人間関係

ジタハラ急増中!12人の経験者に学ぶ対処法と防止対策

ジタハラとは労働時間短縮のために、残業をせず早く帰ることを上司が部下に強要するなどの嫌がらせのことを言います。ジタハラの原因や事例、対策をグループインタビュー形式で紹介するほか、ブラック企業との関係、ジタハラの相談窓口などについても見ていきましょう。

働き改革の裏で増えるジタハラ

現在『働き方改革』なるものを政府が推し進めています。この働き方改革は、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や、育児と介護の両立など働き手のニーズの多様化しているなどの問題解決に向け、個々の事情に応じた様々な働き方を選べる社会を実現するためのものです。

働き方改革実現のために解決すべき問題の1つとして長時間労働が挙げられますが、その対策をする中で起こり得るのがジタハラです。

今後企業でのジタハラによる被害相談がますます増えることを懸念した社労士のジョブさんは、ジタハラ同様に被害拡大が心配されるパタハラの調査の際にお世話になった月島さんの協力を得て、友人・知人などでジタハラを受けた12人を集めてもらい実態調査を行うことにしました。

パタハラ経験者に聞いた!職場での対処法と防止対策

ジタハラとはどんなもの?

–今日は、集まっていただきありがとうございます。最近ジタハラに関するニュースを見聞きし、私への被害相談も増えるのではと心配しています。そこで、ジタハラ経験者の皆さんに実態調査へのご協力をお願いできればと思いました。よろしくお願いします。

全員「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。」

–では、早速始めましょう。皆さんは経験者なので、もう知っているとは思いますが、最初にジタハラの説明をしたいと思います。

全員「はい、お願いします。」

–ジタハラとは『時短ハラスメント』の略で、残業時間削減の対策をせずに社員に対して「残業はダメ」「定時に帰りなさい」など退社を強要することを指します。本来社員にとって『残業をしないで定時に帰れる』のは嬉しいことですが、納期が迫った仕事を沢山抱えていたり、上司から「もっと成果を上げろ」などと言われたりしている場合は、持ち帰り残業をするハメになることもあります。そんな状態が続くと、社員の健康が損なわれる、プライベート時間を持てないなど様々な問題が生じるのです。

ジタハラが起こる原因は働き方改革のせいだけではない!

–このようなジタハラが起こる大きな原因としては、やはり働き方改革の存在が挙げられます。働き方改革の名のもとで各企業でも業務時間短縮などの取り組みが行われています。

武藤「でも、自分の会社で行われている時短の取り組みが、働き方改革実現の一環でそのことがジタハラの一因になっているという意識を強く持っている人はあまりいないと思います。」

–そうですね。ジタハラ発生の背景に働き方改革があるのは確かですが、ジタハラの原因はそれだけではないのではないかと思います。ほかに、どんな原因が考えられますか?

武藤「私は所属している部署では、部下の労働時間が上司の出世に響くと言われていて、それがジタハラの原因になっています。」

丸山「私の会社では、上司自身が早く帰宅したくて、私たち部下に早く仕事を終わらせるように言います。まぁ、部下よりも先には帰りにくいっていう上司の気持ちも分かるんですけどね。」

–上司の立場というか、個人的な都合というか・・・そういうことでもジタハラが起こり得ますね。

杉田「私の職場でジタハラが起こるようになったのは、会社が労働基準監督署による監査を怖がっていたことが原因です。」

吉田「私の職場は幼稚園なんですけど、ジタハラの原因は杉田さんのところと似ていて市の監査でした。」

–有名企業で起こったジタハラが大問題になってニュースに取り上げられたこともありますから、それを機に労働基準監督署や市の監査もより厳しくなっているのでしょう。他にもジタハラの原因が何かありますか?

畑・石原・早川「上司に残業代を減らしたいからと言われました。」

–3人とも同じ理由でジタハラを受けたとは・・・。同じ職場ではありませんよね?

畑「それぞれ別の会社で働いています。」

–会社の業績悪化などから、残業代を削減したいがためにジタハラをするケースも多いのかもしれませんね。

本村「あと、上司が部下の業務内容や量を把握していないこともジタハラの原因になると思います。実際、我が社の社長がそうです。」

–上司が部下の業務を把握していないことは、ジタハラの大きな原因と言えるでしょう。本村さんのケースのように直属の上司でなければ、部下が行っている業務内容の把握度はより低くなることが考えられます。また、社員の人数が多いほど、上司が部下1人ひとりの仕事を把握するのは難しくなります。

ジタハラを受けないようにする対策は?

