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寸志の意味は賞与とどう違う?失礼のない受け渡しマナー

寸志は様々なシーンで利用されますが、どのようなシーンでもらうのか、どれくらいの金額が相場なのか知っていますか。寸志の意味を誤解していると上司などの目上の人に失礼になるケースもあります。寸志についての正確な意味や会話でのやりとりにおける注意点を頭に入れておくことが大切です。

寸志はどんなシーンで渡す・渡されるもの?

学生の頃に誰かから寸志をもらったり、あるいは誰かに寸志を渡すという経験はほとんどありません。そのため、寸志についての知識がないまま社会人になる人も多いのですが、社会人になると寸志の受け渡しの機会が増えていきます。

寸志を渡したり頂戴したりするシーンで正確な知識を持ち合わせていないと、目上の相手に対しては失礼にあたる可能性があります。また、漠然と「賞与と似たような意味でしょ」と考えていては、あなたのビジネスパーソンとしての評価を下げかねませんので、くれぐれも注意が必要です。

寸志の意味とは?

ビジネスシーンでの寸志と聞くと賞与と同じイメージを持つ方が多いですが、寸志はお世話になった相手や感謝の気持ちを伝えたい相手に対して渡す御礼のお金や物品のことです。

寸志というと現金を渡すことが多いですが、必ずしも寸志はお金である必要ではなく、御礼や感謝の気持ちが伝わるものであれば物でも寸志とされます。
寸志を受け取った側は、寸志のことを「ご厚志(ごこうし)」「御志(おこころざし)」といった言葉で表現することが一般的です。

また、寸志は「ほんの少しの感謝の気持ち」というような意味合いで使われることが多いため、数十万円に及ぶような金額や物を渡す場合は寸志ではないと判断されます。

寸志はどんなシーンで使われる?

寸志は多くのシーンで使われるものであり、「こういったシーンでは寸志を渡さなければならない」「こういったシーンでは寸志を渡してはならない」といった細かい決まりが定められているわけではありませんが、寸志がよく使われるシーンやマナーについては最低限覚えておく必要があります。

会社が従業員に対して渡す寸志

会社が従業員に対して給与を払うこととは別に、普段の仕事や成果に対しての御礼という、賞与寄りの意味合いで寸志を渡す場合があります。
通常の寸志は数千円程度で渡すことが一般的ですが、会社から従業員に渡す寸志の場合は数万円以上の金額が渡されることもあります。

結婚式や葬儀の開催者やスタッフに対してのお礼

寸志がよく使われるシーンとして、結婚式や葬儀の開催者やスタッフに対して渡す場合が挙げられます。
また、結婚式や葬儀のようにかしこまった場に限らず、多くの人数が集まる会やパーティー、あるいは飲み会のような場で自分が主賓として招かれた場合には、開催者や幹事に対する御礼の気持ちとして寸志を渡すことも多いです。

その他の御礼

御礼の気持ちを伝えるシーンは非常に幅広いため、よく使うホテルや旅館のような施設で、女将さんやスタッフに対して寸志を渡すということもあります。
その他、子供がお世話になった部活やクラブの先生、引っ越し業者の引っ越しスタッフ、貸し切りバスの運転手に対して寸志を渡すケースもあります。

寸志を頂いた場合のお礼は必要?

寸志が使われるシーンが限定されていないことと同様に「寸志を頂いた場合は絶対にこうしなければならない」というような具体的な決まりがあるわけではありません。そのため、寸志を頂いた場合の御礼は自由です。

寸志は感謝の気持ちで渡されているわけですから、ありがたく頂戴した上で感謝の気持ちを言葉で伝えるということだけでも特に問題ありません。もし感謝の気持ちを言葉で伝えるだけでは不十分と感じるのであれば、お礼状を書くということも一つの手ですし、御礼の品をお返しするということも可能です。

ただし、ビジネスシーンで寸志を頂いた場合については、上の人間に寸志を頂いた旨を報告した上で、上司からも御礼を伝えてもらう方が無難です。職場によっても対応はさまざまですので、迷うようであれば会社の方針に従いましょう。

なお、何かの会合やパーティーのような場で会の運営についての寸志を頂戴した場合は、「寸志」ではなく「ご芳志」または「ご厚志」などの表現に言い換えるのがマナーです。全員に対して「○○様よりご芳志を頂戴いたしました。この場をお借りして感謝を申し上げます」といったように披露しましょう。

寸志の相場はいくら?

