職業/働き方

保育士になるには?資格取得は高卒や主婦でも大丈夫?

保育士になるにはどうしたらよいのか、費用はどれくらいかかるのか、ピアノは弾けないとなれないのかといったさまざまな疑問を抱える人に向けて、わかりやすく最新の情報を伝えます。社会人や主婦でも保育士を目指すことができるのかもあわせて解説します。

保育士になるには?

小さな子どもが大好き、子どもたちの教育に携わりたいといった思いから、保育士という仕事に漠然とした憧れを抱いたことがある人は少なくないでしょう。それでは、保育士は子どもたちのお世話をするといっても、具体的にはどのような仕事内容になるのでしょうか。

「保育士の仕事に興味があるものの保育士になるには何から始めればよいのかわからない」、「専門学校と大学どちらに進学したらよいのか迷っている」といった方に向けて、保育士のなり方とその仕事内容についてわかりやすく解説します。

保育士になるには?保育士の資格の取得方法

保育士になるには、保育士の国家資格を取得する必要があります。保育士の資格を取得する方法は2パターンあり、1つ目は専門学校、短大、大学などの保育士養成課程を修了する方法で、2つ目は保育士試験を受験して合格する方法です。ここではまず、1つ目の保育士養成課程を修了して保育士資格を取得する方法について確認していきましょう。

専門学校

保育の専門学校では、実際に保育現場で働く講師から実践的に学ぶことができます。学校独自のカラーが打ち出され、就職のサポート体制が整っていることを売りにしている学校も多いです。2年という短期間で保育知識を学び、実習もする必要があるので、大変忙しい学生生活となるでしょう。

費用は学校によって差はありますが、目安としては年間90万円前後の授業料+実習費やテキスト代の実費が必要となります

短大

短大は、専門学校と大学の中間的存在で、保育に関する理論と実践をバランスよく学ぶことができます。まれに3年制の短大もありますが、専門学校と同じく2年制のところが多く、保育知識の取得と実習で多忙を極める学生生活となります。

年間100万前後の授業料+実習費やテキスト代の実費が必要となります。公立か私立かでもかなり費用は変わってくるので、よく調べて出願しましょう。

大学

大学卒業と同時に保育士資格を取得できますが、卒業までに4年かかるため、1日も早く保育士として現場に立ちたい人は、専門学校や短大を選ぶほうがよいでしょう。

一方、大学では高度な児童心理学や音楽・美術を応用した幼児教育などを学ぶことができます。そのため、卒業後は、児童養護施設勤務や児童カウンセラーといった、専門性の高い職に就く人が多いです。

短大と同じく国公立か私立かで費用は大きく異なりますが、年間100万前後の授業料+実習費やテキスト代の実費が必要になります。4年間通うため、短大や専門学校よりも費用はかさみます。

社会人や主婦でも保育士を目指せる?

前項で、専門学校、短大、大学などの保育士養成課程を修了することで保育士資格を取得する方法を説明しました。

しかしながら、初めから保育士を目指して学校を選んで養成課程で学ぶ人以外にも、子育て経験を活かして保育士として働きたいと考える主婦や、他の仕事をしながら保育士に興味を持ち始めた社会人などもいることでしょう。

そのような社会人や主婦は、保育士養成課程のある学校に入学しなおす必要はありません。保育士になるには毎年1回実施される保育士試験を受験し、合格すれば保育士資格を取得することができるのです。通信教育などを受講して目指す人が多いです。

保育士試験

保育士試験は、平成16年度から全国統一問題となり、試験の開催日程も同日となりました。筆記試験(保育原理・教育原理及び社会的養護・児童家庭福祉・社会福祉・保育の心理学・子どもの保健・子どもの食と栄養・保育実習理論)と実技試験(音楽表現に関する技術、造形表現に関する技術、言語表現に関する技術のうち2分野を選択)の2種類の試験に合格する必要があります。

実技試験は、筆記試験の全科目に合格しないと受験することができません。なお、幼稚園の教諭免許をすでに取得している人は、実技試験を免除されます。筆記試験と実技試験の両方に合格すると、保育士試験の合格通知書が発行され、保育士として登録することができます。

受験資格

保育士試験には下記に挙げたように、保育士になるにはいくつかの受験資格があります。必ず一般社団法人全国保育士養成協議会のホームページにて確認し、不明な点があれば保育士試験事務局センターに問い合わせをするようにしてください。

合格難易度

保育士試験の筆記試験科目数は8科目にも及びます。合格率は例年10%台を推移するなど、合格難易度はなかなか高く、相応の対策が必要といえるでしょう。

合格した科目については3年間有効であるため、3年以内に不合格科目のみ再受験することができます。特に社会人は働きながらの試験勉強となり、思うように時間をとって対策することができないかもしれませんが、3年間で全科目を合格ラインへ持っていくつもりで、根気よく取り組むとよいかもしれません。

保育士になるにはピアノが弾ける必要がある?

