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「進捗」の意味とは?正しい使い方を例文で理解しよう

進捗の意味を理解し正しく使えるようになれば一人前の社会人です。社会人になると進捗という表現が多く使われるようになりますが、これは仕事に対する意識と無縁ではないからです。進捗の意味や類義語、使い方や例文、英語での表現を押さえて、ビジネスシーンでも正しく使いこなしましょう。

「進捗」の正しい意味を知りビジネスシーンでスマートに使おう

学生の時にはほとんど使ったことがないにもかかわらず、社会人になると急に使う機会が増える言葉のひとつが「進捗(しんちょく)」です。最初は漢字が読めずに「しんぽ」と読んでしまい、恥をかいたという話もよく耳にします。

「進捗」について正しく理解し、使いこなせるようになると社会人らしさがぐっと増します。「進捗」の意味や使い方など、基本的なことをおさらいしてみましょう。

「進捗」の意味

「進捗」の意味は、「物事がよく進む、はかどること」となっています。ですから、進捗を聞かれるということは、進み具合を聞かれていると考えて間違いありません。

進捗の「進」は進むこと、「捗」は捗る(はかどる)ことを意味し、どれぐらい進んでいるのか、仕事は捗っているのかという意味になります。どれだけ進んだかという「位置」だけではなく、やってみての「調子」「速度」についても気を遣った表現です。

仕事においてはどれだけ終わったかも大事ですが、納期までに終了できるペースかも大事なポイントになりますので、進捗を問われるケースでは、仕事がどの程度進んだかということだけでなく、納期までの仕事の完了に向けて心配なことがないかも答えるようにした方が良いでしょう。

「進捗」を使った様々な表現

ビジネスシーンでは「進捗」を利用した様々な表現が使われています。

進捗状況・進捗具合

「進捗状況」「進捗具合」はよく耳にする言葉ですが、いわゆる進み具合を意味します。全体の中のどのあたりまで進んでいるのかを表す言葉です。

進捗率

大きな仕事や長期にわたる仕事になると、「進捗率」という言葉が使われることも増えます。総タスクのうちのどの程度の割合が終了したかによって、作業全体における進み具合を数字化してわかりやすく表現するものです。

進捗報告

「進捗報告」は、文字通り進捗についての報告となります。実際には業務・作業についての報告であることが多いですが、特にテーマとなっているタスクについての進行度合いや、仕事上の問題点などの報告が行われます。

進捗管理

「進捗管理」は、進捗がスケジュール通りに進んでいるのかをチェックしながら、絶えず計画を修正して納期内の目標達成に向けて筋道をつけていくことを言います。

進捗が遅い

「進捗が遅い」という言葉もよく耳に入ってきますが、予定よりも進捗が遅れていたり、また何かの進捗に関する情報を聞いた人が客観的に進み具合が遅れている場合に使う表現です。

この表現が出てくる時には問題があることも多く、どうしたら納期内に作業が完了できるかスケジューリングなどを考える必要があります。

「進捗」の類義語

「進捗」と似た使われ方をする言葉はたくさんあり、ビジネスシーンでも多く耳にするものです。それだけ仕事の進み具合は誰にとっても関心事ということでもあります。

「進行具合」「進み具合」などは「進捗」とほぼ同じ意味で使われていますし、また「進行」のみでも「進捗」と同様の意味で使われる場合もあります。

類語として「マイルストーン」「一里塚」という言葉もありますが、もともとは一定の距離ごとにおかれていた石や塚などを意味し、進んだ距離を表すために使われていました。これが転用されて、仕事上の進捗や通過点、目的達成のための目標を表すものとして使われることもあります。

「進捗」を使った例文

「進捗」の意味が分かったところでシチュエーション別に、「進捗」を使った例文をいくつか挙げていきます。

仕事上の進み具合を表す場合の「進捗」の例文

「進捗」は仕事上の進み具合を表す表現として使うのが基本です。進捗が話題に上がる場合には、互いにその仕事の内容や全体像を理解していることが前提となります。

作業の進行状況を報告したり、進捗率などの数字化したもので表現した場合に、互いに仕事の全体像が共有されていてこそ報告などを受けてもそれを正しくイメージすることができます。

