アイデア出しのためのアイデアが欲しい
ビジネスシーンではアイディアが成功を左右しますが、そのための時間というのは人によっては苦痛に感じることも多いものです。アイデアを頑張って出しても一蹴されてしまったり、中には「自分の意見なんて」と気後れする人もいます。
大成功に結び付くアイデアを思いつけるのは優れたアイデアマン、というように考え、アイデアが欲しいけど諦めている人は多いです。
しかし、アイデアの出し方には一定の型があって、アイデアの多い人は意識的に、もしくは無意識にアイデア出しの方法を使っています。アイデアの出し方について、いくつかパターンを知り訓練してみましょう。
アイデア出しの前に理解しておきたいポイント
具体的なアイデアの出し方を覚える前に、アイデアについて抱きやすい誤解や、自分がアイデアを出す際に妨げになる考えに注意しておくことが大切です。まずは苦手意識の払拭から始めましょう。
1 アイデアは思考とは違う
「頭が悪いのでアイディアが浮かびません」と考えてしまう人もいますが、アイデアは「発想」「着想」であり、知識や思考とは異なります。思考というのは、アイデアが出てくるまでの過程のようなもので、この思考方法を鍛えることでちょっとした発想がアイデアになることがあります。
2 良いアイデアには時間が必要
良いアイデアには時間が必要です。しかし、それは時間をかけることで良いアイデアができるという意味ではありません。時間をしっかりかけた方が良いアイディアが出るかもしれないのは、考える頻度や機会を増やせるからという理由であり、トータルの思考時間の問題ではありません。「ちょっとだけでも考える」の積み重ねがむしろ大切です。「時間がないから」を言い訳にしないようにしましょう。
3 「出せば良い」わけではない
「アイデアをとにかく出せ」「量が質を作る」などとよく言われるのですが、アイデアは出せばよいというものではありません。思考は方向性が大事ですので、その方向を正しく定め、その中でたくさんアイデアを出す必要があります。数ばかりを出すことに満足すると、その場しのぎのアイデア出しで終わり、時間が無駄になります。
4 アイデアに固執しない
アイデア出しをしていると、周囲から評価されたアイデアや、自分が気に入ったアイデアを土台にして考えることがあります。しかし、アイデアが良いとしても、それを捨てることができるかできないかで大きな違いが出てきます。固執してしまうと、もっと良いものが出てきてもそれを打ち消してしまうので、既存のアイデアに固執しないことが大切です。
アイデアも訓練次第
アイデアの出し方は様々ですが、型があるだけではアイデア出しはうまくなりません。その型に沿って実際にアイデア出しをする経験を経てこそ、アイデア出しのフレームワークの使い方や長所・短所をわかって使い分けることもできるようになります。また、ロジカルシンキングの能力も高まります。
問題に対して適切なフレームワークを選べることや、深く考えたり、また出てきたアイデアをまとめることができるかで、アウトプットは大きく変わってきます。方法を知って満足せず、実際に使って訓練することが大切です。
実用的なアイデアの出し方8選
実用的なアイデアの出し方を8つ紹介します。
1 ブレインストーミング
「アイデア出しと言えばブレインストーミング」と言われるほど有名で、通称「ブレスト」と呼ばれるブレインストーミング。複数の人が自由にアイデアを出し合いながら、たくさんのアイデアを出していくことをまず目的としています。
「結論は出さない」「アイデアを評価しない(批判しない)」「質より量」というのが大前提で、そのため既存のアイデアや普通とも言えるアイデアも多く出てきますが、それらが引き金となって新しいアイデアが出てくることもあります。まとめるために技術が必要であるため、非効率と言われることも多いですが、思わぬ産物が多数出てくることもあり、よく行われています。
ブレストをベースにマイナーチェンジしたような議論の形もよく見られるなど、アイデア出しの基本とも言えるものです。
2 なぜなぜ分析
なぜなぜ分析は問題解決に特化したアイディア出しの方法のひとつです。トヨタ自動車の「なぜ?を5回問う」という、問題解決のための風習がもとになっている思考方法です。