–職場で一度ジタハラに遭ってしまうと、いくら事情説明や反論をしようとも結局は上司の指示に従わざるを得なくなるケースも多くあります。ですから、ジタハラに遭わないように防止対策を考えることが大切なのです。ジタハラ対策には、どんなものがあると思いますか?

適切な残業代を請求する

武藤「たとえば、適切な残業代を請求するとかですか?」

–その通りです。残業代の予算が少なく支払いは難しい場合は要相談ですが、定時退勤を強要し、支払い可能にもかかわらず時間外手当を払わずに早朝勤務をさせるなどのサービス残業の場合、適切な残業代を請求することがジタハラの防止対策になります。労働時間を削減しても仕事量を減らさないケースでは、残業代を正しく計算し請求してみましょう。

仕事量の見直しをお願いする

林「ジタハラ対策には、仕事量の見直しを上司にお願いすることも重要だと思います。」

–ジタハラ対策に一番欠かせないのは、仕事量の見直しかもしれません。部下が抱えている仕事量を把握していない上司もいます。大量の仕事を抱えていては、早く帰りたくても帰れません。

林「あと、勤務実態の記録を残しておくのも良いのではないでしょうか。」

–はい。1日でどれだけの仕事をこなし、他にどれだけの仕事が残っているかなどの勤務実態を記録しておくと、上司に仕事量調整の相談をする際に役立ちます。

ノルマや納期の見直しをお願いする

丸山「上司にノルマや納期の見直しをお願いすることも、ジタハラ対策の1つになりますね。実体験から、納期などを見直す必要性を強く感じました。」

–そうですね。ノルマが厳しかったり納期が短かったりするのもジタハラを引き起こす要因になります。しかし、これらについては労働者側がどうにかできることではないので、上司を通じて会社側にノルマや納期などの見直しをしてもらいましょう。

メールと電話を上手に使い分けて時短する

–ジタハラの防止対策のためには会社側に動いてもらうようお願いするだけでなく、労働者側も個々で時短できるように努力する必要があります。杉田さんは仕事の時短のために、個人的にどんな工夫をしていますか?

杉田「私はメールと電話をできるだけ上手に使い分けることで、仕事の時短につながるように心がけています。仕事の連絡はメールですることにしている人もいると思いますが、場合によっては電話をかけたほうが早く用事が済むこともあります。例えば急ぎの連絡は電話、そうでなければメールというように使い分けています。」

時には周囲の協力を得て時短する

本村「私の職場では個々の仕事量が多すぎて、時短に効果的な対策を考えついていませんけど、周囲に手が空いている人がいれば、協力してもらうことも時短につながるのではないでしょうか。」

–はい。職場での時短を実現するには、1人で仕事を抱え込まずに周囲の協力を得ることも大切です。他の人が行ってもかまわない作業は、手の空いている人にお願いしてみると良いかもしれません。

効率的で生産性の高い人のやり方を真似して時短する

三波「データ入力など毎日決まって行う定番の事務作業も、実は結構時間を要します。同じ作業を素早く終わらせるスタッフもいるので、私はそういうスタッフのやり方を真似るようにしています。」

–それは良い方法ですね。効率的で生産性が高い人の作業方法を真似ることで、1つの作業にかかる時間を短縮できる分、沢山の仕事をこなせるようになります。

ジタハラがブラック企業を生む!?

–ここまでジタハラの事例や対処法、防止対策などについて皆さんの話を聞いてきましたが、ジタハラはブラック企業を生む原因になっているとも言えるんです。

畑「それは、どういうことですか?」

–ブラック企業の定義から説明しますね。厚生労働省はブラック企業について定義していませんが、一般的には主に以下の特徴があると言われています。

–例えば仕事量を減らすことなく残業禁止となれば、こなしきれなかった仕事は翌日に持ち越すか、家に持ち帰るしかなく、残業代も支払われない場合が少あります。これはれっきとしたジタハラで、こうしたジタハラの横行がブラック企業を生んでしまうというわけです。

吉田「ジョブさん、ジタハラとブラック企業の関係性がよくわかりました。職場でのジタハラを理由に、転職を考えている人などはくれぐれもブラック企業を選ばないよう注意してほしいです。」

–簡単なことではないですが、企業研究などを行う中でブラック企業を見極めていくことが大事ですね。

ブラック企業の定義と9つの特徴

どんなジタハラを受けたのか教えて!

