職場でありがちなカラハラ事例はこれだ
「職場の飲み会からの二次会でカラオケ…」という流れは昔も今も定番となっています。みんなが楽しい雰囲気でカラオケを楽しめればよいのですが、中にはカラオケが苦手だったり、人前で歌を歌いたくないという社会人は少なくありません。「二次会のカラオケに行きたくないがために、職場の飲み会に行くこと自体を拒むようになった」という方もいます。
カラオケ嫌いな人間を無理やり連れていったり、「嫌だ」と言っているにもかかわらず歌を歌うことを強要することはカラハラ(カラオケ・ハラスメント)にあたります。そんな職場で起こりがちなカラハラエピソードをまとめました。
カラハラとは?
カラハラ(カラオケ・ハラスメント)とはパワハラの一種です。カラオケが苦手な人に対して歌うことを強要したり、「歌わないと異動させるぞ」と権力を振りかざしての嫌がらせ行為を言います。
二次会のカラオケでは既にお酒が入っていることもあり、カラハラだけではなく、アルハラ(アルコール・ハラスメント)やセクハラなど思いもよらないハラスメント被害に遭いやすい状況です。「いつもは温和な上司や先輩社員が、突然別人のように豹変してビックリした」というケースも珍しくありません。
カラハラがかわせないのは部下が自分の立場を考えてしまうから
上司からカラハラを受けた際、「歌わないと職場での立場がどうなるかわからない」と懸念し、嫌々歌ってしまう方は多いもの。「その場の雰囲気が悪くなるから」と、なかなか強く断れない方も少なくありません。
カラハラ対策のためにできることは?
カラオケが苦手な人がカラハラ被害に遭わないためには、カラオケに行かないのが最善となります。そのためには普段から「カラオケって苦手なんです」と公言しておくのもひとつの方法です。
万が一、どうしても帰りづらくてカラオケに来てしまい、無理やり歌わされそうになった時に「あれ、○○さんカラオケ苦手だって言ってたよね?無理しなくていいよ~」などと一言フォローしてくれる人が現れる可能性もあります。
「風邪で喉が痛くて…」と体調不良を理由にするのもアリですし、「○○課長って歌がお上手なんですね!もっと聴きたいです!」などと上手くおだてて、歌わせようとしてくる人あるいは歌うのが好きな人にさっさとマイクを渡してしまうのも良いでしょう。
また、つまらなそうな様子でいると歌うことを強要されやすいので、他の人の歌を聞きながら楽しそうに身体を揺らしたり、楽器で盛り上げたり、飲み物のオーダーをとったりと忙しそうにしていることをアピールするのも大切です。
カラハラ被害に遭った社会人の体験談
職場関係でカラハラを受けたことがある社会人に、当時のエピソードを聞いてみました。上司、先輩、接待の席でのカラハラで紹介していきます。
上司からのカラハラエピソード
カラハラ
ポチ(26歳 製造業事務)
私がカラハラを受けているのは入社した24歳から現在までです。飲み会がある度に部長や課長から歌いたくもないのに歌って来いと言われ、何度も断るのですが「断ったらどうなるか分かってるな?」と半分脅しのような形で無理やりマイクを持たされます。
部長も課長も普段はそのようなことはしない方々ですが、お酒が入ると人格が変わるのか軽い暴力等も入ります。そして、カラオケが始まると勝手に音楽を入れ、若手に順番に無茶ぶりをして聞いたこともない歌を無理やり歌わされます。
どんなに嫌だと断っても「やらなかったら分かってるだろうな?」と相変わらずパワハラ発言をしてくる始末。逃げることが許されないので、仕方なく前に出て歌いました。
ただ、最近は学習してきたので一次会で帰る上司の近くに座り、そのままいっしょについて帰る作戦で、最初から二次会に参加せずカラハラをかわしています。
永遠に終わらないフォーチュンクッキー
グーニーズ(33歳 金融業)
昨年32歳の時の話です。私が勤めている支社に関西の本部から部長が来られました。関西の中でも三本の指に入る偉い方で誰も逆らえません。
支社の会議に招き、その後場所を替え懇親会とここまでは良かったのですが部長が『次行くぞ』と予定にはなかった二次会をすることに。ラウンジに行き女の子とワイワイするまでは楽しかったのですが、そこからカラオケが始まると地獄です。
