職場の雑談で悩む人は昔から多いもの
「イマドキの若いモンは」とはいつの時代も職場で耳にするセリフですが、最近は「雑談は要らないと平気で言う」ことも多くなっています。
これも昔から繰り返されている話で、就職したての頃は雑談の必要性や重要性があまりわからず、経験を積むにつれて必要だと感じて後輩に雑談をし、若い社員に否定されるというサイクルになっています。
逆に言えば、職場の雑談が面倒、意味がわからないと悩んでいる人は昔から多いのです。職場で雑談がどのように重要なのか、また雑談上手になるためのコツを学んでみましょう。
そもそも雑談がわからない人も多い
「雑談」と言われても、それが何を指すのかピンとくる人は多くありません。だからこそ、具体的なイメージや必要性がわきにくいという面があります。雑談とは、特に目的や意味を持たない対話・やり取りです。言うなれば、朝の挨拶なども雑談の一種と言っても良いでしょう。
職場の雑談は何か目的や意味がなく、むしろ雑談することそのものに意味があるとも言え、雑談をすることによって他の会話を発生させたり、息抜きになったりといった効果を持ちます。
職場の雑談が苦手という人でも、普段の生活の中で多くの雑談をしていますので、決して苦手ということはありません。ほとんどの場合、雑談そのものが苦手なのではなく、雑談をする相手、つまり会社の上司や同僚に苦手意識を感じているだけなのです。
職場の雑談が大切な理由
「職場の雑談は不要・無駄」という声がいつの時代でも聞こえますが、職場における雑談が重要だと言われるのはちゃんと理由があります。
コミュニケーションの基盤を作るから
職場の雑談の一番のメリットは、普段からの関係を良好に作れることにあります。誰でも、口をきいたことがない人よりは、口をきいたことがある人と話しやすいはずです。意味があっても無くても、雑談を通してコミュニケーションの基盤が作られているのです。逆に職場で雑談をしない人は、そのコミュニケーションの基盤を自分で壊してしまい、大きく損をしていることもありますので注意しましょう。
「話せる」というサインを送れるから
仕事は静かにするものです。しかし、誰もが黙りこくって仕事をしている時に、話しかけることができるでしょうか。きっと「集中して仕事をしているから邪魔しないようにしよう」と思って後回しにするはずです。そうしているうちに、話すことができずに仕事が滞ってしまうこともあります。職場で雑談をすることによって、「今は話していい」というサインにもなります。
リラックス・リフレッシュできるから
「雑談もできない職場は息が詰まる」と言う人も多いですが、雑談をすることによって適度に緊張をほぐしたり、たまったストレスから精神的にリフレッシュしたりする効果もあります。「息が詰まる」というのは呼吸が浅くなっている状態でもあり、強い緊張・ストレス状態に対する体の反応です。雑談をしているうちに深呼吸のように自然と息を大きく吸い込みますので、リラックスやリフレッシュに良い効果があるのです。
職場での雑談ネタとポイントをチェック
職場で会話したくない、職場の雑談が苦手、雑談はめんどくさいと思っている人でも、今日から使える雑談ネタとポイントをチェックしておきましょう。
1.お天気ネタ
お天気に関する話は雑談の鉄板ネタです。ほとんどの場合は意味を持ちませんが、それでも誰もが気にする天気の話ですから、口を滑らかにするにはちょうど良いのです。急に通り雨が降ったり、強風が吹いてきたりなど、天候が変わった時などはちょっとしたニュース性を持ちますし、季節の変わり目などは「最近は気温差が激しいですが、●●様はお変わりないですか?」と天気の話からちょっと相手を気遣うトークができれば職場での好感度もアップです。
2.持ち物・服装を褒める
目に見える持ち物や服装で気づいたことがあれば、それが職場の雑談のネタになります。上手にコメントすることができれば、自然と相手も上機嫌になって話しやすくなることでしょう。上手なコメントのポイントは褒めてあげることです。無理に褒めるのではなく、褒めどころを押さえて褒めることが肝心です。
良いものを知っている人ほど、その知識が褒めるために役立つはずで、逆にイマイチな部分に間違って触れることを予防してくれます。特に女性の髪形などは良く気づいてあげると、印象が良くなりますので男性は覚えておくと良いでしょう。
3.ニュースネタから共感を得る
日々のニュースは相手との共感を得やすいため、うまく雑談に取り入れたいものです。職場の雑談のために新聞やビジネスニュースを見るという社会人も多いです。ニュースネタでは、難しいテーマや専門性のあるものはなるべく避け、気軽で一般的なニュースが良いでしょう。
