マンダラチャートをビジネスに活かす使い方・書き方のポイント
マンダラチャートはビジネスパーソンに人気のフレームワークで、目標管理など様々なことに活用することができます。マンダラチャートの使い方やメリット、実際の書き方の例など、様々な情報について紹介します。
マンダラチャートの書き方や使い方を覚えよう
皆さんは「マンダラチャート」をご存知でしょうか。マンダラチャートは、目標管理のためのフレームワークを形にした特殊なシートのことを言い、メジャーリーグで大活躍している大谷翔平選手が、高校時代に目標管理のために作っていたのがまさにマンダラチャートだったということで注目を集めています。
ビジネスシーンでは様々な目標を管理し、実行に移していくことが求められますが、なかなか意識し続けたり、形にしたりするのは難しいものです。マンダラチャートは目標管理で困っている人の助けになりますので、ぜひその書き方や使い方を覚えておきましょう。
マンダラチャートは3×3の9マスで構成されているフレームワーク
まず、マンダラチャートについての概要を紹介します。マンダラチャートとは、3×3の9マスで構成されるシンプルなフレームワーク(枠組み)です。使い方によっては、目標管理からアイデア出し、スケジュール作成など様々なシーンで活用することができます。
いずれの場合も、中心にマンダラチャートの主題になるテーマ(目標)を記入し、その周辺の8マスに目標達成に必要となる要素について書いていきます。仏教で言う曼茶羅のように、中心から周辺に広がっていく様子が、マンダラチャートという名前の由来となっており、マンダラチャートの作成でも中心に記入した内容から考えを周囲に展開していきます。
マンダラチャートは基本的には9マスですが、さらに発展させて、各マスに記入された内容を中心にしてさらにマンダラチャートを展開させるものもあります。この場合は、基本的な9マスのタイプを「A型」、9マスの各マスを中心に展開させた9×9の81マスのものを「B型」と呼ぶこともあります。
マンダラチャートの使い方は目標管理だけではない
ビジネスにも役立つと言われるマンダラチャートですが、どんな時に使えるのでしょうか。ここでは、マンダラチャートの使い方を見てみましょう。目標管理だけでなく、様々なことに使えます。
マンダラチャートで目標管理ができる
マンダラチャートの一番基本的な使い方は、目標管理です。目標管理に使う場合は、中央のマスに達成するべき目標を記入し、その周辺に目標達成に必要と思われる要素を埋めていきます。
ひと目で目標や、それに付随する要素や行動が確認できるので便利です。最近では、マンダラチャート式の目標管理シートが付属している手帳やアプリも増えてきています。
マンダラチャートを使えばスケジューリングも可能
スケジューリングにもマンダラチャートは活用することが可能です。マンダラチャート式の手帳を見てみると、マンダラチャートでのスケジューリングがしやすいようにレイアウトされています。
専用の手帳を使う場合は一例になりますが、マスの中央に達成したい目標を記入し、左上から右に月曜、火曜、水曜…とマンダラを埋めていき、右下の余ったマスには週の振り返りのためのマスを設けます。
マンダラチャートはTODOリスト作りにも便利
目標管理やスケジューリングに近いものですが、TODOリストを作る上でもマンダラチャートは便利です。TODOリストを作る時は、中央のマスに目標とするタスクを書き込み、周囲のマスに目標を達成するために必要な詳細タスクを書き込んでいきます。
この時、各マスにはタスクの名称だけでなく納期なども書き込んでおくと良いでしょう。完了した部分は塗りつぶしたり斜線を引いたりするなどして、ひと目で進捗状況がわかるようにすると便利です。
マンダラチャートにはアイデア出し専用のものもある
アイデア出し専用のマンダラチャートもあります。マンダラチャートでアイデアを出す際は、二通りの方法が考えられます。ひとつは中央のマスにテーマを記入し、その周辺のマスに思いついたアイデアをどんどん記入していく方法です。
もうひとつの方法は、周辺のマスに「既存のものとくっつけてみる」「逆の視点から考えてみる」などアイデアの加工方法を予め考えて記入しておき、後からテーマを中央に記入して、各マスの項目に沿ってアイデアを出していく方法です。
マンダラチャートの書き方におけるポイント