50歳後半の部長ですが大のAKBファン。私を含めて若手三人に『フォーチュンクッキーを歌え、踊れ』の強要をします。
三人でやれば勇気も沸くもので振り付けも多少はわかるので、最大限にテンションを上げて歌い踊り始めると、冒頭から曲を中止。『違う。全然違う』と声を荒げ怒られます。振り付けの指導をされ、また歌い踊り始めるも途中でダメ出し。
別の上司が『とりあえず飲め』と救いの手を出しても全く部長には効かず、何度も何度もフォーチュンクッキーがラウンジで流れていました。『そんなに言うならお前が踊れ』と100回以上思いましたが、延々と指導が続き、ようやくお開きになりました。
アイドルの曲を歌わされた
もも(25歳 事務)
20歳の時、職場の当時の直属の上司からカラハラを受けました。私は学生時代から友達みんなに笑われるほどの音痴で、気を許した友達以外の前で歌うのは大嫌いでした。
職場の飲み会でも二次会のカラオケは避けていたのですがその日はたまたま参加したところ、若いからというだけで無理やり流行っていたアイドルの曲をみんなが聞いているところで歌わされました。
仲の良い同期には歌いたくないと伝えていたので庇ってくれていましたが、どうしても避けられない雰囲気になり、嫌々歌いました。
案の定下手な歌で恥ずかしかったし、周りの人の「そこまで下手じゃないよ!」というフォローが逆に辛かったです。
今ではその上司は違う部署に移ったのですが、あれから職場のカラオケには一度も参加していません。
最悪なデュエットでした
ちと(43歳)
入社して5年くらいは職場の飲み会でいつも二次会がありました。場所はスナックかカラオケです。一次会で帰ろうとすると上司にあからさまに怪訝な表情をされるので帰るに帰れず、いつも二次会に参加していました。
そして私自身の選曲はできず、男性社員とのデュエットのみ。知らない歌があると次回までに覚えておくように言われたり、デュエットの時は肩や腰に手を回されたまま歌わないといけないという最悪なデュエットでした。
最悪なデュエットは、間奏の時におでこや頬をすりよせてくる男性上司です。カラオケやスナックでデュエットを歌っていれば何をしても良いというような雰囲気で、苦痛の何物でもなかったです。
一人で歌う曲も選ぶことができず、誰かがリクエストした曲を歌うことしかできませんでした。職場のカラオケは最悪です。
上司から受けたカラハラ
ピーコック(35歳 会社員)
短大を卒業してすぐに就職した会社でのカラハラ体験談、私は20歳でした。
新人歓迎会という名の飲み会が終わり、元々新人は5人だけでしたが二次会参加は私のみでした。直属の上司に「行かなければ明日の仕事がきつくなるよ」と冗談混じりに嫌味を言われて仕方なく参加しました。
私は人前で歌うのが大の苦手で、今まで友達とカラオケに行っても聞いているだけで歌うことは決してありませんでした。
今回も手拍子してノリノリに楽しそうにしていれば歌わずともなんとかなるだろうと考えていた私に、また上司から「歌いに来たのに歌わないのは仕事をしていないことと同じだ」と、みんなの前で罵声を浴びせられることに。
半泣きでマイクを握り上司が選んだ歌をなんとか歌い切りました。こんな屈辱は過去にはないです。
翌日からカラオケに行く流れの飲み会は一切断るようにしました。
会社役員に無理やりつき合わされたカラオケ
エル(23歳 会社員)
カラハラを受けたのは23歳です。新入社員の私は新入社員研修を受け終え配属となった後、配属先の部署で歓迎会が開かれました。
歓迎会には部署の担当役員も同席していました。その後2次会に行くことになり、役員がカラオケ好きということでカラオケへ。
歌が下手な私はあまり行きたくありませんでしたが役員に肩をつかまれながらカラオケへ連れて行かれました。
カラオケでは役員の独壇場で自分が歌わなくて済んだ分、普段聞きもしない演歌や1世代前の歌を延々と盛り上げなければなりませんでした。その役員は別段歌が上手いわけでもなく、正直なところ非常に苦痛でした。
相手は役員ということもあり、新入社員とはあまり関わることが少ないため、カラオケに連れて行かれるということはあまりありませんが、誘われた時には部長や課長にお願いして避けてもらうようにしています。
二度とカラオケなんか行きたくない
