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お礼状の書き方・例文・お世話になった人へ感謝を伝えるマナー

お礼状の書き方が間違っていると、思わぬところで失礼を働いてしまうことがあります。そうならないためにも、きちんと正しい書き方を知っておきましょう。お礼状を書く機会はいきなり訪れるものですから、いつでも対応できるようにしておきたいところです。

お礼状は心を込めて書こう

お礼状を書く場面は、ビジネスでもプライベートでも多々あるでしょうが、いずれにせよ心を込めて書かなければ意味がありません。お世話になった、という気持ちを相手に伝えることができなければ、お礼状は意味を持たないのです。もちろん、きちんと書き方を守っていることも大切であると言えます。体裁がぐちゃぐちゃであると、この人は書き方を知らずに、あるいは調べようとせずにお礼状を書いてしまったのか、と思われてしまうからです。お礼状の書き方を覚えておきましょう。

お礼状は手紙やはがきだけでなくメールで書いても良い

便箋やはがきだけではなく、メールでお礼状を書いても良いでしょう。もちろん時と場合によりますが、かしこまった場合や、目上の人に対する場合でなければ、メールでお礼状を送るのも問題ありません。むしろ、お礼状を送らないよりも印象はグッと良くなるでしょう。

メールでのお礼状の書き方で気をつけておきたいのが、署名を忘れないということです。署名とは、自分の名前だけではなく、社名や電話番号、メールアドレス、住所などのことです。これが自動的に挿入されるようになっていれば問題ないのですが、もしいつも手打ちしているという場合は、お礼状にも同じように書くようにしましょう。お礼状にだけ署名がないというのは不自然です。

お礼状の書き方の例文

実際にお礼状の書き方の例文を見ていきましょう。お礼状は色々な場面で活躍するものですから、しっかりと押さえていきましょう。ある程度書き方の基本がわかれば、それを応用することも難しくはありませんから、マナーを守って使えるようにしておきましょう。

お歳暮へのお礼状の書き方例文

拝啓
年の瀬も差し迫ってまいりましたところ、ご多忙の時期に恐れ入ります。
わたくしどももおかげさまで変わらず元気に過ごしております。
さて、この度は結構なお品をお贈りいただきまして誠にありがとうございます。
一家ともども、大変喜んでおります。
寒さ厳しくなります折、どうぞご自愛くださいませ。

敬具
平成○○年○○月○○日
○○ ○○

○○ ○○様

この例文のポイントは、お歳暮を贈ってくれたことに対しての感謝にきちんと触れていることです。この点がぼやけてしまっていると、受け取った相手は何のための手紙なのかわからなくなってしまいます。

「結構なお品」というのは、お歳暮に関してだけではなく贈り物を受け取った時によく使われる表現なので覚えておくと良いでしょう。相手からいただいた贈り物を丁寧に表現し、ありがたい物だと伝えるための言い回しです。

更に、一言「一家ともども、大変喜んでおります。」のように付け加えることで、感謝の気持ちを強調することができます。ありがとうございます、だけだと味気ないと感じられてしまう文面になってしまいますから、どのように喜んでいるのかを一言付け加えておきましょう

また、お礼状の書き方としては時候の挨拶も忘れてはいけません。「年の瀬も差し迫ってまいりましたところ、ご多忙の時期に恐れ入ります。」というのが時候の挨拶にあたりますが、これは「拝啓」が文中にあるためにくだけた表現を使っているのです。

「拝啓」を使うと、時候の挨拶の中に「~候」といった言葉を含んだかしこまった表現を入れる必要がなくなります。そのため、柔らかい時候の挨拶を使うことになるのです。時候の挨拶は季節を感じさせるものであればどのようなものでも構いません。自分の気持ちが伝えられる表現を探しましょう。

時候の挨拶を春夏秋冬の季節で使い分けるための文例集

結びの挨拶としても、時候の挨拶を忘れないようにしましょう。「寒さ厳しくなります折、どうぞご自愛くださいませ。」というのは、冬の寒さが厳しくなってきた頃に使えるフレーズです。年末などには重宝できるでしょう。こういった季節にあった挨拶を書いておくことは、お礼状の書き方のマナーのひとつです。