マンダラチャートの書き方には特に決まりがあるわけではありませんが、わかりやすく、また達成しやすいマンダラチャートを書くためのポイントはあります。マンダラチャートの書き方のポイントを紹介しましょう。
マスに記入する事柄は具体的に書く
最終的にマスに記入する各要素は、できるだけ行動に移せるレベルまで落とし込みましょう。意識するだけではなく、行動できるチャートを作ることがポイントです。もしも行動できるほどの具体性がどうしても出てこない場合は、要素の設定が適切でないことが考えられます。
難しいことではなく達成可能なことを書く
マンダラチャートに書く内容は、自分の普段の生活や能力から見て難しいことを書いていては絵に描いた餅になってしまいます。達成可能なことを書くようにしましょう。現実的に「できる」と思っていることと「できない」と思っていることでは、やってみようという意欲に大きな違いが出ますので注意してください。
目標設定の際は数字を入れて書く
何をどれだけやれば良いのかを明確にするためには、例えば「仕事に役立ちそうな本を3冊読む」というようにできるだけ数字を入れて書くようにすることが大事です。目標を設定する時には、数字を入れておくと、行動に移しやすくなります。
数字を入れて定量化することは、効果測定のためにも重要です。思ったような効果が出ない場合は、考えの方向が間違っているのではなく、量(強度)が不足していることもあります。うまくいかない場合はこの数字も見直してみましょう。
目標を達成するまでの期日を書く
いつか達成できれば良いという目標だと、そのうちに流れてしまいます。できるだけ達成までの期日を定め、そこからブレイクダウンして細かいタスク一つ一つも期日を決めましょう。「思ったよりも期日が近かった」と驚いてしまうことがないよう、毎日見るようにすることが大切です。
マンダラチャートの書き方の例
それでは、例を見ながらマンダラチャートの書き方の手順を確認してみましょう。今回は、オーソドックスに「今年の目標」という目標管理を題材にした例を挙げてみます。
ステップ1:目標をマンダラチャートの中央のマスに記入します
まず、目標を中央のマスに記入します。今年の目標ということで「5kg痩せる」という目標を考えてみることにします。真ん中のマスに大きく「5kg痩せる」と書いておきましょう。なお、「今年中」という内容を書くか書かないかは自由ですが、ここでは暗黙の了解として書かないことにします。
ステップ2:目標達成のための要素を書き出し、周囲のマスに記入する
目標達成のための要素を8つ考えてみて、周囲の8マスにそれぞれ記入していきます(81マスタイプの場合は、適切なマスに記入します)。ここでは、5kg痩せるために「走る」「やめる」「食べる」「お酒」「付き合い」「道具」「イベント」「ごほうび」という要素を考えてみることにしました。
もしも、8マスを埋めるたけの要素が思いつかない場合は、無理に埋める必要はありません。適当なところで次のステップに移りましょう。
ステップ3:各要素について詳しく考えながらマスを埋める
次に、ステップ2で考えた各要素を詳細に考えて記入していきます。この時、9マスの場合は文字を小さくしてマス内に記入し、81マスの場合は周囲のマスを埋めていくようにします。
この時、左上から重要と考えている項目を埋めていくようにします。これは、文章や図柄を見るときの人間の目線の動きが左上→右上→左下→右下と「Z」の形を描くように動くことが多いためです。重要なものほど目につく位置に配置するようにしましょう。
マンダラチャートに記入した要素の具体例
- 「走る」:1回あたり30分以上。毎週水曜・土曜に走る。日曜日は公園で運動する
- 「やめる」:炭酸飲料をやめる、コンビニに車で行くことはやめる、ソファーで寝転ぶのをやめる
- 「食べる」:生野菜を食べる、海藻を食べる、玄米を食べる
- 「お酒」:晩酌はやめる、お酒を飲む機会があるときは甘いお酒は飲まない、飲みすぎない
- 「付き合い」:付き合いでの飲み会は月に3回まで
- 「道具」:運動靴、加圧Tシャツ、スマートウォッチを購入。今月中。
- 「イベント」:市民マラソンに参加する、体を動かすレジャーを2ヶ月に1度取り入れる
- 「ごほうび」:1kg減るごとに贅沢ランチ(ただしカロリー注意)、3kg減ったら新しいカバン
具体的に行動に移すべきことがわかっていると行動しやすいですし、またマンダラチャートを目にする機会ごとにすぐに頭の中に入ってくるので、意識しやすくなります。
