反抗的な態度をとる部下と思われないように注意すべきこと

反抗的な態度がビジネスシーンで出てしまうのは当然好ましくありませんが、無意識に出てしまうこともあるものです。学生と社会人の認識の違いや、また反抗的な態度と取られないためのコツについて紹介します。

反抗的な態度をとる部下と思われないように注意すべきこと

職場で反抗的な態度、出ていませんか?

人間誰でも気持ちのゆらぎはありますが、それが仕事や人間関係にまで影響を及ぼすようであれば少し気をつける必要があります。自分ではそのつもりがなくとも、反抗的な態度が出てしまい、それが職場での評価を下げていることは少なくないものです。

取り繕った笑顔の裏側がバレバレの男性

大学生の酒井君は、サークルの友人がインターンで指摘された「反抗的な態度」が気になっています。気づいているようで気づいていない反抗的な態度について、経営コンサルタントのK・エーイ氏に尋ねてみることにしました。

「反抗的な態度」って言われてもよく分からない

酒井君

エーイさん、おはようございます。

K・エーイ氏

おはようございます。酒井君、今日はちょっと浮かない顔していますね。

酒井君

わかりますか?実はちょっと気になっている事がありまして。

K・エーイ氏

私でよければお話聞きますよ。

酒井君

はい、ぜひエーイさんに聞いてもらいたいと思って来ました。実は、サークルの仲間でインターンを受けた子がいるんですが、インターン先で「反抗的な態度が時々見られるから改めた方がいい」と、インターンが終わった後の打ち上げで社員の方に言われたそうなんです。

K・エーイ氏

ああ、よくありそうな話ですね。

反抗的な態度の自覚がない男性とその上司

酒井君

でも、その子が言うには「そんなことないと思うんだけど」って言うんですね。少なくとも、僕らの仲間内でもそんな周囲に対して反抗的な態度を取るような子じゃないんですよ。学生と社会とでは、何か基準が違うのかなって思いまして。

K・エーイ氏

なるほど。それなら、「反抗的な態度」の捉え方が違うのかもしれませんね。

酒井君

そうなんです。だから、反抗的な態度って言われてもピンと来ないんですよ。

K・エーイ氏

じゃあ、具体的にどういうことが反抗的な態度に見えるのかちょっと事例を出し合ってみましょうか。少なくとも、酒井君と私とでもこうした認識って違いがあるような気がしますよ。

学生と社会人の考える「反抗的な態度」との違い

K・エーイ氏

では、酒井君の考える「反抗的な態度」について教えていただけますか?

酒井君

イヤイヤイヤ、教えてと言われても、そんな急には出てきませんよ。

K・エーイ氏

ハイ、反抗的な態度ですね。

酒井君

えっ!僕何かしました?

K・エーイ氏

はい。まず、依頼された物事に対して否定的に入る。これが積み重なると反抗的な態度だとみなされますよ。客商売だと考えるなら、できませんやりませんとは言えないでしょう。

酒井君

だって客商売じゃないじゃないですか。

K・エーイ氏

はい、ふたつめ。反論してきた。

酒井君

ええっ、ひどい!

K・エーイ氏

はい、「ひどい」いただきました。これで3つ目ですね。否定が続きましたよね。実は、こういったリアクションの積み重ねってその人の印象を大きく左右するんですよね。

つい反抗的な言動をしてしまう未熟な男と手練れの女性

酒井君

もしかして、こういうのも反抗的な態度って見られるんですか?何だか自信なくなってきました。友達どうしの話だと、普通の反応じゃないかと思うんですけど。

K・エーイ氏

友達どうしならそうでしょうね。でも仕事になった場合にはそうでないこともあります。少なくとも、仕事を依頼してきた人に「ひどい」とは言いませんよね。

酒井君

まあ、そうですよね。ただ、言葉のアヤというか何というか・・・。すみません。

K・エーイ氏

ふふふ。ちょっと意地悪が過ぎましたね。すみません。そこまでは厳しくないですよ。安心してください。

酒井君

もう!心配になるじゃないですか!

K・エーイ氏

ははは。実は、こうしたコミュニケーションで反抗的に見える時って「相手の意見を受け入れてない」という部分に端を発しているんです。特に学生や新入社員というのは自分の中の常識や考え方が強く残っていて、会社において求められる考え方を受け入れられないことも多いんですね。「軽く聞き流そう」って態度はすぐにわかります。

酒井君

うーん、もしかして、僕の今の対応や、インターンに行った友達にもそういう所もあったんですかね。

K・エーイ氏

ええ、反抗的な態度と捉えられかねない所があったんじゃないかと推測されます。学生だと、「反抗的な態度」と言うと、睨みつけたり、怒鳴ったり、逆ギレしたり、反発したり、モノに当たったりといったものをイメージするでしょう。でも、そんな露骨なものだけではないということなんですね。それが学生と社会人の大きな認識の違いです。表情や目線、言葉遣いなどいろんな部分で評価されているんです。

社会では従順にしないといけないの?

