30%の開きは、クレーム対応に何らかの憤りを感じたということにもなります。
市町村役場や大きな病院などでの複雑な手続きで、窓口をたらい回しにされた経験はおありでしょうか?たらい回しにされる側を経験したことがある人ならわかるように、顧客の時間を無駄にするような対応はあまり褒められたものではありません。クレーム対応は「迅速に問題を解決する」姿勢が必要不可欠です。
また、クレームを申し立て解決されなかった不満納得の顧客は、企業やお店の商品サービスへの評判を著しく傷つける批判を生み出しやすいともされています。
苦情やクレームを申し立てない96%の人のその後
不満を抱えながらもクレーマーにならなかった96%の人のリピーター率は9%
実際に苦情やクレームをつけた4%の人からは、「問題を迅速に解決する」という機会が与えられます。つまり、クレームは企業にとって顧客からのチャンスとなりますが、クレームを言わない残りの96%の人はどうなるのでしょうか?
96%の人はそのときには問題を飲み込み、不満は解消されないまま、何も言わずに企業を去ります。96%の人の一部からは、企業の商品サービスは悪い噂となって人に伝えられてもおかしくはありませんし、なにより96%の人のうちさらに91%の人が、二度とその企業の商品サービスを利用しないのだそう・・・。
再購入に至る9%の人も、また何か嫌な思いをしたとなったら、今度は企業を去るでしょう。ここから、問題があったとき、不満を抱え込まず伝えてくるクレーマーは大切な存在であることがわかります。
良い噂と悪い噂は影響力や広まり方が倍違う
グッドマンの第二法則では、実際に企業の商品サービスを購入し不満を持った人やその後の苦情処理に不満を持った人による非好意的なエピソード(悪い口コミ)は、満足した人の好意的なエピソードと比較し2倍も強く影響するとされています。
つまり、良い噂はひとりから4~5人に伝わりますが、悪い噂はひとりから9~10人にも伝わってしまうというもの。
不満を抱えながらクレームをつけることなく企業を去った96%の人は、企業には言わなくても友人知人には取り留めない話のひとつとして悪いエピソードを言うかもしれません。10人から悪い口コミが発信されれば、90~100人にそれが伝わる…と言う影響力は間違っても侮るべきものではありません。
ところでジョングッドマンて誰ですか?
大手企業を顧客に持つ経営コンサルタント。グッドマンの法則は1980年ころに提唱したものでその後もデータは修正され続け多くの企業で顧客満足の基礎となっている。
クレーム対応をするときの基本
冒頭でも述べたように、クレーム対応には基本のルールが存在します。ですから、まずは対応のルールをしっかりと覚えておき、いつでもスムーズにクレーム対応できるようにしましょう。ここで、クレーム対応の基本を紹介します。
1.クレームを言っている人の話を聞く
クレーム対応で最も大切なのは、「相手の話を聞く」ということです。クレームを言う人は感情的になっていることがほとんどですから、まずはその感情を抑制するのではなく、発散させ(ながらも情報収集)、お客様の伝えた情報を順をおって確認し、言いたい内容を理解しましょう。
話を聞く力もスキル。相手の話をただ「うん、うん」と聞くのではなく、理解を示して相手ははじめて「聞いてもらえた」と認識します。お客様が「聞いてもらえた」と思えるような話の聞き方のポイントを押さえましょう。
オウム返しで相手の話を聞く
お客様は感情的になっていて何を言っているかわからない場合が多いので、一旦は受け止める姿勢で話を聞くこと。クレームを聞く際、特にお客様が感情的になっているときには、相手の話をオウム返しするように意識しましょう。
オウム返ししながら話を聞くメリットは3つあります。
- あなたがクレームの内容を理解しやすくなる
- お客様自身が、自分は何に不満を持っているか改めて整理できる
- お客様が、話を理解してもらえていると安心する
このような理由から、まずはオウム返しで情報を整理し感情を落ち着くように促していきましょう。
オウム返しの例
お客様「この間、オタクから購入した商品に欠陥があったわよ!!!(怒)」
あなた「商品に欠陥があり、不快なお気持ちになられたのですね。大変申し訳ございません。その商品はいつ頃ご購入されましたか?」
相手が言っているクレームの内容を理解する
相手が何に不満を感じ、何を要求しているかを迅速に理解することが、その後の対応をスムーズにし、クレーム対応の要となります。お客様が言いたいことを一通り言っていただいたなら、こちらからも質問をするなど話を掘り下げていき、要点を掴んでいきましょう。
クレームを聞くときのポイント
・何に不満を抱いているか
・どういった経緯があったか
・何を求めているか