桃子(25歳)
月に一度に同期グループとの飲み会があるのと同様に半年に一度ボーナスの時期に行われる部署が同じ社員での飲み会があります。
大人数での飲み会なので座席のある居酒屋で上司に適度に気を配りながらお酒を飲んでいました。
お酒も入ってきたころワイワイと盛り上がる雰囲気は嫌いじゃありません。きっとその勢いにつられ、三次会として4、5人で行くというカラオケに誘われてついて行ってしまいました。
普段なら同期や友達としかカラオケなんか行きなくないのですが、飲み会の雰囲気が楽しくてその余韻に浸りたかったんだと思います。
カラオケの参加メンバーは職場で気を遣うような上司がいました。そして自分の隣の席に来たとき、酔っ払っているのがわかったのですごく嫌な予感がしました。
そして予感は的中。他の人と席が離れていて、暗いのをいいことにボディタッチを始めてきたのです。気持ち悪くなってカラオケどころではありませんでした。
酔っ払いのカラハラは厄介です
ぺん(26歳)
私がカラハラを受けたのは22歳の時です。
相手は私が派遣されていた職場の責任者でした。普段は真面目で気さくないい人なのですが、お酒が入ると人が変わったかのように、脱ぎ出し騒ぎだし…のとんでない人でした。
入社すぐの頃は一緒にお酒の席につくこともなかったのですが、ある日その日は訪れました。飲み会が終わって2次会はカラオケに行くことになりました。相変わらずの大騒ぎでいつ店からクレームが来るかと思うほどです。
そしてその矛先は私へ。デュエットの強要がスタートしました。もちろん1曲では終わらずに次から次へと。「酔っ払いだし、いいや!」と強めのツッコミを入れて周りを巻き込み、そっとその空気から抜けることに成功しましたが、カラハラはまた違う人へ移りました。
以後、職場での飲み会の2次会には参加していません。
逃げ場のないカラハラ
はなはな(27歳 事務)
私がカラハラを受けたのは24歳の時です。今の職場に転職し、皆さんが歓迎会を開いてくれた時のことでした。
社員全員で8人の小さな会社なのですが、皆家族のように仲が良くて、私も楽しく一次会を過ごしました。そして二次会に行くことになったのですが、その際「行きつけの店に行くから!」とだけ言われ、着いた先はスナック。
皆さんカラオケが好きらしく、毎回二次会はカラオケのあるところに行くそうなのですが、あいにく私は自分が音痴なこともあってカラオケの雰囲気が苦手なのです。
盛り上げる側に徹そうと思ったのですが、社長に「歌ってよー!」と言われてしまい…。何度もせがまれたので、気分を害さないように断ることができないなと思い、意を決し歌ったのですが、やはり場の空気を壊してしまい、歌い終わった後みんな苦笑いでした。
それがトラウマになり、職場の飲み会自体に参加しなくなりました。
上司からのカラハラ
やっつん(24歳 保育士)
新卒で入社した前職でカラハラ被害に遭いました。社員も20代が多く、雰囲気も体育会系で営業職として入社した会社です。
飲み会が多い会社で、毎週金曜になると飲み行くことが多かったのですが、先輩や上司がお酒やカラオケ好きな人が多く、よく朝までコースで付き合っていました。
カラオケでは上司が歌っている時の盛り上げ役はもちろんですが、歌が苦手でも無理やりマイクを持たされます。
歌の選曲は上司だったのですが、幸い毎回同じような曲だったり聞いたことがある曲だったので、同期と一緒に歌ったり、「サビしか知りません」と言ってサビまでは他の人に歌ってもらったり、なんとか自分が歌う場面を少なくしていました。
また、飲み物を頼む役を買って出て、「飲み物を取ってきます」と部屋を離れたりしていました。
歌うことを強要されました
orin(24歳 接客業)
新卒で入社したての20歳の頃、忘年会や新年会で毎回のようにカラハラを受けていました。
元から歌が苦手で流行りの曲も知らないと周りには伝えていましたが、直属の課長や常務、専務とのお付き合いでは強要されました。
歌わずにドリンクの注文やタンバリンで盛り上げていると、「なぜお前は歌わないのか」とマイクを通して大声で指を指し、周りがあまり歌が得意じゃないと宥めても「俺の金で付いてきているんだから一曲は歌え、じゃなければ今日は全員帰れないし明日からお前の居場所がなくなる」と脅されました。