–では、ここで皆さんが実際に受けたジタハラのお話を聞かせてください。入社何年目の時、どのようなジタハラを受け、どう対処したのですか?通常の勤務時間も併せて教えてもらえればと思います。武藤さんから時計回りで順にお願いします。

武藤さんのジタハラ事例と対処法

武藤「私は食品関連会社で機械のオペレーターとして働き、20年が経ちます。通常の勤務時間は、8時から17時です。入社当初、ジタハラという言葉が世間に注目される前からジタハラを受けました。」

–かなり前からジタハラを経験しているんですね。

武藤「はい。ジタハラをしていたのは部長ですが、残業時間に関して厳しい人でした。人手不足や納期のことなど考えず、とにかく早く帰れ!と言われました。」

–上司にそう言われ、どう対処したのですか?

武藤「残業しなければ仕事が終わらないと反論しましたが、何とかしろ!の一点張りで・・・。そんなやりとりを数回繰り返しているうち我慢できなくなり、専務に部長からジタハラを受けている旨を報告しました。」

–なるほど。それで、事態は改善されましたか?

武藤「専務にジタハラ被害を報告した翌日から、部長が急におとなしくなり部下にジタハラすることもなくなりました。専務から注意を受けたようです。以来、職場の雰囲気も良くなりました。」

林さんのジタハラ事例と対処法

林「建築会社で働き始めて9年経つ私がジタハラを受けたのは、入社3年目の時です。勤務時間は9時から17時までになっています。」

–どんなことを言われたのでしょう?

林「当時はちょうど私の担当案件が増えてきた頃で、他の社員よりも残業が多いことを人事部に指摘されました。そして、今後は残業をしないで定時で帰るように。やむを得ず残業する場合は、必ず上司に残業申請を出すよう一方的に言われたんです。」

–残業が必要な理由を話してみましたか?

林「お客さんの都合上19時以降に話を聞きにいくことが多いのでという事情は説明したんですが、分かってもらえませんでした。」

–そうだったんですね。社員1人ひとりの事情に応じて申請無しに残業を許可していたらキリがないという人事部の考えがあったのかもしれません。

林「結局人事部の指示に従わないわけにはいかないので、残業に関する指摘があって以来、平日19時以降のアポを取っているお客さんのところへは日を改めて行くことにしています。」

丸山さんのジタハラ事例と対処法

丸山「勤続14年目の私の勤務時間は8時半から17時です。特殊な職種のため詳しくは言えませんが、入社3年目で今の部署に異動になり、その時から長い間ジタハラを受け続けていました。」

–長く辛い思いをしていたんですね。

丸山「そうなんですよ。私は、サンプル作りから資料納品まですべての作業を1人でしていて、私の代わりに作業をこなせる人がいませんでした。仕事量に応じて納期が延期されることはないので、大量の仕事を抱えている時は残業が必須です。」

–1人ですべての作業をやるのは無理なのでは?

丸山「私自身もそう感じていましたが、特殊な仕事ですから他部署に応援を頼むこともできなくて。でも上司には定時退社を強く迫られて・・・。」

–辛い状況をどう打破したのですか?

丸山「仕事量に見合ったスタッフの増員を上司に頼んだものの、人件費がかかると即却下されました。11年間ジタハラに耐えてきて、やっと上司が定年退職しました。今は新しい上司になり、2人の新人も入社して、彼らに技術指導をしている最中です。」

杉田さんのジタハラ事例と対処法

杉田「医療機器卸商社に勤めて17年、勤務時間は9時から20時です。ジタハラを受けたのは今から1年前、勤続16年目の時でした。」

–割と最近のことじゃないですか!?

杉田「はい。某有名企業で起こったジタハラ問題の影響などもあったと思います。20時以降は事務所を施錠するため、残業は認めないと総務部から急な通達があったのです。」

–それまではどれくらいの頻度で、残業していたのですか?

