パワハラの相談方法と自分でできる相手への対処法
ここでは「パワハラに遭った時の相談の仕方と対策」について説明します。会社や職場で上司という立場を利用して権力的嫌がらせを行うことを「パワーハラスメント」といいます。パワハラはセクハラのように女性限定に対するハラスメントとは違い、性別は関係なく、上司から部下へ行われます。もしもパワハラに遭った時、どこに、どのように相談したらいいのか、相談方法と対策について解説します。
パワハラを受けたら誰・どこに相談すべき?
職場で日常的にパワハラを行う人に対して、私たちはどのように対処したら良いのでしょうか。パワハラは、パワー・ハラスメント(権力的嫌がらせ行為)の略語です。職場では主に、上司からのパワハラを受けている人も少なくないでしょう。パワハラを受けた時、誰に、そしてどこに相談すればいいのかをご説明します。
これってパワハラ?と思ったらまず周囲の人に相談する
職場でパワハラと思われるような言動を取られた場合、それが長いこと継続して続くようなら周囲の人に相談しましょう。第三者の意見を聞くことで、それが指導の域を超えているかどうか判断することが可能になります。
もしかすると相談に乗ってくれた人も同じような経験をしている可能性がありますし、またパワハラを受けた経験がなくても同じようなパワハラの事例を知っているかもしれません。誰かに自分の辛さを話すことで溜まったストレスを発散でき、メンタル面の不調を防ぐことができますし、誰かと一緒に対策を考えることで今後の行動を起こしやすくなります。
社内のパワハラ担当窓口や労働組合に相談する
コンプライアンス専門の部署や相談窓口が社内にあるのなら、一度そこへ相談してみましょう。コンプライアンスとは直訳すると「法令遵守」という意味で、企業の言うコンプライアンスとは単に法を犯さず条例を守るという意味だけでなく、社会規範全般を守るという意味、さらには就業規則や業務マニュアルといった会社に関わる様々な規則を遵守するという姿勢そのものを表す言葉です。
しかし、どの会社にも必ずそうした相談窓口があるとは限りません。パワハラの相談窓口が社内にない場合はどうしたらいいのでしょう。たとえばパワハラ上司よりさらに上の上司に相談したとして、そのことがパワハラ上司の耳に入ってしまう可能性も大いにあり得ます。
そういった不安があり、なかなか相談出来ない人は、労働組合に相談するといいでしょう。ただし、労働組合は会社によって強弱があり、有効的な手段にならない場合もあり得ます。それでも何も策を講じないよりは動いてみたほうが良いので、相談して助けを求めてみる価値はあるといえます。
厚生労働省のパワハラに関するサイトや相談窓口を利用する
社内のコンプライアンス部署や相談窓口で解決できない場合には、厚生労働省のサイトや相談窓口を利用しましょう。個人的に弁護士に相談するという方法ももちろん有効ですが、これには費用つまりお金が掛かってしまい、知り合いに弁護士がいる人以外にはどうしても敷居が高いイメージがあります。
その点、厚生労働省の窓口なら、「話だけでも聞いてもらおう」と気軽な気持ちで相談できます。厚生労働省には各都道府県の労働局に「総合労働相談コーナー」という窓口があります。労働条件やいじめ・嫌がらせなど労働問題に関するあらゆる相談を電話で受け付けています。
もっと手軽なものだと「心の耳」という労働者のメンタルヘルス・ポータルサイトがあります。こちらでは、パワハラの事例が載っているほか、メールで相談をすることができます。また、短時間でできる職場のセルフストレスチェックページなどもあるので、インターネット環境がある方は一度アクセスしてみると良いでしょう。以上の3つを行っても解決しないようであれば、転職も視野に入れる必要があります。
パワハラをする人に対して自分で対処する方法は?
例えばパワハラ上司が職場に居る場合、どのように対処するのが良いのでしょうか。周囲に相談したり、社内の相談窓口にで助けを求めたりする前に、自分で何とかしようと考える人もいるはずです。
ここからは、パワハラを行う人に対して、自分でできる対処方法を見ていきましょう。職場でバワハラを受けていて、自分でなんとかしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
1.パワハラの証拠をできるだけ多く残しておく
パワハラ被害者の悩みとして、パワハラかどうかの判断が難しい場合、相談相手に上手く分かってもらえないということがあると思います。また、パワハラ被害者の多くはパワハラの記録をとっていないことがほとんどです。
パワハラをしている本人と直接話をする時以外に、周囲の人にパワハラ被害について相談する際にもより多くの証拠が必要です。いつ、どこで、どんな言動をされたかをどんな書き方でも良いので書き留めておきましょう。
より証拠能力が強いのは、ICレコーダーでの録音です。どう考えてもパワハラだと思った時は、迷わず詳細に記録をとりましょう。
2.「それはパワハラです」とパワハラをする本人に明言しておく
大抵パワハラをする人というのは、自分の言動がパワハラにあたるとは自覚していません。指導とパワハラの境界線が曖昧になっていることもありますが、パワハラは子供のいじめと同じで、パワハラをしている側は段々とその行為が快感になり癖になっていきます。
パワハラを行っている人の精神状態は、日常的に疲れていて正常ではないことがほとんどです。また、その上司が新人だった頃にされてきたことと同じことを自分の部下に行っている場合もあります。「俺も若い頃は厳しくされたのだから、指導でこれくらいするのは当然だ」と思っているのです。
そのような人への対処法は、その言動がパワハラなのだと自覚させることが大切です。その際、上司と同じように怒りに身を任せて注意してしまうと、余計に相手の感情を高ぶらせてしまい逆効果になるので、できるだけ冷静に落ち着いて伝えるようにしましょう。
落ち着いた態度で相手の非を指摘することで、上司も言い返せなくなり、パワハラ行為をやめてくれるでしょう。
3.パワハラをする本人と直接話し合う
相手にパワハラだと自覚させることができたら、一度じっくり話し合う機会を持てないか聞いてみましょう。もし話し合いの場が持てたら、「なぜこのような言動をなさるのでしょうか」と直接聞いてみてください。
もしかすると、あなた自身にも非があるからパワハラを受けるのかもしれません。改善できる点があるなら、改善したほうがいいですし、誤解があるなら解いておきたいですよね。
ですが、上司が話し合いの場を設けてくれなければ、お互い歩み寄ることは不可能なので、会社の上層部への直訴なども考えざるを得ません。
パワハラは一人で悩まず相談することが大切
パワハラを受けた時に一番してはいけないのが、自分一人で抱え込むことです。最初は耐えられるかもしれませんが、日々繰り返されるパワハラ行為はあなたの心を容赦なく傷つけていきます。
今回は自分で行う対処法も載せましたが、パワハラは1人では対処しきれないケースが多いです。パワハラを受けて心がボロボロに壊れてしまう前に、必ず周囲の人や社内外の相談窓口に相談しましょう。