起業する女性が増えている
今日、女性の起業家が増えていることをご存知でしょうか。起業をする人と聞くと、一昔前までは男性のイメージが強かったかもしれませんが、今では女性も起業する人が多くいるのです。女性が社会で積極的に活躍できる環境が整いつつあることも影響して、起業をしようという人が増えています。
もちろん彼女たちは簡単な気持ちで会社を立ち上げるわけではありません。起業するためには大変な苦労が伴うことでしょう。しかし、それはなかなか世の中には知られていません。そもそも、女性の起業家が多くいるという認識が根付いていない可能性すらあり得るのです。
起業する女性たちは、自己実現のため、あるいは自分たちでビジネスを通して大きな利益を掴むために奮起した人たちです。それぞれの動機やきっかけはさまざまですが、皆成功に向けて日々努力しています。
そういった女性起業家の増加は、今後もどんどん続いていくことになるでしょう。その波に乗りたいと考える女性は、年齢や立場を問わず幅広く存在しているからです。今回は、起業する女性たちを取り巻く現状、そして彼女たちの成功や失敗について、掘り下げて考えていきましょう。
女性起業家を支援する助成金、補助金、融資
まず、起業する際に助成金、補助金、そして融資が受けられる場合があります。ただし気をつけたいのが、補助金と助成金は返済する必要はありませんが、融資は返済する必要があるということです。また、必ず受けられるというわけでもありません。
融資
融資は日本政策金融公庫が実施しているものなので、全国に支店があります。興味があれば、近くの支店に相談しに行ってみると良いでしょう。
女性・若者/シニア起業家支援資金
融資の中でも、女性・若者/シニア起業家支援資金は、女性や若者、シニア層といったように、融資審査で評価が低くなりがちな人たちを対象としたものです。条件としては、55歳以上、または30歳未満で新規開業して7年以内であることが求められます。
小口創業特例
女性の小口創業特例は、新創業融資制度の融資残高が300万以内の場合に適用され、貸付限度は300万円とされています。この融資を受ける際に女性の起業家にとって嬉しいのは、新事業融資制度に求められる条件を満たさなくても良いとされること、つまり全ての要件が撤廃されるということです。
補助金
補助金としては、経済産業省が実施する補助金があります。女性が起業することを後押しするための制度でもあり、募集要件を満たすことができれば大きな援助を受けることができます。創業補助金とものづくり補助金に注目し、調べておくと良いでしょう。
助成金
助成金は、厚生労働省が実施している制度です。助成金にもいくつか種類がありますが、これらは人を雇い入れる予定がある時は特に注意して考えておく必要があります。
他にも、市区町村など、自分が住んでいる地域の自治体によっては起業する女性をバックアップするための体制を整えている場合があるので、起業することを検討しているのなら調べてみることをおすすめします。
女性起業家の悩み
女性起業家が抱えている悩みとして、現実的なもののひとつに家庭との両立が難しいということが挙げられます。小さな子供を抱えているという女性も多くいますし、そうでなくても家事と仕事の両立はそう簡単なことではありません。
仕事の他にも家の中のことをやらなければならないとなると、忙しさは倍増し、激務となってしまいます。自分の起こした仕事だけに集中できる環境を作ることができる、家庭のある女性起業家というのは相当努力を積み重ねた稀有な存在であると言えるでしょう。
収入が伸び悩む悩み
また、収入が伸び悩むということも悩みの種となります。会社を設立したからには、それはもうビジネスとしてお金を動かしていかなければいけません。軌道に乗らなかったり、思っていたように売れ行きが伸びなかったりと、現実問題に直面することが避けられないといったことも多くあります。
個人として起業した場合はまだ何とか修正がきくかもしれませんが、人を雇っていると簡単には会社を動かすことはできません。これは起業家としての大きな悩みでしょう。
起業の一歩をためらってしまう悩み
そして、女性起業家の多くは最初の一歩を踏み出すことをためらっていると言えます。誰かの後押し、またはともに進んでくれるパートナーの存在が必要である人が多く、起業すること自体に悩んでいるというケースも見られます。
女性起業家が失敗してしまう理由
女性起業家が失敗してしまう大きな理由のひとつとして、家族の理解が得られなかったということが挙げられます。家事や育児を優先してほしいという声を聞かなければならなかったり、そもそも起業すること自体に理解を示してもらえなかったりするというケースも多く見られます。