とくに経緯は大切です。いつ頃その出来事があったか、日付まで確認できるのが望ましいです。また、その後の流れなどもきちんと把握しましょう。
ただし、「何を求めているか」という点については、敢えてこちらから聞くべきではありません。特に見返りを求めていないクレーマーが、図に乗って要求を膨らませてくる場合もあるためです。
対価を求めている場合には相手から申し出てくる場合が多いので、再確認する程度に済ませましょう。
2.クレームを言ってくれた人にはお詫びし、解決案を提示する
クレームの半分ほどは、謝罪することで収まります。クレーマーに謝罪をするのはいけないという人もいますが、よほど不当なクレームでない限りは、企業スタッフとしてきちんと謝るべきでしょう。
クレームのポイントを絞って謝罪をする
お客様の話を聞いた上で、きちんと謝罪します。このときの謝罪は「商品の欠陥により不快な思いをさせてしまって、大変申し訳ございません」といったようにポイントを絞って謝罪します。
併せて時間を割いてクレームを言ってくださったお客様へ感謝の気持ちを持ち、この先同じことがないように努める旨を伝えましょう。
謝罪しても相手の怒りが静まらない場合や、相手が対価を求めている場合には次のステップが必要となります。
解決案を提示する
謝罪でクレームが治まりきらない場合には、解決案を提示する必要があります。
お客様が明確な対価を申し出た場合には、できる/できないを伝え対応しましょう。対応できない場合は、対価を大きく超えるムリな要望には応えられませんが事務的にきっぱりと「できません」と言うのでは、少し不誠実に受け取られてしまう可能性も。できれば、別の解決策をこちらから提示するようにしたいですね。
ですが、面倒なことに、クレームを言うお客様ははっきりとした対価を言わないことも多いもの。
こちらが謝罪をしてもクレームを長々と言うのみ・・・こんなときにも「○○という対応を取らせていただきたく存じますが、いかがでしょうか?」と、こちらから提案をしましょう。
3.クレームに対して再度お詫びと感謝を伝える
解決策が明確になったら、直ちに手配をしましょう。ここで対応が遅れると取り返しのつかないクレームに発展してしまうので注意してくださいね。
最後に、時間を割いてくださったことに感謝の思いと、再度丁重にお詫びをします。
4.クレームを社内で共有し次に活かす
クレームの発生した理由・経緯・対応についてまとめ、社内で共有しましょう。
できればそのような事例は社内全員がいつでも見られるようまとめておきます。そして、次に同じミスが起きないように徹底しましょう。
実際のクレーム対応、気を付けるポイントは?
実際のクレーム対応では電話やメールで対応することが多くなりますよね。電話、メールでのクレーム対応の流れや各対応での注意点について見ていきましょう。
電話でのクレーム対応のポイント
実際には、電話でクレームを聞く機会が一番多いかと思います。
相手の顔が見えない電話では言いたいことが言いやすいのですが、お互いの声が聞き取りにくかったり、言葉の真意が伝わりにくかったりと事態が収束しにくい特徴もあるので、十分に気を付ける必要があります。電話でのクレーム対応において、とくに気を付ける点は以下の通りです。
無愛想に思われないよう、声色に気を付ける
電話では声が聞き取りにくいことも多々あります。
相手に印象良く思われる声色に気を付けるのはもちろんのこと、電話での口調は早すぎず、電話口の相手が聞き取りやすいように話すことが最も大切です。
あなたが男性なら声を少し高めに、女性ならキンキンした声にならないよう落ち着いた声色を意識しましょう。
よく聞こえないときは「お電話が遠いようで申し訳ございません。もう一度ゆっくりお話いただけますか?」と電話口の相手に希望する話し方や口調(ゆっくり・はっきり・優しく)でリクエストしましょう。
メモを必ずとる
言うまでもありませんが、メモを取らなければ内容を忘れてしまいます。重要な情報を逃さぬよう必ずメモをとりながら話を聞きましょう。
また、電話で相手から名乗らない方も多いので、必要な情報はこちらからきちんと聞くことも必要です。
必ず聞くこと
・名前
・連絡先
・住所(必要であれば)
ただし、こちらが聞いても教えてもらえない場合は無理に聞き出す必要はありません。
一度電話を切り、解決策を決めてからかけ直す
電話は突然掛かってくるため、担当者が不在であったり、適切な対応がすぐに判断できなかったりするケースもあります。そういった場合は電話を一度切ります。
相手の話を聞き出した後、電話をつなぐ先のものが席を外していたり、あなた一人での判断が難しいと思われる事案には「大変恐れ入りますが、少々お時間をいただけますか?」と電話を切り、担当者に連絡を取るなどして解決策を決めましょう。
