接待の手土産のおすすめと相手に喜ばれる選び方のマナー
接待の手土産を準備して接待に臨むことがありますが、その場合にはどのようなことに注意して選ぶのか、またどのように渡すべきでしょうか。社会人として恥ずかしくないよう、基本となるノウハウを学びましょう。
知っていそうで知らない接待の手土産マナー
ビジネスにおける接待は日本だけではなく、世界中で国や地域を問わず行われています。業務時間というのは限られているものですから、その時間枠を超えて仕事やプライベートの話をする時間は、互いの関係を近くし、そしてビジネスを円滑に進めるために有益です。
そんな接待の席の終わりに、相手に手土産を渡すことがあります。これはどういった場合に行い、そしてどのようなものが適切なのでしょうか。
接待のノウハウは知っていそうで知っている人は少なく、暗黙知となっている企業も少なくありません。しかし、それでは急遽担当することになった場合に困ってしまいます。
ここでは、社会人なら知っておきたい接待の手土産マナーをご紹介していきます。
そもそも接待に手土産は必要?
接待をする際、接待をする側が手土産を用意することは必須ではありません。
基本的には手土産まで準備した方が「もてなす」という接待の趣旨からは良いとされますが、あまりにも過剰な接待となると嫌がられる場合もあります。
また、思い切り飲んで楽しむことを好む人や遠方まで帰宅する人であれば、そうした荷物になるものは邪魔になることもあります。
手土産も、個人に向けて贈るものもあれば、会社の部署などの単位に贈る場合もあります。誰に贈るかということでも、その必要性は変わってきます。コストなどの面から難しいと判断されることもあります。
そのため、接待の際の手土産の必要性についての判断は、基本的にケースバイケースです。迷ったら上司に相談して指示を仰ぐのがよいでしょう。
接待の手土産の選び方のポイント
接待のときの手土産は担当者のセンスを問われる場でもあります。センス良く、そして相手に喜ばれる手土産を選ぶためのポイントを押さえておきましょう。
1 日持ちのするものを選ぶ
まず接待の手土産選びで大事なポイントは、日持ちのする食べ物を選ぶことです。渡したからと言って、すぐに開けてくれるとも限りません。また、中身について説明をする機会が与えられるとも限らず、そのために開封されるまで時間が経つ場合もあります。逆に説明できても、消費を急かすようなものは相手に負担となります。できるだけ日持ちがするものを選びましょう。
2 相手の好みや状況に合わせる
接待する相手の好みや興味を持っているもの、また家族の状況などを可能な限り事前に調べておき、それに合わせて贈り物をするとよいでしょう。相手が役員クラスなら、秘書の方に尋ねておくとスムーズに情報を得ることができます。
接待した相手が会社に戻って手土産を社内の人に配る場合もありますし、また夜であれば家に持ち帰ることになります。誰に向けた手土産なのか、配慮して選ぶようにしましょう。
3 高級感・希少性のあるものにする
老舗・銘菓と呼ばれるものだとしても、自分で購入して食べる機会というのはそれほど多くはないものです。そういった手土産は常に喜ばれます。特に、遠方から相手が来られる場合などは、自分の地域の限定の手土産や近くの有名なお店のものを手土産にすることで地域を印象づけることができます。
また、話題性のあるスイーツやホテルメイドの高級菓子、取り寄せグルメなども安定感や希少性といった面で喜ばれます。
4 過去と同じ手土産は避ける
よほど相手が喜んでリクエストがあった場合を除いて、過去と同じものは避けるようにしましょう。形式化されている印象を相手に与えてしまいかねません。過去にも接待をしたことがある相手であれば、その時の担当者に過去の手土産の内容についてしっかり確認しておいた方が良いでしょう。
接待の手土産は具体的にはどんなものがいい?
