【タイプ別一覧に見る】ゆとり新入社員の長所を上手く伸ばすコツ
【ゆとりだからと諦めないで!】今年は『消せるボールペン』去年は『自動ブレーキ』新入社員のタイプにも色々名前があるの、知っていますか?彼らの特性が分かれば上手く長所を伸ばすこともできちゃいます!
ゆとり新入社員の長所をうまく伸ばすコツを紹介
古くから新入社員はその年度によって『○○型』とその性質を例えて表されています。 今あなたを厳しく指導している先輩でさえその当時は新人でその時のタイプに当てはめられ呼ばれていました。
今春も公益財団法人日本生産性本部が27年度のタイプを発表しました。 それも踏まえてタイプ別の特性とゆとり世代と呼ばれた彼らの長所を上手く伸ばすコツについてまとめて説明します。
ゆとり新入社員のタイプ別一覧とその特性
●平成27年度のゆとり新入社員のタイプ… 消せるボールペン型
消せるボールペンとは…2001年に発売された書いた字を消すことができる高性能ボールペン。 見かけはいたって普通のボールペンだが、インクの色を摩擦の熱で透明にすることで『消せる』を実現した優れもの。
新入社員は皆横並びにスーツを着て、見かけはどの年も同じです。しかし、その内面、資質や価値観、特性は大きく異なります。彼らは育っていけばいずれ企業に利益をもたらすであろう能力『書き直しができる』(臨機応変に対応する力や柔軟性)という機能を持っています。
その一方で、書き直しができるというアイディア商品には当然デメリットも存在します。 熱によって無色透明になる消せるボールペンで書いた書類は、あまりに高温な場所や直射日光の当たるところに置くとたちまち無色透明になり文字が読めなくなってしまいます。
つまり、入社して間もない新入社員を即戦力にしようと指導に熱が入りすぎると 彼らは個性という“色”を失くしかねないのです。そしてまた便利だからといって酷使しすぎるとやがてはインクが切れ、ブラック企業だと誤解され、結果彼らは早期退社への道を歩んで行ってしまう危険性を孕んでいます。
●平成26年度のゆとり新入社員のタイプ… 自動ブレーキ型
自動ブレーキとは…今現在では比較的当たり前のように自動車のCMで見るようになった衝突被害軽減ブレーキのこと。自動車に搭載されているコンピュータシステムが自動で障害物を認識、判断し、衝突を避けるように警告やブレーキの補助操作を行う。
この自動ブレーキ型の新入社員は知識豊富で情報収集能力に長けており、就職活動においても手堅くクリアし身の丈に合ったそこそこの内定を得て壁にぶつかることもなく終了した傾向があり、そういったことから安全運転を第一としています。
決して人を傷つけず、危ない橋は渡らない慎重派で、安心感はありますが、どこか思い切りに欠け、指導する側にとっては物足りなさを感じてしまうこともあります。
●平成25年度のゆとり新入社員のタイプ… ロボット掃除機型
ロボット掃除機とは…無人環境で機能し、時間と手間を省ける自動掃除機のこと。時間が来ると自動で掃除を始め、部屋の隅々まで効率的に清掃できる。
中には作業を終えると自ら充電装置に嵌るものもある。 難点としては段差や障害に弱く、たまに行方不明になったり、裏返ってしまったりする。
就職活動の早期化傾向に対する社会的批判を受け、彼らの就職活動は期間が2か月短縮され、その限られた期間で効率的に会社訪問することを求められました。
その結果、十分な準備ができないことやスケジュールに余裕がなくなる等の可能性が懸念されましたが、期間が短縮されたことで文化祭でのサークル活動や文化行事への参加が可能になり、結果として一生懸命取り組むことができたとされています。
彼らの特性としては効率的に行動するのは得意。しかし、その反面ちょっとしたプレッシャー(ストレスやつまずき)に弱いです。指導の仕方を誤ると、彼らは自分を見失い、長いこともがき続けることもあります。
●平成24年度のゆとり新入社員のタイプ… 奇跡の一本松型
奇跡の一本松とは…東日本大震災による津波で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市の名勝「高田松原」にあった7万本の松の木のうち唯一奇跡的に一本だけ生き残った松のこと。 復興のシンボルとして様々な保存作業を経て、モニュメントとして以前と変わらぬ場所に立てられている。
