大卒初任給の手取りランキングと給料の疑問
大卒の新入社員が、社会人になってまず気になることといえば…初任給についてです。始めはいくらもらえるのか、どんな税金が引かれるのか、そして気になるボーナスについて等、給料に関する疑問を解決します。就活中の方は手取りや年収など企業研究に役立ててください。
大卒の初任給ってどれくらい?
仕事を覚えるのに必死な大卒新入社員といえども、自分がもらう初任給についてはしっかり把握しておく必要があります。給料は仕事へのモチベーションを左右し、何よりこれからの生活に直結してきます。ここでは、大卒の初任給に注目してご紹介します。
大卒の初任給を引き上げる企業が増えてきた
まずは、大卒初任給の平均をご紹介します。
2015年大卒初任給の平均は
約20万7,450円(上場企業2,861社の平均、東洋経済新報社調べ)
意外と高いという印象を受けたのではないでしょうか。(一財)労務行政研究所が行った調査によれば、2015年は39.9%もの企業が全学歴の初任給を前年より引き上げています。2009年の大不況~2013年まで、95%前後の企業が新卒初任給を据え置いてきたことを考えると、これは驚異的な数値と言えます。
大卒初任給の多い企業ランキング
知っておいていただきたいのは、初任給は業種によってかなり異なるという点です。例えば、銀行は初任給が低い反面、その後の昇給が高い傾向にあります。そして、出版社は初任給が高い傾向が見られます。
しかし、初任給がずば抜けて高い企業については業種も様々。話題性や社員のモチベーションUPなど、あらかじめ狙いがあって初任給を高めに設定している企業が多いようです。
2015年、初任給が高い企業ランキング(東洋経済新報社調べ)
- 日本商業開発 50万円
- Klab 32万円
- ドウシシャ 30.2万円
1位の50万円というのは驚きの数字ですね。日本商業開発はこれまで中途採用のみしか行っておらず、この年が初めての新卒採用。将来の社長候補として好待遇を図ったという点に加え、知名度の低い会社をPRする狙いがあったようです。
また、初任給はあくまで始めの数字。初任給に惹かれて会社を選んだけど、昇給率が低くて愕然…なんて悲劇に見舞われないように注意したいところです。
初任給は総支給額のこと、手取りはもっと少なくなる
上で示した大卒初任給は、会社が支払う総支給額です。そこから税金等様々な項目の金額が差し引かれ、新入社員のもとに支払われる手取り額はそれより少なくなります。
初任給から差し引かれる項目(平均的な大卒初任給の場合)
- 所得税:約4,000円
- 健康保険:約10,000円(5月から引かれる会社も)
- 厚生年金:20,000円弱(5月から引かれる会社も)
- 雇用保険:約1,000円
上記の項目だけでも、35,000円ほど引かれることになります。そのほか、会社によって労働組合費や共済費等の諸費用を引かれる場合もあります。
大卒の初任給は住民税が差し引かれないのでお得感がある
上記に書いた項目の他にも、給料から引かれる項目があります。それは、住民税です。しかし、住民税は前年の所得額に対して課税されるため、新卒初年度は納める必要はありません。
住民税が課税されるタイミング
社会人2年目の6月の給料から、住民税が課税され始めます。
2年目の住民税の金額は、初年度4~12月までに得た給料・ボーナスによって決まります。
給料:20万×9=180万、ボーナス:夏10万円+冬50万円=60万
上記の計算式に従い計240万円給与所得を得たとすれば、月々約7,000円の住民税が引かれることになります(生命保険加入の有無、扶養家族の有無によっても金額は異なります)。この場合、2年目の昇給額が7,000円より少なければ、2年目の6月から手取り額が初年度より減ってしまうということです。
一つだけ言えることは、社会人1年目はお金を貯めておいた方がいい、ということ。ドーンと昇給するような会社でなければ、2年目以降生活が苦しくなってしまうかもしれません。
大卒は初任給だけでなくボーナスも楽しみ
社会人の楽しみといえば、ボーナスです。多くの企業では夏と冬に1回ずつ、年に2回社員にボーナスを支給しています。初めてのボーナス、新入社員はいくらもらえるのでしょうか?
新入社員の初ボーナス平均支給額は
夏のボーナスは約10万円が平均的な金額です。
夏のボーナスは、前年度の下半期(9~3月)の社員の頑張りに対して支給されるもの。つまり、新入社員は本来もらえないものなのです。しかし、多くの企業では新入社員にも”寸志”程度のボーナスを支給しています。もらえるだけ有難いものなのですね。
学生は初任給だけでなくボーナスのことも調べておいた方がいい
初年度の冬以降、ボーナスの支給額=基本給×○カ月分(社内で統一)といった形で算出されます。「業績のいい年は3カ月分もらえたけど、売上が悪い今年は2ヶ月に減った…」という具合です。
ここで気を付けていただきたいのが、ボーナスはあくまで「基本給」ベースだということです。同じ月給でも、基本給の割合が多いかどうかでボーナスの支給額が変わってしまうのです。
大卒初任給20万、基本給3カ月分のボーナスがもらえる場合
- A社:基本給17万、各種手当3万…17×3=51万円のボーナス
- B社:基本給8万、各種手当12万…8×3=24万円のボーナス
このように、少ない基本給+各種手当(営業手当など)という構成で給料を支給している企業は、ボーナスの支給額が少なくなります。就活で企業を選ぶ際、初任給の金額だけではなく、その内訳についても事前に調べておいたほうがいいですね。
学生は大卒初任給だけに惑わされずに他のことも調べておこう
記事の内容から考えると、初任給の金額が高い=生涯所得が高い、というわけではないことがお分かりいただけると思います。企業研究の際は初任給に惑わされずに、色々な要素に目を向けて調べることをおすすめします。