ビジネスマナーとして重要なメールの送信・返信ルールとは
ビジネスマナーとしてメールの送信や返信のルールを知っておくことは、社会人として活躍するために欠かせないスキルです。メール一通でその人の印象がガラリと変わるものです。どうせなら、相手に好印象を与えるような、素敵なメールの送り方を身につけたいですね。
メールのビジネスマナーは大事
メールは、プライベートでもビジネスシーンでも、なくてはならない便利なツールですが、プライベートでは許されることでも、ビジネスでは失礼にあたるメールマナーがあることから、十分に注意が必要です。特に、メールは相手の顔が見えないので、自分の意図が間違って伝わってしまったり、相手に失礼なメールを送ったことに気づかない…なんてことも。
そのような不測の事態を避けるため、ビジネスマナーとしてメールの送信や返信のルールを知っておくことが大切なのです。ここで紹介する送信と返信メールのルールを参考にして、正しいビジネスマナーを身につけましょう。
メールを送信する際のビジネスマナー
まずは、こちらからメールを送る場合のビジネスマナーを紹介します。目上の人や初めてメールを送る人に対して、失礼にあたらないようなメールとはどのようなものなのでしょうか。
送信メールの書き方の注意点3つ
こちらから送ったメールを先方は貴重な時間を割いて、確認しています。ですから、送信メールでは、先方の手間を取らせないために次のような気遣いが必要です。
1.メールの内容が分かるような件名に
「先日の件」や「ありがとうございました」のような件名では、具体的にどのようなメールなのかが伝わりません。先方が件名を見てすぐに確認する必要があるのか、後からゆっくり見ても問題がないのか判断できるように、本文全体の要約となるようなタイトルにする必要があります。
2.内容は端的に分かりやすく
ビジネスメールでは、何を伝えたいのか分からないまま、ダラダラと書き連ねるのは言語道断です。メールを受け取った側が、短時間で内容を100%理解できるように、要点を分かりやすく伝えなくてはいけません。
3.改行と読点(、)はこまめに入れる
改行や読点のない文章ほど、読みにくいものはありません。送ったメールの内容をきちんと理解してもらうためには、意味が正しく伝わるように読みやすい文章であることが大切なことから、先方が「読んでもいいかな」と思えるように、見た目にも配慮する必要があるのです。
送信メールで注意すべき文章例
メールは相手の顔が見えない分、丁寧すぎるくらいのほうがいいといえます。基本的に次のような「~します」については、必ず謙譲語を使った「~いたします」という丁寧な表現を使いましょう。
×「よろしくお願いします」
〇「よろしくお願いいたします」
ただし、何でも丁寧にすればいいというわけではありません。例えば、「~させていただきます」は、自分の行動に対して、相手の許可を受けて行うことによって、恩恵を受ける場合に使われる表現のため、次の例文のように使い方には注意が必要です。
○「コピーをとらせていただきます」
○「カタログを送らせていただきます」
△「~について説明させていただきます」
△「来週の水曜日は休業させていだきます」
×「~の件を確認させていただきました」
×「担当させていただいております○○と申します」
○の2つの例文については、許可を取りつつ恩恵を受けることから、「~させていただきます」という表現を使うことに問題がないのに対して、△や×のような許可と恩恵の両方が成立しない表現については、「~いたします」を使うとスッキリして分かりやすくなります。
また、次のような表現は、「拝見」と「いただく」の二重敬語となってしまうので、正しい使い方についてしっかり理解しておくことが大切です。
×「~を拝見させていただきました」
〇「~を拝見しました」
そのほかに、ビジネスメールなどで敬語を文章で表す場合、「送っていただく」と「送って頂く」のように、ひらがなにすべきか漢字にすべきか悩むことが多いのではないでしょうか。ビジネスメールだからできるだけ漢字で書かなければ…と思い込んでいると、思わぬ間違いをすることがあります。
実は、改まった文章を書く際、動詞は漢字で表記し、助動詞はひらがなで表記するというルールがあることから、次のような使い方をする必要があるのです。
~ていただく
×「連絡して頂く」
○「連絡していただく」
~ください
×「報告して下さい」
○「報告してください」
~しておく
×「保留して置く」
○「保留しておく」
~してみる
×「確認して見ます」
○「確認してみます」
メールを返信する際のビジネスマナー
次に大切なのが、先方から送られてきたメールに返信する場合のビジネスマナーです。メールの返信には、送信時とは違った独自のルールがあることから、しっかりと覚えておきましょう。
メールの宛名の表示名を必ず変更する
ビジネスメールでは、取引先の担当者から受け取ったメールに返信する場合、そのまま返信するのはNGです。メールを返信する際、基本的に宛先には先方が設定したユーザー情報がそのまま表示されるため、例えばメールソフト上で「ABC商事 鈴木太郎」と設定している場合、先方への返信メールは次のようになってしまうのです。
