上司のパワハラに悩む人がすべきこと
上司であるという立場を不当に利用して、「権力的嫌がらせ(パワーハラスメント、パワハラ)」を行う上司には、どう対処することができるでしょうか。ここでは、「ただの指導ではない、パワハラだ」と感じる行為が続く場合の対処法についてご説明いたします。上司のパワハラに悩んでいる人はぜひ参考にして、状況改善の糸口を見つけましょう
上司による指導とパワハラの境界線を明らかにする
上司が「契約を今月末までに○件、とってこい!」と言う場合は、それが無理な要求の場合でも叱咤激励していると分類できますので「指導」と判断することができます。ですが、「契約を今月末までに○件取って来なければ、辞めてしまえ」とか「辞表を書いてもらう」、などと言った場合は、上司であるという権力を使ったパワーハラスメントになってしまうのです。
このように、明らかに「指導」や「激励」の枠を超えた発言や行動がある場合はパワハラですので、これを境界線として認識する必要があります。上司の言動が「指導」なのか、それとも「パワハラ」なのか、そこを見極めましょう。
境界線を越える行為を行う上司にパワハラである事実を確認する
上司の言動がパワハラだと確信したら、次は上司本人にその言動がパワハラである事実を認識してもらいましょう。上司に話すときに、あなたも上司と同じように感情を高ぶらせてしまっては、冷静な対応をとることができません。
指導の域を越える行為や発言をしてしまった上司には、落ち着いた態度で「」あなたは私にパワハラをしています」という事実を認識させることが大事です。
大抵のパワハラ上司は、自分がパワハラを行っているという事実に気付いていません。どこまでが指導でどこまでがパワハラなのかが、曖昧になっているのです。また、上司自身も若かったときに上司からパワハラを受けていて、上司が部下に対してそのような言葉を使うのは当たり前と思い込んでいるのかもしれません。ですから「自分の言動はパワハラになるんだ」ということを上司本人が自覚する必要があります。
上司にパワハラをしっかり自覚させるにはその言動の直後に指摘すること
パワハラを行っている上司に、「あのときおっしゃった○○という言葉はパワハラですよね」と伝えても、「覚えていない」「そんなことは言っていない」と言われてしまう可能性が高いです。
パワハラ発言、パワハラ行為があったときにすぐに「今、辞めろとおっしゃったのは言い過ぎではないですか?」「辞めろと言うご発言は、パワーハラスメントに当たるのではないですか?」「辞めろと言うお言葉は、たいへんこちらも苦しくなります。お取消し願えますか?」と、落ち着いた態度で相手の非を指摘することが大事です。
一度言っただけでは、上司に「説教するつもりなのか?」「馬鹿にしているのか?」と逆切れされてしまうかもしれません。ですが、何度も「侮辱行為は辞めて下さい」とはっきりと落ち着いて伝えることで、上司もクールダウンしてきます。また、周囲の目もありますので、上司もパワハラを止めざるをえなくなるでしょう。
パワハラ行為を上司本人に指摘しても改善されない場合の対処法
数回指摘しているのにもかかわらず、上司のパワハラ言動がなくならないときは、パワハラが常習的に行われているのかどうかを調べたうえで、上司に話し合いの場を設けるようお願いしてみましょう。
上司がパワハラを常習的に行っているのか調査する
数え切れないほどのパワハラ行為やパワハラ発言を受ける場合には、会社の上層部に直訴したり、場合によっては裁判を起こすことも検討したりしなければならないこともありますが、指摘して回数は少なくなったとはいえ、まだパワハラ言動が続く場合には、他の社員たちにも同様の経験がないか聞いてみるのも良いでしょう。
上司のパワハラに常習性があるかどうかを調査してみてください。同様の経験を皆が受けている場合には、訴訟に発展した時の証言にもなりますし、悩みを共有することで気持ちが少しでも軽くなることもあります。
パワハラが改善されなければ、改めて上司との話し合いの場を設けてもらう
他の社員たちへの聞き取り調査で、上司によるパワハラの常習性が確認されたら、一度、上司との話し合いの場を設けてくれるよう頼みます。この時、1人ではなく、同じ経験をした他の社員も数人いると安心です。
話し合いの場を設けてもらうことができたら、何故そのような人格を否定するような発言を行うのか、侮辱的な発言や行為を行うのかを直接聞いてみましょう。パワハラをする上司からじっくりその言動の理由を聞くことで、自分にも改善するべき点が見つかるかもしれません。
話し合っても上司のパワハラがなくならない場合の対処法
冷静に話し合いをしても、上司のパワハラ発言・パワハラ行為がやまない場合は、どうすれば良いでしょうか。心が疲れてしまいうつなどの病気にかかってしまう前に、対策を講じる必要があります。会社の上層部への直訴や法的措置の準備に向けて、できることを紹介します。
上司のパワハラ発言を録音する
常習的に上司によるパワハラ発言がある場合は、その発言をボイスレコーダーで録音しておきましょう。法的に訴える場合の物的証拠にもなりますし、会社の上層部に直訴する場合にも提出することができます。
上司のパワハラが原因で通院している場合は診断書を書いてもらう
上司からパワハラを受け続けていると、心身ともに辛くなり病気にかかってしまうこともあるでしょう。「生きて行くのが辛い」「会社を辞めたい」と思う前に、病院に行って相談することをおすすめします。診断の結果、ストレス性の疾患であることが判明して診断書を出してもらえれば、診断書も法的措置の物的証拠になります。
上司のパワハラには証拠を用意し、冷静に対処することが重要
プライベートでは我慢ができないことでも、仕事の場合はつい我慢しなくてはと無理に自分を押さえこんでしまうことがあります。ですが、上司が明らかにパワハラを行っている場合は、自分を抑え込む必要はありません。
最終的な証拠として上司の発言を録音したボイスレコーダーなどを用意したうえで、今回紹介した対処法を参考に冷静に行動しましょう。