電話をいったん切るときのポイントは2点あります。
・お客様の電話料金がかかってしまうため、という大義名分のもとで「解決策を練ったあとこちらから折り返す」旨を伝えること
・いつ連絡をするかをお客様に伝えること(いつなら電話をしても良いかも併せて)
いつ電話を入れるかを伝えると、お客様はまたされてイライラすることもなく安心できます。ただしこの約束は必ず守ること。期限は可能な範囲で長すぎない期間を設定することが重要なポイントです。
メールでのクレーム対応のポイント
メールでのクレーム対応は、電話と異なりじっくり対応できるメリットがあります。クレームのメールが届いてから最短での対応を目指して行動しましょう。
メールは電話とは違い文章として残ってしまうものなので、言葉選びなど小さなミスもしてしまわないよう細心の注意を払いましょう。
メールの基本を言い回しや文章構成をチェックする
メールはきちんとした言葉遣いで、相手が読みやすいように言い回しや構成をチェックしていきます。
インターネットで検索をかけると様々な例文が出てくるので参考にするのも良いですが、できるだけ自分の言葉で、そのお客様に響く言葉で書くのが望ましいです。形式にも気を配りましょう。ビジネスメールはテキスト形式が基本です。
しっかりとお詫びの一文を書く
まずはきちんとお詫びの一文を述べましょう。相手に不快な思いをさせてしまったこと、困らせてしまったことに対して謝罪を記します。
基本的なクレーム対応にも通じますが、このとき「責任はすべて弊社にあります」といった表現は避けるように気をつけます。余程の事態でない限りはあなたの会社側が責任を負うことはありませんので、謝罪すべき点に絞って謝罪するようにします。
解決策の提案をする
お詫びをしたら、解決策の提案をします。
「ただちに(時間がかかるときは「いつになるか?」を具体的に提示する)商品を発送いたします」といったように、いつ・誰が・何をするといった情報をわかりやすく記載しましょう。
クレーム対応をするときに注意すること
上述の他にも、クレーム対応で注意すべき点は他にもあります。どんな点に注意するべきなのでしょうか。以下のことを心がけながら、クレーム対応をしましょう。
クレーム対応は第一印象が肝心
クレーム対応は最初の対応が重要だと言われています。
逆の立場を考えると当然ですよね。あなたが何か被害に遭ったとき、それで嫌な思いをしたときに、はじめに対応した人がいい加減では、不快な気持ちが輪をかけて不快になってしまします。
最初に対応する際には少しでも印象よく思ってもらえるように、言葉遣い、マナーなどといった基本的な点は徹底的に気を配るようにしましょう。
社内ルールに従う
クレーム対応のルールはある程度の規模の企業であれば、あらかじめ定められているものです。
以下のような決まりがある可能性もありますから、会社の規定には必ず目を通し、対応方法を知っておきましょう。
- クレーム対応は○年目以上
- 上席の者に対応を任せる
- 上席の者に対応させない
行ったクレーム対応をまとめてマニュアル化する
クレームが来る機会が少ないなどのケースでは、突然のクレームに戸惑って判断を誤ってしまうことがあります。そのため、あらかじめクレームの事例をまとめておき、ケースごとの対処法をマニュアル化しておくとスタッフとして働く側にも安心です。
どういった言葉を使うかや、クレーム発生時にまず何をするかなどを記した資料を紙媒体かデータで保管しておき、いつでも取り出せる場所に保管しておきましょう。会社全体でマニュアル化する他、あなた自身のマニュアルもあるとなお良いですね。
クレームで謝罪訪問する時は菓子折りを持参する
クレームが肥大化し、直接お客様にお会いしなければならないケースが稀にあります。ことの大きさによっては菓子折りを持参し訪問する必要もあるでしょう。
お客様にお会いしたら、お詫びの言葉とともにお菓子を手渡します。
直接顔を見て話せる機会はそう多くはありません。フォーマルな恰好をし、お詫び➝話を伺う➝今後の対応を提示する➝お詫びをするという流れを押さえましょう。
あなたがクレーム対応に慣れていないときなどには、訪問は2人か3人で行くのが望ましいですね。
クレームには身につけた対応力をもって誠実に行動する
クレーム対応は決して気持ちのいい仕事ではありませんが、上手く対応することでお客様の信頼を得るきっかけにもなります。
また、相手の話を掘り下げて聞く力や、社内の人を巻き込み問題を解決する力、スピードをもって仕事をする力が身に付きます。何も悪いことばかりではないのです。
ここで紹介したクレーム対応の基本ルールを知り、いつでもスムーズに対応できるような心構えをしておくようにしましょう。クレーム対応ではお客様に誠意ある姿勢を見せることが大切です。