寸志は感謝の気持ちですが、金額が少ないからといって相手に失礼にあたるというわけではありません。寸志は「お返しがいらない程度の簡単な御礼の気持ち」というような意味合いで渡すのが一般的です。そのため、寸志の相場は一般的に5,000円前後となります。

寸志として渡す金額が高くなりすぎたり、高価な物を寸志として渡してしまうと、相手が恐縮してしまったり気を遣わせてしまうため注意が必要です。
ただし、結婚式や葬儀場のスタッフに対して寸志を渡したい場合には、相手が複数人いることに伴って少し多めに寸志を渡すということは問題ないでしょう。

寸志はどうやって渡す?

中には気にしない相手もいるでしょうが、寸志を渡す際、現金をそのまま渡してしまうのはできれば避けるのが無難です。どうしてもというケースでない限りは、あらかじめのし袋を用意しておくようにしましょう。

寸志をのし袋に入れて相手に渡す場合は、のし袋に「御礼」と書いておくのが一般的です。初めから御礼という文字が書いてある封筒も売っていますので、そういったのし袋を購入してしまっても問題ありません。
のし袋に入れるお金はなるべく新札で、お札の向きは揃えた上で封筒から出した時にお札が表を向いているようにするのが一般的なマナーです。

自分が主賓となる歓迎会や親睦会などで寸志を渡す場合、当日会場に入ってから早めに幹事に渡すのがベストなタイミングです。

寸志を渡すときの注意点

寸志はお世話になった人へ感謝の気持ちを込めて渡すものですが、シーンによっては寸志として渡すことが相応しくないケースがあります。

例えば、お世話になった人がケガや病気で入院した人に寸志をお渡しするというのは相応しくありません。相手が入院しているような場合に何かをお渡しするのであれば、お見舞い金やお見舞い品としてお渡しするのが一般的です。

また、大きな感謝の気持ちを伝えるような場面で寸志を渡すというのは相応しくありません。例えば、仕事でお世話になっている人が退職することに伴って寸志を渡すというのは、反対に失礼にあたる場合もあります。このような場合には寸志ではなく送別品として渡すようにしましょう。

会社の風土によっては寸志を断られることも

寸志を個人同士でやり取りする場合、本気で断られることはほとんどありませんが、仕事では寸志の受け取りを断られる場合があります。

ビジネスシーンの場合、相手から「寸志を受け取る」ということと「賄賂を受け取る」ということの境目が難しいため、寸志も含めて金品の授受を原則として全て禁止しているという会社もあります。

もちろん、寸志を渡しても問題無いかどうかを事前に質問するわけにはいきませんが、もし寸志を渡した場合に断られてしまうことがあったとしても、一定の理解を示す必要があります。

反対に、寸志を受け取る側としてお断りしなければならない事情がある場合については、正直に相手に事情をお伝えした上でご理解頂くというのも一つの手です。

寸志の使い方は非常に幅が広い

寸志の渡すシーンや渡す相手、渡す金額というのは非常に幅広く、結婚式の祝儀や葬儀の香典のように「絶対このシーンで渡さなければならない」という決まりもありません。明確な決まりがないがゆえに祝儀や香典ほど渡したりもらったりする機会が多くなく、いざ寸志を渡したりもらったりする時にはどうしたらいいか分からなくなってしまうものです。

感謝の気持ちを伝えたい人がいる場合には、一般的な寸志のマナーをわきまえた上で、上手に寸志を活用していきましょう。

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