仕事術

ブレインストーミングの進め方の基本と成功させるポイント

ブレインストーミングの進め方を間違えるとただの雑談をする場になってしまったり、無意味な会議になってしまいます。では、より良いアイデアを生み出せるような、失敗しないブレインストーミングの進め方とは具体的にどういったものなのでしょうか。ブレストスキルを身に着けて会議に役立てましょう。

ブレインストーミングとは

仕事において難しいのが「アイデアを出す」ということ。アイデアは時間をかけて考えた結果思い付くこともあれば、何かをしている時にふと思い付いたり閃いたりすることもありますが、より良いアイデアを生み出すということは簡単にできることではありません。場合によっては、「数ヶ月や数年に渡り良いアイデアが生み出せず、解決しなければならない課題や改善しなければならない問題を長く抱えたまま解決できない…」というケースもあります。

ブレインストーミングはそのようなときに複数人で行える手法で、上手くいけば一人では思い付かなかった斬新なアイデアを出すことができます。そんなアイディアを出す手法の基本ともいえるブレインストーミングですが、その進め方のポイントをしっかりと理解している方は意外と少ないものです。いま一度成功させる秘訣を確認してみましょう。

ブレインストーミングを始める前に決めること

ブレインストーミングを始める前にまずは決めておくべきことが4つあります。この4つをしっかりと決めておかないとブレインストーミングを行っても良い結果を出すことは難しくなります。

1 ブレインストーミングを行う目的・テーマを決める

ブレインストーミングを行うにあたって一番初めに行うことは、「何のためにブレインストーミングを行うのか」「どんな課題について話し合うのか」という目的やテーマを明確かつ具体的に設定しておくことです。

話し合う内容が曖昧なままだと、せっかく人を集めて意見を出し合っても良い結果を生み出すことはできません。事前に何を話し合うのかを知らせておくことで、メンバーそれぞれが参加前に意見をある程度まとめておくことができます。また、このときスケジュールや予算といったアイディアを実現するにあたっての最低条件も忘れずに伝えておきましょう。

2 参加者を決める

ブレストではより多くの意見やアイデアを集めることが重要です。
参加者を集める際、仲の良い人や普段から交流がある人を集めてしまいがちですが、同じ考え方を持つ人達や同じ組織やチームやグループに所属する人達だけを集めるのではなく、年齢層がバラバラで様々な分野に精通しているメンバーを集める方が、様々なアイディアを出し合えることが期待できます。

3 場所を決める

ブレインストーミングを通してより多くのアイデアが思い付きやすくするためには、場所選びも重要です。窓が無く照明も暗くて湿気が多いような部屋では良いアイデアを出せません。明るくて広い開放感がある部屋で行うようにしましょう。

4 時間を決める

一日の仕事ややるべきことが全て終わった夜遅くにアイデアを出そうとしても、頭が疲れてしまった状態では良いアイデアは生まれません。ブレストを行う時間については、可能な限り午前中の時間帯にセッティングしましょう。

また、会議の開始時間だけでなく、終了時間もきちんと決めておきましょう。エンドレスでアイデアを出し合おうとすると疲弊してしまい、良いアイデアが生まれなくなってしまいます。きちんと決められた時間内で意見を出し合うということが重要になります。

ブレインストーミングの進め方のポイント4つ

ブレインストーミングは、「とりあえず複数人が集まってアイデアを出し合えば良い」というわけではありません。複数人が集まってアイデアを出し合うという行為であれば、それはブレインストーミングではなく、ただの企画会議のようなものです。
ブレインストーミングにも進め方のポイントがありますので、しっかりと押さえておきましょう。

1 とにかくたくさんの意見を出す

ブレインストーミングで重要なことは、とにかくたくさんの意見を自由に出すことです。

たくさんの意見が出てくると、中には「その意見は現実的に考えて厳しい」「そんな意見はありえない」といったものも少なからず出てくる可能性が高いですが、それでも構いません。より良い意見を出すことや周りが驚くような意見を出すことではなく、とにかくたくさんの意見を自由に出し、思い付いたことはどんなことでも発言します。

2 どんな意見も批判はしない

ブレインストーミングを行う間、たくさんの意見が出てくると、必ず批判したくなるような意見が出てきます。

例えば、過去に数回失敗しているような手法をもう一度やりたいという意見を出した人がいた場合、「過去に数回失敗していることをもう一度やって、また失敗したらどうするつもりだ」のような反対意見を言いたくなることもありますが、ブレインストーミングでは絶対に批判してはいけません。