杉田「毎日サービス残業でした。お客さん対応の多さ以外にシステム導入の失敗、優秀な社員たちの退職など、23時くらいまでサービス残業をする理由は色々です。」

–突然のジタハラに社員の皆さんが取った行動は?

杉田「現場の声が経営側に届かないため、ノルマを減らすなどのお願いはできません。残業ができなくなってからは土日に休日出勤しています。休日出勤は届出制で建前としては自己啓発のため、自主的に出勤していることになっています。」

本村さんのジタハラ事例と対処法

本村「食品製造会社で働いて4年になりました。勤務時間は毎月変わりますが、基本は9時から18時です。入社して2年経った頃、社長から売上が下がっているのに残業するのはおかしいと言われました。」

–社長から直接ジタハラを受けたんですね。

本村「まさか社長からジタハラを受けるとは思ってもいなかったので、とても驚きました。単価が安く手間のかかる商品を多く作っているため、サービス残業が増えてしまうのは仕方ないことです。」

–それから残業を止めたのですか?

本村「残業をしなくて済むように上司が仕事量を減らしてくれるわけではないので、皆定時でタイムカードを押した後に残業する状況に陥っていました。」

–そうすると、残業はしていたのにもかかわらず、残業代は出なかったんですね。

本村「はい。納得できず残業が終わった時間にタイムカードを押すようにするまでの約3ヶ月間、月に100時間以上も残業しましたが、残業代は全くもらえませんでした。次また同じことを言われたら、退職しようと考えています。」

三波さんのジタハラ事例と対処法

三波「介護施設で事務職をして勤続5年、勤務時間は8時半から17時半です。入社4年目あたりから、上司に定時退勤をしなさいとジタハラを受けるようになりました。」

–それまでは、どんな感じで仕事をしていましたか?

三波「現場と事務仕事を掛け持ちしていたため、事務仕事は勤務時間後に残業としてやっていました。でも定時に退勤するように言われてからは、事務仕事は溜まる一方で・・・。」

–それは大変ですね。上司に事情説明はしましたか?

三波「もちろん説明しましたが、方針は絶対に変えられないとのことでした。その後半年は事務仕事が終わらないまま定時退勤していたものの、ついに作業が追い付かなくなり、上司に再度相談し、今は許可を取ったうえで残業しています。」

畑さんのジタハラ事例と対処法

畑「私は運送業に就いて5年、9時から17時が勤務時間です。入社3年を過ぎた頃から、生産性を意識した仕事を心がけるようにと指導を受けました。上司から急に厳しい口調で言われて驚きました。」

–急なことで驚いたでしょう。生産性を重視することにした理由は、何だったんですか?

畑「どうやら私の作業スピードが遅いため、残業代がかさんでいるから残業を減らしなさいというこということでした。」

–1人だけの残業代を理由に、ジタハラをするのはひどいですね。どう対処しましたか?

畑「すでに目一杯の状態だったので、これ以上のペースで働くのは無理と言ったところ、休憩しながらやっている!と、さぼっているかのように言われ悔しい思いをしました。けれど、焦って仕事して事故でも起こしたら大変ですから、今まで通り残業しています。」

吉田さんのジタハラ事例と対処法

吉田「幼稚園の先生になって7年です。勤務時間は原則8時から17時ですが、職場は残業禁止のため、朝早く出勤して仕事を始めるのが暗黙の了解になっています。」

–吉田さんが入社した当初から、残業は禁止されていたんですか?

吉田「いいえ、違います。入社3年目頃までは、19時から20時の残業が当たり前でした。でも、ある日職場に市の監査が入ったのを機に、残業禁止というジタハラを受けました。

–残業禁止になった理由が市の監査なら、反論してもジタハラは改善されませんね。

吉田「そうなんですよね。市の監査が入ってから、主任はさらに時間に厳しくなり、私たちの仕事が終わっていなくてもタイムカードを押すように言う始末です。事務作業や職員間の打ち合わせなどは残業時間にやるしかないのに困ります。」

–なるほど。じゃあ、残った仕事はどうしているんですか?