震災後ということもあってか、日本生産性本部のコメントは高評価なものがほとんどだったこの年の新入社員達は震災という大きな危機を経験したからこそ、ボランティア活動や復興支援などの様々な活動の中で助け合う心と絆を再認識しました。
そういった経験は彼らが社会に出て組織の一員となった際、互助的な協力関係を築くうえで非常に役立ち、また組織においてはその関係を築くことがいかに大切かということを実感できます。
既存のものに慣れようとしたり、他人に合わせることに必死になるのではなく、大震災のようにいつなんどき『想定外』の事態に遭遇するか分からないので、常に柔軟な発想と新しい価値観を持っている彼らは能力的には未知数ではあるけれど、会社に良い意味での「変化」をもたらしてくれるのではないかと期待されました。(◆平成23年度は震災の年のため発表は自粛されています。)
●平成22年度のゆとり新入社員のタイプ… ETC型
ETCとは…高速道路を利用する際、料金所で停止することなく通行料金を収受し通過できるノンストップ自動料金収受システムのこと。専用の機器を搭載した車が接近すると料金所のバーが自動的に上がる。
彼らはIT活用には長けていますが、効率や利便性ばかりに重きを置くあまり、コミュニケーション能力が低い傾向にあります。打ち解けて心を開くまでに時間がかかり、性急な関係の築き方では彼らの心のバーは直前まで開かないので職場の周囲の人間、特に上司や先輩は焦るのはくれぐれも禁物です。
タイプ別から見えてくるゆとり教育の弊害
5つのタイプ別に新入社員の特徴を紹介してきましたが、これらすべてに共通するキーワードが1つあります。それは「ゆとり世代」です。
テレビでも近年よく耳にする言葉ですが、それまでの詰め込み教育から一転、小中学における学習指導要領の改訂が2002年度から、2003年度以降に高校に入学した入学生以降に施行された学習指導要領で育った世代をそう呼びます。
その当時新たに改訂され、施行された学習指導要領というのがゆとり教育というものです。 詰め込み教育の結果浮き彫りになった数々の社会問題(校内暴力・いじめ・不登校など)に対し、それを批判する形で日教組や教育者、経済界の有識者などにゆとり教育は支持されました。
「ゆとり」を重視し、生徒の自主性を伸ばすことで「生きる力」を育てるということを目的とし、文部科学省が導入、推進していましたが、学力の低下を批判されるようになり、2005年に見直しを要請。2007年には脱・ゆとり教育へ路線変更されました。
ゆとり教育を受けてきたゆとり世代には、 社会人として社会へ出た際、共通した特徴がいくつか存在します。 ここでは代表的なものをタイプ別に紹介します。
1. 言われたことしかやらない指示待ち人間
自分で考えて行動するのが苦手なゆとり世代は、上司に言われた仕事しかしないことがあるそうです。それを終えるとぼーっとデスクに座っていたり、何をしているのかと尋ねれば「何も仕事がないので」などと答えた新入社員も居るとか。
2. 飲みニケーションが苦手
ゆとり世代の特徴の代表的な例でよく挙げられるのがこれです。 他人とのコミュニケーションがあまり得意でない彼らが最も重視するのは己のプライベートの時間です。大切なその時間を上司や先輩に侵害されたくないので自分に何のメリットもないお酒の席はたとえどんなに相手が気を遣って誘ってくれていてもきっぱりと断ってしまいます。
3. メンタルが弱い
心の「ゆとり」を重視するあまり、厳しさの中で揉まれてこなかった彼らは少し叱られたり注意された程度でもすぐにヘコんでしまいます。入社して半年と経たないうちに辞めてしまう人も少なくありません。
4. 根拠のない自信がある
個性を活かすという教育が施された結果、自分の好きなことを仕事にしたいと考えている人が多いようです。そのため、企業に入社してみると「やりたかったことと違う…」「もっと自分の能力を活かせるような場にいきたい」という思いを抱いてしまうようです。