酒井君

でも、ちょっとした言葉遣いや受け答えで反抗的な態度と見られたり、また考えを受け入れないといけないように言われると、社会ではルールや先輩、上司に従順しないといけないということですか?

K・エーイ氏

いいえ、必ずしも従順を強制するわけではありませんよ。ただ、意見を言う場合にもそれなりの作法があるということです。

酒井君

作法?たとえばどういうことですか?

K・エーイ氏

まず相手の意見を一度受け入れてから意見するということが必要ですね。「はい、わかりました。ひとつ伺いたいのですが~」みたいな感じですね。

酒井君

なるほど。まずは肯定するような返し方をするべきなんですね。

いったん肯定を示したあと、さりげなく対案を持ち掛ける男性

K・エーイ氏

はい。また、わかりやすく反対しないとしても、ふてくされている様子が見えたり、また口先を尖らせたり、目も合わせないような態度を取るのもいけませんね。

酒井君

そういう細かいところも見られているんですね。

K・エーイ氏

そうです。ビジネスの世界は信用の世界です。相手に対してどういう印象を与えるかによって、数百万円数千万円が動くことも少なくありません。自分の意見に合わないからと反抗的な態度を感じさせるような人は客先にはおいそれと出すことはできません。意見の相違はあれど、社会人としては相手に誠実さや好感を与える振る舞いを意識するべきです。

酒井君

なるほど、じゃあ、職場で指摘される「反抗的な態度」って、本気で反抗的な態度だと思っているというよりも、教育的な意味合いがあるってことなんですかね?

K・エーイ氏

まあ、若手に対してはそういう時も多いですよ。親しき仲にも礼儀ありということをしっかり守れる人が次に進めるという風潮はあります。ただ、やっぱり教育だけじゃなく反抗的な態度が目についてしまうために指摘されることもありますけどね。

相手によって態度を変えるのは「反抗的な態度」と思われるもとになる

K・エーイ氏

ひとつ覚えておきたいのは、「相手によって態度を変える」のは危険だということですね。学生や新社会人はこれが多いので注意しておいた方がいいですね。

酒井君

相手によって態度を変えるのが良くないことはわかりますが、これも反抗的な態度と見られるんですか?

K・エーイ氏

場合にもよりますが、反抗的な態度と見られることがあります。たとえば、教育係としてついている先輩がいるのに、その先輩の話はあまり聞かず、個人的に尊敬している先輩の話や役職者の話は従順に聞くという場合です。

相手によって態度を変える調子のよい男性とそれを見透かす女性

酒井君

うーん、教育係の言うことが聞けないということではないと思うんですけど。

K・エーイ氏

はい、きっとそうだろうと思います。でも、教育係をしている側からすると、何か自分に不満があって反抗しているように思えたり、当てつけにしているように思えたりするんですね。

酒井君

完全に誤解ですよ、そんなの。

K・エーイ氏

そうですね。だからそういう反抗的な態度をとっていると思われるような誤解を無くすためにも、相手によって態度を変えないこと。少なくとも職場で仕事をしている時はこうした意識は持ちたいですね。普段コミュニケーションが少ない所ほどこういう誤解が生まれやすいので注意したほうがいいんです。

酒井君

でも、やっぱりただの先輩と社長や役員たちとでは違っちゃいそうな気もします。

K・エーイ氏

それは仕方ないですよね。ただ、程度の問題です。大事なことは、周囲に対してふさわしい敬意をもって接しているかどうかです。「相手によって態度を変えない」と言っても平等に扱えということではなくて、それぞれの立場に応じた接し方を心がけましょうということです。それはその場だけでできることではなく、相手に対して事前に情報を得ておくことも大切なんですよ。

上司に意見をする場合は建設的に意見する

酒井君

なんだか社会ってものすごく窮屈なところなんじゃないかって気がしてきました。

K・エーイ氏

ははは。きっと気のせいですよ。だって、普通に生活していて窮屈だと感じていないでしょ。

酒井君

それとこれとは話が違いませんか?

K・エーイ氏

いいえ、一緒ですよ。たとえば外国人が日本に来たときには、電車やお店で列をきれいに作って並ぶのは窮屈に感じるそうですし、エスカレーターでどちら側に立つかを気にするのも窮屈だという人もいます。名刺の渡し方ひとつもルールが多いと感じるようです。その他にも日本はやたらとルールが多いって言いますね。

酒井君

そうなのかなぁ。当然のことだと思ってやってることばかりですけど。逆に無いと大変なことになるんじゃないかと思います。

K・エーイ氏

ですよね。それと同じように、ビジネスの世界ではビジネスマナーがあるのは、無いと大変なことになるからなんですよ。大事なのは反抗的な態度と見られないようにすることではなくて、マナーを守るっていうことなんですね。

酒井君

反抗的な態度と見られないためにマナーがあるんじゃないですか?