そういった状況では仕事を続けていられるはずもなく、せっかく起業しても諦めざるを得ません。やはり家族の理解は必要であると言えるでしょう。これから起業を考えている女性起業家の人たちは、ぜひ家族とよく話し合ってください。
ビジネスの展望が見えていないと失敗しやすい
どのように自分のビジネスを展開していくかという展望が見えていない女性起業家も失敗に陥ってしまいます。自分が起業した時に、この会社をどのようにしたかったのか、そもそもなぜこの会社を立ち上げたのか、といったことを常に考えておく必要があると言えるでしょう。
資金調達の失敗は致命的
そして、女性起業家が一番つまずくところが資金の調達です。助成金などがあるとはいえ、資金の調達が気軽にできるわけではありません。資金を用意する段階で諦めざるを得なかったり、資金をうまく運用できなかったりと、資金に絡んだ問題は必ずついて回ります。
資金は用意することだけでも一苦労です。資金を用意するために働かなくてはならない場合もあるでしょうし、起業するまでの道のりでくじけてしまう人も少なくはないでしょう。
女性起業家が成功するために必要なこと
女性起業家が成功するためには、専門的な知識が必要です。自分が取り扱いたいと思っている製品、商品のことはもちろん突き詰めておかなければなりませんが、それだけではなく、経営のノウハウも知っておかなければなりません。
もし会社が傾いた時にも対応できるように、経営や会計についての知識は必ず身につけておきましょう。そういった万が一の事態が起こらなくとも、日々の経営管理ができていなければ会社は成り立ちません。会社を正常に動かしていくためにも、そういった知識は勉強しておく必要があります。
また、女性起業家として成功するには、初めから事業を拡大しすぎないということも大切です。もちろん上を見る意気込みはとても大事ですが、まずは地盤を固めていきましょう。きちんと下地が出来上がっていなければ、その向上心が実を結ぶことは難しいと言えます。
事業を拡大しすぎないということに関連して言えることは、個人経営から始めるべきだということです。初めに人を雇いすぎると、人件費に利益をとられてしまい、収益がほとんどなくなってしまうといった事態に陥りかねません。
ベストなのは自分のみで働くことですが、事業を拡大していく上でそれが難しくなるようならば最小限の人員を雇うようにしましょう。
女性起業家を支えるための連携システム
経済産業省は、女性起業家を支えるための連携システムを作ることに成功しています。もし女性起業家になりたいと考えているのであれば、先輩である女性起業家たちの話を聞いて、学ぶところから始めてみましょう(注1)。
この連携システムでは、北海道から沖縄まで全国にネットワークを形成し、各構成機関で女性起業家をサポートする体制を整えています。
まず、起業とはそもそも何なのかというところから始まり、自分でも本当にできるのかということを確認していきます。そして、実際に環境づくりをし、事業プランを組んでいくという実践的なこともサポートしてくれます。
女性起業家特有の悩みに寄り添う形で、起業セミナーやイベントなどを行い、わからないことを丁寧に教えることで連携システムがその力を最大限に発揮しています。女性起業家になりたい人たちにとって、こういった国からの援助は確実に力となっているでしょう。
また、サポートしてくれる人たちだけではなく、サポーター企業も存在しています。仲間を作るだけではなく、事業の拡大まで支援してくれるシステムであり、わからないことが多かったという女性起業家の人たちには心強い制度であると言えます。
女性起業家が増える世の中が作られる
現代社会では個人が起業しやすい環境が作られています。小規模な起業から始まり、大企業へと成長するというケースも珍しくはありません。ですから、その中に女性起業家が含まれていることは何ら不思議なことではありませんし、むしろ必然であると言えるでしょう。
女性がやりたいことをやれる社会が作られていくのであれば、意欲にあふれた女性起業家が増えることは自然な流れです。女性起業家にはまだ悩みや課題が多くありますが、社会はそれをサポートし、援助していく体制を整えていく必要があります。
また、実際にそういった女性起業家をサポートするためのシステムも徐々に構築されています。こういった動きはこれから先さらに活発化していくことが予想されます。そのことによって、女性起業家は活動の幅を広げやすくなることは間違いありません。
参考文献