概念としての「進捗」を使う場合の例文

上の例文では「進捗管理」に具体的な内容はありません。工場で必要となる進捗管理と言っても様々なケースが想定されますので、それを大まかに表現したものと言えます。

下の例文でも、生産ラインの何の進捗が遅れているのかは明確ではありませんが、大きく生産ラインに何か原因があって現在の状況があることを示しています。こうした使い方もたびたび行われています。

「進捗」を使う際の注意

「進捗」が使われる場合、当事者や上司、依頼主など、その仕事の関係者間でのやりとりであることがほとんどで、全く関係のない人が進捗についての話をするということはありません。

進捗について話をする際には、基本的には何に関する進捗なのかが、やり取りをしている人の間で明白である必要があります。

そのため、互いに社会人の友人どうしが休日に会った場合に、「久しぶり。仕事は順調?」という挨拶はできても、「久しぶり。仕事の進捗はどう?」という挨拶はできません。何でもかんでも進捗と言う言葉を使うのは好ましくないため、状況に応じて他の表現と使い分けることが大切です。

「進捗」の英語表現

「進捗」に関する英語表現も覚えておきましょう。

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英語の単語として「進捗」にあたるのは「progress」で、「the progress report」は進捗報告を意味します。この場合は教えてくださいとなっていますので、「進捗報告」を教えるのではなく、進捗状況を教えると解釈します。

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上記の表現であれば、進捗報告に関する資料であると解釈できますので、この場合は進捗状況ではなく進捗報告となります。

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こちらの英文では「the current status(現在の状態)」を進捗状況と考えることができるため、進捗状況について教えてくださいと意訳することができます。

「Progress」という単語はありますが、日本語の「進捗」ほど多くは使われませんし、たくさんの意味合いで使われません。英語では対象を明確に表現することが多いのが大きな違いとなります。

「進捗」と「納期」を気にするのが社会人

社会人になると、「進捗」や「納期」という言葉を耳にすることも増えますし、口にすることも多くなってきます。学生時代にはあまり使わなかった言葉で、「進み具合」や「締め切り」「期限」などの表現がされていたことでしょう。

進捗や納期が強調されるのは、社会人は計画的に仕事を行っていくことが大切だからです。互いに進捗や納期を意識し、理解することで、仕事上の優先順位をつけたり、売上などの管理をしやすくなります。

学生だとしても当然、勉強などの場面で進捗が使えますが、社会人ほど計画性や責任が伴うケースは少ないものです。「進捗」「納期」という言葉は、社会人がもつ計画性や責任と無縁ではありません。

社会人になって「進捗」「納期」が口をついて出てくるようになれば、学生気分を抜け出して、社会人らしい意識になってきたと見ることもできます。

仕事で「進捗」を確認する際の注意点

進捗はビジネスシーンではよく使われる言葉ではありますが、仕事の進み具合を聞くということは少し注意が必要なことです。

進捗の確認をしたくなるのは、仕事の関係者であれば当然ではありますが、進捗報告やそのための資料作りなどは、仕事そのものではなく、進捗の妨げにしかなりません。そのため、進捗の確認は管理上必要な最小限度にとどめる必要があります。

進捗が思うように進んでいない場合には、進捗を聞かれることで大きなストレスになる人もいます。進捗が芳しくない場合には、ひっかかっているところ、やりにくいところなどがないかも確認し、できるだけ進捗のペースを速めるために協力することが大切です。

進捗は社会人にとって大きな関心事ではありますが、何のために進捗を確認するのか、それをよく考えて確認するようにしましょう。特に外部とのやり取りでは、ビジネスマナー上の失礼がないよう一層の配慮が必要となります。

「進捗」を意識した仕事ができる人になろう

進捗という言葉が意味するところは、仕事上の進み具合であり、多くの仕事を協力して行う社会人の大きな関心事です。だからこそ、進捗に関して意識がないと、社会人らしい仕事ぶりをすることが難しくなります。

自分の仕事を計画的に進め、進捗を常に意識し、進捗管理を上手にできるビジネスパーソンを目指しましょう。