ロジカルシンキングとは論理的思考法のこと
ロジカルシンキングとは、論理的に考えること、つまり論理的思考法のことです。一貫して筋が通っている考え方、説明の仕方を指します。
日本では2001年に「ロジカル・シンキングー論理的な思考と構成のスキル」照屋華子・岡田恵子著において、米国の大手コンサルティング会社であるマッキンゼー流のロジカル・コミュニケーションの新しい手法として紹介されてから広く知られるようになりました。
例えば子供は3・4歳を過ぎる頃になると、「ピーマンは苦いから食べたくない」というように話すことがありますが、それも立派なロジカルシンキングであると言えるのです。
学生や社会人にとっても、ロジカルシンキングは重要な考え方と言えるでしょう。学生の場合は企業の面接を受ける際や部活動やサークルなどである一定の人数の意見をまとめる際にロジカルシンキングが大いに役立ちますし、社会人の場合は、コンサルタント業や営業職など、言葉によって相手先企業を説得する必要がある職種に就いている方にはロジカルシンキングが欠かせません。
ロジカルシンキングをする時に大切なのは、どのようなことなのでしょうか。次に紹介することを参考に、ロジカルシンキングのトレーニングをしてみましょう。
ロジカルシンキングで大切なのは結論から話すこと
ロジカルシンキングにおいて、結論から話すことはとても大切です。一般的に日本語よりも英語の方がロジカルな言語と考えられていますが、それは英語は日本語と語順が逆であり、最初に何を伝えるかを明確にする必要があるからです。
その一方で日本語は、結論を考えずに話始めることができてしまうので、話しているうちに何を言いたかったのか忘れてしまう、あるいは話の焦点がずれてしまい、相手に言いたいことがはっきりと伝わらないということが起きやすくなります。
面接などの場において、限られた時間の中で伝えたいことを明確にするためには、結論から先に話す必要があります。つまり、以下のような流れを意識して話をしなければなりません。
「結論から言うと~、なぜなら~だからです」
面接でロジカルシンキングがうまくできた例と出来なかった例
就職活動中の企業面接で志望動機を聞かれた際に、ロジカルシンキングを使ううまく自己アピールできた例と、できなかった例をそれぞれ紹介します。特にロジカルシンキングに失敗した例では、どのようなところが良くなかったのでしょうか。
ロジカルシンキング成功例
その昔、就職氷河期の時代に、知人の短大卒のAさんが日本の最大手自動車メーカーから内定をもらうことができました。「当社の志望理由は何ですか?」という企業側の問いに対し、彼女の答えは極めて明確なものでした。
「私は環境問題にとても関心を持って、学生生活を過ごして来ました。自動車という大きな排気ガスを発生させる機械を世界中で生産している御社で環境問題に取り組むことができれば、それはひいては地球環境にも貢献できることだと考えています」
その上で、なぜ環境問題に関心を持つにいたったのか、学生時代に取り組んできたことについて説得力を持って語ることができた彼女は見事内定を勝ち取りました。
ロジカルシンキング失敗例
「私は学生時代に、フィリピンを訪れました。そこでは、貧困だけでなく、衛生面でも様々な課題を感じました。鼻水をかめば黒い鼻水が出ることも珍しくありません。理由は車や工場などの排気ガスで、昼間でも空気がよどんでいます。そのような経験を経て、一番空気を汚す車を数多く作っている世界企業である御社で、環境問題に取り組むことができたらどうかと考えるようになりました」
このような話の流れでは、確かに最後まで聞けば何を言いたいかは分かるものの、忙しい面接官はただ長い話を聞かされているように感じてしまいます。親切な面接官ならば、分かりづらい点があれば、話の内容をより深く理解しようと質問をしてくれるかもしれませんが、新卒の採用面接において、まずそれは期待しない方がよいでしょう。
面接でロジカルシンキングを上手にするポイント
ここからは、ロジカルシンキングを上手にするためのポイントを紹介します。すでに挙げた面接での例文を使って、説明していきます。
なぜなら~の部分は最低でも3つは用意する
まず結論を述べた上で、次に必要なのはその結論に至る理由です。この理由に関しては、最低でも3つは用意したいものです。
大抵の物事には、そこに至る原因や理由が数多くあります。ですがその全てを伝えたところで、相手はその結論に対してより理解を深めるどころか、把握しきれず逆に何が言いたいのか分からなくなってしまいます。