誰かの意見を批判してしまうと、その意見や発言を批判された人は、批判されることを恐れて次の意見が言えなくなってしまいます。また、批判された人を見ていた周りの人も委縮してしまい、様々な意見を出すことをためらうようになってしまいます。

3 意見をつなぎ合わせる

いろんな人のいろんな意見を聞くことによって「そのアイデアはもっとこうした方がおもしろい」「このアイデアとそのアイデアをつなげるとこの問題が解決する」といったように、アイデア同士をつなぎ合わせていくとさらに斬新なアイデアを生み出すことができます。

他人の意見やアイデアを聞き、アイデアをつなぎ合わせたり、付け足したりしながらより多くの意見を出すことを意識しましょう。

4 記録を取る

意外と忘れがちなポイントですが、ブレインストーミングでは記録を残しておくということがとても重要です。せっかく多くの意見が集まっても、せっかく出て来た意見がどんな意見だったのか分からなくなってしまっては意味がありません。

また、たくさんの意見が出れば出るほど「その意見は最初の方で出た」とか「さっきの人の意見とどう違うのかよく分からなくなってしまった」といったような事態になりがちです。そのような事態を避けるためにも、ホワイトボードやポストイットを用いて、出た意見や情報をテーマや種類ごとにまとめて視覚化しながら進めると、それを見ながら次の意見が出しやすくなります。

ブレインストーミングでたくさんのアイデアを出した後はどうする?

ブレインストーミングでたくさんの意見を出し合った後は、出た意見をどのようにまとめるかも重要です。

1 実現可能なものと不可なものに分ける

たくさんの意見が出たら、まずは実現可能なアイデアと実現が難しいアイデアに分けます。実現可能なアイデアは今すぐに実現可能であることに限らず、「こういう条件が整えば実現可能」というアイデアも実現可能として扱いましょう。

また、実現が難しいと判断したアイデアについても、他のアイデアと組み合わせることで実現可能になる場合も多々あるため、実現が難しいと判断してもすぐには消したりせず、記録としては残しておきましょう。

2 実現可能なアイデアに優先順位を付ける

実現可能なアイデアに優先順位を付けていきます。優先順位の付け方は、一番実現可能な順番に優先順位を付けても良いですし、実現するのが大変でも集まったメンバーが理想(アイデアを実現した時に得られるメリットが大きい等)と思うアイデアの順番に優先順位を付けても構いません

このようにして最上位に来たアイデアが、ブレインストーミングから生み出された最善のアイデアということになりますが、アイデアはひとつだけでなければならないということは全くありません。

優先順位の高いアイデア同士を結合してみると、より良いアイデアに生まれ変わる可能性もあります。

ブレインストーミングを成功させるコツは?

ブレインストーミングの進め方や押さえておくべきポイント以外に、アイデアを出しやすい雰囲気を作るということも重要です。

誰かが発言した時に「シーン」とした雰囲気であったり、参加しているメンバーがみんな下を向いているような会議では良いアイデアが出る雰囲気とは言えません。明るく笑顔で、楽しく意見を出し合えるような雰囲気作りを意識しましょう。

また、たくさんのアイディアを出すことはブレインストーミングでは重要なことですが、人数が多すぎるのはNGです。
人数が多すぎると何かアイデアを思い付いても誰かが発言していて発言するチャンスを逃してしまったり、「人数が多いから周りに任せておけば良い」というような雰囲気になってしまい発言をしない人が出る恐れがあります。至近距離でお互いの顔を認識できるくらいの人数(10人以下が目安)で集まるようにしましょう。

ブレインストーミングの進め方は全員が理解しておくこと

ブレインストーミングの進め方は、ファシリテーターとなる進行役の人や、会議に出席している数人程度の人が理解しておけば良いわけではありません。たった一人でもブレインストーミングの進め方やルールを理解していないメンバーがいて、そのメンバーが誰かの意見を批判してしまったりすると、その瞬間にブレインストーミングはただの会議になってしまいます。

有意義な時間にするためにも、ブレインストーミングの進め方はその場にいる全員が理解しておく必要があるということを頭に入れておきましょう。

ファシリテーションで意味のある会議を目指そう