吉田「朝早く出勤しても終わらせられなかった仕事は、家に持ち帰るようにしています。」

石原さんのジタハラ事例と対処法

石原「私は勤続19年目の銀行員です。勤務時間はシフト制なので人によって異なりますが、スタッフの多くは8時半から17時15分までの勤務になっています。」

–職場でジタハラを受けたのはいつか覚えていますか?

石原「はい。入行18年目の6月から、ジタハラが始まりました。上司から残業代の予算がなくなるので、仕事が残っていてもそのまま帰るようにとの指示が出されました。」

–仕事を残したまま帰宅するようにとは、大胆な指示ですね。

石原「仕事を残したまま帰ってOKと言われても、決められた日数で書類の処理をしなければならないのに、正直上司は何を言っているんだろうと思いました。」

–どうしても残業せざるを得ない時もあるでしょう。そんな時はどうしていますか?

石原「残業しなきゃいけない場合は、受け入れた仕事全ての処理にかかる時間をデータ化し、勤務時間内に作業を終わらすことが難しい旨の資料を上司に提出したうえで、残業を認めてもらっています。」

一色さんのジタハラ事例と対処法

一色「僕は害虫駆除の会社に勤め、3年目です。短い研修期間を終えた頃から、ジタハラを受け始めました。実は前職も似たような仕事に就いていたので、今の会社には即戦力として迎え入れられました。」

–そうなんですか!?素晴らしいですね。

一色「ところが任される仕事量が多く、仕事が追い付かなくなり残業や休日出勤をしていたら、上司にそこまでの仕事を要求していないし労働時間削減のためにも、残業や休日出勤をしないでと言われました。」

–その後、どう対処しているんですか?

一色「残業や休日出勤しながらも任せられた仕事はこなしていたんですけど、上司からのジタハラで仕事量も減らされてしまいショックです。僕の能力を認めてもらえそうもないので、時期を見計らい今の職場は辞めようと考えています。」

–そうですか。今の会社で働く意欲をなくしてしまったのなら、転職するという選択肢もあるかもしれませんね。

早川さんのジタハラ事例と対処法

早川「接客業に就いて12年、勤務時間は10時から20時までです。入社10年目の頃から会社の業績が悪化し、残業代も厳しくチェックされ残業も一切禁止になりました。」

–ジタハラによって残業できなくなった以外に、勤務形態に何か変更はありましたか?

早川「はい、ありました。残業代がつかないように休憩を1時間増やして計2時間取るように指示され、さらには早番・遅番も禁止されました。」

–現場で働く社員にとっては、辛い変更ですね。

早川「本当にそう感じます。仕方ないので上司の指示通りにしていますが、休憩に関しては時間を持て余すので、結局はその時間も使って仕事をしています。」

朝加さんのジタハラ事例と対処法

朝加「私は金融機関の営業職として働き始めて、5年目です。勤務時間は9時から17時までですが、大量のノルマと事務作業に追われ朝は8時から働き、夜は終業時間以降も残業するのが当たり前になっています。」

–朝加さんが受けたジタハラは、どんなものですか?

朝加「上司によるジタハラが始まったのは、入社3年目の時でした。残業を大幅に減らすよう経営陣から大号令がかかったのです。ノルマや事務作業量はこれまでと変わらないのに、定時に帰れ!と上司に怒鳴られました。そして、翌日仕事が終わっていないことでまた叱られるため、職場の雰囲気は最悪でした。」

–「でした」ということは、今職場でのジタハラはなくなったのですね?

朝加「そうですね。私たち部下は皆上司の指示に従っていたんですけど、ジタハラは始まってから1ヶ月でなくなりました。計画性のない残業削減で、お客様に迷惑をかけるトラブルが続出したので。」

–仕事の忙しさは変わらないでしょうけど、ジタハラが改善されたことは良かったですね。今日は皆さんのおかげで、ジタハラの実態調査を無事に終えることができました。ありがとうございました。

1人でジタハラに悩まず相談を!

仕事量の見直しや残業代の未払いなどについて上司に相談しても一向にジタハラが改善されない場合、1人で抱え込まずに周囲に相談しましょう。社内にハラスメントに関する相談窓口があればそこを利用しても良いですし、社内に相談窓口なければ、法テラスや各都道府県労働局に設置されている総合労働相談コーナーなど外部の相談窓口を利用する方法もあります。