接待の手土産のおすすめとして、具体例をまとめました。取引先に応じて、あるいは時と場所に応じで選ぶといいでしょう。
1 定番は焼き菓子・和菓子
接待においても、手土産の定番はやはり焼き菓子や和菓子です。すぐに食べられる一口サイズのものがおすすめですが、自宅に持ち帰って家族で召し上がってもらう場合にはその限りではありません。その地域で有名なお店の品などであれば、手土産の格も高まります。
なお、ゼリーやチョコレートも悪くはありませんが、夏場は溶けてしまう可能性がありますので避けた方が無難でしょう。
2 地域の名産品
遠方からいらっしゃる相手であれば、地域の名産品を接待の手土産として渡すのも喜ばれます。お菓子だけではなく、荷物にならない程度ならお酒やお醤油などの調味料もギフトとして喜ばれます。
3 お惣菜
地域によっては、漬物や燻製、佃煮などが特産品ということもあります。そういった場合には、そういったお惣菜類も有力な接待の手土産候補となり得ます。特に年配の方やご家族がいる方に喜ばれます。
4 飲み物
高級なお茶やコーヒー、お酒、ジュースなどの飲み物も手土産として喜ばれます。しかし、内容量によっては重量物になってしまい迷惑になりますので、相手の状況を考えて渡しましょう。
知っておきたい接待の手土産に関するマナー
取引先に渡す手土産は、ただ渡せばいいというものではありません。接待の手土産の準備や渡す際のマナーについても確認しておきましょう。
1 値段の相場は3000~5000円程度で
あまりにも高価な手土産は相手にとっても負担となりますし、また下心を感じさせてしまうことになりかねません。一般的には3000~5000円くらいが目安となっています。形が残るものはどうしても趣味もあるため、よほど自信がある場合を除いて、食べ物などの「消え物」が良いとされます。
2 のしはあってもなくても良い
付けた方が丁寧で準備した感じが出ますが、手土産には「のし」はあってもなくても構いません。
もし付ける場合には、結び切りではなく蝶結びののしにします。蝶結びには「何度も繰り返す」という縁起のよい意味がありますので、今後も良好な関係が続くよう願いをこめて蝶結びを選びましょう。
表書きは「粗品(そしな)」か「御礼」になりますが、一般的には「粗品」とし、普段から付き合っている方やプロジェクトなどで非常にお世話になった場合は「御礼」が良いでしょう。
3 急ごしらえは避ける
急に接待が入るケースはなくはありませんが、「急いで準備した」感じが出てしまうのは避けなければなりません。そのため、手土産ひとつにしても、駅前や近所で適当に買ったと思われないようなものを選びましょう。
接待に持って行った手土産の渡し方
接待で手土産を渡すタイミングですが、この場合には基本的に別れる前となります。
ただし、相手が受け取って負担がないことが大切なので、必ずしもそのタイミングにこだわる必要はありません。訪問時などに手土産を渡す場合は挨拶の後など、タイミングが違いますので気を付けてください。
また、手土産を渡すのは上司がいれば基本的に上司です。自分が手土産を準備する場合は、紙袋から出して上司に渡し、上司から渡してもらいましょう。上司が手土産を選んでいない場合は、中身についてうまく説明できないことがあります。その際は渡したタイミングでさりげなく、「私どもの会社の近くにある有名店●●の和菓子です。テレビや雑誌でもよく出ているようです」「××産の大豆などの素材にこだわったお醤油です」といった具合にフォローするとスマートです。
取引先が急いでいる場合などは、「袋ごと失礼します」と失礼を詫びつつ渡します。「つまらないものですが」とは最近はあまり言いません。「心ばかりの品ですが」などの表現の方が、変に謙遜するよりもストレートに感謝が伝わって良いでしょう。
接待の手土産の探し方
接待の手土産の探し方に決まりはありませんが、なかなかセンスの良い手土産というのは難しいものです。今はインターネットでも探すことができますが、なかなかインターネットで情報が集まらない場合は女性の社員や、接待に定評のある先輩や同僚から情報収集をするのが良いでしょう。
また、仕事柄接待が多い営業職の方は、普段からタウン情報誌やグルメ雑誌などもチェックし、接待に使えそうなものをリストアップしておくと、いざという時に瞬発力をもって接待の手土産を探すことができるようになります。
遅くても前日までには購入して準備をしておいてください。当日は会場の準備や段取りの確認など、するべきことが多くありますので、賞味期限などに影響のない範囲で、早めに準備をしておきましょう。
接待の手土産は相手をもてなすサービス精神が大事
接待の手土産についていろいろと見てきましたが、何を選ぶか、どう渡すかということも大事なのですが、本質的には「相手に喜んでもらおう」というサービス精神が大切になります。
手土産を任されるとそのことで頭がいっぱいになりがちですが、手土産はあくまで「接待の一部」です。あまりそこに拘泥せずに、接待の時間全体を通して「相手をもてなす」ことを考えましょう。受け取る側も、手土産についてはオマケ程度の認識ですので、マナーさえ守っておけば印象が良くなることはあっても悪くなることはありません。
接待の成功に華を添える素敵な手土産探しは、慣れてくると自分にとっても楽しい時間となります。ぜひチャレンジしてみてください。