ステップ4:マンダラチャートは見やすい場所に掲示する
マンダラチャートは作るだけで終わると、その効果が少ししか現れません。できるだけ見やすく目に触れる機会が多くなるような場所に掲示しましょう。壁や机に貼ったり、手帳の開きやすいところに挟んでおいたり、また画像化してスマホやPCの壁紙にするなどすると目にする機会が多くなって実用的です。
マンダラチャートを書くメリット
マンダラチャートを作成するメリットを理解しておくと、より効果的な書き方や使い方ができるようになります。マンダラチャートを書くメリットを見ていきましょう。
ひと目で達成するべき目標が視界に入ってくる
マンダラチャートでは、マス目が多くなっても達成するべき目標が記載されている位置が変わらないため、ひと目見た時にすぐに達成するべき目標が視界に入ってきます。
そのため、マンダラチャートを見るだけでも目標を意識することができるようになります。よりわかりやすくしたい場合は、文字の大きさや色に違いを作ってみると良いでしょう。
目標を具体的に考えることができる
「目標は具体的に考えなさい」と言われても、実際に具体的に考えるのは難しいものです。マンダラチャートでは、目標を少しずつ分解して考えていくことができるので、具体的に考える訓練にもなりますし、またあとで見返した時にも取るべき具体的な行動をすぐに確認できます。
マスを埋める作業が楽しくできる
マンダラチャートは、空きマスがあっても大丈夫なのですが、それでもマスを埋める作業が楽しいため、頑張って考えてマスを埋めるようになります。しっかり埋まったマンダラチャートを見ると達成感を得られ、嬉しくなります。マスを埋める作業を通じて、思考力も鍛えられ、目標に達する意識や考え方も育ちますので一石二鳥です。
他の種類のフレームワークとも組み合わせやすい
物事を考える際のフレームワークでは、多くてもその要素数は9つで収まることがほとんどです。これは「マジックナンバー7±2」という法則として知られています。
そうした様々なフレームワークを、マンダラチャートの各マスに予め入れておくと、物事を考える際にすぐに活用することができます。マンダラチャートは、単体でも使えますが、他のフレームワークとの組み合わせて使いやすいのもメリットです。
注目を集めた大谷選手のマンダラチャート
メジャーリーグで活躍中の大谷選手が高校生の時に、高校時代の監督に言われて作った目標管理シートこそ、まさにマンダラチャートそのものでした。
その中心には、「8球団からドラフト1位指名」という明確な目標が立てられており、そのために必要な要素として「体作り」「コントロール」「キレ」「メンタル」「スピード160km/h」「人間性」「運」「変化球」という要素が並べられています。
マンダラチャートを目標管理に取り入れるのは野球界では珍しい
野球の世界では、「野球ノート」というものに練習中の気付きなどを記録し、監督やコーチとコミュニケーションを取りながら目標達成を近づけていく手法が行われることは多いのですが、マンダラチャートのような形で目標を意識させる例は多くはありません。
大谷選手のマンダラチャートでは、挙げた9つのマスだけでなく、その各マスを中心にさらに8つずつの要素を作った81マスの目標管理シートができていたそうです。「運」なんてどうしようもないと思うかもしれませんが、「応援される人間になる」「あいさつ」「審判さんへの態度」「プラス思考」など、具体的に運気を上げるためにできそうなことを考えていたようです。
その後の彼の成功や飛躍は、言うまでもありません。日米のプロ野球で投手と野手の二刀流で大活躍し、投げればエース、打てば主砲という破竹の活躍を見せ続けています。大活躍の陰には、マンダラチャートを利用した目標管理への確かな手法や意識があったのです。
マンダラチャートは様々な使い方ができてビジネスにも役立つ
マンダラチャートは書き方も簡単で、わかりやすいフレームワークなので様々な使い方ができます。プライベートだけでなく、ビジネスでも多くの人がマンダラチャートを活用していて、実際に効果が実感しやすいのも特徴です。
ビジネスシーンで目標を常に意識し、行動に移すためにも、ぜひ自分の達成したい目標に対してマンダラチャートを作ってみてください。その便利さや効果を実感することができたら、様々なことにマンダラチャートを応用していきましょう。