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ビジネスメールの返信で身につけたいインラインの引用マナー

メールの返信をする時、引用を上手くすることはなかなか難しいものです。そこで、活用したいのがインライン返信です。インライン返信を使って、上手く返信ができるようになればビジネスにおけるメールを使いこなすことができるようになります。

ビジネスシーンにおいてメールの返信は引用されることが多い

ビジネスの場において、メールのやり取りをする際には、相手の文章を引用することが多くあります。ですが、ただ引用をすれば良いというものではありません。正しい引用の仕方をしないと、受信した側はメールの内容を理解できなくなってしまいますし、適切なコミュニケーションが取れなくなってしまいます。メールの中で引用をするには、ルールを守る必要があるのです。ビジネスを円滑に進めるためにも、引用のルールを覚えておきましょう。

ビジネスメール返信引用の基本インライン返信とは

ビジネスにおいてよく耳にするのが「インライン」という言葉です。ビジネスメールにおいてインラインという言葉を使う際には、相手から送られてきた文面を引用しながらそこに自分の返事を書き足していきます、という意味を持っています。それがインライン返信と呼ばれるものです。

ビジネスメールでインライン返信をする場合は冒頭で断っておこう

インライン返信をする場合には、メールの冒頭で「インラインにて失礼いたします」といったように、これからインライン返信をすることをあらかじめ断っておきましょう。

では、実際にインライン返信の例を見ていきましょう。

○○株式会社 山田様
いつもお世話になっております。△△株式会社の鈴木です。

この度はご連絡をいただきまして誠にありがとうございます。
以下、インラインにて失礼いたします。

>資料を持ち寄り再度打ち合わせをさせて頂きたいのですが、
>(1)9/17(木)10時~ (2)9/18(金)10時~
>のどちらかの日程のご都合はいかがでしょうか。

(2)9/18(金)10時~でお願いいたします。
こちらも資料を持参いたします。

>打ち合わせの2日前までに先日のデータのコピーをお送りいただきたいのですが、可能でしょうか。

かしこまりました。そのように手配いたします。
引き続きよろしくお願いいたします。

それでは失礼いたします。

このようにインライン返信を挟みながら回答していきます。引用したい相手の文章の冒頭には、>をつけましょう。

この場合は、相手が取引先であることを想定しています。インライン返信であることを先に断っておかないと、もし相手がインライン返信を嫌う人であった場合に問題になってしまう可能性もあります。「インラインで失礼いたします」という一文は、いわば基本的なマナーであると考えてください。

もう一件、例を見ていきましょう。

××株式会社 田中様

いつもお世話になっております。△△株式会社の鈴木です。
この度はご連絡いただきまして誠にありがとうございます。

以下、インラインにて失礼いたします。

>会議にて決定した新製品の仕様について、
>より詳しいデータをメールで送っていただけないでしょうか。
>また、その際に第二案として挙がった候補の仕様のデータもお送りいただけますでしょうか。

かしこまりました。
どちらのデータもすぐにお送りいたします。
少々お待ちください。

ひとつひとつの質問文に対してインライン返信をするのではなく、まとめて返信できるところはまとめて返信しましょう。細かく区切ってしまうと、文のテンポが悪くなるため、メールが読みにくくなります。

返信メールの続きを見ていきましょう。

>また、先日のプレゼンではお世話になりました。
>こちらのチーム一同が、改めて一席設けたいと考えております。
>来週の夜、都合のあう日があればいかがでしょうか。

とてもありがたく存じます。
ぜひご一緒させて頂きたく存じます。
来週ですと、20日(水)ではいかがでしょうか。
ご一緒できる日を心より楽しみにしております。

それでは引き続きお取引をよろしくお願いいたします。
失礼いたします。

お世話になりました、の後にすぐありがとうございますという感謝の言葉を述べないところがポイントです。相手が読みやすいようにすることを考えると、細かく区切るのは得策ではありません。相手が知りたがっているのはあくまでも都合の合う日はいつかということですから、それに対してはっきり答えられるようにすれば問題ないのです。

長文のメールに対しては部分的にインライン返信をしよう

インライン返信は、全文に対してする必要はありません。相手から送られてきたメールが長文だった場合は、全文を引用すると文面がごちゃごちゃしてしまい、要点が見えにくくなってしまいます。ですから、長文に対するインライン返信は部分的に行いましょう。

それでは例を見ていきましょう。

○○株式会社 山田様

いつもお世話になっております。
△△株式会社の鈴木です。

この度はご連絡をいただきまして誠にありがとうございます。
以下、インラインにて失礼いたします。

>場所はセントラルホテルとパレスホテルのどちらがよろしいでしょうか。

セントラルホテルがよろしいかと存じます。

>ご用意するのは資料Aと資料Bのどちらかのみ、あるいは両方のどちらにいたしますか。

資料Aのみをご用意いただければ、私どもが資料Cで補完いたします。

当日はよろしくお願いいたします。
それでは失礼いたします。

全体を見れば脈絡のない文になってしまっていますが、インラインにて失礼いたしますと断りを入れているため、相手とのコミュニケーションは成立しています。長文のメールを全て引用してしまうと、そこから見やすくインライン返信をすることが難しくなってしまうので、ここは用件を伝えることを最優先としましょう。

前文からの内容が繋がっていなくても、インライン返信であれば問題ありません。インライン返信のメリットは、相手が以前送った文章に対して、こちらが返事をする形で返信することができるところにあります。ですから、あまり前文との関係性は気にしなくても構いません。

インライン返信はやみくもにすれば良いというものではありません。書き方を考えてしなければ、ただの見づらい文字の羅列になってしまうと覚えておいてください。

ビジネスメールでインライン返信する時に注意したいこと

インライン返信でメールをする時には、あまりにも本文がごちゃごちゃとしてきたらメールを新規作成するようにしましょう。その際には、それまでインライン返信でメールをしていたことについて冒頭で触れておけば問題ありません。