先ほどの大手自動車メーカーから内定を得たAさんを例にとってみましょう。
結論
自動車という大きな排気ガスを排出する機会を扱う世界的メーカーで、環境問題に取り組むことで企業に貢献し、ひいては地球環境にも貢献したい。
理由
・学生時代、フィリピンを訪れ、そこでの排気ガスによる大気汚染がきっかけで、環境問題について考えるようになり、自分も何か力になりたいと感じたこと。
・学生時代、バスケットボールのマネジャーとして、初の県大会へチームの出場をサポートした経験から、たとえ小さな積み重ねであっても継続することでそれは大きな結果となって表れることを学んだこと。
・マネージャーというどちらかといえば縁の下で選手たちを支えてきた自分の経験が、「節約」や「カイゼン」に表されるような質実剛健とした企業風土に合っていると感じること。
このように志望動機から、理由をつなげていくと、人物像が一つの線でつながっていくのを感じます。理由は三つありますが、互いに関連しており、齟齬はないですね。
ロジカルシンキングとはつまり、論理の穴、抜け、洩れが一切ないように論理を組み立て、それをプレゼンなり文章にしたりしていくことに他なりません。つまりそれについて考え抜いていれば、ある程度誰にでもロジカルシンキングは可能ですし、磨きがかかっていくはずです。
ロジカルシンキングを仕事で活用する方法は2つ
次に、ロジカルシンキングを仕事に活かすためにはどうすれば良いのでしょうか。ロジカルシンキングをするために欠かせない2つの方法を見ていきましょう。
結論から話を始めるPREP法
先述した「結論から話す」方法がPREP法といいます。
PREPとは
・P(POINT)=結論
・R (REASON)=理由
・E(EXAMPLE)=具体例
・P (POINT)=再度、結論
それぞれの頭文字を使い、PREP法と呼ぶこの方法の特徴は、最初に結論から述べることです。結論を早く知ることができるだけでなく、この方法ではストーリーが重視させます。例えば、あなたが顧客に自社のサービスを提案する場合を仮定します。
POINT(結論)
「当社のサービスの最大のメリットはコストパフォーマンスに優れている点です」
REASON(理由)
「こちらの表を参照して頂ければ分かる通り、ランニングコストにおいては他社に比べて圧倒的にコストを安くして提供できます。なぜ当社がここまでコストを抑えることができたかというと、広告宣伝費をほとんどかけていないからです」
EXAMPLE(具体例)
「コストだけで言えばA社とそう大差はないと思う方もいらっしゃいますが、当社の強みはアフターサービスサポートがついている点です。何か不具合がありましたら24時間専用のコールセンターが対応していますし、購入から3年間は無償にて修理・交換を承っていますが、同じサービスが付属しているのはB社しかなく、費用も若干割高になります。
POINT(再度結論)
以上のことから、当社のサービスが同業他社の中でも一番コストパフォーマンスに優れていると自信をもってお勧めできます。
要約したことを最初に伝えるSDS法
SDSとはSummary Detail Summaryの略で、最初に要約を伝え、次に説明をした後、最後にまとめを述べる構成法をいいます。要約したこと=結論となることが多いため、結論を早く伝えたい時に使います。
S(Summary)
「当社のコストパフォーマンスは業界の中でも一番だと自負しております」
D(Detail)
「このようなコストを実現できたのは、広告販促費がほとんどかかっていないからです。」
S(Summary)
「コスト面だけでなくアフターフォローに関しても他社に引け目をとりません。自信をもってお勧めできます」
PREP法とSDS法どちらを選択するかですが、発表する内容によって変わります。
一般的には話の中でストーリー生を重視したければPREP法、結論を重視したければSDS法がおすすめです。
ロジカルシンキングをするには「型」を意識することが重要
ロジカルシンキングにおいては何よりもPREP型やSDS型などの「型」を意識し話すようにするのが大切です。そうすることによって、よくよく見れば論理に穴があろうとも、納得がいかない意見があろうとも、一見すると論理的で、筋の通った話に聞こえてくるものです。
ここで紹介したロジカルシンキングを上手にするポイントを学生は就職活動の際の面接やサークル活動の際などに、社会人の方は仕事をスムーズに進めるために役立ててください。