なぜそうなのかを突き詰めて考えていくうちに、そのステップの中で色々とアイデアが浮かんできます。やってみると考えが深くなりますし、また論理的な思考も身に着くようになります。普段接しているものほど「なぜ?」を問う機会が少なくなるものですので、改めて考えてみると様々に脳が刺激され、発想も浮かんできます。
3 オズボーンのチェックリスト
ブレインストーミングの発案者であるオズボーンのチェックリストは、「転用」「応用」「変更」「拡大」「縮小」「代用」「再利用」「逆転」「結合」の9つの項目からアイデアを考えていく方法です。
以下のそれぞれの方向からアイデアを見つめ、様々に変化させていきます。
- 転用:現在と変えずに他に使い道を探す
- 応用:似たものがないか探す
- 変更:色や形など変えられる部分がないか探したり考えてみる
- 拡大:大きくする、回数を増やすなど単位を大きくする
- 縮小:拡大の逆で、単位を小さくしてみる
- 代用:代わりになるものを考える
- 置換:配置や並びを入れ換えて考える
- 逆転:逆にしてみる
- 結合:組み合わせを考えてみる
このチェックリストに沿ってブレストをしてもいいですし、また既存のものや自分のアイディアをチェックリストに沿って考えることで、よりブラッシュアップすることができます。
4 限定する
新しいアイディアは限定することによって生まれる場合もあります。
対象を限定することでアイデアが出ることもあり、本来は多くの人に開かれているものであるほど限定することによるアイデアは尖ってきます。ご当地のキャラクターグッズなどはどこでも作ることはできますが、あえて販売地域を限定することで売れるようにした例ですし、あえて一人用カウンターのみの席しかないラーメン屋さんもあります。
また、考える上でのルールを限定することによっても発想が出やすくなることがあります。「10秒以内に発言」「前のアイディアを出した人のアイディアから発想する」などのルールがあることで発想が浮かびやすくなります。「大喜利」などはシチュエーションを限定することで発想を引き出していると言えます。
5 欲求から考える
人間には本能的と言ってもいい欲求があります。食欲や睡眠欲などの3大欲求に加え、社会的動物である人間には承認欲求があります。それらの欲求からアプローチして商品を考えていきます。
これらの欲求に限らず、人々が求める様々なニーズからアイデアをどんどん出していくのはビジネスにおけるアイディア出しで特に効果的です。
6 マインドマップ
マインドマップはキーワードを中心において、そこから連想されるものを周囲に広げてつなげていきながら思考を整理したり発想を豊かにしていく手法です。本来は紙に書いて行うものですが、最近は無料でも使えるマインドマップツールやアプリがweb上にもたくさん出ているので、うまく活用することでマインドマップを楽に作ることができます。思考の訓練にも最適です。
7 TRIZ理論
TRIZ(トゥリーズ)理論はたくさんの特許から発想を分類したもので、「智慧(ちえ)カード」と言われる40の項目からアイデアを考えていきます。
基本的にはオズボーンのチェックリストと同様に、それぞれの項目からアイデアを検討していくのですが、この40種類に発想の99%が含まれるのだそうです。
全てを考えるのは大変ですので、パッと項目に合わせて考えて難しければパスし、できそうなアイデアはどんどん記録していきます。発想の訓練から実際まで様々に使うことが可能です。
8 マンダラチャート
マンダラチャートは3×3のマスを使って行う発想法です。
9マスの中心になるマスにアイディアを出したいキーワードを書き、周囲のマスに中心のキーワードから連想されるワードをどんどん書き込んでいきます。そして、その周辺のキーワードなどを組み合わせながらアイデアを作っていきます。関連するキーワードを一目で把握できるので、発想を刺激しやすい特徴があります。
アイデア出しの方法が発想を刺激する
アイデアというのは、何かの刺激によってポンと出てくるものですが、アイデアを出すのが苦手という人はこの刺激をすることが苦手な人が多いです。また、「煮詰まってきた」と言われる状態は、この刺激に鈍感になっている状態でもあります。
紹介したようなアイデア出しの方法は、様々な形でアイデアを出すために方向付けてくれたり、またテーマに関してキーワードを可視化したりと発想を刺激してくれます。アイディア出しに困ったときにぜひ活用してください。