仕方なく周りが全員でマイクをまわして歌える曲を入れてくれたのでその場は治まりましたが、次の日から上席に会うのが怖くなりました。
先輩からのカラハラエピソード
無理に歌を強要
ぱぴこ(37歳 ネット関係)
24歳のときにカラハラを受けました。相手との職場での関係は、私が後輩で向こうが先輩になります。
カラオケが苦手と知っているのに歌うことを強要してきて、場を盛り上げるように言われました。
初めは濁していたのですがそれも通用しなくなり、曲を勝手に入れられマイクを渡されました。途中まで曲を歌い他の人にマイクを回しました。とても不快な気分でした。
その後、先輩とは通常通り接しましたが、さりげなくカラオケが嫌いだということを伝え続け、過去に不快に感じたこともハッキリ伝えました。
何度も伝えたことで先輩も同じ話にウンザリしたのか、その日からカラハラを受けることはなくなりました。
しかし、先輩が謝ることはなかったので「悪いことをした」とは思ってないようです。
歌いたくないのに
けん(36歳 会社員)
職場の人達に昔バンドのボーカルをしていた事がバレてしまい、職場の飲み会の二次会のカラオケでは歌いたくないのに、「アレ歌え、コレ歌え」と半強制的に歌わされます。
相手が上司ならばこれも仕事と諦めて歌うのもアリかなと思うのですが、相手はちょっと年上の女性の軍団。中途半端に仲が良く、その場の空気を壊したくはないため、断るにも断り辛いです。
また、ボーカルだったこともありプレッシャーがあるので、音楽は好きだし、歌う事自体は好きですが、自分の好きな曲を歌えないこと、歌えない曲まで歌わされることにかなりの苦痛を感じます。
さらに、お支払いは男性のみという理不尽な会計です。1、2回は我慢していたのですが、最近さらに誘われる回数が増えてきたので飲み会そのものを断ったり、飲み会に行っても二次会は何かと理由をつけて避けるようにしています。
デンモク回し
すみ(31歳 事務)
28歳の時、職場の飲み会の二次会でスナックへ行きました。一次会で帰った人たちもいたため、二次会へ行ったのは上司一人と先輩達を含め計5人です。
席に着くなりデンモクを渡され、何か歌ってと言われたのですが、元々歌を歌うつもりはなかったため、隣にいた先輩に先に入れてくださいと言いデンモクを渡しました。
その後、一人一曲歌を予約したら次の人に渡すというサイクルが自然にできあがり、最後に私のところへまたデンモクが戻ってきました。
私はこの流れを止めてはいけないという空気を読みつつも、歌う気になれず、何を入れたらいいのかも決まらずデンモクを持ったまま、みんなの入れた歌が終わってしまい、カラオケの流れが止まってしまいました。
カラオケボックスにいたわけでもなく、カラオケにいたとしても、歌う歌わないはその人の自由だと思うのですが、みんなお酒を飲んでいるということもあり、「何か歌ってよー歌ってー」が止まらず、それでも歌いづらくもう一周デンモクを回すことに。
また私のところに回ってきた時には、さすがになにか歌わなくてはいけないかなと思い、しぶしぶ一曲歌いました。
接待の席でのカラハラエピソード
出張先の接待
レイ(29歳 サービス業)
別業種からサービス業種の営業職に転職したばかりの25歳のころ、職場の上司と取り引き先の男性に、出張先の接待宴会の二次会でカラオケに無理やり連れて行かれました。
「最近の歌は解らないし、歌も得意ではないので一次会で失礼したい」と訴えても全く取り合ってもらえず、仕方なく同席するだけと伝えて入店することになりました。
が、その後も歌わないというのは許してもらえず、良く知らないアニメの歌や、演歌のようなものやデュエット専用の曲ばかりを入れられてしまいました。
どれだけ断っても「君のためにせっかく入れたのに」「社会人としての自覚がないよ」と怒られ、お酒が入っていたこともあり処分まで匂わされました。
仕方がないので、全ての曲を手が滑ったフリをして消して、代わりに唯一聞いたことがある古い演歌(軍歌だったかもしれません)を入れました。
もちろんほぼ知らない曲なので、滅茶苦茶なテンポになりましたが歌い切って、「これで勘弁してください」と頭を下げてやっと許してもらって部屋に戻りました。