ただ反論するのではなく、きちんと対案を示す男性と納得の女性従業員

K・エーイ氏

いいえ、マナーがある目的はもっとポジティブなもので、「全てのやり取りを円滑にするため」です。もしも指示されたことに対して不満がある場合は、ただ「嫌だ」と反論するのではなく、まずは相手の意見をちゃんと聞いてみることがマナーですし、その上で必要なら建設的な意見を出す必要があります。「○○さんのおっしゃることも理解できます。でも、この方法の方が便利ではないでしょうか」という具合です。

酒井君

そうか。では、もし「コピーを取ってきてもらえる?」と言われたとして、「そんなのは自分でもできるじゃないか」って考えると思うんですが、こういう場合、どう意見すると反抗的な態度にならないんでしょうか?

K・エーイ氏

その場合は意見するよりも、さっさとコピーを取ってきた方がいいと思いますよ。

酒井君

えっ、ここは意見しちゃダメなんですか?

K・エーイ氏

そうですよね。実は「コピー取ってきて」のような雑用に対して「何で自分が」っていう考えがある時点で反抗的な態度なんですよ。仲の良い人から何か頼まれたら、二つ返事でOKするじゃないですか。

酒井君

まあ、そうですけど。でも、いつもそんな感じだったら、何か面倒事を押し付けられているようで嫌です。それに、自分が軽んじられているような気がします。

K・エーイ氏

最初はそう思いますよね。でも、ビジネスで考えるなら、生産性の低い新人や若い人が犠牲になることでより生産性の高い人が本来するべき仕事に集中できるならそれは善なんです。職場において「面倒」は個人の問題ですが、ビジネスはみんなでやるものですからね。だから、個人的な思いはぐっと飲み込んで笑顔で引き受けるのが正解です。ビジネス的に見ても納得できない状況なら反論の余地もあるでしょう。

酒井君

なるほど。反抗的な態度のことがちょっとわかってきました。まずは自分のことばかりでなく、相手のことも考えてみる必要があるってことですね。

K・エーイ氏

そういうことですね。意見を言うにしても、相手の立場なども踏まえて提案していくことがビジネスでは大切になります。感情的には納得行かないこともあるかもしれませんが、ビジネスマナーで考えた時に間違っていないなら、そこはクールに指示を遂行するのが社会人です。

酒井君

うわーっ、社会人になるって思っていたより難しいのかもしれない!

K・エーイ氏

ははは。でも、当然ながら社会人も人間です。100%それを実行できる人はまずいません。でもそういう意識を常に持ち続けるということが大事です。ちょっと成功したり後輩ができると横柄になったり、相手が年下に見えたら振る舞いが変わるようではいけませんね。

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反抗的な態度の部下と見られないためにできること

酒井君

だけど、社会人目線では、反抗的な態度に見られてしまう時ってすごい多い気がしてきました。

K・エーイ氏

そうですね。社会では従順は必ずしも求められませんが、礼儀は求められています。口答えをしたり、無視をしたりという反応をする人もいますが、こういったマナーのない振る舞いは自分のこだわりを重視する人に多く見られます。マナーがないと、こだわりが反抗に見えてしまうんですよね。

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酒井君

では、反抗的な態度と見られないためにはどうしたらいいんでしょうか?

K・エーイ氏

まずは基本的なビジネスマナーを形ではなくて、根本的な部分で理解することですね。自分のこだわりは一度置いて、「きっと何か意味があるのだろう」と考えてみることが大切です。相手や自分の立場を考えて、広い視野で考えてみてください。

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酒井君

それでも無意識的に出てしまうこともあるんじゃないかと思います。これはどうしようもないですか?

K・エーイ氏

そうですね、どうしても出てしまうものは仕方ありません。ただ、無意識に出るという場合は無意識に自分のこだわりや、相手に対する感情、評価などが関係していることも多いんです。できる限り相手を尊重する気持ちを普段から意識し、反抗ではなくマナーに則った態度が無意識に出てくるようにするのが一番の対策です。

酒井君

こういうマナーに関する話をしていると、社会人になれるのか心配です。

K・エーイ氏

大丈夫です。社会人らしい社会人は一日や一年では作れません。根本的な部分を意識しながら何年も何十年もかけて作っていけば大丈夫です。最初から完全にマナーを守れる社会人を目指すのではなくて、まずは「相手を尊重し、不快にさせないこと」「自分の感情をコントロールすること」を目指しましょう。ちゃんと頑張っている人はミスがあっても周囲もフォローしてくれますよ。

「相手を立てる」ことこそビジネスマナーの極意

酒井君

それならちょっと希望が出てきました。マナーと言えば難しそうですけど、理想的な姿を聞くと人間としてかっこいいなって思いますね。その方向で少しずつ頑張ってみたいと思います。エーイさん、今日もありがとうございました!

職場で反抗的な態度を出さないことはビジネスマナー

職場でつい出てしまう反抗的な態度は、当然好ましいものではありません。人間には感情がありますから、時には反抗的な感情が生まれることもあります。しかし、それを態度として出さないことは社会人としてのビジネスマナーです。自分のこだわりが強い場合、マナーが欠けているとこだわりの部分が反抗的に見えてしまうこともありますから、もし意見がある場合も、マナーに則って進言できるように注意しましょう。