仕事でのメールでは、スムーズにやり取りができることが何よりも重視されます。ですから、自分が受け取った時に見にくいだろうと感じるような文面は作らないようにしましょう。

インライン返信に対してインラインで返信すると、どんどん文面がごちゃごちゃしていくようになってしまうので、できればインライン返信は重ねない方が良いという見方もできますし、実際にインライン返信を嫌う人もいます。インライン返信を便利な方法だと過信するのは控えましょう。

例えば、

「面談のお時間は何時がよろしいでしょうか?」に対して、インライン返信をして「明日の14時ではいかがでしょうか?」と返したとします。

>面談のお時間は何時がよろしいでしょうか?
明日の14時ではいかがでしょうか?

そこで、「では、資料はこちらがご用意いたしますか?」と返信されて、またインラインをして「いえ、既にこちらがご用意していますので問題ございません。他に用意するものはありますか?」と返したとします。

>では、資料はこちらがご用意いたしますか?
いえ、既にこちらがご用意していますので問題ございません。

更に、「先日のデータをメールで送っておいていただくと助かります。」と返信されて、またインラインをして「かしこまりました。本日中にお送りいたします。」と返したとします。

>先日のデータをメールで送っておいていただくと助かります。
かしこまりました。本日中にお送りいたします。

このように、自分の方からの一方的なインライン返信が続いてしまうと、どの文がどちらの発言か見にくくなってしまいます。加えて、相手はどうしていちいちインライン返信をするのだろう、と疑問に思ってしまうでしょう。

こういった場合は、インライン返信をするのではなく、新しくメールを作成して、自分の言いたいことをまとめた文面を送りましょう。その方が相手にとってもわかりやすいですし、後になって自分が送信ボックスを見た時にもわかりやすくなります。

メールのやり取りが続く時の件名は「Re:」の増えすぎに気をつける

インライン返信のように、何度もメールのやり取りを続けていく時に気をつけたいのが、件名です。メールの件名は、内容が途切れない限り「Re:」をつけておきましょう。

「Re:お見積もりの件」「Re:Re:お見積もりの件」「Re:Re:Re:お見積もりの件」

といったように、返信するたびに「Re:」は増えていきます。この時、元のタイトルである、「お見積もりの件」はできれば手を加えないようにしましょう。

また、この「Re:」はあまり増えすぎると肝心の元のタイトルが見えなくなったり、消えてしまったりすることがありますから、適度なところで消すようにしてください。インライン返信のように、返信が重なることが多いと、件名に困ることもあるでしょうが、件名は基本的に最初のものをいじらないようにした方がお互いにわかりやすいでしょう。

ビジネスメールの件名は分かりやすさを大事にするのがマナー

ビジネスメールの返信で相手の文章を引用する時のポイント

インライン返信のように、文章を引用して、そこに自分の文章を差し込む場合に気をつけたいのは、どこで区切りをつけるかということです。相手の文章を塊の連続として捉えると、良いところで区切ることができるようになります。

例えば、お礼と質問を同時にされたとします。

「ありがとうございます。またよろしくお願いいたします。次の打ち合わせは来週の水曜日でよろしいでしょうか?」という塊に対してインライン返信するのが正解です。

ですが、「ありがとうございます。」の段階で、「こちらこそありがとうございます。」とインライン返信を差し込んでしまうと、相手は違和感を抱いてしまうのです。

同じように、「またよろしくお願いいたします。」に対して、「こちらこそまたよろしくお願いいたします。」とインライン返信してしまったら、相手にくどいと思われてしまいます。これは不要なインライン返信だと言わざるを得ません。

ですから、ここでインライン返信するのは、「次の打ち合わせは来週の水曜日でよろしいでしょうか?」の時点で良いのです。

>次の打ち合わせは来週の水曜日でよろしいでしょうか?

はい、問題ありません。
こちらこそまたよろしくお願いいたします。

としておけば、相手にも失礼なく、また、過不足なく真意を伝えることができるのです。

引用する時は、相手がどこを重視しているのかをきちんと見極めましょう。その人がお礼を重視しているのか、質問を重視しているのかによって、インライン返信する部分も変わるため、十分注意することが必要です。

なお、ここでは省略しましたが、これがメールの全文であった場合は、冒頭に「インラインで失礼いたします」の一文も忘れないようにしましょう。

「インラインで失礼いたします」という一文が必要ない場合もある

基本的に、「インラインで失礼いたします」という一文は必要であると考えてください。特に目上の人や、取引先、部外者に対しては絶対に述べなくてはならない一文です。ですが、同僚や後輩など、部署内でのメールではいちいち断りの一文を入れる必要はありません。

気をつけたいのが、上司から断りの一文なしにインラインで返信が来たからといって、そのまま断りなしにインライン返信をしてしまわないようにするということです。そういった場合も、きちんと「インラインで失礼いたします」という一文を入れることを忘れないようにしましょう。

何度もやり取りを繰り返しているのにいちいち「インラインで失礼いたします」と断るのはしつこいような気がすると感じることもあるでしょうが、断りを入れないよりは入れておいた方が無難でしょう。

インラインで文章を引用してビジネスメールを返信する時にはマナーを守ろう

相手からのメールを引用して返信する時には、きちんとマナーを守らないと気分を害してしまうことになりかねません。ビジネスシーンでのメールのやりとりは、プライベートのそれとは全く違うものだと考えるべきでしょう。ですから、引用の正しい使い方も覚えておきたいところです。あまり普段のメールでは馴染みがないものでしょうが、抵抗なく使いこなせるようにしておく必要があるスキルのひとつだと考えておいてください。