このまま敬称も付けずに返信してしまうと、先方に対して失礼にあたることから、一度受信したら次回から常に敬称が付くようするために、メールソフトに登録しておく必要があります。返信メールに敬称付きの宛名を付ける場合、Outlookでは連絡帳の「表示名」で次のように設定します。
この際、「ABC商事 営業一課 鈴木課長 様」としてしまうと、二重敬語になるため注意しましょう。また、同様の設定は、Windows Liveメールではアドレス帳の「ニックネーム」、Thunderbirdではアドレス帳の「表示名」で行います。
件名は変更しない
返信するメールのタイトルを変えてしまうと、先方がどのメールに対しての返信なのか分からなくなってしまうため、極力件名は変更しないよう注意しましょう。
ただし、同じ要件について何度か返信し合っていると、次のように返信した回数分のRe:が件名に付いてしまいます。Re:がたくさんあると件名が分かりにくくなってしまうので、先方に返信する際は、Re:を1つだけ残して後は削除するといいでしょう。
×「Re:Re:Re:Re:Re: 新商品展示会のお知らせ」
○「Re: 新商品展示会のお知らせ」
引用を効果的に活用する
引用とは、元のメールの一部をそのままコピーし、返信の際に張り付けて利用することで、引用した文章の行頭部分に「>」などの引用符をつけるのが一般的です。例えば、相手のメール内にあった質問に回答したい場合、引用をすることによって、次の例文のように「○○の件ですが…」と質問文を記載する手間が省けるというメリットがあります。
よくあるメールのビジネスマナーの疑問Q&A
ビジネスメールには、プライベートで送り合うメールにはない様々なマナーがあります。ここでは、そんなメールのビジネスマナーに関する疑問をまとめてみました。
Q1.CCとBCCの違いは何ですか?
メールには、送る相手のTO以外にCcやBccがありますが、それらはどのような場合に使われるのでしょうか。
CCとは?
CCとは、「複写」を意味するCarbon Copyの略で、直接その人宛ではないけれど、メールの内容について知っておいてほしい場合や、内容を確認してほしい場合など、念のために送る際に使われます。そのため、返信がほしい人にはCCでは送らない方がいいでしょう。
BCCとは?
BCCとは、Blind Carbonの略で、blindには「見えない」という意味があることから、BCCでは、TOやCCの受信者に見られずに、メールを送ることができます。周囲に知られずにこっそりと連絡をしたい場合に使われるため、BCC単体でメールを送ることはできません。使用例としては次のようなものがあります。
・取引先へのメールを上司に念のために送りたい時
・面識のない複数の相手にメールを送る時
・スマートフォンなどの別の端末にメールを送っておきたい時
Q2.転送ってどんな時に使うのですか?
受信したメールを送信者以外の第三者に送るために使われるのが「転送」です。件名にFW:というマークが付くのが特徴で、内容を変えずそのまま送るのが一般的です。例えば、自分にだけ送られてきた取引相手からのメールを、上司や同僚にそのまま送る際などに使われます。
転送をする時は、送信者のアドレスや氏名もそのまま表示されるので、転送先にその情報を知られたくない時には、必ず削除してから転送するよう注意しましょう。
Q3.メールを送ってはいけない時間帯はありますか?
ビジネスメールの送信する時間帯については、基本的には就業時間内が良いといわれています。電話と違って、メールは先方が不在でも受け取ることはできるので、深夜にメールを送ったからといって、それほど失礼にはあたりませんが、企業によってはスマホ等のモバイル端末に転送している場合があることから、やむを得ない事情がある場合を除き、深夜や早朝のメール送信は避けた方がいいでしょう。
さらに、昼休みなどにメール送ってしまうと、せっかくの休憩時間を邪魔してしまいかねないため、緊急の場合でない限りは控えましょう。また、深夜や休憩時間のメールを送る際は、次のように一言添えて送ると好印象です。
昼休みにメールを送る場合の例文
「休憩中に失礼いたします」
「お昼休み中に申し訳ございません」
深夜にメールを送る場合の例文
「夜分に失礼いたします」
「夜分遅くに申し訳ありません」
Q4.メールの送信について電話で連絡すべきですか?
重要な案件についてメールを送った場合や、メールの内容が複雑で分かりにくい場合などは、内容が的確に相手に伝わっているのかの確認する必要があることから、先方がメールを確認し終わったころを見計らって、電話をするといいでしょう。
また、確実に読んでほしい場合は、事前に「これからメールを送ります」と電話をかけてから、メールを送るとすぐにメールを読んでもらえます。ただし、緊急の用件を連絡する場合は、メールではなく、直接電話をかけたほうが早く伝えることができるので、上手に使い分けましょう。
メールのビジネスマナーは分かりやすさを第一に考えよう
メールについてのビジネスマナーを身につけておくことは、社会人としての基本です。また、先方へ失礼にあたらないための心遣いとしてだけでなく、必要な情報を分かりやすく確実に伝えるため手段ともいえます。ビジネスメールは分かりやすさを第一に考えて作成しましょう。
今回紹介したメールのビジネスマナーをしっかり身につけることで、取引先とのやりとりなどもスムーズに進み、仕事の効率アップにも繋がっていきます。