また、書き方としては、拝啓で始まった場合には最後は敬具で締め、その下に日付、更に下に差出人、一番下に大きめの字で宛名をフルネームで書くのが良いでしょう。宛名は必ずフルネームで書き、株式会社○○なども「(株)」などに略さないようにしてください。

OB訪問でお世話になった先輩へのお礼状の書き方例文

OB訪問でお世話になった先輩にも、きちんとお礼状を出しておかなければなりません。先輩には時間を取ってもらっただけではなく、何かと心配や迷惑をかけてしまったこともあったでしょう。ですから、そういったことを含めて、改めてお礼状を出しておくのがマナーであると言えます。

拝啓

しとしとと雨が降り続いている今日この頃ではございますが、○○先輩におかれましてはお元気のことと存じます。
さて、先日はお時間を頂戴しまして誠にありがとうございました。わたくしの不慣れな質問にも快くお答えくださって、感謝の気持ちでいっぱいです。
そして、同窓である○○先輩がご活躍なさっているお姿を拝見して、貴社で働きたいという気持ちがますます強くなってまいりました。
貴社で働くことへの強い憧れや、自分の力を発揮したいという気持ちも、○○先輩から伺ったお話で確かなものとなりました。
容易なことではないとは重々存じてはおりますが、○○先輩より丁寧にご教授いただいたエントリーシートや面接の具体的な対策をしっかりと活かし、内定に向け日々努力していきたい所存でございます。
良い報告ができるように全力を尽くしてまいります。
結果が分かり次第、またご連絡させていただきます。
この度は、誠にありがとうございました。重ねてお礼申し上げます。
お忙しいとは存じますが、お身体にはお気をつけください。

敬具
平成○○年○○月○○日
△△ △△

○○ ○○様

OB訪問のお礼状は分かりやすさを心がける

OB訪問など、就活でお世話になった先輩へのお礼状の書き方で注意したいのが、わかりやすさを心がけるということです。話題を飛ばしたり、余計なエピソードを詰め込んだりせずに、ただ感謝の気持ちを伝えることだけに徹しましょう。そうしないと、受け取った先輩は結局何が言いたいのかわからずに混乱してしまいます。これで本当に就活を進めていけるのか、と心配をかけてしまう場合もあるでしょう。

まずは時候の挨拶からです。拝啓を差し入れているので、ここはやはり軽い季節の挨拶を書いておけば問題ないでしょう。今回は初夏を想定しています。

そして、先日OB訪問を受け入れてくれた、ということに対するお礼状なのですが、ここでポイントなのが「OB訪問をしてくれてありがとうございます。」と直接表現しないところです。もちろんそれでも問題はないのですが、より相手に丁寧な印象を与えるためには直接的な表現は避けるべきでしょう。そのため、「お時間を頂戴しまして誠にありがとうございました。」という書き方が適していると言えます。

「不慣れな質問にも~」というくだりは、へりくだった書き方をすることで相手を立てる意味合いを持っています。こういった書き方を覚えておくと、相手を優位に立たせる書き方ができるので非常に便利です。

お礼状を書く時は感謝の表現のレパートリーを多く持っていると良い

「誠にありがとうございました。」と「感謝の気持ちでいっぱいです。」は両方覚えておきましょう。どちらかだけを二回続けて使うと違和感が生じてしまうため、感謝の表現はなるべく多くレパートリーを持っておくべきです。

また、貴社で働きたい気持ちが強くなってきた、ということや、貴社への憧れや自分の力を発揮したいという気持ちが確かなものになったということを伝えることにおいて、先輩から話を聞いたことが理由になった、という点は必ず書くべきでしょう。その点を全く書かないと、先輩はなぜOB訪問をしたのか、意味があったのかどうか、と勘繰ってしまう可能性があります。

そして、先輩から教えてもらった対策を活かしてエントリーシートや面接の対策に励みたい、ということにも触れておきましょう。こういった言葉を付け加えておくことによって、OB訪問をしたことの意味がグッと強まります。

「良い報告ができるように全力を尽くしてまいります。」という書き方は、こういった場面ではよく使われます。「良い報告ができるように~」という書き方をすると、それだけで相手にのちにまた報告をします、という意味が伝わるからです。