「保育士になるには」を考える途中で、必ずといっていいほど話題にのぼるのが、「ピアノを弾けなければ保育士になれないのか?」です。ピアノを習ったことがない人にとっては、切実な問題といえるでしょう。

保育士になるには必ずしもピアノが弾けなくてもいい

結論からいってしまうと、ピアノは必ずしも必要ではありません。実技試験では、音楽表現に関する技術、造形表現に関する技術、言語表現に関する技術のうち2分野を選択して受験しますが、音楽表現に関する技術を選択しなければ、ピアノを受験で弾く必要性がありません。

そのうえ、音楽表現に関する技術の試験は、ピアノ・アコースティックギター・アコーディオンから1つを選ぶので、ピアノが弾けなくてもアコースティックギターかアコーディオンが弾ければ受験で選択することもできるでしょう。

ピアノが必修科目の学校もある

学校によりますが、カリキュラムの必修科目にピアノがあれば、単位をとれないと保育士養成課程を修了することができず、保育士資格を取得できないという可能性は否めません。ピアノが弾けない人は、学校選びの際にカリキュラムをよく確認する必要があるでしょう。

保育士として働くにあたってピアノは弾けた方がいい

実際のところ、保育士として働くにあたって、ピアノを弾くことが求められる場面は少なくないので、苦手な人も集中的にレッスンに通って無駄になることはまずありません。

保育所によっては、環境や施設の都合でピアノがなく、他の方法で子どもたちに音楽教育をするところもあります。一方で、音楽教育に重点を置く保育所があります。採用試験を受ける際に、保育所の特性に対して自身の適性があるかどうか、よく見極めるとよいでしょう。

もちろんのこと、ギターなど自身の得意な他の楽器を使って子どもたちとコミュニケーションをとるのも1つの手段です。

保育士の仕事内容

保育士については、子どもの世話をするというイメージしかないかもしれません。実際のところ、どこで、どのような仕事をしているのか紹介します。

保育士の勤務場所

保育士は、一般的には保育所や保育園に勤務することが多いです。しかしながら、最近は保育士が必要とされる機会が増えてきており、託児所や学童保育所、企業や病院に付属している保育所、デパートなどの託児施設、児童館、幼児教室といったように、活躍の場は多岐にわたっています。

また、保育関連施設に勤務するのではなく、ベビーシッターをしたり、自宅で少人数の子どもを預かって働く保育士もいます。大多数の家庭が共働きをしている現代、保育士のニーズはますます増える一方といえるでしょう。

保育士の仕事

保育士は、子どもたちの身の回りの世話をする仕事であるのはもちろんのこと、子どもの健康的かつ社会性をもった発育を促すための重要な役割を担っています。ここでは、保育士の代表的な勤務先となる保育所での仕事内容を取り上げます。

まずは、食事や睡眠、排泄、衛生状態を保つといった身の回りの世話は基本の仕事となります。そのうえで、子どもの健康状態や心理状態を常に把握し、臨機応変に対応することが求められます。体調を崩している子どもがいれば、適切な手当てをしてすみやかに保護者へ連絡します。

また、保育所は他の子どもたちとの集団生活になります。子ども同士での遊びや喧嘩、保育士とのコミュニケーションを通じて子どもたちに社会性を身に着けさせるのも、大切な仕事です。

さらに、子どもの世話以外にも、保育所の行事の準備や保護者とのやりとり、地域とのコミュニケーション、事務作業といった仕事もあります。体力と気力がなければ務まらず、子どもの安全と命に対する責務もある厳しい仕事であるといえます。

保育士の仕事内容を経験者15人に聞いてみた

保育士になるには気持ちがあれば大丈夫

大多数の家庭が共働きとなった現代、保育士のニーズは高まる一方です。その仕事のハードさに比べて賃金の低さがクローズアップされていますが、改善する方向で国をあげて動いているので、保育士の将来は明るくなると期待できます。

子育てが落ち着いた後に保育士として現場復帰することができたり、アルバイトや派遣などライフスタイルに合わせた仕事ができたり、保育士資格があればまさに「手に職」で心強いといえるでしょう。興味があれば、積極的に情報収集をして目指すことをおすすめします。