「今度のGWは○日頃から旅行に行く人が多いそうですね。うらやましい限りです」というような内容が無難でしょう。ニュースネタでは、政治や思想、宗教、特定のスポーツのチームの成績などは印象を悪くするリスクがありますので職場での多用は避けましょう。
4.タウン情報は間違いがない
オフィス近辺のお店や出来事などのいわゆる「タウン情報」は、雑談のテーマとして間違いがないものです。「駅前に新しいケーキ屋さんができていますね。行ってみたのですが、なかなか良かったです」というような話は相手に対して「情報」というお土産をあげることになりますので、間違いなく喜ばれます。
5.趣味の話は相手に合わせて
職場の雑談のテーマとしてよく使われるのが趣味の話です。相手と自分の間に共通の趣味がある場合は、これだけでも雑談で困ることが無くなります。逆に相手と自分の趣味が合わない場合は、趣味の話をしても適当なところで早々に切り上げ、相手の趣味について聞き出す形で話すのがコツです。
自分の関心のない話を延々と聞かされるよりは、自分の好きなことを話している時の方が楽しいものです。相手のタイプに合わせて、雑談も話す側になるか聞き手になるか使い分けましょう。
6.共通の知人について
雑談のテーマでとても多いのが共通の知人についての話です。同じ職場内なら上司や同僚などの話題であったり、取引先でも共通の知人や自社の担当者などの話から雑談が始まることもあります。
「実は部長、最近男性用のエステサロンに行き出したらしいよ」というような話は、部長の新たな一面に興味を持たせ、話題にひきつけるのに十分です。ただし、職場の雑談のマナーとして陰口のような内容にならないよう注意しましょう。
7.話題のテレビ番組
誰もが知っているような、または気になるようなテレビ番組の話題も職場の雑談として重宝されます。「昨日のサッカー日本代表の試合、頑張って夜中まで起きて見てたので寝不足です」「24時間テレビ、マラソンの沿道に応援に行きましたが、最後にテレビでゴールしたのを見て初めて泣けました」というような話は雑談の種になります。
ポイントとしては、「テレビの話題」にプラスして「自分の話題」を含めること。これによって、相手がテレビに関心が無かったり見ていなくても、自分の話題に対して関心を示したり、会話を広げやすくなります。
8.仕事・業界の話
ビジネスにおける雑談では、仕事や業界に関する情報から雑談ができることもあります。人によって得意不得意が分かれますので、相手をよく考えて話すことが大切です。「先日、東京ビッグサイトの●●セミナーに行ってきまして」など、相手にとってもメリットになる「土産話」ができればベストです。
職場の雑談での注意事項
職場の雑談はマナーを守って行わないと迷惑になることもあります。「やめてください」と言われないように気をつけましょう。
大声で雑談しない
職場では休憩時間を除けば、常に誰かが仕事をしていますので、集中力を削がないように大声で雑談することは控えましょう。盛り上がってくると声が大きくなりがちなので注意してください。
長々と雑談しない
長々と雑談をしていると、仕事に関連した話が入っていても、そう見られないことがあります。職場の雑談はあくまで息抜きだと考えて、長くならないように切りましょう。長くなる前に上手に打ち切れるのが雑談上手です。
雑談より仕事を優先する
職場ですから、当然、雑談より仕事を優先するべきですが、意外とできていない人もいますので気を付けましょう。雑談中に他の人から仕事の相談を持ち掛けられたら、雑談を打ち切って対応すべきです。また、雑談について注意された場合には、その注意をちゃんと受けて仕事に戻りましょう。
雑談の内容には気を付ける
職場でする雑談の内容が品のない話だったり、誰かの悪口などで盛り上がったりしている時には、その雑談が聞こえてしまっている人にとってもいいことがありません。ためになって思わず聞いてしまう雑談と、嫌々でも聞こえてしまう雑談は印象がまるで違いますので、雑談の内容には十分注意してください。
職場の雑談は全体で作るもの
職場の雑談には否定的な意見も肯定的な意見もありますが、マナーをきちんとわきまえて雑談が行われているなら、職場の雰囲気が活性化して社内風土が良くなります。逆に、マナーのない雑談が横行しているようなら、職場の雰囲気も悪くなってしまいます。
マナーをわきまえた雑談は職場の雰囲気をよくし、リフレッシュの時間となって職場の生産性を高めてくれますし、組織の一体感を高めます。雑談は一人ではできませんから、個人の雑談スキルと共に、職場の雑談の雰囲気を作ることが大事です。