5. ネットがあれば生きていける
幼いころから情報化社会の中に居たため、分からないことがあると何でもネットに頼ってしまうのが彼らです。もちろんIT機器の活用は決して悪いことではありませんが、何でもかんでもという姿を見ると少しは自分で考え、人と対話する中で学んでほしいと思う上司は多いようです。
上司や先輩からしてみると「嘘でしょ?」と思うような言動も多々あるゆとり世代ですが、それは必ずしも彼ら個人だけの責任ではなく、そういう教育を推し進めようとしてしまった社会そのものにも責任の一端はあります。彼らの欠点を嘆くのではなく、それを補い、長所をどう生かせば良いか考えることが大切です。
仕事の戦力にするためにゆとり新入社員の長所を伸ばそう
どの年の新入社員も一長一短は当然です。 それを理解したうえで、上手に接して部下を伸ばしていくのが賢い上司、賢い先輩です。
どんなに欠点を抱えていても、上手く良い面を引き出せれば彼らは想像以上の力を発揮し、戦力となるでしょう。 今回は特に平成27年度の消せるボールペン型新入社員を例に説明していきます。
消せるボールペン型新入社員の特性は前述したとおり、 見た目はいたって普通の新入社員ですが、臨機応変に対応できるという柔軟性を持っています。 その反面、熱に弱く、酷使しすぎるとインクが切れる(スピード退社)といった耐久性、忍耐力に問題があるようです。そこで!
◇ゆとり新入社員の長所を伸ばすコツ3つ
その1…すぐに戦力にしようと思わない。
どんなに素質や優れた能力があろうと新人は新人。ゆっくり焦らず丁寧な指導を心がけましょう。
最初の研修期間のうちに彼らの不安要素を少しでも取り除けるように、分からない点がないかどうかなど時々気にかけて尋ねてあげるのもいいでしょう。
ただその際、一つ注意しておきたいのが、決して「社会人とは」のような精神論をぶちまけないことです。消せるボールペン型の新人は熱に弱く、その内面はどこか冷め、自分を抑え込むのが得意です。上司の指導についていけないと思ったら彼らは戦線を離脱してしまいかねませんから、
のちの戦力を育てたいのなら、まずは焦らないことです。
その2…叱るのは当然。でも、小さなことでも褒めれば伸びる
これは消せるボールペン型新入社員に限ったことではないですが、新人というのは学生に毛が生えたようなものです。加えて、ゆとり世代は押さえつけられることや、上からの圧力に非常に弱いです。仕事ができていなければ指導の一環として注意するのは当然のことです。失敗からしか人は学べません。失敗して叱られて一歩一歩成長していきます。
ですが、叱られてばかりでは彼らの自尊心は低下し、落ち込んでいくでしょう。
小さなことでいいのです。「○○の出来、すごく良かったよ」というような些細な褒め言葉が彼らのやる気に繋がります。新入社員の指導は子育てと同じなのです。
その3…その日のノルマをこなせたら、必ずフィードバックする
これもゆとり世代の社員全体へ向けての有効な指導方法になりますが、
彼らが頼んだ仕事を完遂することができた時は必ずフィードバックをしてあげましょう。「次同じことを頼んだときにはここを改善してほしい」など改善点注意点を具体的に述べるだけではなく、何故その仕事が必要なのか、それが何の役に立つのかをしっかり説明しましょう。
元々豊かな感受性やセンスを持っている彼ら。仕事に対しての向上心に乏しい部分をそっと補い、やりがいが生まれるように教えれば、きっと二年後三年後には十分な戦力になるでしょう。
ゆとり新入社員は長い目で見ながら長所を伸ばしてあげよう
様々なタイプの新入社員を紹介してきましたが、指導で最も大切なのは焦らないことです。 時にジェネレーションギャップなどで指導が上手くいかず、「使えないなあ…」と思ってしまうこともあるかもしれません。
でも彼らは彼らなりに慣れない環境の中でやっていこうと必死に頑張っています。ゆとり世代の性質を理解し、彼らに合った方法で指導すれば必ず、新人が「自分らしさ」を忘れず長所を活かして仕事ができます。それは成果となって返ってくるでしょう。
今はただの種子でも、何年後か先の未来に大輪の花を咲かせるかもしれません。