「結果が分かり次第、またご連絡させていただきます。」という書き方は、それを受けたものです。よく聞かれるフレーズであるもので、就活の面接の結果などを連絡する時などによく使われた、という人も多いでしょう。

「この度は、誠にありがとうございました。重ねてお礼申し上げます。」とは、「先日はお時間を頂戴しまして誠にありがとうございました。」と先の文で同じフレーズを使ってしまっているために、もう一度お礼を言います、という意味で使われます。「重ねてお礼申し上げます」という書き方は、締めの文に良く使われるフレーズなので、覚えておきましょう。

そして、「お忙しいとは存じますが、お身体にはお気をつけください。」という一文で締めます。相手のことを気遣う一文で、季節を問わずに使える書き方です。

OB訪問のお礼状の書き方ポイントは6つ

ポイント

    1.時候の挨拶
    2.OB訪問のお礼
    3.自分の決意
    4.努力すること
    5.また報告するという旨
    6.結びの言葉

就職でお世話になった先輩へのお礼状の書き方は、①時候の挨拶②OB訪問のお礼③自分の決意④努力すること⑤また報告するという旨⑥結びの言葉という構成で成り立っていると考えてください。これ以上に「このようなこともありましたね」など、具体的なエピソードを盛り込むのはやめましょう。

お礼状を書くときは送るタイミングが大切

お礼状を書く時に押さえておきたいのが、相手に送るタイミングです。お礼状をいつ相手に送るかによって、与える印象はだいぶ変わってきます。お歳暮などの贈り物を受け取ったり、相手に頼んでいたことをしてもらった時、例えば打ち合わせの申し出を受けてもらったりした時などには、なるべく早くお礼状を送るようにしましょう。大体、2~3日後を目安に送れば問題ありません

お礼状を出す前に、一言お礼の電話を入れることも忘れないようにしてください。いきなりお礼状だけを送るだけではなく、電話でお礼を述べておけば、その方が礼儀を尽くしていると感じてもらえます。特に目上の人に対して何らかのお礼をしたい場合などには、電話でのお礼を欠かさないようにしましょう。そうすることで、好感を持ってもらえます。

一方で、お見舞いに対するお礼状などはそれほど急を要するものではありません。事態がある程度落ち着いてから、お礼状を出せばそれで構わないでしょう。このように、お礼状と一言で言っても出すタイミングはまちまちなので、何かがあったらすぐに慌てて送らなくてはならないというわけではないのです。それよりも、大事なのは文面であり、書き方なのだと言えます。

お礼状を手紙で出すとき封筒はどう書けばいい?

お礼状を出す時には、便箋を使うかはがきを使うかという問題がありますが、これは用途に合わせて使い分けるべきでしょう。長い文章になるのであれば便箋を、それほど書くことがない、という場合にははがきを使うという、シンプルな考え方で問題ありません。

便箋を使う場合には、ビジネスで使われるような茶封筒ではなく、中身が見えにくく丈夫である二重になっている封筒を使いましょう。無地で白い、縦罫のものを選び、かしこまったものであることを伝えてください。

封筒の宛名は、書き文字が縦である場合には全て漢字であるということも押さえておきたいところです。ですから、番地やアパートの部屋番号、オフィスの階なども全て漢数字で書かなければなりません。こういった書き方をきちんとしておかないと、体裁がぐちゃぐちゃになってしまいます。

もちろん横書きの場合には、それに合わせて算用数字を使ってください。ここで漢数字を使ってしまうと、そこだけ浮いてしまうので注意が必要です。

また、はがきを使う場合には、縦書きで書いていきましょう。絵柄が書かれているものだとより華やかで使い勝手が良いので、見栄えがするものを選んでください。

お礼状の書き方を身につけて気持ちを伝えられる人になろう

お礼状に気持ちを乗せるためには、書き方を知っていなければなりません。今までお礼状を書く機会がなかった、という人や、これまで書くことがあったけれど、書き方を守っていなかった、という人は、ぜひ正しい書き方を覚えてみてください。どんなに感謝の気持ちを持っていたとしても、それを伝える術がなければ意味がないと言えるでしょう。お礼状の書き方はシンプルなもので、決して難しくはありません。どういった言葉を使うかを考えて、自分なりにアレンジしてみてください。