ブラック企業の定義はいまだ曖昧
職場環境がひどい企業を表す言葉として近年盛んに口にされるようになった”ブラック企業”。厚生労働省は今もってブラック企業の定義を定めてはいませんが、若者の使い捨てが疑われる企業へその実態を調査し、事例を発表しています。法令に違反している企業に関しては是正指導が既に入っており、企業への働きかけと共に働き方の見直しに向けても様々な取り組みが行われています。
ブラック企業のきちんとした定義がいまだ曖昧なことは以外ではありますが、ただ、それは数字等の具体的な基準がないというだけの話です。企業のいいように使い捨てられないよう、いわゆるブラック企業と言われる会社によく見られる特徴は覚えておくといいでしょう。
1.従業員の意に反した長時間労働が行われている
毎日終電まで残業して、翌日は早朝から出社…なんて勤務体系が当たり前のように繰り返されている会社はブラック企業と言われる場合が多いでしょう。
しかし、ここで確認したいのが、その勤務体系が”従業員の意に反しているか”ということ。急激に成長しているベンチャー企業等では、従業員も日々充実感を持って長時間労働を行っているケースもあります。その場合、一概にブラック企業と診断できるかは疑問です。
2.大量採用・大量離職が繰り返されている
一概には言えませんが、ブラック企業では、新卒者を毎年大量に採用している傾向があります。会社概要に社員数が記載されている場合は、確認するのをおすすめします。大量採用にもかかわらず従業員数が毎年あまり増えないのは、大量離職が起きている証拠です。
具体的にはこのような要因のため大量採用しても社員数が同じなのです。
- 労働環境がひどく、自主退職者が多い
- 30歳など、決まった年齢になると首を切る
3.社員を育てず、使い捨てにする
“大量採用・大量離職”と関連がありますが、ブラック企業では社員を育てるのではなく使い捨てにする傾向が目立ちます。労働環境が良くない・離職率が高い点は企業側も把握しているのでしょう。
その上で、今在籍している社員が辞める前に使い倒すというのがブラック企業の考え方です。また、既述の通り、社員の在籍年数が増えると給与がかさんでいくために、30歳あたりで首を切られるケースも。
4.年間休日が極端に少ない
年間休日日数が二桁であれば、間違いなく休日が少なすぎると言えます。一般的には、105~125日あたりが平均的な休日日数でしょう。こういった企業で有給休暇が取りやすいという可能性は、かなり少ないと考えられます。
5.残業代が支給されない
どんなに残業や早朝出勤をしても手当が加算されない企業は、かなり危険です。つまり、タダ働きということですから…。あらかじめ残業代を加算したうえで多めの手当てが出ているのであれば別ですが、そうでない場合はブラック企業の可能性がかなり高いでしょう。
6.昇給しない、してもわずかである
毎年の昇給額は会社によってまちまちですが、平均して給与の2%程度とされています。昇給がゼロ、または限りなくそれに近いブラック企業の場合は、入社して数年もすると他企業で働いている同級生との給与の差に愕然とするようです。銀行など、昇格等に伴い数年に一度グッと昇給する企業もありますので、確認が必要ですね。
一人暮らしはできても、結婚・出産がためらわれるような年収では将来設計もままなりません。そのような企業で長く勤めてしまう前に見切りをつけないと、手遅れになってしまいます。
7.パワハラ・セクハラが常態化している
上司の権力をかさに理不尽な要求がなされるパワハラや、異性から性的嫌がらせが行われるセクハラ。こういった嫌がらせは、まだ過去の遺産ではないのです。こういったことが普通にまかり通っている職場環境も、ブラック企業の特徴として数えられています。
8.求人情報誌やハローワークの情報にブラック企業特有の文言がある
求人情報誌やハローワークなどに常に求人情報が掲載されている企業は、離職率の高いブラック企業の可能性があります。そのほか、求人情報に以下のような特徴がある場合も要注意です。
“熱意、夢、やる気”など精神論が掲げられている
精神論は悪いことではありません。しかしその精神論を掲げて社員に過酷な労働を課すのはブラック企業の特徴です。精神論に根拠などはありません。精神的、肉体的に病んでしまう前に脱出しましょう。
社員の写真の茶髪率が異様に高い
会社で働く従業員の茶髪率が高い企業は要注意です。企業は学校ではありません。最低限のマナーも守れない会社は社員に対してもマナーがなっていません。
残業なしを強調する企業はブラック企業の可能性
特に営業系の会社で多く見られる残業なしの求人。しかし実態はみなし残業を採用されており、ノルマを達成しなければ半強制的に残業をさせられる場合があります。その際の残業代は当然支払われることはありません。
9.同族経営で風通しの悪い企業はブラック企業の可能性が高い
同族経営の中小企業の中にも、労働環境がよくないブラック企業が紛れています。特に、上の役職を一族が占めていたら要注意です。他の社員の意見は取り入れず、結局創業者一族の意向だけで会社を運営しているような会社は、ひっそりと存在しています。
こんな同族経営は今すぐ抜けるべきです
社長の言う事には誰も逆らえない
社長の意見に反対でも話ができる雰囲気ではない、反対意見を言ってもすぐに却下されてしまうなど、社員の考えを全く取り入れない会社はブラック企業です。
上の役職には一族しか就けない
普通の会社であれば、ある程度の経験や実力が認められると役職が与えられます。しかし同族経営のブラック企業ではいくら実績を残しても一生平社員のままのケースがあります。
明らかに仕事をしていない役員がいる
同族経営を良いことに仕事をしない役員がいます。自分が仕事をしない代わりに平社員をコキ使うという、とんでもない会社です。社員を大事にしない、と言うブラック企業の鏡のような存在です。
役職者と平社員の給与差がすさまじい
役職者は給与のみならず手厚い福利厚生なのに対して平社員には給与面でも冷遇するという会社も存在します。これらは同族経営のみならずブラック企業の特徴として当てはまっています。労働対価を搾取されているので早めに脱出しましょう。
社員の意見が通らない風通しの悪い企業は、いつか必ず行き詰まるときが来ます。同族企業、かつ待遇が明らかに悪い場合は、早めに転職されることをおすすめします。
ブラック企業の特徴を感じたなら精神的に辛くなる前に速やかに脱出しよう
ブラック企業にありがちな様々な特徴をご紹介してきましたが、極端なことを言えば、周りから見て「ブラックだ」と思われている企業だとしても、本人が働いていて満足であれば、たとえブラック企業であってもOKなのです。
しかし、ブラック企業で仕事をしていると身体的にも精神的にも辛くなってくることがほとんど。今の自分の会社に対して「この会社、ブラック企業かな?」と思ったら、脱出することも視野に入れて動くようにしましょう。